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大谷翔平語録㉝「挑戦者」を称賛する米国文化

大谷翔平語録
「挑戦者」を称賛する米国文化

 二刀流に対する考え方もさほど変わらなかったことを、2021年シーズン終了後の帰国会見で明かしている。

考え方を変えるということはないですね。ただ怪我も続いていましたし去年(2020年)もいいシーズンとは言えるシーズンではなかった。この先大きなチャンスを貰える立場ではないなというのが一つ、大きく違うところかなと思うんですけど、そんなにメンタル的に変えたところはないですかね。
ただ試合に出ていれば勝ちたいなと思うのが普通ですし、ゲーム的に苦しい状態が続いていたのでより勝ちたいなという気持ちは毎年、毎年、高きうなってきているかなと思います

 この時の言葉で分かるのは、結果を出さなければ、二刀流で出場できるチャンスが少なくなると感じていたことだ。実際に2020年はシーズンは投打で不振に陥り、スタメン落ちも経験した。
ただ、危機感というよりは二刀流でもっと自分を高めたい、そういう気持ちが強かったように思う。
同日の会見でのとてもシンプルなコメントが印象に残る。
ここまで頑張ってきましたし、もっともっと高く行けると思っているので、まだまだ頑張りたいなと思っています

 満票でリーグMVPを獲得したときの会見でも、2021年シーズンの結果が芳しくなければ、二刀流が最後になるかもしれないというプレッシャーがあったかどうか、再び問われた。

どうなんですかね。ここまでその100%歓迎されているという雰囲気はプロに入ってからもずっとなかったので、常にそういう批判的なことはありましたけど、自分がここで頑張りたいなと思ってやってきたので、反骨心みたいなのは正直なかったですし、本当に純粋に自分がどこまでうまくなれるのかなっていうのを頑張れたところが良かったのかなと思います

 アメリカで仕事をするようになって感じたことがある。ここでは多くの人がチャレンジ精神を好み、チャレンジすると人を応援する気概にあふれている。そして成功した人に対しては手放しで褒め称える。

 批判的、懐疑的な目から一転、大絶賛することも少なくないのだが。
悪く言えば掌返しのお調子者とも言えるが、どんな属性の人であれ、挑戦者のサクセスには純粋に喜び、感激し、彼らをリスペクトする感情表現は見ていて実に気持ちがいい。

 大谷も米国文化の純粋さ、懐の深さを感じていたのかもしれない。
二刀流をやるに当たって、やっぱりアメリカの方が、もちろん懐疑的な声はありましたけど、受け入れてくれる器というか、そういうのは広いなと感じたので。どちらかというと日本の一年目の方が何というか幅が狭かったかなという印象が強いので今は何も気にすることなく、もう自分が結果を出すだけなので。
 そういう意味では変わったかもしれないですけど、特に何かを大きく変えるということはなかったと思います

 大谷は日本のファンに支えられ、二刀流の礎を築き、感謝の気持ちも示している。そして米国のファンからも後押しされ、懐疑的な目に左右されることなくチャレンジ精神を貫いてきた。自身の信念はもちろんチャレンジ精神を尊ぶファンの応援も重なり、世界一の二刀流へ進化を遂げた。
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大谷翔平語録㉜ 二刀流への覚悟

大谷翔平語録
六・二刀流への覚悟

ここまで頑張ってきましたし、もっともっと高く行けると思っているので、まだまだ頑張りたいと思っています

メジャーでの二刀流に懐疑的な目を向けられたことが2度ある。1度目は1年目のシーズン開幕前、2度目は3年目を終えた後だ。ただ文脈は違った。

1度目は主に技術面に対する懸念で「打撃は高校生レベル」などと酷評されたが、開幕してすぐにトップレベルの才能を示した。

米メディアの大半が、打撃面での能力の高さは予想以上だったことを認めた。
2020年の3年目シーズンを終えた時、懐疑論は「シーズンを通して、怪我無く二刀流が出来るのかどうか」に変わった。

 メジャー挑戦前の2017年から3年連続で手術を経験し、2020年シーズンは短縮60試合の中で故障が再発した。4年目は二刀流を今後も継続できるかどうか瀬戸際のシーズンだった。

MVP受賞でも満足していない

 大谷自身には、その声に対する「覚悟」はあったのか。当時の言葉を並べると、必ずしもそうではなかった。むしろ「1年1年の積み重ね」の中に4年目もあると認識していた。4年目となる2021年シーズンのキャンプイン初日二刀流でプレーする自信と投打で結果を求められることに対するプレッシャーにについて問われた。

