レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

敬語の好み

2006-06-22 14:53:50 |   ことばや名前
 日本語を学ぶ外国人にとっての難所らしい(たぶん、敬語、漢字、オノマトペが三大)。日本人にとってさえややこしいのだから当然だろう。
 「敬語」は「丁寧語」「尊敬語」「謙譲語」に分けられている。私は「謙譲動詞」が好きだ。「申す」「参る」「頂く」「伺う」「致す」「拝見する」など、語感がきりっとしてかっこいい。それに比べると、「おっしゃる」「いらっしゃる」はいささかもたもたして聞こえる。ムダな言葉はないよりもあるほうがソフトにはなるので、尊敬語が長ったらしい感じになることとも共通しているのかもしれない。「行く」を「行かれる」、「読む」を(「お読みになる」でなく)「読まれる」で尊敬語の表現にすることは、簡便法(?)として広く使われている。しかしこれだと、受動と紛らわしいのが気にかかる。皇室の報道で、「~熱心に質問されていました」なんて言ってると、「誰が誰に?」とツッコミたくなる。
 それに、「する」の尊敬語としては「なさる」という、わかりやすくて簡単な言葉があるのに、なぜ「される」なのだろう。

 「未成年者へのアルコールの販売はお断りさせて頂きます」、こういう「させていただく」は目障りだ。お断りしないほうが法に触れるんだ、「致します」くらいで充分!
 酒井順子さんのエッセイによると、「させていただく」は宮沢りえが婚約発表の記者会見で使った時にしっかりした感じを与えたことから若い層に広まったというけど。
 そういえば、結婚の報告はたいてい「結婚することに なりました」で、「しました」ではない。政略結婚じゃあるまいし、と思う。周囲も多少なりと巻き込むからだろうか。
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『エロイカ』愛憎

