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晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

2024年初撮影の火星(7/23)

2024年07月30日 | 火星
2024年最初の火星観望&撮影記録です。

 土星の撮影を終えて望遠鏡を火星に向けた時刻は3時30分を少し過ぎた頃… すでに航海薄明が始まっているので空はかなり明るくなっていました。火星高度は30°を少し超えたくらいです。

 撮影の前にまずは眼視で望遠鏡を覗いてみると…うわ!ちっさ!視直径はわずかに5".7なので小さいだろうとは思ってましたが望遠鏡で見た火星は想像を超える小ささでした。

 眼視では目をこらして見てもアルベド模様がまったく見えませんでしたが、撮影した動画を処理すると模様が浮かび上がりました。撮影時の中央経度は98°だったので太陽湖とタルシス三山が正面に位置しているはずですが、よく分かりませんね。

 なんかかろうじて火星だと分かる程度の画像ですが、まー、視直径5".7の高度30°でこれだけ写ってくれればむしろ御の字ですかね~。


撮影データ:μ210+Takahashi 2× Ortho Barlow+ADC+ASI290MC(UV/IRcut)Shutter=7.276ms Gain=350 (58%) Duration=60s AS!3 50% of 5037 Drizzle1.5×

撮影時のシーイング



 さてさて、2025年1月25日に地球に最も近づく今回の火星接近は数ある接近の中でも小接近と言われるカテゴリーなので望遠鏡で覗いても拡大撮影しても実際のところは小さくてつまらな~い火星です。

 しか~し、小接近(これから3回続く、2025年1月、2027年2月、2029年3月)だからこそ楽しめるポイントがあります。今日はその紹介をしていきま~す。

小接近時ならではの晴れスタ的火星ウオッチングお楽しみポイント~!

〈お楽しみポイント~その1〉
・火星に移住した気持ちで火星の季節を感じよう!

 これはかなり無理がありますが、火星の季節と気候を知って将来の火星移住に役立てようというものです。(←そりゃ~無理がありすぎだろう)

 で、撮影時の火星は冬至を過ぎた頃(下図参照)なので、北緯35度付近の最低気温が-108℃で、最高気温は-29℃です。寒すぎ! しか~し。この時期の南半球は夏なので南緯35度では最高気温が+28℃、最低気温が-30℃とかなり高めの気温になります。が、火星は大気が薄い(6hPa)ので最高気温+28℃は地表付近の気温で、たしか1~2mの高さではマイナスの気温になる観測データだったと思います。究極の頭寒足熱ですね。


撮影データ:2024.7.23 03h43m36s μ210+Takahashi 2× Ortho Barlow+ADC+ASI290MC(UV/IRcut)Shutter=16.28ms Gain=293 (48%) Duration=60s AS!3 50% of 3688 Drizzle1.5×

〈お楽しみポイント~その2〉
・小接近限定!大接近の時は見ることのできない北極冠を観測しよう!

 火星北半球は今が真冬なので北極冠は最大直径が1200km、北緯60度まで覆う超ビッグな極冠になっているはずですが、7月中は北極が極夜になっているのと南半球が地球に向いているので見ることができません。8月下旬になると中央緯度が0°になり、その後は北半球がよく見えるようになります。

 特に11月下旬は中央緯度が15°に達するので北緯50°付近まで白くなっている北極冠を見ることができる可能性があります。北極冠は季節が進むと徐々に小さくなりますが最接近の頃は火星歴で4月19日頃なので溶け残っている北極冠を確認することができると思われます。



 さらに、この北極冠は2027年と2029年の小接近の時も条件よく観測することができます。2027年には溶け残っている北極冠の様子を中央緯度23°という好条件で、2029年の接近ではほぼミニマムの大きさになった北極冠を中央緯度25°という条件で観測できます。



 夏季の北極冠は雲が発生しない時期(北極冠は秋から冬にかけて雲に覆われる)であることとダストストームが発生しにくい時期(ダストストームはLs180°~Ls 0°、南半球の春から秋にかけて発生する)なのでドライアイスが消えて水の氷だけでできた小さな北極冠が見られる可能性があります。

 もちろん、小接近なので視直径は最大でも2027年が13.8秒で、2029年は14.4秒なので大接近のような火星を撮影することはできませんが気象条件が良ければ予想を上回る解像度を得られるかもです。

 まずは、その前哨戦として2024年小接近の火星ウオッチングを楽しむことにしましょう!
 

