弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

対談田原・岡本-中国(2)

2006-04-05 00:12:32 | 趣味・読書
昨日に引き続き、田原総一朗と岡本行夫の対談「『外交』とは何か、『国益』とは何か」の中から、中国のナショナリズムと日本との関係について抜粋します。

岡本行夫氏の発言:
「中国の共産党が1950年代の革命初期から70年代に文化大革命が終わるまでに、何千万人とも言われる人びとを粛正したとういのは歴史の通説になっている。共産党にとっては大変なアキレス腱で、自分たちの致命傷にならないように覆い隠さなければならない。だから共産党は『日本軍が何をやったか覚えているか』ということを、繰り返し、中国の人たちの深層心理にすり込み続けているという面があるのではないか。」
「以前、中国側は、日本軍が中国で殺傷した人の数は600万人と言っていた。」「600万人でも多すぎるのではないかと思われるが、その後どんどん膨らんで、何と今では3500万人とされている。」

「僕は、これ以上の日中の国民感情の悪化の流れをまず食い止めることが必要だと思います。中国の日本に批判的な教育というのは、基本的に今も続いていると思う。若い人ほど、日本に対して激烈で批判的な見方をするようになってきた。」「一方、日本のほうは過去の出来事をどんどんと忘却の彼方に押しやり、今の子供たちは日本が太平洋戦争で戦った相手がアメリカだかドイツだか中国だかわからないとうい状況になってきて、どんどん対話不能の状態になっていると思う。お互いの深層部分でね。」
「何よりもまず、この悪化を食い止めなきゃいかん。」「両国間の相手への感情の悪化を食い止めてから、それからさらに20年くらいの期間は、どうしても僕は必要だと思う。なにしろ戦後50年かけて悪化してきた国民感情ですから。とくに1980年代以降の20年間に。」

以下は私の意見です。
まず日本がやるべきことは、先の大戦で日本軍が中国でどんなことをしたのか、できるかぎり真実を明らかにすることだと思います。今までの日本は皆ほおかむりしてきた。声高に日本軍国主義の悪を言いつのる人は、「自分は悪くない。悪かったのは一部の軍国主義者だ」というばかりだし、一方では「南京大虐殺なんてなかった」と極端に走ります。人のせいにせず、「悪かったのは自分だ」というスタンスで、真実を解明し、自分で受け止めること、その上でしっかりと謝罪し、それから対話が始まることでしょう。

例えば、南京において、30万人は大げさだとしても、戦闘外で殺された中国人は数万人はいた模様です。どのような状況で事件は推移したのか。その原因は何だったのか。自分たち日本人はその事実をどう受け止め、乗り越えていくのか。それを他人事ではなく、自分がしでかしたこととして見つめる必要があります。それができてはじめて、日本人が日本人として誇りを持って世界に向かうことができるでしょう。
コメント
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