特別にすごくというのはないですけど、1年目ももちろん、どこまでできるかもわからなかったのでプレッシャーというのはなかったですね。楽しみの方が高かったですけどね。結果はついてくるものしかないので、そこは頑張る以外しかないですけどどうにもできないですけど、その頑張りで使いたいなと思ってもらえるように、1年1年やるしかないかなと思います

 2021年4月26日、1072日ぶりに白星を飾った。二刀流で見返したいという気概はあったのか。覚悟を問う質問には淡々と答えた。
あんまりそういうのはないですかね。もちろんいい試合もあれば、悪い試合もあるのでその1試合の捉え方で二刀流で十分なパフオーマンスができた、できないという訳ではないと思うので

1試合で何かが変わるということはないので。何事も積み重ねですし、1試合1試合ショウヘイが出ているゲームは何とか勝ちになる試合が多いなって思ってもらえるように、そういう仕事が1打席1イニングでもできるようにやっていきたい

 周囲の見方とは違い大谷には背水の陣の様な切羽詰まった意識はなかった。


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大谷翔平語録㉛ 大不振の心境

大谷翔平語録
センス・オブ・ユーモアを忘れない
(大不振の心境)

 コミュニケーションを密に取っていた当時のジョー・マドン監督のからもメンタル面で助言を受けたという。
ピッチングとかではなくて全体的にもっと楽しんでというか、試合でもっと自由にやって欲しいと言われました
結果が出ず、もどかしい気持ちもあっただろう。大スランプをどう受け止めていたのか。

心地のいいものではないですけどね、ただ、そういう時期もあるのかなとも思うので。ただ、偶然そうなっているわけではなくて、技術でそうなっているだけなので、そこは改善していくしかないのかな、とは思います

今となっては考えられないことだが、先発メンバーから外れることが1週間も続くことがあった。早出の特打でフリー打撃を行い、マドン監督の熱血指導を受ける姿も見られた。

 基本的には右足のヒールダウン(かかとを上げる形)でタイミングを取っていたが、日本時代の打撃フォームに回帰しレッグキック(右足を上げる形)を取り入れることもあった。試しては止めの繰り返しで、不振から必死に抜け出そうとしていた。そこにメンタルも追い打ちをかけた
練習の一環でやってみたらどうだとか、早出でやってみたらどうだとか、いろいろしてもらっている中で、打ちたい打ちたいというか、打たないと申し訳ないという。そういう気持ちは去年よりだいぶある。
いいところで打たせてもらってますし、ずっと使ってもらっているので、そういう気持ちは1年目、2年目よりは強い

 意欲とは裏腹に結果が出ない。楽しめるほどのパフォーマンスが思うようにできない。見ている側にとってもつらい。そんな1年だった。ただ時折、オンラインによる質疑応答が行われていた画面上で大笑いすることもあった。

右ひじのトミージョン手術から復帰2戦目、2020年8月2日の登板前日に意気込みを一言で表現した。

1死を取りたいです
 
前回登板では1死も取れずに降板した。
それを自虐的に捉え笑わせた。

米国人記者からは日本での人気度を唐突に問われ、ニヤリと返答した。
そんなに人気ないですよ。アハハハハ
冷静な受け答えの中でも冗談を交える。その基本的な姿勢が大きく変わることはなかった。
だが、所々で苦しむ姿が垣間見えたことも確かだ。今となっては、その経験が大躍進へのきっかけとなったのかもしれない。
3年間やってきて、どういうふうに1年間やればいいのかなっていうのを知れたって云うのはすごく大きかった

続く2021年は、伝説のシーズンとなった。
より多く試合に出られたというのは単純に楽しかったですし、それだけ試合に貢献できる頻度が高いということは選手としてもやりがいがあると思うので、そうですね。すごく楽しい1年だった

 石の上にも3年ではないが、もがいてきた経験があったからこそ、乗り越えた時の充実感がより一層、際立っていた。
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大谷翔平語録㉚苦悩のシーズンを経験して

大谷翔平語録
第2章
不可能を可能にする

五・苦悩のシーズンを経験して

楽しむためには自分のパフォーマンスを出せる状態っていうのが一番かなと思います

 記録的には「空白の1年」と言ってもいいかもしれない。メジャー3年目の2020年。コロナ過でシーズン開幕が7月末に変更され大幅に遅れた。さらに感染拡大を防止するため、無観客で開催された。大谷は同年投打でワーストの結果に終わった。本拠地アナハイムの球場に立ち入りできる記者席も1か所に制限された。