火星と土星の大接近(4/11)

2024年04月13日 | 火星
やばいやばい、寝過ごした! 03時30分にアラームをセットしたのに無意識の自分がかってに止めていた。 しかも、スヌーズも鳴ったはずだがそれも気付かれぬようにひそかに止めている。

 う~む、どうやら、カラダをコントロールする脳は本日の火星と土星の接近には興味がないようだ。観望に出かけないよう仕向けているとしか思えない。そんな脳に反旗を翻して支度をすること5分…

 望遠レンズと三脚とヘッドランプを手にして車に乗り込んだのは、まもなく04時になろうとする頃、火星と土星の出は03時45分頃なのですでに東の空に見えているはずだ。

 双眼鏡を忘れたことを車の中で気がついたが戻る時間は無い。朝日がよく見えるいつもの場所に着いたのは04時10分を過ぎた頃、車を降りてさっそく東の空を見渡すと、はて、星が一つも見えません。

 低空に雲があるのか、透明度が悪いのか、それとも薄明が進んだのだろうか、プラネアプリで火星と土星の方向を確認して見渡すもさっぱり見えません。ここで車のトランク下部に常備している簡易双眼鏡を取り出して見たのですが… やっぱり見えません。

 で、最後の手段、デジカメの高感度撮影で火星と木星の捜索です。数カット撮影して確認すると… ありました! 想定していたポイントより東寄りに位置していたようです。

 
火星と土星の大接近(撮影時高度 6°、太陽高度 -9°、航海薄明)

2024/4/11 04h18m17s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm ISO2500 f5.6 1/3sec

 撮影時の火星と土星の角距離は26′30″です。最も接近する時刻は05時34分で離角は26′25″なのでラッキーなことにほぼMAXの接近距離で観望することが出来ました。

角距離 26分30秒(満月の直径の90%の大きさ)まで接近した火星と土星

2024/4/11 04h20m52s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm ISO5000 f5.6 1/1.6sec

 火星までの距離は、3億750万kmですが、土星は15億7500万kmの遠方にあります。こんなに距離の差がある惑星が同じ方向に見えるというのは、考えて見るとミラクルな出来事ですね。オドロキ~

2024/4/11 04h21m50s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f500mm ISO5000 f6 1/3sec

 まだ高度が低いので望遠鏡で見ることはむずかしいですが、もし見えたとしたら南半球を地球に向けた火星と環が細くなった土星が上図のように見えるはずです。実際に観望できるのはあと1か月後ですかね~。

市民薄明の空で輝く火星と土星

2024/4/11 04h27m17s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm ISO5000 f5.6 1/13sec


 青味が濃くなった空を背景に並ぶ火星と土星は肉眼では見えませんでしたが、双眼鏡で見るとキラキラと輝いて想像以上にキレイな星景でした。超感動~!

本日のベストフォト!

2024/4/11 04h30m07s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f170mm ISO5000 f5.6 1/13sec

 04時30分を過ぎると双眼鏡でも火星が見えなくなり土星だけが見えていました。火星と土星の光度差は0.1等級しかありませんが視直径の違い(火星- 4".6、土星- 15".8)ですかね~。


本日のラストフォト(土星高度 9°、太陽高度 -6°、日の出 31分前)

2024/4/11 04h35m19s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm ISO5000 f5.6 1/15sec

 終わってみれば観望時間はわずかに20分間… 起きる時間がもう少し遅かったら見逃していたのでギリセーフでした。ふう、今日はなんとか間に合いましたが、無意識の自分(カラダをコントロールする影の首謀者 = 脳!?)との攻防は今後も続きそうですね。



明け方の金星と火星 観望記録(2/9)

