国士・前川喜平氏退任時全職員へのメッセージ２－２

 

国士・前川喜平の退任時全職員へのメッセージ

２－２

《気は優しくて力持ちの文科省を作って行って》

＊

　その意味でも、文部科学省での最後の日々に於いて、

給付型奨学金制度の実現の見通しがついたこと、

発達障害や、外国人の児童生徒のための教職員定数改善に道筋がついたこと、

教育機会確保法が成立し不登校児童生徒の学校外での学習の支援や、義務教育未修了者、中学校形式卒業者等のための、就学機会の整備が本格的に始まることは、

私にとって大きな喜びです。

　一方で、もんじゅの廃炉と今後の高速炉開発に向けた取り組み、文化庁の機能強化と京都への移転。

高大接続改革の円滑な実施など、数々の困難な課題を残して去ることは、とても心のこりです。

 後は皆さんで力を合わせ頑張ってください。

 そしてみなさん、仕事を通じて自分自身を生かしてください。職場を自己実現の場としてください。

 初代文部大臣・森　有礼の《自警》の表現を借りて言うなら、「いよいよ謀り、いよいよ進め、ついにもってその職に生きる精神覚悟あるを要す」です。

 森有礼は「その職に死するの精神覚悟」と言ったのですが、死んでしまってはいけません。

人を生かしはたらく職場を作って行ってください。そして自分を生かし、みんなが生き生きと働く職場を作って行ってください。

一つお願いがあります。私たちの職場にもいるであろうＬＧＢＴ（セクシュアル・マイノリティ）当事者の人たちへの理解と支援です。

　無理解や偏見に晒されているＬＧＢＴ当事者の方々の息苦しさを、少しでも和らげられるよう願っています。

 そしてセクシュアル・マイノリティに限らず、様々なタイプの少数者の尊厳が重んじられ、多様性が尊重される社会を目指して欲しいと思います。

「気は優しくて力持ち」そんな文部科学省を作って行ってください。

いろいろ書いているうちに長くなってしまいました。

最後まで読んでくれてありがとう。

 それではみなさんさようなら。

２０１７年１月２０日

前川喜平

 

国士・前川喜平氏退任時全職員へのメッセージ

国士・前川喜平の退任時、全職員へのメッセージ

《気は優しくて力持ちの文科省に》

２－１

 

２０１７年１月２０日・朝日新聞　

＊

　本日、私は大臣から辞職承認する辞令を頂戴致しました。文部科学省の皆さんが、元気いっぱいいい仕事に打ち込めるようリードすべき立場の私が、このような形で退職することは誠に残念であり、申し訳なく思っています。

 　国家公務員法が定める再就職規制を遵守（じゅんしゅ）できなかったことは事実であり、文部科学省として深く反省し、しっかりと再発防止措置をとる必要があります。

 　私を反面教師として二度とこのようなことが起きないよう、職員の皆さんは遵法（じゅんぽう）意識を徹底し、国民の信頼回復に努めてください。

 しかし皆さん、動揺したり、意気消沈したりしている暇はありません。一日たりともおろそかにできない大事な仕事があるからです。

 文部科学省の任務は極めて重要です。

　私が考える文部科学省の任務とは、教育、文化、スポーツ、科学技術、学術の振興を通じて、誰もが明るく楽しく幸せに人生を全うできる社会をつくること。未知なるものに挑戦し、限界を克服し、輝く未来へと前進すること。

　さらには自由で平等で平和で民主的で文化的な国をつくり、世界の平和と人類の福祉に貢献すること、です。

 そして私が考える文部科学省職員の仕事は、子供達、教師、研究者、技術者、芸術家、アスリートなどそれぞれの現場で頑張っている人たちを助け、励まし、支えていくことです。

　特に弱い立場、辛い境遇にある人たちに手を差し伸べることは行政官の第一の使命だと思います。　続く

 

モリからカケへ・天ぷら総理の学園天国⑥最終回

モリの次はカケ・天ぷら総理の学園天国

最終回

加計学園腐敗内閣

＊

　そんなワケで、今治市に新設される岡山理科大学の獣医学部の学部長には同じく加計学園が運営する千葉科学大学の吉川泰弘教授の新任がきまっているけど、この千葉科学大学はかつて萩生田光一官房副長官が客員教授を務めていたことがある。

 　昨年９月２６日の衆議院所信表明演説で、安倍首相が自衛隊を讃えた時に自民党の議員たちが、スタンディングオベーションをして多くの国民を呆れさせたけど、あの厚顔無恥なパフオーマンスを画策したのが萩生田光一官房副長官だ。