2006-06-22 14:46:49 | マンガ
 いちどは書かずにいられない。

 私が『エロイカより愛をこめて』を読んだのは女子高2年の時だった。(79年に本誌「プリンセス」に引っ越してきたあたりからじわじわと人気を伸ばしていたらしい。この年のぶんから「ぱふ」のベストテン入りするようになっていた。)まえから知ってはいたが、読むに至ったのは、友人のやっていた新選組サークルの会誌で「比較シリーズ」として、少佐と土方歳三を取り上げていたからだ。(そもそもこの企画じたい、当時コミケで評判だった「少佐通信」という本を真似たものだった。)
 本誌では、NO11『9月の7日間』が終わったころで、単行本の6、7巻までを借りて読んだ。そもそも硬派好みの私が、任務一筋男の少佐にはまったことにはなんの不思議もなかった。猪突猛進「鉄のクラウス」に、畏敬しつつついていくけなげな部下たち、「トーヘンボク」の少佐とは正反対の性格・趣味ながらも惚れてチョッカイかける怪盗「エロイカ」ことグローリア伯爵、お金が命のジェイムズ君、少佐の宿敵、KGBの大物スパイ「仔熊のミーシャ」、その他もろもろの愛すべきキャラクターたち。パワフルなアクションコメディーに私はのめりこんだ。友人が貸してくれた、コミケで売っていた少佐FCの本にも熱中し、早速入隊した。本誌では、NO12『笑う枢機卿』が始まるところだった。・・・しかし、既に暗雲はたれこめていたのだとあとで思う。
 83年、『笑う枢機卿』が終わった。任務は果たしたものの、少佐がついに部下一同(一番下の「Z」以外)をアラスカへおくるという結末で。(注:この話では、アラスカはヘマな部下を左遷する場として設定されている。) おかげで、その後数ヶ月も番外編が続いてしまい、いったいどうするんだ~~!?と不安になった。そして84年、『アルカサル』開始。14世紀の実在のカスティリア国王ドン・ペドロ1世を主人公とする歴史もの。本来私は歴史もの好きなのだ。しかしこの時は素直に喜ぶ気にはなれなかった。アラスカの部下たちどうする!?という不安で。結局『アルカサル』は早々に「第1部完」となり、すかさず『エロイカ』NO13『第七の封印』が始まり、翌年終わる。いままでとは違った、わりに重い余韻の終わり方だった。これからしばらく、『エロイカ』と『アルカサル』が交互に描かれる時期になる。
 私がはいっていたFCは、作者公認ではなかったが、会長と担当さんと知り合いで情報がはいってきたりした。それによると、作者はいままでにも一度ならず『エロイカ』やめようとしていて、『アルカサル』始めたときもそのつもりだったけど、編集長に頼み込まれて再開したということだった。--あんまりでないかい?そりゃ、長いこと同じの描いてたらほかのを描きたくなることはあるでしょう、しかし、部下達一同左遷したまんまで放り出すって。同じ打ち切りにしても、『9月の7日間』あたりでならばそう不自然には見えないかもしれない。でも、部下たちをアラスカに置いたきりで『エロイカ』をうやむやにしていたら、たとえ『アルカサル』が大人気になったとしても、マンガ家人生の汚点になってたと思う!
 私が作者に対して不満を持った要因のもう一つは、読者の活動に対する狭量さだった。かつて、かなり大きな公認FCがあったのだが、早い話、パロられることを快く思わない作者の意向で解散になったそうだ。当時会員だった友人は「飼い犬に手を噛まれるならぬ、飼い主に毒を盛られた犬の気分だった」と語る。「パロは人気のバロメーター」というものの、作家の態度は様々である。もちろん、好きならなにしてもいいとは私も思わないが、既に同人パロの世界にどっぷりとつかっていた私にとっては、原作のキャラを尊重したパロ(と私の目には見えた)まで否定されることは愉快でなかった。
 そしてこれは内容の問題。私は一度好きになったらしつこく、たとえ多少の変化があっても結構素直に受け入れていくのだが、それでも、「硬派」として出てきた少佐に「実は遊んでるんじゃないか?」と疑われるような言動がちらつくようになったことは気に入らなかったのだ。作者の男の好みが変わることは自由だが、既に確立したキャラにそれを反映させるのはやめてほしかった。
 95年、ベルリンの壁もなくなったあとで、唐突に再開。このときの単行本の「冷戦後、世界に広がり出たあらゆる「悪」に対して戦うことになりました」という作者コメントに対して私は、それは違うでしょう、と感じた。少佐はスパイである。「国益を守る立場」だとはっきりと言ったこともある。普通の善悪とは基準が違い、同じアクションものでもそれゆえに、スパイ・軍ものは警察ものよりもニヒルにならざるをえない。『第七の封印』の結末の苦さも、関連作『Z』のシリアスも、「悪と戦う」なんて世界のものではなかったはずだ。もし、冷戦後の悪と戦うヒーローの物語をやりたいならば、二番煎じと言われる危険を冒してでも、別のキャラ設定にしてほしかった。『エロイカ』のノリを引き継いではいるが別の話として。
 (これは暴論だが、ーー車田○美の某シリーズのようにーーいっそ別の作家が描くならば私は割り切って読めるだろう。あるいは、『スケバン刑事2nd』のように別人設定で。)
 もうひとつ、再開してほしくなかった・早く終わってほしいことのごく単純な理由:年齢の問題。キャラが年をとらないマンガは珍しくない。しかし、『エロイカ』はいくらか彼らは老けていっていた。それに、背景として不可欠の国際情勢が激変しているのにヒトがそのままというのはどうしても不自然に見える。「サザエさん」状態に私は抵抗を感じずにはいられないのだ。
 
 誉めたい点。
・かつて少佐は「ぐうたらなイタ公」「トルコ野郎」なんて言って「人種的偏見のかたまり」と言われていたが(厳密に言えば、人種云々ではなくて無能・ぐうたらを嫌いなのだが)、たぶん当時の作者の頭では、外国人労働者への差別問題は意識していなかったのだろう。再開してから、トルコの絨毯屋兄弟ーー友好関係にあるトルコ人キャラを出したことはそういう点への配慮だと思う。
・えたいの知れない実験でケーキ屋の役を務める少佐は可愛かった。
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「異人種」