2024年02月09日 | 火星
明け方の金星と火星の観望に行ってきました~。

 昨日の2月8日は「有明の月と金星、火星の接近」だったので早起きして観望にいったのですが意地悪な雲に阻まれまったく見えませんでした。トホホ…

 ということで今日はそのリベンジです。本日の第1ターゲットは「明け方の金星と火星」です。金星と火星は2月23日と24日に離角40′まで近づく大接近があるので薄明でどのように火星が見えるかの事前確認のための観望です。

 で、セカンド・ターゲットは本日のメインイベント「新月前日の月と水星の接近」です。まー、これはたぶんぜったい見えないけど、見えないことを確かめるのも重要な観測だ~と意味付けての無茶ぶり運試し観望です。


こちらが本日のファーストショット、火星出は5時27分なのでまだポツンと金星です。

2024/2/9 05h24m23s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f190mm ISO3200 F8 1sec

 低層に雲があるので火星が見えるまではもう少し時間がかかりそうです。時間があるので空を見上げて見える星をウオッチングしてみると…

 おお-、北西の空高いところで大きなひしゃく星のビッグ・ディッパーが逆立ちしています。そこから伸びる春の大曲線の中間駅アルクトゥールスが真上で輝いて、南西の空の低いところにはスピカが輝いています。めっちゃキレイです。これぞ春の大曲線、天空のアーチを見るベストタイミングですね。

 そして、東の空では気の早い夏の大三角が寒さにふるえながら輝いています。さすがデネブは白鳥なので寒さに強いのかそれほど瞬いてはいませんでしたが、ベガとアルタイルと私は-3°の気温でブルブルでした。

 おっと、そろそろ火星が雲から顔を出す時間ですが、見えませんね~

2024/2/9 05h35m03s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm ISO2000 F7.1 2sec

わぉ!ポチッと赤く光る火星が双眼鏡の視野に跳び込んできました~。出現は突然に!?

2024/2/9 05h36m55s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm ISO2000 F7.1 2sec


 あら~、いいですね~。フォトジェニックな星景です。(火星は眼視で見えませんが…)

2024/2/9 05h42m53s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm ISO2000 F7.1 2sec


 まわりに明るい星がないので薄明の中でポツンと光る火星は孤高な感じがします。

2024/2/9 05h45m37s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f400mm ISO2500 F7.1 2sec


 かなり空が明るくなってきました。火星の高度は3°、太陽高度は-9° で航海薄明です。

2024/2/9 05h48m49s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f210mm ISO2500 F7.1 2sec

 火星の光度は1.3等ですが、この時間でも双眼鏡ではまだ確認できます。

2024/2/9 05h55m11s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm IS1600 F7.1 1/5sec

「グラデーションの空に浮かぶ金星と火星」

2024/2/9 05h56m42s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm IS1600 F7.1 1/5sec

 さて、そろそろ水星出の時間ですので本日の第2ターゲット「新月前日の月と水星の接近」にチェンジです。本日の水星出の時刻は6時01分です。6時11分現在の水星高度は1°に達しているはずですが、どこにも写っていません。光度は-0.3等なのでよもやと思ったのですが透明度が悪すぎるようですね。

2024/2/9 06h11m10s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f300mm IS1000 F7.1 1/50sec

 水星が見えないので月が見える可能性はかなり低いですが月出をまちましょう。本日の月出は6時18分です。

 さて、時刻は6時30分になりました。新月前日の月は画角の中にいるはずですが… 

2024/2/9 06h30m49s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f500mm IS1000 F7.1 1/400sec


 今日の日の出は6時34分なので透明度がよかったとしても見えたかは疑問ですね。 

2024/2/9 06h35m27s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm IS1000 F7.1 1/800sec


水星と火星の大接近(1/28)

2024年01月28日 | 火星
天気が良かったので水星と火星の接近をウオッチングしてきました~。

 本日の水星出は05時40分で火星が05時41分なのでほぼ同時に横並びで昇ってきます。天気はすこぶるいいのですが水平線上には高度0.5°のところまで雲がありました~。

水星出時刻 05時40分の東空の様子

2024/1/28 05h40m33s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm ISO3200 F5.6 1sec


待つこと数分…おっと、見えました! 撮影時の高度は水星が0.68°、火星は0.62° です。

2024/1/28 05h48m36s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f340mm ISO3200 F5.6 1/4sec

離角は16′22″なので満月の1/2で半月の横幅ほど… こ~れは、なかなかの接近です!