　そんな人物が２００９年の総選挙で落選して、収入を断たれた直後から、誰かの計らいで千葉科学大学の危機管理学部で客員教授として収入を得ていたのだ。

余りにもわかりやすい構図だよね。

さらには昨年４月、文部科学省の高等教育局私学部私学行政課長だった木曽功氏が家計学園に天下りして速効で千葉科学大学の学長に就任したけど、この人物は２０１４年の第２次安倍内閣で内閣官房参与を務めていた安倍首相のお友達だ。

 文部省天下り問題にはきびしい姿勢を見せているクセに、自分のお友だちは特別みたいだね。

今回文部省内部文書の真偽が以上からもよくわかると思う今日この頃なのだ。終わり

（永人所感）

きっこさんの「調査力」、いつもながら鋭く冴えていますね。ほんとうに感心します。日ごろの努力と啓蒙の実践に対し心から敬意を表します。

 さて、誰が見たって聞いたって前川喜平前文科省事務次官の国を憂い、国民のための政治のありようをおもんぱかり、書類の存在を認め、安倍政権の不正に立ち向かう奮起と姿勢には心から感動し、ありがとうと頭の下がる思いがしていると思われます。

 ヒトラー独裁を目指す安倍晋三・菅　義偉の悪徳コンビに対し、このまま不正を許せば明日の日本はないと立ち上がった前川喜平氏。正義と真実は前川喜平氏に有りとの激励を送り、《これぞ国士》の健闘を祈りたいと思います。

打倒！安倍晋三・あべ・しんぞう

粉砕！菅　義偉・すが・よしひで

モリからカケへ・天ぷら総理の学園天国⑤

モリの次はカケ・天ぷら総理の学園天国

         ⑤          

悪だくみ

＊

　安倍首相は『公人』だから、日々どこで誰と会ったのかが『首相動静』として公開されてるけど、昨年１年間の首相動静を見てみると、安倍首相が加計孝太郎理事長と会食をしたのは、３月１８日、１０月２日、１２月２４日の３回で、そのほかにも７月２２日には、一緒にゴルフを楽しんでいて、

 ８月１０日の安倍首相の夏休みには別荘の近くの料理屋で食事とお酒を楽しみ、別荘にとまり、翌日は仲良くゴルフをプレーしている。

 　加計学園が運営する千葉科学大学では、２０１４年５月２４日に開校１０周年の記念式典が行われたけど、来賓として出席した安倍首相は祝辞の中で『どんな時も心の奥で繋がっている友人、私と加計さんもまさに腹心の友だ』と大好きな『まさに』という言葉を使って加計孝太郎理事長のことを絶賛している。

自ら『腹心の友』と呼ぶほどの親友だから、昨年は１２月２４日のクリスマスイブにも仲良くディナーを楽しんだんだろうけど、この日『首相動静』を見てみると、とっても面白いことがわかる。

 「午前１１時５３分、東京永田町のザ・キャピトルホテル東急着。同ホテル内のレストラン『ＯＲＩＧＡＭＩ』で橋下　徹、前大阪市長、日本維新の会代表の松井一郎大阪府知事と会食。　菅官房長官同席。午後２時２６分、同ホテル発」

「午後６時２分、東京丸の内の鉄鋼ビルディング着。

南館内のエグゼクティブラウンジで高橋精一郎・三井住友銀行副頭取、加計孝太郎・学校法人加計学園理事長昭恵夫人らと食事。午後９時５２分同所発」

 お昼は橋下　徹氏と松井一郎氏と２時間半もかけて会食。夜は昭恵夫人を伴って加計孝太郎理事長らと４時間近く会食。

この顔ぶれを見ると、

昼間は『森友学園の打ち合わせ』

夜は　『加計学園の打ち合わせ』をしたんじゃないかと勘ぐってしまう。ちなみにこの日のディナーに出席した昭恵夫人は加計学園が神戸市で運営する

認可外保育施設『御影インターナショナルこども園』の『名誉園長』を務めている。

 昭恵夫人は合計で３０もの『名誉校長』や『名誉会長』を務めているけど、学校関係で解っているのは、

　辞任した森友学園の安倍晋三記念小学校と加計関係のこの保育園だけなので、安倍家にとって加計学園がどれほど特別なのかということがよく分かると思う。続く

モリからカケへ・天ぷら総理の学園天国④

モリからカケへ天ぷら総理の学園天国

④

疑惑のトライアングルが完成

＊

　この本宮　勇県議の活動日記によると２０１４年６月の９年前、つまり２００５年ごろには『加計学園ありき』で獣医学部誘致の計画がスタートしていたことになる。

　それも当時の加戸守行愛媛県知事が『加計学園ならＯＫ』ということでスタートしていたということになる。これなら事業主体を公募する前に市が加計学園にボーリング調査を許可していたこともツジツマが合うよね。