2006-06-21 17:15:37 | 雑記
 この言葉を私はいろいろな意味で使う。偉いと感心する気持ちをこめて「偉人種」であることもあるし(例:人の世話をする仕事の好きな人)、はっきり言ってバカにしていることもあるし(男を車で選ぶ女とか、夫の部下の妻を自分の家来のように見做す女とか)。単に違いに驚くだけということもある、例えば、根っから運動が嫌いで特にマラソン大会なんて地獄だった私から見れば、駅伝にわざわざ参加する人なんてう~~信じられん、と思う、でもたくさんいるからなぁ。こんなに、好きで走る人が余るほどいるんだから、嫌いな生徒たちまでさせなくていいぢゃないか~~!とかなりムチャなことを思う。駅伝はいつも視聴率が高いそうで、もし私がテレビ局の人間ならば、我々が苦労して面白くしようと作ってる番組よりも、ただ実況するだけのこれのほうが人気あるなんて、とひがむに違いない。
 フィクションに心を動かさない人間も明らかに異人種だ。『ハックルベリィ・フィンの冒険』はもうかなりまえに読んだのではっきり覚えていないが、ハックが誰か聖書の人物を話をきいていて、でもそれが遠い昔のことだと知って急に興味を失うという場面がある。身近な現実のことだけを見ることは、見ないよりは健全かもしれない、あるいは、現実が多忙・過酷すぎて遠いことにはかまける余裕がないこともあるだろう。しかし、旧約聖書のエフタの娘の話には本当に腸が煮えくり返る私は、ハックと心の友にはなれないな、と思う。(アブラハムも嫌いだ!) ハックには痛くもかゆくもあるまいが。
 文学上のこと・歴史上の出来事に対して心をゆさぶられることを知らない人は損をしていると思う。(スポーツの楽しみ・オシャレの楽しみを知らないことを不幸だと思う人たちも多いだろうけど) マンガでもアニメでも映画でも。 歴史上の人物への思いいれだって、それが他者への否定に走らない限り、嘲笑されるべきことではない。--だから、吉村作治氏が「クレオパトラが初恋」と豪語することも、山崎晴哉がエリザベス・テーラーの映画に影響を受けたことも、それ自体悪いと言うつもりは毛頭ない。ではなにを悪いと言いたいのかは、別の機会に譲る。

 別に、悪口予告編のつもりでこの項を書き始めたのではない。遠い物語(歴史含む)への思いいれを見下す連中は嫌いだ、と主に言いたかった。

 ついでに言えば:ハーレクインにしろ『冬ソナ』にしろ、フィクションにハマることをどうして世間ではたびたび、現実への欲求不満のように決め付けるのかと不愉快だ。(私自身がこれらのファンなわけではない) 日常は日常で幸せ、虚構には別な夢を求めることのどこがおかしいか。虚構は楽しみのために作られるのだから、それが現実よりも魅力的でなければそのほうがヘンなのに。
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エリザベス1世

2006-06-21 17:10:01 | 歴史
 講談社現代新書『エリザベスⅠ世 大英帝国の幕開け』青木道彦(2000)を読んだ。父ヘンリー8世のせいで苦難の半生、王位についてからもこれまた多難なことは既に有名であるが、遠縁のメアリ・スチュアートがスコットランドから逃げてきたあとで、彼女を幽閉状態にしながらも彼女のスコットランド王位復帰のためにははからってやっていたという件はこれで初めて知ったことだった。
 私は、メアリも決して嫌いなわけではないが、イングランドの王位をめぐっての争いについてはエリザベスに味方する。庶子よばわりされたことは許し難かったろうと、この点、カエサル死後の後継者争いのときのオクタヴィアヌスと重なるのだ。
 引用する。

 メアリ・スチュアートが反エリザベス陰謀に加担するようなこともなく、スコットランド王位への復帰のみを願っていれば、その望みはかなったかもしれないというのは、かなり可能性のある推定である。しかし堅い信念をもつ旧教徒として養育されたメアリは、やはり心境とのエリザベスをしりぞける陰謀に加担せざるを得ない運命にあったのかもしれない。
 メアリこそ16世紀後半のイングランドの国家と王位の安定を揺るがせた悪の張本人であるといった見方は、あまりにもイングランドないし新教徒の観点にかたよりすぎているように思われる。その一方で、メアリが人間的で豊かな文学的センスをもった女性であったのに対して、エリザベスは冷酷・非情でメアリを処刑に追いやったのだという見方は、あまりにもメアリの肩をもちすぎていて、エリザベスがメアリの処刑に踏み切らざるを得なかった苦悩を正当にみていないというべきであろう。