2024/1/28 05h51m19s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f450mm ISO3200 F6 1sec

 眼視では確認できませんでしたが、双眼鏡で見ると水星がキラキラと揺れているのに対して火星はまったく動くことなくしっとりと輝いていました。その対比がとてもキレイでした。

夜明けの東空で並ぶ水星と火星、想像していたより何倍もキレイな接近でした!

2024/1/28 05h55m07s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm ISO3200 F5.6 1/3sec

水星の輝面比は0.86、形はやや太った下弦のようです。火星の方が視直径が小さいことは双眼鏡でもはっきり確認できました。撮影時の高度は水星が2.2°、火星が2.1°です。

2024/1/28 05h57m46s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO3200 F6.3 1/10sec

 本日の水星出と火星出の時刻は薄明開始30分後だったのですぐに見えなくなると思ったのですが、双眼鏡では思いのほか長い時間見えていました。

航海薄明(太陽高度-8.7°)の中で輝く水星と火星

2024/1/28 06h02m46s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm ISO2000 F5.6 1/8sec

 双眼鏡で火星が見えなくなったのは06時17分…。その2分後にはカメラでも火星を捉えることができなくなりました。高度は5.8°でした。

 観望前は、たぶん十数分で(双眼鏡でも)見えなくなるだろうと思っていたのですが終わってみれば約40分も観望できた見応えのある天文ショーでした。見てみないと分からないものですね~。

本日のラストフォト

2024/1/28 06h19m31s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm ISO2000 F5.6 1/250sec


こちらは帰り際に撮影したSLIMのいるお月様でコラージュしたメモリアル・フォトです。

2024/1/28 06h26m01s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO400 F6.3 1/640sec

 SLIMの太陽電池パネルにはすでに太陽光が当たっているはずですが地球からの呼びかけに対してSLIMからの返事はまだないようです。おねぼうさんのようですが、なんとか目覚めてほしいですね!

遠ざかる火星(1/12)

2023年01月13日 | 火星
1月12日の夜…この時期としてはめずらしいほどの穏やかな星空が広がった。

 急速に遠ざかる火星は現在 -0.8等級で最接近時と比べると1等級も暗くなっているがまだまだ目立つ存在だ。晴れたと言っても冬の気流なので期待はできないがどんなもんかと思って撮影してみると…

 結局、こんなもんだった… windy予報では250hPaの風速が39m/sだったので70~80m/sを常とするこの時期としてはけっこういいのでは… という淡い期待を抱いたが冬の気流はそんなに優しくはなかった。

 現在の火星の視直径は13秒、1週間後には12秒台(-0.6等)、2週間後には11秒台(-0.4等)になる。火星の遠ざかるスピードはホントに速い…(逆も然りで近づくときもあっという間に明るくなるのが火星ですね)


撮影データ:Duration=180s Shutter=15.19ms Gain=234 (39%) AS!3 25% of 11851 Drizzle1.5×


↓ こちらが本日のベストフォト(北を上にしてあります)
 北極フードからぶら下がるように伸びるアキダリアの海の左側に飛び出している半島のように見えるニロケラスが分離できたので個人的には満足している写真です。あ、マニアック過ぎましたね。 (^^ゞ
 本日の火星までの距離は1億725万Kmです。


撮影データ:Duration=180s Shutter=11.59ms Gain=245 (40%) AS!3 25% of 15401

〈1月12日夜の天気図〉


 さて、今宵は月齢20の月がありますが、明朝まで快星の天気が続くようですのでZTF彗星(C/2022 E3)の初観測を行ってみることにしましょう。まだ月が明るいので遠征ではなく自宅でのお気楽観望です。観測時刻は隣家の屋根を越えて見え始める4時以降です。薄明開始は5時19分なので1時間は観望できるはずです。
 …ということでここで仮眠です。では、みなさんおやすみなさい~。。