 取材場所は一塁側後方の4階席。フィールドまでかなり距離があり、まじかで見ることはできなかったが、どこか楽しめない大谷の姿は遠くからでも感じ取れた。

 当然、結果が出ていなったことが大きいが、右腕の故障再発やメンタル面でのコントロールにも苦しんでいるようだった。当時の言葉がそれを物語っていた。

楽しむも何も、楽しむためには、やっぱり自分のパフォーマンスを出せる状態っていうのが一番かな、と思います

自分の映像は何千回と見てきた

 同年はわずか2試合の登板に終わった。登板間の調整で首を傾げ、天を仰ぐことを何度も目にした。
キャッチボールを終えても納得がいかない様子で、再びキャッチボールを始めることもあった。登板日の試合前調整では、ステップして勢いを付けながら投げたボールが高めに大きく抜けて暴投となることもあった。感覚がしっくり来ていなかったのは明らかだった。
Ⅰ~2メートルの壁当てを水原一平通訳に横から撮影してもらい、フォームを繰り返し確認する姿もあった。

 高校時代から頭で描くイメージと映像による客観的な分析は、繰り返し継続してきたという。だからその行動自体は特別珍しいことではない。ただ間違いなく感覚の違和感はあったようだ。 

全体的な投球モーション的に大胆さがないなという感じの印象は投げている時から受けていたので、それは見た感じもその通りだったかなと。
僕はもう自分の映像とか、何千回とみてきているので、違いとかっていうのは言葉にはしづらいですけど、しっくり来ていないというのはあるかなと思いますね」フィールド上でここまで悩み、苦しんでいる姿を見たのは初めてだった。続く


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大谷翔平語録㉙ ピッチングも「入り」が肝心

四・「構え」の重要性


ピッチングも『入り』が肝心

 2022年5月9日、レイズ戦で左腕ビークスの内角寄りのスライダーを左中間へ運んだ。飛距離奈124メートル。右へ引っ張るようなコースのボールを左へ。それが長打、しかも本塁打になる。技術的にどう云うイメージでバットを振ったのか。この時に返ってきた答えも、構えについてだった。

構えがしっかりした方向で力が伝わってないといい軌道に入って行かないですし、同じように打ってても最初の構えの時点で間違った方に進んでると、いい動きをしても、いい結果につながらないものかなと思うので

8割5分ぐらい構えで勝負は決まっているぐらいの感じではいるので。ピッチングもそうですけど、やっぱり、どういうイメージで打席に立っているかが一番大事

 投手に関しても同じことが言えるのか・・・。

それを示唆するような言葉があった。2023年シーズンの6月、マウンド上で感じる「投げ心地」の良さを繰り返し口にしていた。
投げ心地とは、何が良ければそう感じるのか。
大谷は独特な感覚を明かした。

セットの段階で、例えば2ストライク追い込んだ後に、これで三振を取れるようなイメージ湧き易かったり。それは打席でも同じですけど、ボールへの指の係が良かったりとか、変化の仕方が自分の思った通り、投げるコースや高さも含めて投げられる傾向が多いのは、それはいい動きの方が強いと思うので。セットの段階で今日は良かったと思いますね。狙ってたところへ行きそうな雰囲気はあったかなと思います

大谷はまずプレートに右足をかけ、セットポジションで投球モーションに入る。その段階でいいイメージが湧くかどうか。打者と投手、表裏一体の二刀流。どちらも最初の入りが肝心なのだろう。
この投げ心地に対しては、別項で詳述したい。

思えば大谷はフイールドを歩きながら突然ピタリと立ち止まりシャドーピッチングを始めることもあった。クラブハウスでは打撃の構えを確認する姿を何度も目撃した。

道を究める奥義は、初動を支える構えにあり――。
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大谷翔平語録㉘「構え」の重要性

大谷翔平語録㉘
四・「構え」の重要性

8割5分ぐらいは構えで勝負は決まっているぐらいの感じではいる

 大谷が打撃で最も重視する点として繰り返し口にするのが「構え」だ。
二天一流の奥義を説いた宮本武蔵の『五輪書』にも構えの心得が記されている。だからという訳ではないだろうが、大谷は野球少年のころからしっかり両足のスタンスを確認する等、打席に入る時にある程度、時間をかけていたという。