　何しろ、県知事のお墨付きだったんだから。つーか、今回の今治市の獣医学部誘致そのものが、最初から『加計学園ありき』でスタートしていたということまで分かっちゃった。

 　こうした背景を踏まえた上で、あたしは、本宮　勇県議と加計学園との間で獣医学部新設の計画がまとまったのに何度（１５回も←永人）申請しても文科省の許可が得られず難儀していて、そこに第２次安倍政権が誕生したので、これを最大のチャンスと見て、加計学園も本腰を入れ、それに呼応するかのように安倍首相も『腹心の友』の為に便宜を図ったのだと思った。

 　だけどさらに調べてみると、安倍首相自身も何年も前から加計学園が獣医学部の新設を切望していたことを知っていた疑いが濃厚になってきた。

 　本宮　勇県議のＨＰには、今から１０年前の２００７年、第１次安倍政権の時に安倍首相と笑顔で握手しているツーショット写真が掲載されていて、そこには次のように書かれていたのだ。

『自民党愛媛県連青年部長時代から親しくお付き合いをさせていただいている安倍晋三総理大臣と固く握手』

 つまり本宮　勇県議は安倍首相と最低でも２０年以上の付き合いということになる。

　そして本宮県議は高校時代の同級生が加計学園の理事と法人事務局長を務めていて、安倍首相は加計孝太郎理事長と４０年来の友人なのだ。

これで完全にトライアングルが完成したね。（本宮　勇・安倍晋三・加計孝太郎）

 これで少なくとも今年１月１０日から１１日にかけての『事業主体の公募』が『公平性をアピールするための形だけの公募』であり事業主体は何年も前から加計学園に決定していた、ということが明白になった。

 そして今回、今治市を国家戦略特区に選定したのも獣医学部新設の除外規定を作ったのも事業主体を加計学園に選定したのもすべて安倍晋三首相なのだから、これはどう見たって『忖度』では無くて『便宜供与』だよね。

　安倍晋三首相が議長を務める国家戦略特区諮問会議の議事録を調べてみて驚いたんだけど、今回の加計学園の計画は森友学園の『安倍晋三小学院』以上の異例な速さで計画が進んでいたのだ。

 今回の計画が今治市議会で明らかにされたのが昨年２０１６年１１月で翌１２月には用地に関する手続きがスピード可決され、翌１月２０日には安倍首相が議長を務める諮問会議で加計学園が認定、つまりわずか３カ月で決定していたのだ。

 同様の大学誘致のケースを調べてみると、通常では最短でも１年以上かかっているから、この異例の速さは、今回公表された文部省の内部文書に明記されていた内容とも完全に合致する。続く

 

 

 

モリからカケへ・天ぷら総理の学園天国③

モリからカケへ・天ぷら総理の学園天国

③

なるほどねぇ

＊

　この『加計学園問題』は映画に出来そうなほど壮大なストーリーなのでちょっと離れたところからスタートするけど、今から１２年前、２００５年に社会保険庁が年金保険料を流用して豪華な保養施設を林立させていたことが発覚し、世間の批判を浴びたため、全国の３０２もの施設が閉鎖、売却されることになった。

　この中の一つ岡山県のスポーツ複合施設、『ウエルサンピア倉敷』を２００８年に買い取ったのが、加計学園で、２０１０年１１月に『ヘルスピア倉敷』として生まれ変わった。

　そして２０１０年１１月３日にリニューアルオープンの祝賀会が開かれたんだけど、この祝賀会に出席した自民党の愛媛県議・本宮　勇（ほんぐう・いさむ）氏の活動日記には次のような記載がある。

 「祝賀会には加計孝太郎理事長はじめ理事長の友人でもある安倍晋三元首相家族、前横浜市長中田　広氏なども駆け付けた他、岡山県内の政財界から約３００人が出席しました。私も出席させていただきました（加計学園法人事務局長が私と高校の同級生）」

この本宮県議は元々は今治市を地盤とする自民党村上誠一郎衆議院議員の公設秘書をやっていて、それから今治市議になり、愛媛県議になった人だ。

 　今治市議時代には『今治市土地開発公社理事』を務めていたこともあり、ここ数年の愛媛県議会の議事録をチエックしてみたところ、とても熱心に獣医学部誘致を進めてきたことがわかった。