12月19日の火星

2022年12月22日 | 火星
冬型の気圧配置が強まりさすがに火星の撮影はもう無理だなぁと思っていたのだが… 
12月19日によもやの快星となって撮影することができた。以下その記録である。

 晴れたといってもこの時期はいつ雪雲が来るか分からないので準備は日没直後から始めた。今日の火星の南中は22時25分。その頃には大シルチスも見えてくるのでそれまで好天が続くといいのだがと思いながら火星が屋根の向こう側から昇ってくるのを待つこと約2時間。

 撮影可能エリアまで昇ったのが18時30分過ぎ、まだ電線過密地帯通過中だが撮影を始めた。

こちらは18時49分撮影のファーストショット。高度はまだ42°だが正面にキンメリア人の海、右にはチェレニーの海、下には北極フードも写っている。

Duration=180s Shutter=12.45ms Gain=251(41%) AS!3 25% of 14451 Drizzle1.5×


20時を過ぎて大シルチスが見えるようになってきた。こちらは20時52分に撮影した火星とWinJUPOSを比較したGIFアニメ。砂嵐のたびにアルベド暗部の地域が少しずつ変わるのでWinJUPOSの模様と一致はしていないが同じ中央経度である。

2022/12/19 11h52m(UT) 中央経度 CM = 243° 撮影時高度66°
Duration=180s Shutter=12.95ms Gain=222(37%) AS!3 25% of 13891 Drizzle1.5×


21時を過ぎると大シルチスがはっきり見えるようになった。やはり大シルチスが見えている火星は最も火星らしくてだれもが憧れる火星像だ。12月にしては星の瞬きが小さかったので期待したが冬の気流はさすがに厳しかった。思い描いているアルベド模様は抽出できなかった。

 21時47分撮影 高度74°


2022/12/19 12h47m(UT) 中央経度 CM = 257° 撮影時高度74°
Duration=180s Shutter=12.95ms Gain=226(37%) AS!3 25% of 13822 Drizzle1.5×


22時58分の火星
 22時25分の南中を過ぎて高度はMAXの76°に達して大シルチスがほぼ正面にやって来た。高度はMAXだが今日の気流ではこれが限界の解像度のようだ。それにしても今夜はかなり寒い! 現在の気温は-4℃、さすがに体が冷えてきたので後ろ髪を引かれる思いだが23時をもって終了とすることにした。


2022/12/19 13h58m(UT) 中央経度 CM = 275° 撮影時高度74°
Duration=180s Shutter=12.95ms Gain=217(36%) AS!3 25% of 13890 Drizzle1.5×

 23時01分撮影の火星 WinJUPOSとの比較図

2022/12/19 14h01m(UT) 中央経度 CM = 275° 撮影時高度74°
Duration=180s Shutter=12.95ms Gain=217(36%) AS!3 25% of 14416 Drizzle1.5×



23時06分撮影 Drizzle1.5× off
↓ こちらは Drizzle1.5×を外してノーマルモードでスタックした火星。見た目では分からないが輝面比は1.00を切って0.993になっている。本日の視直径は16.2″だが年末には14.7″とさらに小さくなる。太陽系軌道のインコースを進む地球が火星を置き去りにしていく様子が目に見えるようだ。


2022/12/19 14h06m(UT) 中央経度 CM = 276° 撮影時高度73°
Duration=180s Shutter=11.45ms Gain=225(37%) AS!3 25% of 15699 Drizzle1.5× off


本日のラストフォト
 「地球から遠ざかる火星」距離 8681万km  視直径16.2″ 

2022/12/19 14h11m(UT) 中央経度 CM = 277°  De=-7° Ls=356° 
Duration=180s Shutter=11.45ms Gain=225(37%) AS!3 25% of 15699 Drizzle1.5× off

 今回の火星接近では大シルチスを撮影するチャンスがなかなか来なかったが最後の最後でチャンスが巡ってきた。解像度はともかくとして2022年の記録は残すことができた。2年前の接近時はどうだったのかと過去画像を探ってみたらほぼ同じ中央経度で撮影した高解像度の画像があった。

