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大谷翔平語録85 あとがき

大谷翔平語録
85
あとがき

 大谷翔平を追い続け、筆者の人生観は変わった。
2018年からメジャーリーグの取材を始めてから6年。あっという間だった。個人的な話で恐縮だが、この仕事を始める前はカリフォルニア州サンディエゴの大学院でスポーツビジネスを学んでいた。

正社員として働いていた日刊スポーツ新聞社を退職し、30歳を機にキャリアチェンジを目指して渡米。大学院修了後に再び同社と契約した。

スポーツビジネス界に進出するつもりが出戻りとなった。
正直、米国でこれほど長く記者として取材を続けることに成るとは思っていなかった、ビジネスの修士号を得たにもかかわらず、日本時代と変わらない出戻り状態に恥ずかしさを感じたことすらある。

だが今は違うと胸を張って言える。ここまで続けられたことは誇りだ。大谷の二刀流は
筆者の心を大きく動かした。

2023年3月21日、WBCの決勝戦で大谷とマイク・トラウトの夢の対決が実現した。漫画のような最高の結末で日本が世界一になった。球場の記者席から見たこの光景はこれからも忘れることはないし、あの瞬間に渡米してよかったと心の底から思えた。

エンゼルス歴代の監督や選手たちは大谷を見られることは特権だと表現する。確かにその通りだ。投打のパフオーマンスはもちろん、囲み取材での言葉も年々貴重になっている。だからこそその機会を得られることにまず感謝したい。

今後、彼はどうなっていくのか。二刀流をどこまで続け、どんなドラマが待っているのか――。予想なんてできない。むしろ、それが面白い。
記者たるもの、隔たりがあってはいけないし、公正な視点が常に必要だが、屈しないこの男の行く末を見続けたいと思う。

最後に、本書を執筆するにあたり、多大なご協力をいただいた宝島社の宮川亨さん、取材機会をいただいている日刊スポーツNEWS社、エンゼルス関係者の皆様、ともに仕事をしてきた番記者の方々、そいて家族のサポートに心から感謝したい。

2023年9月10日              
                      齋藤庸裕
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