 引用終わり。
これ、クレオパトラとオクタヴィアヌスの関係についてもかなりあてはまっていませんか?カエサリオンがカエサルの後継者だなんて言わずに、エジプトのファラオにするだけで満足していれば、少なくともローマとの戦争になりはしなかった、カエサリオンの命は無事だっただろうに。あとでなにか口実ができればやはり乗っ取られてたにしても。

 「東のヘンリー、西の綱吉」とはサラさんの名言(跡継ぎ欲しさにハタが大迷惑という意味で)。でも個人的な強烈さはどう見てもヘンリー8世のほうが勝っている。歴史に特に詳しい人でなくても、6回も結婚した、そのうち2人を死刑にした王、ということは覚えているのじゃなかろうか。
 エリザベスは、母アン・ブーリンの処刑のときにまだ幼児で、さほどこのことが不幸をもたらさなかったというふうに言われているが、心の奥底でくすぶるものがあったと思う。自分が男に生まれていれば母は死なずにすんだということは当然考えただろう。しかし、私はここで、彼女にそれを己への否定感情にはしてほしくはない。無実の罪を着せて母を死に追いやった父への恨みという方向を向くべきだ。女に産まれた自分の治世で父よりもイングランドを栄えさせることで、母の名誉を挽回し、父への復讐となしたと思いたい。そして、諸外国との軋轢をすり抜けることにも活用し、ケチな反面オシャレも楽しみ(趣味はナンだけど)、情事も持ち、でも権力は分かたず(男に対して根本的な不信感があったとしても不自然ではなかろう)。独身のままで終わったのは、もしかすると、父があんなに執着した血統を断ち切ってやる目論見だったかもしれない。子の産めない体とした本もあるが、もしそうだとしても、そのことを自分にとって都合のよいように利用してやる女だっただろう。
 このような解釈には史的根拠はない。私の願望である。
「逆エレクトラ」であってほしいというこの解釈だと、メアリが彼女を「庶子」よばわりしたことは、母への侮辱でもあるので一層許せないものだったということになるのだ。

 以下、2chの少女マンガトリビアスレッドから。

「ガラスの仮面」の劇中劇「二人の王女」の元ネタはエリザベス一世とメアリ・スチュワートの関係。もともと作者はこの二人の女王のマンガを描くつもりで構想を温めてたんだけど、「ガラカメ」執筆でほかのマンガを描く余裕がなかったために劇中劇として描くことにしたんだって。
 
以上。真偽は定かでないけどありそうな話。
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映画『バルトの楽園』