 さすが視直径が大きいと違うなと思わせる写真だが2020年の画像がすべて高解像度だったわけではなく気流が良かったこの日が突出して高解像度だっただけである。結局気流次第だということを痛感した。それにしても2年前の画像と比べると今回の火星の解像度は悪すぎるなぁ。


2020年9月22日 01時52分(JST)の火星 視直径21.7″ 6460万km


2020.9.21 16h52m(UT)  中央経度 CM=262°  De=-18° Ls=282°
ZWO ASI290MC Shutter=28.40ms Gain=350 (58%) Duration=120s
AS!3 Noise Robust6 50% of 4226frame AP9


9月22日 02時00分~02時10分(JST)の火星アニメーション


〈12月19日21時の天気図〉



12月11日の火星(衝の2日後)

2022年12月13日 | 火星
12月11日夜に撮影した火星です。

 夕方、ブルーウオーカー3を撮影した時はモクモク雲だったのですが、宵の口から雲が晴れて予定外の火星撮影会となりました~。

こちらが本日のファーストショット、22時14分撮影です。中央経度334° 高度72° 
火星の東側(左側)に大シルチスが見えてます。中央右よりには子午線湾(アリンの爪)があります。北極の雲(北極フード)も相変わらず大きいようですね。視直径はやや小さくなって16.9″ です。


Duration=180s Shutter=12.33ms Gain=187(31%) Autostakkert3 25% of 14589 Drizzle1.5×


ときおりピューッと風が吹いて望遠鏡が揺れるときがありますが、今の時期にしては気流は落ち着いている方でした。22時34分撮影。中央経度339° 高度73° 


Duration=180s Shutter=12.95ms Gain=182(30%) Autostakkert3 25% of 13846 Drizzle1.5×


しか~し、さすが12月です。季節風に乗って奥羽山脈越えの雲があっという間にやって来ました。ここからは雲間を待っての撮影です。22時38分撮影。中央経度340° 高度74° 


Duration=180s Shutter=10.45ms Gain=209(34%) Autostakkert3 25% of 17218 Drizzle1.5×


雲が多くなって撮影中にモニター上の火星が暗くなる瞬間が出るようになってきました。まだ25%スタックでカバーできますがそろそろ撮影限界です。22時42分撮影。中央経度341° 高度75° 


Duration=180s Shutter=10.45ms Gain=209(34%) Autostakkert3 25% of 17218 Drizzle1.5×


アリンの爪が正面に来ました。今宵の火星南中は23時08分で高度は76°です。高度が高いと12月でもアルベド模様がこんなに写るんですね。新たな発見でした。22時51分撮影。中央経度343° 高度76° 


Duration=180s Shutter=10.45ms Gain=209(34%) Autostakkert3 25% of 17213 Drizzle1.5×



こちらが本日のラストフォトですが一番写りが良かったので本日のベストフォトとなりました~。全曇りになる直前だったので気流が落ち着いたのかな? 22時58分撮影。中央経度344° 高度76°


Duration=180s Shutter=10.45ms Gain=209(34%) Autostakkert3 25% of 17206 Drizzle1.5×


 2022年の火星接近は最接近が12月1日で衝が12月9日だったのでまともな画像は絶対撮れないなと思っていたのですがこんなにアルベド模様がクッキリ写った火星を撮影できるとは思ってもいませんでした。分からないものですね~。

 振り返ってみると12月に撮影した画像が一番良かった感じがしますが、まー視直径が大きいことと輝面比が1.00という撮影条件がものを言うということですかね~。今回は中接近なので期待していなかった割にはとっても楽しめた火星接近シーズンでした。(あ、チャンスがあればまだまだ撮影しますよー)

〈12月11日21時の天気図〉



12月2日夜の火星(最接近の翌日)

2022年12月03日 | 火星
 12月2日夜に火星の撮影を行いました~。

最接近翌日の火星 12月2日23時51分(JST)撮影

光度-1.9等 視直径17.2″ 輝面比0.998 CM=77° De=-4.1° LS=347°
Duration=180s Shutter=9.830ms Gain=222(37%) Autostakkert3 25% of 18309