 そして構えた時に対峙する投手の見え方。これはメジャーに入ってからも一貫して掲げている意識だ。

繰り返し語る「構え」への意識

 左膝の手術前、自身が出場するシーズン最後の試合(2019年9月21日)で右越えにライナーで本塁打を放ち、試合後に大谷は
勝手にいいスイングができる構えだった」と振り返った。新型コロナが流行する前、2020年の春季キャンプでは実戦形式の打席後に構えについて語っている。
構えている段階のピッチャーの見え方は良かった

大体構えで勝負は決まるかなと思っているので、そういう意味ではよかったですね

構えている段階でしっかり打てそうな雰囲気ありましたしインパクトら辺までは、ホームランいけるんじゃないかなぐらいの感じだった

全体のバランスが大事だと思ってるので、一番はやっぱり構えですかね。始まる段階で、どうやってピッチャーをとらえてるかによって、そのあとは変わってきますし、そこさえできていればあとはちょっとしたところ

 意識する点を繰り返し口にした。投手がボールを投げる前に、構えで打てる雰囲気まで感じることさえあるというのだ。

 一方で、2020年9月4日メジャーで自身初のサヨナラ打後には、構えを安定させる難しさも明かした。

技術面でいうなら、立ち方、まずは構え。そこから始まると思うので、簡単かなと見えると思うんですけど、同じように毎回、毎回、立っていくというのも難しい

 試合では自分一人が打席に立つわけではない他の選手が踏み場を作るため、毎回同じように足場が平たんなわけではない。視界も球場ごとにバッターズアイは異なる。中堅後方の景色は、エンゼルスタジアムのように緑の木々が植えられている場合もあれば、バックスクリーンだけの場合もあり、様々だ。

 見え方が違えば、立ち位置もわずかにズレが生じる可能性がある。あらゆる球場で同じように打席に立ち続けるには、確かに繊細な感覚が必要なのだろう。2020年シーズンには、1週間、先発メンバーから外れていたことがあった。
その間、意識して取り組んでいたのも『構え』だった。

一番は構えですね。構えているときの全体の見え方、そこを一番、取り組みました

2021年の春キャンプは絶好調。オープン戦では自己最高の成績を残した。手ごたえを口にする点は一貫して変わらなかった。

構えに入る前にピッチャーをいい角度で見えているなら、構えた時にも同じように見えて、踏み込んだ時も同じように見えるので、構えに入る前からしっかり、そういう角度で見えてるときは比較的良いのかなと思います

構えが1番大事だと思っているので、バッティングに関してはそこかなと思いますね。動きだしにつながるところなので、まずはしっかり構えてどういう風に見えているかが、一番大事かなと思います
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大谷翔平語録㉗二刀流の知られざるメリット

た大谷翔平語録

二刀流の知られざるメリット



 
受け取る側の勝手な感想ではあるのだが、二刀流でプレーするにはのもの事をとらえるにもバランス感覚が不可欠だと感じられた。常識だけにこだわらず、別の考えがあってもいい――。だからこそ、大谷は我々の常識を何度も覆すことが出来たのだろう、このバランス感覚は技術面にも当てはまるようだ。
右ひじのリハビリのため打者のみの出場だった2019年、一つだけに集中したことで、新たな発見があった。

「二つやる年と比べて、バッターとしていろいろ試したり、やってみたりがあった。それが良い方向へ行ったり、悪い方向へ行ったり、やり過ぎたのもありましたけど、いつもの年より、これが良かった、悪かったというのが多かったと思います。収穫としては量が多かった

調子が悪い、打てない時期というのに対しても慣れちゃうし、それは二つやっていた時はなかった。週に1回ぐらい投げるので。そこで、ある程度バッターとしてのスイッチも切るし、バッターとしてやっているときは、バッターとして必要なことをやって、ピッチャーに切り替えるときは切り替えて、またバッターに入って、という感じだったので。バッターだけやっている今年はいらないことにも慣れるし、というのはあった

 投手と打者でマインドは切り替わる。それが二刀流の好循環を生み出している様だ。だが打者専念の時はその切り替えがなく、試行錯誤の『やり過ぎ』につながった。

投手を挟むと、次に打者で出るときにちゃんと何を直せばいいかがわかったり、あるんですけど、打撃面で出続けると余計なことをしたりというのが多くなってしまう

基本的に失敗に余計なものはないですけど、アプローチを変えて違う失敗が、結果的に同じ失敗だったりとか、そういうのは二つやっていた時にはなかった。これは別に要らないなという失敗もあった