　そしてさらに本宮県議の活動日記の過去ログを調べて見たら、２０１４年６月１８日付のページに次の記述が見つかった。

 　『岡山市内に本部を構える加計学園に到着しました。学園理事で法人事務局長を務めている高校の同級生と打ち合わせを行います。

　同学園グループは、岡山理科大学、吉備国際大学を中心として全国に５大学を運営しているほか、短大、専門学校、高校など多くの学校法人を運営しています。

今から９年前、同級生に大学誘致の話を持ち掛けたところ

『獣医学部であれば検討する』との返事が返ってきました。

 当時愛媛県の加戸知事に相談したところ、『何処の学園ですか？』との話があり、『岡山の加計学園です』と申しあげたところ・・・』『それならばいい』ということで獣医学部誘致に向けた活動がスタートしました」　続く

 

モリからカケへ・天ぷら総理の学園天国②

天ぷら総理『モリ』から『カケ』へ

②

とにかく『加計学園』ありき

＊

　事業主体が加計学園に決まったのは２０１９年１月２０日。安倍首相が議長を務める国家戦略特区の諮問会議で満場一致で決められた。

 だけど、建設関係の専門紙である『建設通信新聞』の２０１９年１月１０日付の中国・四国・九州面の記事には次のような記述がある。

 『獣医学部を建設・運営する事業主体は、岡山理科大学などを運営する加計学園（岡山市）が有力候補となっている。市は意欲を見せる同学園に対し、建設予定地でのボーリング調査実施を許可、すでに調査を終えている。』これっておかしいと思わない？

 　事業主体が加計学園に決まったのは、今年１月２０日の国家戦略特区諮問会議なのに、その１０日も前の１月１０日の新聞で、加計学園に現地のボーリング調査が許可されてすでに実施され、しかも調査は終わっていると報じられているんだよ？

 これはだれが見たって諮問会議の前から加計学園に内定していたということの動かぬ証拠じゃないか！

さらには内閣府の行なった事業者の公募は、１月１０日から１１日までのわずか２日間だけ、つまり事業者の公募も行われていない段階で加計学園によるボーリング調査が完了していたことになる。

 ここで不死議に思うのは、事業主体が決まる前に加計学園にボーリング調査を許可したのが今治市だということだ。

　これはあくまでも市の事業なのだから、いくら安倍首相の親友が理事長を務める学園だとしても、まだ公募も行われていない時点で、

どうして

市はボーリング調査を許可したのだろうか？

もしも公募後に他の事業主体に決まってしまったら、

この費用はどうするつもりだったのだろうか？

そう考えると、市側でも最初から『加計学園ありき』で計画を進めて来たとしか思えない。

 そこでいったん安倍首相から離れて、今治市と加計学園との関係について調べて見たら、これがピンポーンだった。続く

 

モリの次はカケ・天ぷら総理の学園天国

モリの次はカケ

天ぷら総理の学園天国

きっこ

＊

　操作された偽情報に振り回されるのは人の勝手、真実を書きまくるのは、あたしの勝手。だから真実を徹底的に書くと決めた・・・

＊＊

 　『森友学園問題』の次は『加計学園問題』というワケでチマタでは「モリの次にカケって安倍晋三は蕎麦屋かよ！」なんていうツッコミがさく裂しているけど、さすがは天ぷら総理だけのことはあるよね。

 実際、『加計学園問題』は『森友学園問題』の何倍もの規模であるうえに『私人』の昭恵夫人ではなく、『公人』の安倍晋三首相がすべてを主導して進めて来たもので文科省も深く関与している。

　だからこの問題の全貌が明らかになれば、『森友学園問題』のように、籠池泰典前理事長に罪をかぶせ、近畿財務局が「勝手に忖度した」などと大ウソをつき安倍自身だけ逃げ切れるという話ではない。

 あたしは約２か月前、４月５日に配信したメルマガ『ゆっこ＆きっこ』で加計学園問題を特集して、関係者の名前を実名で挙げて徹底追及した。

 だけど、メルマガを購読していない人には、読むことが出来なかったので、ようやく文科省の内部文書も公表され始めたことだし、こちらのきっこのブログでも取り上げておこうと思った今日この頃、皆さんいかがお過ごしですか？

 そんなワケでこの加計学園問題の概要がイマイチ分かっていない人たちの為に、まずはザックリと説明しようと思う。

 これは安倍晋三首相の４０年来の親友で現在でも頻繁に会食やゴルフをともにしている加計孝太郎氏が

理事長を務める学校法人『加計学園』が愛媛県今治市の国家戦略特区に新設される獣医学部の事業主体に選定され、東京ドーム４個分の土地、市価で３６億７５００万円もする約１７万平方メートルもの広大な敷地が無償提供されるうえ、校舎やグラウンドなどの建設費の半額にあたる９６億円が市と県から提供されるというまさに『濡れ手に粟』というオイシイ話なのだ。