 この夜は今季一番の冷え込みで-2℃まで気温が下がりましたが、12月としてはこれ以上ないというほどの好気流で今シーズン最良の火星を撮影することができました。

 撮影を開始した21時頃の気流は、悪くはないけど良くもないよね~といういつものシーイングでしたが、23時を過ぎた頃からは冬の1等星たちがまったく瞬かなくなり、シリウスのみがかすかに瞬いている状態でした。

 12月なのに冬のダイヤモンドの1等星が全く瞬いていない状態はちょっと異様で、まるで星が天空に張り付いたような… まるでプラネタリウムで星を見ているような不思議な感じでした。

 で、こちらは撮影を始めたころの火星です。揺らぎで輪郭がふにゃふにゃですね。
21時39分撮影 中央経度44° 高度58°

Duration=180s Shutter=9.198ms Gain=241(40%) Autostakkert3 25% of 19548

 この後、火星の高度が上がるのを待つために撮影を中断、撮影を再開した23時過ぎのファーストショットがこちら… シーイングがかなり良くなって高度も十分高くなったのでADCを外して再度ピント調整を行って撮影に臨みました。

23時42分撮影 中央経度74° 高度74°

Duration=180s Shutter=11.33ms Gain=223(37%) Autostakkert3 25% of 6924
 
24時18分撮影 中央経度83° 高度75° 

Duration=180s Shutter=10.83ms Gain=203(33%) Autostakkert3 25% of 16092

24時38分撮影 中央経度88° 高度73° 

Duration=180s Shutter=14.07ms Gain=174(29%) Autostakkert3 25% of 12448

01時03分撮影 中央経度94° 高度69° 

Duration=180s Shutter=12.57ms Gain=187(31%) Autostakkert3 25% of 14313

 いや~火星撮影は前回の11月27日で今期終了と思っていたので、まさか12月に入ってから今シーズン最良の火星が撮れるとは微塵も思っていませんでした。最近の世の中は想像もしてない方向に動いていく傾向があるのでしょうかね~。ビックリでした。

 今回の火星を見るとまん丸の満火星のように見えますが、国立天文台の惑星自転軸ページの計算では輝面比が0.998で1.00にはまだなっていません。火星の衝は12月8日で、惑星自転軸ページの計算では輝面比が1.00になるのは12月6日05時52分(←細かい!)からでした。

 理論上は衝の日はハイリゲンシャイン効果で明るくなるはずですので、天気の具合を見ながら撮影にチャレンジしてみることにしましょう。(ちなみに今夜も快星ですが風が強くて望遠鏡で木星の縞模様が見えない状態だったので早々と撤収しました~。)(^^ゞ


〈12月2日21時の天気図〉

11月27日夜の火星(最接近4日前)

2022年11月29日 | 火星
11月27日夜に撮影した火星です。
 この日は高気圧にすっぽり覆われて一晩中いい天気となりましたが、この高気圧が西からやってくる移動性高気圧ではなく北から降りてきた高気圧だったからなのかアルベド模様はボケボケでした。

 星の瞬きはそれほど大きくなかったので期待したのですが冬の気流は質が違うのでしょうかね~。撮影は22時から0時30分まで続けましたが気流は良くも悪くもならずずっと同じ状態でした。

 どの動画もボケボケで画像処理をしてもみな同じような感じでしたが、比較的良かったのがこちらの画像です。これでも本日のベストフォトなんです。トホホ…

本日のベストフォト 23時54分(JST)撮影

光度-1.8等 視直径17.2″ 輝面比0.993 CM=121° De=-3.1° LS=345°
Duration=180s Shutter=10.48ms Gain=210(35%) Autostakkert3 25% of 12201


 こちらはRGB調整をして好みの色合いにした火星画像です。(^^ゞ


 11月27日から視直径が今回の接近で最大となる17.2″になりました~。光度は-1.8等、南中時の高度は76°です。これほど明るい火星がほぼ真上に見えるのは、2037年11月(光度-2.1等、高度72°)までないのでしっかり見ておきたいですね。(注:次回の接近2025年1月は高度76°まで高くなるが光度は-1.4等と暗くなる)