 投手であってこその打者・大谷。逆も然り。一人の野球選手なのだが二刀流で互いを支え合って居るように感じた。

たとえ登板した試合で打たれても、打者で挽回できる。打者で打てなくても投手で力投すれば勝てる。
投打の同時出場、リアル二刀流で出場するときは相乗効果も生まれる。

もちろん、自分で打った方が得点が入った時に、もっとアグレッシブにマウンドでも攻めていけるかなと。守りに入ることなく、常にマウンドでも行けるのかなとは個人的には思ってます

 こんなコメントができるのは現代のメジャーリーグでただ一人、大谷しかいない。
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大谷翔平語録㉖ 二刀流マインドの原点 

大谷翔平語録
第2章不可能を可能にする
三・二刀流マインドの原点

あまのじゃくなので(笑)。
余り偏りなくいきたいと思います

 大谷は日本時代を含めプロのキャリアで一貫して投打の二刀流を継続している。日本ハム時代は5年、メジャーでは6年の合計11年に及ぶ。筆者は日本ハムでの取材経験はなく、二刀流ロードを追いかけているのは大谷がメジャーに挑戦してからのこと。だ。
想像を超えるプレーを間近で見て驚くのはもちろん、その時々の考え方に触れられることも新鮮で興味深い。
2019年のシーズンオフのことだが、対面インタビューができたことは貴重な経験だった。
等身大の大谷翔平を少しではあるが感じとることができた貴重な330分間だった。

 30分間の独占インタビュー

 まず色紙へのサインとともに座右の銘も記してもらえないか頼んだ。すると、すぐに「ないです」と返事が返ってきた。自分の信念として軸になる言葉はないのだろうかという疑問からだったのだが、大谷の答えは以下のようなものだった。

ないですね。それが座右の銘ですとか。やっぱり座右の銘も、そういう言葉があれば、また逆の言葉もある。対義語ではないですけどそういう言葉もあるのでそっちだけをフォーカスして捉えていくと、別の捉え方ができなくなったり。
本も、例えばトレーニングの本が有ったら、まったく違うトレーニングもそれと全く逆のこともある。栄養学もそうですけど、こういうダイエットがいいですよ、というのが有れば、そのダイエットはダメですよ、という本もあるので、どっちも読む必要があって、それを理解したうえで自分がどっちに行くかが大事なので、どっちかだけを読んでいいなと思って、それだけに行くのはちょっと危険かなと思いますね。なので、いっぱいいろんな本を読んだ方が、自分で決めるのもうまくなるし、大事かなと思いますね

 人は迷ったとき、自信を失った時、尊敬する人の言葉や格言に頼ることも少なくない。それらが背中を押し、再び立ち上がるきっかけになるかもしれない。大谷にそういうことはないのだろうか。
自分が大事だと思っている言葉があるのは素晴らしいことだと思います。僕はそういうタイプではないというだけで。
座右の銘や名言がいいと思っている人にとってはベストかもしれない。僕はそれだと勿体ないかなと思ってしまうタイプで,やらないというだけで。信じることはそれはそれとしていいことだと思いますね
 当時大谷は25歳。情報化が進む社会で多様な考え方を学び、そのうえで自分の進む道を決断する。若いのにといったら失礼だが成熟した識者の様だと感じた。子どものころから培った考えなのか、それとも教育の中で学んだ教訓なのか、聞くとニヤリと笑いながら端的な答えが返ってきた。
あまのじゃくなので(笑)。
余り偏りなく行きたいと思いますけど

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大谷翔平語録㉕

大谷翔平語録
左足の蹴りが規格外の飛距離を生む

 後に大谷は自分の打撃において左膝がいかに重要だったのか、身をもって経験している。

 手術を受ける前は「加重のしにくさだったり、蹴りのしにくさはある」と話していた。
筋力が戻り下半身を強化して臨んだ2021年シーズンではキャンプから打ちまくった。手術明けの2020年シーズンは極度の不振に陥っていた。なぜここまで劇的に変わったのか。

やっぱり膝じゃないですかね。実際に手術明けの去年やってみてわかりましたけどかなり重要なところだなというのは感じてますし、逆にバッティングでシッカリそこを気を付ければ、いい状態を保てるんじゃないかなと思います

 2020年シーズンには左ひざのリハビリは終えていたが、負荷をかけるトレーニングができず、ふんばりがきかなかった。
かつて大谷の打撃を見てきた他球団のコーチの一人は、大谷の並外れた飛距離の秘密は「左足の蹴りの強さ」だと証言していた。膝がうまく使えなければ、飛距離は出ないというのだ。
2019年シーズン18本塁打、2020年シーズン7本塁打という結果は、それを証明しているのかもしれない。

