台風15号。名前は「ファクサイ」。
白菜、ではなくて、ラオスの女性の名前だそうです。
直撃はあやうくまぬがれたものの、大変な雨と風、それに加えて、西側の川を岩がころがっていくドコンドコンという音がうるさくて、午前3時くらいまでほとんど眠れず。
起きたらもう7時過ぎで、日がかんかん照っていて、外を見たら、ミモザと物干し台が倒れていた。
ミモザ(フサアカシア)は根が張らず風に弱いと聞いていたので、しっかり支柱を立ててあったのだが、それごと抜けて横倒しになってしまっている。
びっくりしたのは物干し台で、用心して竿は外してあったのに、わたしの力では持ち上がらないくらい重いコンクリの土台がひっくり返るって、いったいどんな風だったのか。
(垂直なポールも意外と風を受けることがわかったので、今後はぜんぶ外すことにしましょう)
デッキの靴入れの棚は吹き飛ばされ、ばらばらになって5メートルくらい先まで散乱し、サンダルの片方はいまだに見つからない。
でもまあ、家自体はなんともないし、電気も電話も無事だし、水道はMが帰ってきたら直してもらえばいいし、これくらいで済んでよかったわ。
…と、昨夕念入りに閉めたゲートを開けに行くと、ゲートは半分ひきちぎられたような形で開いており、その手前に折れた木の枝が道をふさいでいる。
さらに頭上には、もっと大きな枝が、電線にひっかかって、ゆーらゆーらと…。
ああ、ヤバイですよ、これは。
ゲートを開けるだけのつもりで手ぶらでサンダルばきで来てしまったので、いったん引き返し、装備をととのえて出直す。
落ちているだけのはまだいい。問題は電線の枝だ。
全体の長さは4メートルくらい、折れ口を上に、Yの字を逆にした形で、電線を深くまたいでひっかかっている。
どこからどう折れて、どうしてこの形になったのか、さっぱりわからない。
下手にさわると電線が切れそうで怖い。
切れたら電気も電話もインターネットもいっぺんにアウト。
でも、さわらなくても重みで切れそうで怖いし、どっちみちこのままでは下を車が通れないので、なんとかしなければならない。
田舎暮らしも長くなると、「怖いモノは自分でなんとかする」ということが身についてくる。
お隣の酔猫さんとふたりがかりで、届くところからちょっとずつ切っていき(わたしは愛用の枝切鋸、酔猫さんは強力太枝切り鋏で!)、Yの字の分かれた2本のバランスを崩すように一方をできるだけ短くし、残した長いほうをゆっくり持ち上げ、あとはもう手が届かないから、長い材木を持ってきて下から押してやると、うまい具合に自分の重みで回転してはずれ、ずどーん!と落下してきた。
直径10センチ以上あるコナラの枝で、ひきずっても動かないくらい重さもあり、よくこれで断線しなかったものだ。
しかし、手鋸でこの太さの枝を切るのは、足場の良い水平な状態でもかなりしんどい。どんぐりのなる広葉樹は堅木(かたぎ)といって、とにかく堅いし、見た目よりずっと重いのです。
こういうときのために、やっぱりチェーンソーくらい使えたほうがいいかなと思う。
思っただけ、ですが。
野分のまたの日こそ、いみじうあはれにをかしけれ。(「枕草子」)
<追記>
あとでよく見たら、ひっかかったのは「電話線」でした。「電線」はそれのずーっと上にあり、もしそっちだったら地上からは手も足も出ないので、高所作業車を要請する事案でした。
<追記その2>
で、結局、ローカル線が復旧しないので、Mは帰宅できず。壊滅状態の水場は手がつけられないまま。