2006-06-19 16:16:49 | ドイツ
 地元映画館で上映中なので、早速見てきた。半ばドイツ映画みたいなものなのでこのカテゴリーにいれてしまおう。
 内容は:第一次大戦中、日英同盟ゆえにドイツの占領していた青島を攻撃した日本軍は、予想外に多くのドイツ兵を捕虜にした。彼らは日本へ送られ、各地の収容所に分けられた。その一つ、徳島の坂東では、所長の松江中佐のはからいにより、それまでとは別天地のような自由な生活があった。ドイツの敗戦と共に収容所は役目を終えることになるが、ドイツ人たちは感謝をこめてベートーヴェンの『第九』を演奏、それが日本での初の『第九』であったーー。
 いまあちこちでウワサのはずなので、多くの人には初耳というわけでもなかろうと思う。
 『ヒトラー最期の12日間』で怪演を見せたブルーノ・ガンツが青島総督(捕虜でいちばん偉い人)、出番多くないけど貫禄。松江所長は松平健、--いい役もらっちゃって~~(ちょっとつっかかってみたいのは『暴れん坊将軍』を脇役の栗さん目当てで見ていたヤツの言いがかり)。自転車で通うシーンで、運転が下手でよたよたしている様子が、ちょっと太めの体格とハマっていてご愛嬌だった。この人物が会津の出という点が重要なので、幕末に関心のある人にもお勧め・・・というのはこじつけくさいか。
 クラシック音楽好き、特にベートーヴェン好きの人には確実にお勧め。
 捕虜の一人に音楽を習っていた中学生たちがお別れに来て、バイオリンで「仰げば尊し」を弾く場面に泣けた。(おしつけがましいとして今では廃れた歌だけど、そう、こういうのは真心がこもってるよなぁ・・・)
 やさぐれて脱走常習犯だったのが、人情に触れて改心し、戦後神戸でパン屋になるカルルはユーハイムがモデルだけど、ユーハイムが脱走したわけではないだろな、妻帯者だったし。
 所長の副官役(国村隼)のドイツ語はたいへん達者だった。史実に沿っているらしい。
 『第九』演奏シーン以外でも、遠足(?)などでもドイツ人たちがよく歌っている。なんとなく、ドイツ語は男声合唱に合っているというイメージを私は持っているのだが、こういうときに特にそう感じる。
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ベルナール・ビュフェまたは沼津ヨイショ

2006-06-19 16:09:05 | 趣味・娯楽
画家について書くつもりだったのに、それが少しになってしまった。でもやはり「趣味」に入れておきます。

 10年くらいまえ、沼津校舎に通っていた。授業が朝の時間で遠方なので前夜からホテルに泊まりで、毎週小旅行のようだった。「グランドホテル」なんて名前は看板に偽りありだったな、なんてことはこの際ほっとこう。御用邸跡公園とか、芹沢光治良の記念館とか、歩いて行ける範囲にも見所はいくつもある町だった。いや、不安になってきた、歩いていったはずだ、記憶があいまいだけど、タクシー使ったりバスに乗ったりした覚えはない・・・。井上靖が中学時代に下宿していたというお寺には記念碑があり、当時の悪友たち(『夏草冬涛』にみごとに作品化されている)の詩も一緒に書かれていることに感動した。
 沼津からバスで行く距離に「井上文学館」があることは知っていたのだが、これがバスの本数が極端に少ないので、学期の終わりにとっておいた。駅から30分の山の上に文学館はあり、たくさんの本、草稿、書簡、写真等々豊富な展示。

 この近所に、フランスの画家(当時は存命だった)ベルナール・ビュフェの美術館があるのでここにも行った。たいへん特徴のある画風である。新潮文庫のサガンの本のカバーはたいていビュフェの絵だった(いまは一部変わっている)。丸くはなく、むしろとんがった感じ。なにしろ、紫陽花の葉まで長く描いてしまうのだ。本人は丸顔なのに自画像は細い・・・。

 それにしても、ひとけのない場所だった。車道に寝転がっていても、20分くらいは起こされずにいられるのではというくらい車も来ない。空気が良さそうだし、ひたずら勉強するためにこもるにはああいうところに別荘でもあれば最適な場所かもしれんと思った。もう10年もたって今はどうだろう。とにかくバスの本数が少なかった。

  読売新聞の読者投書欄のカット描きの熊沢厚子さんの犬の絵が好きだ。切り取ってコピー便箋をつくったこともある。小犬とかウサギとかぷっくりとした動物が可愛い。上記ビュフェの例で、ご本人は案外細いのだろうかと余計なことを思ってしまう。

「クレマチスの丘」
「美術館」に、井上文学館も載っている。「オススメ情報」の「周辺観光」からは沼津の観光案内にも飛べる。宣伝料ももらってないけど宣伝。沼津良いとこ一度はおいで、とは言いたい。魚や山葵などお土産も豊富だし。
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準・ブックマーク改訂

2006-06-18 14:50:01 | 注意書きと「準・ブックマーク」等
「ブックマーク」があまり増えすぎるのは見た目が良くない、しかし紹介したいところは多い。そこで、この注意書きカテゴリーにそれらを載せておくことにします。

