閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

画家とその弟子

2009-04-04 10:31:56 | 日々
隣町の見知らぬ人から、Mに電話がかかってきた。
「娘がデザインと絵本の勉強をして帰ってきたので、
何か仕事があったら働かせてもらえないか」とのこと。

おっしゃる意味がなかなかのみこめなかったのだが、
アシスタントとして働きながら仕事を覚えたいと…
つまり昔の徒弟制度みたいなのがあると思っておられるらしい。
「いやあ、そういうのは、ないですよ」とMは笑ってお断りしていた。

ベラスケスやレンブラントの時代ならいざ知らず…いや現代でも、
漫画家やデザイナーの世界なら、あるのかしら、と思うけれど、
うちみたいに年に数冊の絵本を描いている画家さんで、
個人で弟子やアシスタントを雇っている人って、
いらっしゃるんでしょうか?
「あー、ちょっとこの筆洗ってきて」とか?(笑

それよりも、電話をしてこられたのが
ご本人ではなくお母様だったのが気になった。
それも、娘さんに頼まれて、というわけではないらしく。

大学の入学式に多くの親が出席すると聞いて、
わたしは「えー、まだ出るの?」と思ったが、
(出ませんでした。だって遠いんだもん。
Mなんか自分の入学式にも出なかったそうですが…)
それどころか、履修登録をする段になると、親が電話してきて、
「うちの子は何をとったらいいんでしょうか」と聞くのだそうだ。
事務の人が「お子さんのご希望は」と尋ねると、
向こうで「○○ちゃぁん、アナタ何がいいの?」とやっている。
という話を耳にしたのが去年の春。
どうやら、その調子で就職から結婚まで、
親が先回りしてお膳立てするケースがけっこう多いようなのだ。

このあいだ、どこかの大学の先生が新聞に書いていた。
最近の学生に「隣同士ペアを組んで」というような指示を出すと、
相手をみつけられない学生が必ず数人は出る。
あぶれた者同士で組むかと思えばそうでもない。
ほうっておくと、そのままじいっとひとりで座っているか、
あるいは黙って教室を出て行ってしまうのだそうだ。
ひとりひとりお世話してあげないと駄目らしい。

わたしだって、幼稚園の頃はそんなでしたが。
いや、この年になっても、さほど進歩した形跡はないので、
他人様のことは言えませんけども、
自分のことは棚に上げて(よーっこらしょっと…ああ重い)
そういう人たちの比率が急速に増えつつある社会というのは、
なんだかねえ、大丈夫かなあ、という気がするのでした。

コメント
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