〈参考資料:火星最接近時の地球までの距離、視直径、光度、高度、星座〉
2022年12月1日、8,145万km、17.2秒、-1.8等、76°、おうし座
2025年1月12日、9,608万km、14.6秒、-1.4等、76°、かに座
2027年2月20日、1億142万km、13.8秒、-1.2等、67°、しし座
2029年3月29日、9,682万km、14.5秒、-1.3等、53°、おとめ座
2031年5月12日、8,278万km、16.9秒、-1.7等、36°、てんびん座
2033年7月5日、6,328万km、22.1秒、-2.5等、23°、いて座
2035年9月11日、5,691万km、24.6秒、-2.8等、44°、みずがめ座
2037年11月12日、7,395万km、19.0秒、-2.1等、72°、おうし座

〈11月27日夜の天気図〉







11月26日未明の火星(最接近まであと5日!)

2022年11月26日 | 火星
11/25は移動性高気圧の通過で秋晴れのような天気になりました~。
 で、23時30分から02時まで火星を撮影したのですが、ブログにアップするとなぜか画質の劣化が激しくて残念な火星になってしまいました。同じ劣化でもツイッターの方がまだ見られる感じですね~。
(←ツイッターマークをクリックするとジャンプしますのでご参照を)

本日のベストフォト 01時00分(JST)撮影
光度-1.8等 視直径17.1″ 輝面比0.99 CM=155° De=-2.6° LS=344°

Duration=180s Shutter=10.48ms Gain=204 (34%) Autostakkert3 25% of 17118


本日のラストフォト 01時54分(JST)撮影

Duration=180s Shutter=10.98ms Gain=208 (34%) Autostakkert3 25% of 16378


↓ こちらは23時30分から02時まで撮影した画像をつないだGIFアニメです。
撮影間隔の調整や色合わせはいつものように一切していませ~ん。 (^^ゞ 



↓ こちらは良質な画像3枚をセレクトしてつないだGIFアニメです。
こちらの方が2時間30分間の火星自転の様子が分かりますね。


 さて、いよいよ火星最接近まであと5日です。仙台ではこの先は昨夜みたいな秋っぽい天気は来なさそうなのでちょっと期待薄ですが、少しでもいい気流を見付けて撮影を試みることにしましょう。

 昨夜は長時間に渡って天気が良かったので、今まで気になっていた「火星撮影における最適なシャッタースピードは何か」を探るテスト撮影と検証もしてみました。

 結論としては、個人的な見解ですが「フレームレートと同じシャッタースピードが最適」という結果になりました。

 惑星カメラにはフレームレート限界値がありますが、実質はPCの性能とROIの大きさでフレームレート値が変わるのでいつも同じというものではありません。

 昨夜はシャッタースピードを4ms~20msの間で変えて試してみましたが、10msの時の解像度がベストでした。撮影データを見ると昨夜の撮影のフレームレートはFPS(avg.)=90~95です。

 フレームレートは1秒間の撮影枚数なので90カットとすると1枚当りの撮影時間は約0.01秒(10ms)になります。フレームレートと同じ(正確には少しだけ速い)シャッタースピードにすれば入ってくる光を一番効率よく取得できることは当然ですが、これが画質も良くなるというエビデンスはないのでたまたまかもしれません。

 シャッタースピードを速くすればするほど撮影枚数は稼げるのでスタック時に有利と思っていましたが、速いシャッタースピードが必ずしも適正値ではないなぁと以前から感じていたので、今回の結果は納得することでもありました。この仮説は他の惑星でも通ずるのか気象条件で変わるのかについては今後さらにテストを重ねることにしましょう。(たぶん来年になると思いますが…)

火星最接近は12月1日ですが11月30日~12月5日が視直径17.2″(輝面比1.00)なのでその期間に晴れるといいですね。(火星の衝は12/8なので視直径がやや小さくなりますが輝面比1.00は12/15頃まで続きます。)

〈昨夜から今朝にかけての天気図〉
11月25日21時の天気図

11月26日03時の天気図