盆が明けた頃から北東北の気温は急降下。
まだ8月だと言うのに、もう涼しいどころか寒さを感じて仕方がない。
外のコウロギの声はかなり賑やかさを増し、昨夜はウマオイが部屋にまで侵入してきた。
今日あたりはこの夏初めて家の中で靴下を履き長袖を着たオラである。
いつものように暇を持て余していても、この状況では川を目指す気力など全く起きない。
外は間断なく降り続く雨、局地的ではあるが明日未明には強まると言う。
その降水量によっては、9月の声を聞くと同時にアユ師の夏はホントに終わってしまうのかも知れない。
我が家の生簀は水質が悪化して、今朝までに3匹も失った。
残る3匹を持って、我が家から最も近い北上川へ。
しかし川に着いてみるとどう言う訳か3匹のうち2匹は既に虫の息、いきなり絶体絶命のピンチ。
「北の大鮎バトル」が中止となった南大橋界隈はBBQを楽しむグループで賑わっている。
11:00、焼肉の香りが漂う中、オラは橋カミの瀬に入った。
浅場には僅かながらハミ跡、笹濁りの流れの中で時折キラリと光るが野アユかどうかは判らない。
瀬頭では紛れもない野アユの跳ねも見られるが、魚影は極めて希薄であると思われる。
瀬尻から瀬の中、瀬頭と丁寧になぞってみるも反応は全くなく、2時間が経過した。
当初からヨレヨレだったオトリは、さすがにやつれてサビ色が浮いてきた。
瀬肩のヨレの中で本日初めて目印が踊った。
これでオトリ継ぎができたと喜ぶも、それは17センチほどの煮干かと思うような痩せアユ。
背掛かりなのにハナカンを通したら死んでしまいそうで優しく扱ったがやはり泳がず、再びサビ色のオトリに背バリを打ってもう一頑張りしてもらうことに。
しかしその後の2時間、またしても全く無反応。
オラはすっかりやつれ果て息も絶え絶えのオトリと、かの痩せアユを流れに還して竿を畳んだ。
今季の北上川、大水の後は未だアカ着きが悪く、野アユのコンディションはかなり低下している。
その上すっかり魚影も薄くなってしまったらしい。
さて我が家の生簀はとうとう空になってしまった訳だが・・・。
長雨とその後の猛暑が関係しているのか、我が家の庭にアメリカシロヒトリが大発生。
目を離していたのは僅かに3日間だけだったのに、裏のサクランボの幼木2本が丸坊主となった。
カキの木も数箇所にクモの巣状のコロニー、玄関先のヤマザクラは上部が枯れ始めた。
オラは毛虫の着いた枝を切り取ったり、怪しい部分には殺虫剤を散布したりと、暑さの中で汗まみれの嫌な作業の一日を過ごす。
さて昨日はオトリの更新ができなかったため、我が家に居るのは「劣りアユ」が2匹だけ。
早く元気アユに交換しないと、ホントに循環が途絶えてしまうけど・・・。
30年ほど前までの小本川は天然遡上が豊富で、その時期になると川一帯にアユの香りが立ち込める桃源郷であった。
その頃には既に15年ほどの釣歴があったがテクニックは幼稚、それでも結構数は獲れたものだった。
しかし渇水が続き全域がトロチャラと化してしまうと、野アユは沢山見えていながら、それを釣る技術がないだけに、ただ指を銜えて眺めるのみのオラであった。
ところがある日の小本川、自らを中心にして360度の方位から次々に野アユを引き抜くご仁が現れた。
オラが生まれて初めて目の当たりにした驚異のテクニックは、後年「泳がせ釣り」と呼ばれた。
あれはさぞかし名のあるアユ師であったはず、いったい何方だったのだろうか。
・・・と、思い出しながら上流袰綿地区、大川地区、岩泉駅前、袰野堰堤下、赤鹿橋、中里橋、卒郡橋と飽きもせず川見を続けるオラ。
各観察ポイントではほんの僅か見えていたり、全く見えていなかったりと魚影は極めて薄い。
卒郡橋直下に沈んだタイヤには全くハミ跡がなく、この春の天然遡上は皆無だったらしい。
小本川は今季もまたオラの腕を以ってしては釣果につながりそうにない。
潔く諦めて閉伊川へと移動。
新里の簗場カミは風が強いらしく岸辺の葦が大きく揺れている。
橋から覗き見るさざ波の中に数は少ないながらもキラリキラリと野アユの姿。
オラはやっと竿を出す気になったが、短竿を以ってしても苦労する強い吹き上げの風。
家を6時に出てきたのに竿出しは11時、もう高校野球の第一試合が始まっている。
先ずは右岸際の石積みに沿って上らせてみると、ややあってケラレらしき反応。
外れたサカサを付け直して強風の中でやっとこさ竿操作。
ヒュンと目印が走って野アユが掛かる・・・も、竿操作に手間取っているうちに荒瀬に吸い込まれて親子ドンブリ。
残るオトリはヨレヨレの1匹、強風の中では全く泳がすことが出来ず、止むを得ず瀬の中を引き回す。
が、15分後運良く野アユが絡んでくれたが、18センチほどの酷い痩せアユ。
これがまた全く泳がすことができず、やがてオラ自身の気力が萎えてしまい竿仕舞いとなった。
帰り道、花巻東のラジオを聴きながら数人が竿を出している腹帯で見学。
キラリキラリと岩盤を食む良型アユは見えるが追いアユではないらしく全く掛からない。
しかし小本川とは異なってアユの姿は見え、あらゆるポイントで気配は感じるだけに、ボを食らった解禁日に比べると確実に好転しているとみた閉伊川であった。
風がなく今日も異常な蒸し暑さ、発達した積乱雲が潰れて次々に青空を隠していく。
もうじき盆休が終わる北国は、にわか雨がいつ来てもおかしくない空模様。
孫と一緒に寝たのはいいが、もの凄い寝相の悪さにオラは結局完璧な寝不足になった。
まだお泊り会の続く賑やかな我が家、大あくびを連発しながら高校野球花巻東を観た。
その後はアユ釣りの長女の亭主を追って豊沢川に出かけるつもりだったが体が動かず断念。
我がHG阿仁川は相変わらず不調のまま、せっかく平水に復帰したのに出かける気力が湧かない。
長年培ってきた勘を働かせて、ここはひとつ情報の聞こえてこない川への冒険を試みるべきか。
生簀のアユは水温上昇で、ついに最後の1尾を残すのみとなってしまったし・・・。
必ずや明日はどこぞでオトリ継ぎをしなければならぬ訳で・・・。