<マンガ>

「鈴木めぐみの情熱的マンガ生活」
少女マンガ好きには一見の価値あり。昔読んだあのマンガは誰の何だったかな?という疑問を解決する尋ねマンガコーナーを私は愛読(?)してます。


<部分的にでもローマ関連>

「日本人の魂ここにあり!(嘘)」
ローマ皇帝を語るスレッド、人気投票、人物評価などあり。掲示板の話題は、流れ次第でなんでもアリです。

「恋恋花吹雪」
多様なジャンルの二次創作小説。ローマあり。「基本的に不健全」ですが、「小話」はギャグなので同性愛ものパスな人にもこちらはお勧め。
 先日改装されて作品が減りましたが、ギャグの多くは残っています。

「Foolscap」
のちのヘンリー5世であるハル王子の話、三銃士やホームズなどの小説がメイン。オクタヴィアヌスとアグリッパのコンビの登場する『虚弱と壮健』がこれまでに3本載りました。

「XIANGの歴史マンガのページ」
カエサルコーナーあり。

「逃避シェルタ」
映画・海外ドラマについて語られるブログです。ドラマ『ROME』の内容紹介あり。
続きは以下で
「借指揮所@たなてい」
主に「HBO’ROME」カテゴリーです。



「ゆめうつつ館」
夢あふれる世界史サイト。「ローマ皇帝変人史」「世界史を彩る美男美女」「歴史の映画」など。


<その他歴史関連>

「脳幹倶楽部」
管理人のこまむさん曰く「歴史・小説・映画を頭悪く愛でる頁でございます」

「欧亜洲共同体」
上記「脳幹倶楽部」の親サイト。歴史もの映画や本が紹介されています。


「花つむひとの部屋」
「本と映画と音楽と。歴史のなかの恋と。」『ベルばらKids』HPの世界史担当者によるブログ。

「ドイツ魔女街道」
魔女研究第一人者のサイト。

2016.10.6.
リンク切れになっている「はっちぽっち」を削除しました。「引っ越したよ~」というご連絡があれば喜んで貼りなおします。

2017.7.25
「座乱読」が閉鎖で一部残っていることに気づいたので貼り直し。
「座乱読無駄日記」
「座乱読後乱駄夢人名事典」
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梅雨は日本

2006-06-18 11:37:56 | 雑記
出かけるときに雨だと気乗りしなくなる。雨だと気分が億劫になる。私はこの傾向が強い。だから梅雨時は鬱陶しい。自転車で気軽に近所に買い物に行くということもできなくて予定がたたない。洗濯ものも乾かない。(野菜も値上がりする。)
 それにも関わらず、梅雨は日本に不可欠の要素だと思っている。日本を知りたい外国人は、この季節を体験すべきである。じとじとと降る雨、蒸し暑い空気の中で部屋の中に洗濯物をつるす、またはコインランドリーへ行く。ラッシュアワーやアキハバラ以上にナマの日本を知ったことになるに違いない。--そこまでして知りたくないわい、という人が大多数だろうけど。私だって、ライン河の増水なんて通過電車から見るだけで充分だし。いや、日本の梅雨並にあれがよくあるとは言わないけど。

 「雨が降ります雨が降る」の歌について、故・義理の伯父(母の姉の配偶者)が、「カサがないほど貧乏な家に千代紙なんてあるはずない、ほんとは新聞紙で代用していたんだ」とツッコミを入れていた。
 「嫌でもお家で遊びましょう」、私は天気でも家遊びのほうが好きだけどね。子供は外で遊ぶもの、という前提があるな。

 「しばわんこの和のこころ」、先日の放送では、雨のいろいろな言葉も出てきた。にわか雨を指す「驟雨」は知ってたけど、「白雨」はそれに近く、雲の出ているときの雨だそうだ、これは初めてきいた。いま手元にある小さい辞書には載ってない。
 しばわんこのアニメでのおっとりした口調からして心がなごむ。チョビのセリフもこんな感じで合ったかもしれない。

 それにしても、この時期「ブログ」新規投稿一覧を見れば必ず梅雨の話題があるなぁ。私の「雑記」も半分以上季節ネタだ。特定のシュミと結びついていない日常話となると自然そうなるか。
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紀元前のワーカホリック男

