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平成のネズミ小僧

平成のネズミ小僧

週刊現代4月12・19日号

遅咲きの花あれば早散りの花あり。期待に胸ふくらます人の傍らには、早くも桜吹雪にうつむく顔がーー話題のあの人の、「見頃」、逃すなかれ。

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こんな結末になるなんて誰が予想したでしょうか。

平成のネズミ小僧の正体が、「まさかあんなに悲しく切ない姿だったなんて」80万円近くのお金がある日突然、何の脈絡もないのに、マンションのポストに投げ込まれていた。

 去る3月20日に奈良県生駒市で起きたこの奇妙な事件は、テレビ、新聞、ワイドショーで連日特集が組まれ、だれが何のためにそんな大金をばらまいたのか?そのお金を使ってしまった人は罪に問われるのかなど、盛大に討論が続いた。

 この事件をただのいたずらではないか、とする報道もあったが、世のため人のために匿名で金をばらまく「平成のネズミ小僧」の登場として取り上げるものもあった。さらにネットでは、投げ入れ事件の「主役」が、児童相談所にランドセルを寄付したことで有名になった「伊達直人」の再来だという説まで流れ、議論は過熱していった。

 そんな謎に包まれた現金投げ入れ事件だが、ここにきて意外な事実が明らかになったという。

「実はマンションに設置された監視カメラに残った映像を警察が確認したところ、そこに映ったのは近所に住む50~60代の女性だったんです。事件が起きた日時に監視カメラに映っていたのは、その女性一人。現金投げ入れは彼女のしたことにほぼ間違いがないでしょうね」(社会部記者)

 驚くことに平成のネズミ小僧は「初老の女性」だった。

さらにこの女性についてはある深刻な問題が浮上しているという。社会部記者が続ける。

「現金投げ入れの張本人とされている女性は、認知症患者である可能性があります。事情聴取でも、質問に対して、あいまいな返答を繰り返すばかりなそうです。

 或るときから警察が、パタリと情報を公開しなくなったのも、当事者が認知症患者かもしれないという問題が、少なからず関係しているでしょうね」

 思わぬ結末を迎えることになった『ネズミ小僧』騒動。結果的にはそれもまた現代社会の一面を表していると言えるかも知れない。二へ続く

 

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