上流にはアユ釣り3年目の婿殿のオトリ、如何にも野アユがシマを張っていそうな同じそのスポットへオラは下流からカミ飛ばし。
悪ふざけで泳がせたそのオトリにたちまち反応してくる縄張りアユ、目を見張る婿殿の前でオラは立て続けに幾つかを掛けてみせた。
動きのないオトリと激しく尾ビレを振って侵入してゆくオトリ、どちらに軍配が上がるかは言うまでもなく、雲泥の差があることを見せつけた例である。
解禁日や暫く竿の入っていないサラ場ならともかく、人気河川の見た目のいいポイントは全て釣り荒れている。
雄物川水系桧木内川、アユ釣りが終盤戦に入っている9月のある月曜日の朝。
何処が釣れますかと聞いてくる他県ナンバーのご同輩に、今日の好ポイントとその釣り方を懇切丁寧にご案内申し上げたにも拘らず、最もサカナが着いているはずの「手前の浅場」はひと流ししただけでたちまち見栄えのいい沖のザラ瀬へと漕ぎ渡ってしまった。
結果は散々、一日中エリア内を歩き回ったが片手にも満たなかったらしい。
同じ日、我らが仲間紅一点は、水深15センチにも満たない小石底で2桁釣果。
遠目に見る彼女はオラが心配になるほど動かない静の釣り、移動距離は僅かに5mと、それはまさしく典型的な「枯葉釣法」であった。
オラの説明に一旦は納得しても、いざ入川してみれば先入観を拭いきれず沖のポイントが魅力的に映るのは自然の成り行き。
しかしオラたちはもう立派な爺つぁま、その浅場が如何につまらなく映っても、そこをぐっと堪えて「枯葉釣法」に専念することが、どんどん老いて行くこの先も釣果を落とさない唯一の手段である。
と言う訳で、次回は何を語ったら・・・。
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