 勿論2021年シーズンの孝結果は、スイング軌道やトレーニング方法の改善、工夫を重ねた練習など様々な要素があるのだろうが、体重を後ろに残してフルスイングする形、わかりやすく言えば、ふんぞり返ったような大谷のスイングには、ひざの強靭さが欠かせないようだ。膝の痛みと戦いながらプレーしていた2019年、完全に使いきれなかった2020年シーズンが有ったからこそ、その重要性が再確認できたのではないだろうか。

 当初、手術のタイミングで球団との相違はあったものの、最終的には好結果につながった。
やるからにはベストをつくす。それを結果につなげる。誰もがそう考えるかも知れないが、それに対する人並外れた気持ちの強さを大谷には感じる。今でもそれは変わらない。
 6年目の2023年シーズンは、前半戦途中から右手中指の爪やマメの状態が良くなかった。それでもローテーションを崩さず投げ続けた。
指先はそれだけ繊細ですし、そこの一つ、そこまでのプロセスが良くても、最後の引っ掛かりの部分で、すべてが台無しになってしまう、というのがピッチャーだと思うので。その中でもやらなければいけないっていうのは、シーズン回っていればそういう事ももちろんある。これも経験かなと思います」膝の痛みを抱えながら戦っていたシーズンのことを考えれば投げ続けるのも理解できる。
いつかこの経験が生きる――。 
たとえ状態が万全でなくとも、プレーするときは覚悟を決め、大谷はグラウンドに立っている。
 結果的に2023年8月下旬,右ひじを故障する重傷を負ってしまった。
だが、大谷は屈しない。二刀流でさらに強くなり、帰ってくるに違いない。続く

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大谷翔平語録㉔

大谷翔平語録
二・試合に出続ける覚悟

誰しもが痛みを抱えながらやっているとは思う

 大谷はメジャーリーグに挑戦してからの3年間で2つの大きな故障に苦しんだ。右ひじと左膝だ。

 2018年10月1日に右ひじのトミー・ジョン手術を受け、左膝は2019年9月13日に二部膝蓋骨を除去する手術を受けた。左ひざの時は前日の12日に突如、球団広報から手術発表のメールが一斉に各メディアに送信された。その前夜、大谷は弾丸ライナーの本塁打を右越えに放っていただけに、まさに青天の霹靂だった。言葉や表情には出さなかったが、右ひじと同様に左ひざの早期手術を希望していた大谷も、突然の球団の決定には困惑したことだろう。

一試合も無駄にはしない

 打者に専念していた2019年シーズン、大谷は左膝の痛みと戦い続けていた。
2019年の春季キャンプ、選手が球団トレーナーから体のメンテナンスを受ける処置室で、大谷は左膝にサポーターを巻いていた。このころから違和感があったのだろう。
当時のビリー・エプラーGMもこの2月の時点で痛みがあったことを認めている。
大谷はどんな気持ちで2019年シーズンを闘ってていたのか。
ある程度、痛みは続いていたので、やるならこのオフかなという感じでやってました。ポストシーズンに進めなかったので、その段階でチームの方からこのタイミングでどうだという話をされたので、僕もその方がいいんじゃないかなと思ったので

痛かったり痛くなかったりという感じかなと。すごくひどくなってきたという感覚もなかったですし、良くなったもしますし、悪くなったりもするので。シーズン通して波があったかなと思います

シーズン通して160試合くらいあるので、それを痛みなく、全部こなすという事の方が珍しいのかなと思いますし、誰しもが痛みを抱えながらやっているとは思うのでそこは特に何も言い訳にはならないかなと思いますね

 球団によれば、大谷本人に手術を勧めたのは9月10日の朝、翌日13日に手術を、互いに理解を示し、13日に手術を受けることが決まった。手術を勧められた翌9月11日のインディアンス(現ガーディアンズ)戦、大谷は第3打席で本塁打を放った。この試合が自身のシーズン最終試合になると理解しての出場だった。

最後までいろいろ試しながらやっていましたね。裏の打撃ゲージでも、次の打席ではこうやって行こうかな、とか最後の最後までそういう風にやっていました。何かいいものを見つけて、来シーズンに入りたいなという思いはあったかなと思います

 チームが残りシーズンを消化試合として戦うと判断した中での打席。モチベーションを保つのは難しかったかも知れない。それでも、今後の糧になる打席にしようとする努力は怠らなかった。続く

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