で、何が問題なのかというと、この事業主体が加計学園に決まった経緯がおかしすぎるという点だ。　続く。

 

金 正恩をなぜ暗殺しないのか⑥

金　正恩をなぜ暗殺しないのか

⑥

最終回

既に２度失敗している。

＊

では北朝鮮内部で、自発的に金正恩を暗殺しようという動きは出てこないのだろうか。

 日本ではほとんど知られていないが、朝鮮人民軍は、少なくとも２度にわたって金正恩暗殺を企てている。が、いずれも未遂に終わった。

 まず１２年秋、人民軍のある部隊が決起した。同年７月に粛清された李　英浩（り・よんほ）総参謀長の部下であると言われる。計画が失敗した後、首謀者は粛清されたが、金正恩は半年間平城に閉じこもり、護衛の兵士を増やし、さらに自宅を装甲車に警護させるなど、警備を増強した。

 ２度目は１３年４月、爆弾を搭載した軍の車両が、金正恩の乗るベンツに突っ込んだ。この時は車外に投げ出された金正恩に通りかかった２２歳の婦人警官がとっさに覆いかぶさり、爆発から護ったという。その婦人警官は後に北朝鮮最高の栄誉である『共和国英雄称号』を授与された。

 さらに金　正恩が工場などの視察に出かけた時や、軍事パレードやイベントの際に、相討ちを覚悟で飛び出す市民が現れてもおかしくない。

 「金　正恩が国民の前に姿を現すときには、『大元帥の歌』という金正恩をたたえる曲が必ず大音量で流れるので、誰でも出てくるタイミングがわかる。

　また工場などの視察に行く際には、約１か月前に視察先に党中央の視察隊が行き、あらゆる施設や職員をチエックして、病気や感染症の者がいれば外し、

危険な場所があれば整備させる。だから、訪問先の職員なら事前に『この日程で金正恩が来る』と察知できる」（朝鮮労働党関係者）

 しかし金　正恩の視察当日には厳重な身体チエックがあるうえ、１００人以上の警護隊が帯同しているため凶器を持ち込んで襲い掛かるのは容易ではないという。

「北朝鮮では７０年にわたって金一族が築き上げてきた強固な監視体制が出来上がっています。政権関係者は２４時間監視され、毎日日誌を提出し、誰と会って何を話したか、逐一報告しなければならない。齟齬があれば査問され、はては粛清されてしまう。反乱を企てて殺されるくらいなら、脱北を企てる人の方が多いでしょう」（前出　高氏）

金　正恩が権力を握り続ける限り、日本国民も核ミサイルの恐怖にさらされ続ける。この膠着状態は意外と長引くのかもしれない。終わり

金正恩をなぜ暗殺しないのか⑤

金　正恩をなぜ暗殺しないのか

⑤

韓国や日本に買ってもらいたい武器

＊

　北朝鮮の核が暴発すれば、米国側も核で応戦せざるを得なくなる。金　正恩の斬首が全面核戦争の引きがねを引くかも知れない――。さらに米国の政府内部の意見も決して1枚岩ではない。

 誰よりも金　正恩の暗殺計画の早期実行を望んでいるのは、ＣＩＡだ。トランプ政権発足以来、米軍は予算を9％上乗せされたが先の大統領選でヒラリー寄りだったＣＩＡは、トランプ大統領から冷遇されている。

　金　正恩を排除するという『大手柄』を上げて少しでも点数を稼ぎたいという思惑がある。一方でトランプ大統領は表面的には金　正恩に対して強硬な発言を繰り返しているが以外にも「斬首作戦」実行には後ろ向きだという。

　「金　正恩一人を暗殺するだけならトランプ大統領は単独で決断することが出来ます。

でもすぐにはやりたくない。何故なら今のような緊張状態が続いてくれた方が米国の軍需産業には旨みがあるからです。

　実際、トランプ大統領は、韓国に配備したミサイル迎撃システム、「ＴＨＡＡＤ」の費用10億ドル（１１００億円）を負担しろ、と韓国政府に吹っかけています。

　出来る限り危機を煽って、韓国や日本に武器を買ってもらいたい。トランプ大統領は根っからのビジネスマン。暗殺してしまうと儲からなくなるし、支持率アップにも利用出来なくなる」（前出・米政府関係者）

　米国がなかなか（暗殺を）決断することが出来ない背景には、トランプ大統領の『ビジネスマインド』も深く絡（から）んでいる。続く