2006-06-17 17:41:05 | ローマ
 ドイツ語の授業の教室で、まえの時間の配布物が残っていることがある。西洋史のようで、読んでみて理解不可能ではないので持ってくる。ローマ史の参考書一覧とか、「古銭学--ギリシアやローマのコインは古典文明のほとんどすべての側面についての情報を含んでいる 銘から皇帝や都市の名前、あるいは造幣責任者の名前がわかる」とか、「トイトブルクの森の戦い戦場跡発見に寄せてーーアルミニウスの神話化と脱神話化」なんて、中々もうけものだ。
 きのうあったコピーには、「アグリッパの後任にはスィクリウスとガレリウス・トラカルスが執政官の時(68年)、アルビウス・クリスプスがなった」「執政官クイントゥス・アエリウス・トゥベロとパウルス・ファビウス・マクスィムス(前11年)マルクス・アグリッパにより建設された、市内および市に隣接する建造物内にある公共噴水の数について報告し、この問題への処置を元老院にうかがっていたところ」云々とあった。ページの下に「第三編 ローマ市の水道書」と書いてある。この授業の参加者は、ミーハー心とは無縁でアグリッパの名前に接しているのだろうか、嬉しいような残念なような。

 マエケナスにふさわしい表現が「悠々」「飄々」とすれば、アグは「黙々」「バリバリ」だろう。粉骨砕身、東奔西走。 お馴染みのローマの人々で、ユルスやマルケルスはけっこう作家によって違いがあるけど、アグリッパのキャラクターは、マッシー、マクロウ、慧さん、かなさん、M野さん、朝香&あや版、河津さん、さほど大きなギャップはないと思う。 アウちゃんは、ぐーたらしてる姿も違和感ないし、マエケナスは状況が違えばなんの問題もなく高等遊民していたろう、しかしアグは、たとえ一般市民でも一兵士でも、働き者としてしか想像できない!動物に例えるならやはり犬、忠実で勇敢で勤勉な大型犬。ーーでもって、自分よりも小さくて非力な美ネコにアゴで使われていたりするんだな、と妄想。
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だヴぃんち物語

2006-06-15 11:31:06 | 
 これは「本」カテゴリーでいいのだろうかと悩む。

 きのう、行きつけの図書館が予想外に休みだった。だからというのもナンだが、本屋をぶらつき、ハヤカワ文庫の棚で目についた『イエスのビデオ』を買った。エンターテインメントでドイツ製が珍しいので。有隣堂では文庫にレザック紙のカバーをかけてくれる。いまちょっとそれに懲りだしていて、色とりどりにしてみたい気分。

 借りる予定だったのは、メレシコフスキーの『背教者ユリアヌス』。この作家にはほかに『レオナルド・ダ・ヴィンチーー神々の復活』もある。いま、ブーム便乗で別訳で出ている。便乗じたいはいいのだが、タイトルが『ダ・ヴィンチ物語』・・・やめてくれよ。
 歴史に多少詳しい人ならば、「ダ・ヴィンチ」は単に「ヴィンチ出身の」の意味であり、彼固有の姓ではないこと、名をはしょるならば「レオナルド」と呼ぶべきであることくらい知っている。まぁ、ただ「レオナルド」といっても「どこのレオナルド?」ということになるので、タイトルなどで手っ取り早くするためなら妥協の余地はあるだろう。しかし、文脈で明らかな場合にまでダヴィンチダヴィンチと連呼されるとたいへんイラつく。
 
 「公証人のセル・ピエロの倅、フィレンツェで絵の修行するんだってよ」
 「レオナルドは絵上手だったからな」

 「レオナルド、オカマ容疑でミラノに逃げたんだってさー」

 「王様に招かれてこんどはフランスに行ってるんだとさ」

なんて具合に、レオナルドはウワサでしか出てこない、あとはただヴィンチ村の日常の出来事がつづられる、『物語・ダ・ヴィンチ』ーーどーだ、看板に偽りなし!こんな酔狂な作家はいないものかね。
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