第27日 <8月5日(木)>
【行 程】
道の駅:なかさつない → 帯広市内LPガス充填所 → 帯広市郊外ショッピングモール → 六花の森 → 中札内美術村 → 道の駅:なかさつない → 道の駅:忠類 → ナウマン温泉 → 道の駅:なかさつない (泊) <115km>
中札内の道の駅での一夜は、思ったよりも静かだった。日中はR236の車の往来は多く、道の駅も出入りが多くて大型トラックも入ってくる。夜中にもトラックが来ると眠れぬ一夜となることが多いので心配していたのだが、それは杞憂だった。泊りの車は数台で、トラックも静かだった。
この道の駅には、清流が自慢の札内川の水を提供してくれる水場があり、親切でありがたい。確かに冷たく美味い水である。又長旅の人のためのゴミ処理に対処して、村指定のゴミの袋を購入すれば、それを受け付けてくれるのもありがたい。全ての道の駅でこのような対応をして頂ければ、くるま旅の問題はかなり改善されるような気がする。昨年は端(はな)から泊る気などなかったので、気づかなかったのだった。受け入れサイドの親切を見過していたとは迂闊だった。反省しきりである。
今日は昨日下見をした六花の森などを訪ねることにしている。その後で、知り合いの誰かが滞在しているであろう、隣の道の駅:忠類を訪ねてそこに泊るつもりでいる。食事が済んで出発準備に取り掛かる頃に邦子どのがガス臭いと騒ぐ。それはガスが少なくなった証であることが多い。今回もそうだろうとガスボンベを持ってみたらすっかり軽くなっていた。犬族にも引けをとらないみごとな嗅覚の人である。早速交換した。空になったボンベを充填する必要があるが、それは急ぐことではない。しかし、昨日買ったブースター接続用具が不足しているので、それを調べるついでにガスを入れることにして、先ずは帯広の方に先に行くことにした。
先にガスの補充をしに行く。昨年入れているので、凡その場所は判っている。地図の中に住所や詳細な案内図のメモを貼ってあるので迷うことはなかった。ナビなしの方が、確実に目的場所を覚えることが出来ると思っている。ガスを充填した後、ホームセンターへ。よくわからないので店の人に聞いたのだが、今一要領を得ない。店の人が売り物のTVの裏面を指してこのようなものが付いているはずだから、それに差し込めばよいという。確か昨日見た我が家のTVにはその様な箇所はなかったのにと思いつつ、もういいやと思い、お礼を言って車に戻る。この間、そばにいる邦子どのが、あれこれチャチを入れてうるさい。TVをもってきて見て貰ったらなどとまで言うのである。接続用のピンコードは間違ってはいないのだから、返却をしないで済むのに、それを払い戻して貰えばなどという魂胆ありありなのである。何しろ電気によらずものごとの大半は、最初から正解の少ない自分なので、邦子どのにはまったく信用がない。財政担当としては少しでも家計のバカなロスを減らしたいというのは解らないでもないが、店員との会話にまでしゃしゃり出て、妨害するような行為には実に腹が立つ。
ホームセンターを出て、中札内の方に戻り、先ずは六花の森という、道の駅により近い方の目的場所に向う。ここはチョコレート菓子などで有名な六花亭が経営しているようで、直ぐ傍に何やらのお菓子の製造工場が建っていた。その近くに坂本直行という方の記念館があり、その周辺が花咲く丘と森になっているらしい。当初は一緒に入るつもりでいたのだが、ブースターの接続のことがあり、ずっと腹が立っているので、花など見る気分にはなれない。残って、何としても接続を果たすつもりである。今日はピカピカのいい天気で、木蔭のない駐車場の車の中は暑くて厳しいけど、我慢して何としてでも接続を果たすつもりである。邦子どのは、さっさと受付の方に消え去った。
電気というのは得体の知れないもので、どうも苦手である。その理屈を知るのにもさして興味関心がない。世の中の大半は電気なしでは動かないというのに、とんだ愚かな反逆者のようなものだ。このような自分でも、かつては理系の学校を目指して勉強をしたこともある。途中で気づいて文系に転向したのは、高校3年になってからで、もし転向しなかったら浪人して何処かの工学部などに入っていたかもしれない。青春時代の志は未熟で、いつも揺れ動いていた感じがする。まさかこれほど電気音痴になるとは自分でも思わなかった。
などと思いながら、もう一度TVの解説書を開いて精読しようと思ったのだが、ブースターの取り付けのことなどはどこにも書いてはいない。購入したブースターの説明書を読んでも一般的な図面しか書かれておらず、使用する接続コードのことなど何も書いていない。だから、結局は昨日と同じことなのだ。しかし、良く考えてみるとブースターというのはアンテナが捉える電波の増幅器なのだから、アンテナに来た電波を入力し、増幅した電波をTVの本体のアンテナの接続箇所につないでやればいいはずである。そう思いながらつないで見たら、ちゃんと映るには映ったのである。しかし画像の質は良くない。利得ダイヤルとかいうのを回してみたけど、大して変わらない。なんじゃあこれは、と思った。しかし、自分としてはここまでで終りである。恐らく何かが決定的に間違っているのであろう。それは専門家に聞いて見なければ解らない。しばらくは折角ブースターを買ったのに、それが役立たないことを邦子どのに吹聴されることであろうが、ま、その通りなのだから仕方がない。とんだお粗末だった。
正午を過ぎても邦子どのは戻ってこない。途中に電話があって、もう少し見てくるという。良い所だから入ってきたらと言われたけれど、何を今更という気分でお断りした。12時半近くなってようやく戻ってきて、お昼はもう一つの目的場所の美術村の方に食べる所があるとかで、そちらに向う。自分としてはレストランなどという所で食べるのはあまり乗り気ではない。暑いのでそうめんでも茹でて食べる方がいいと思っている。美術村の森の中にあるレストランのある場所に、邦子どのの後に付いて入ったのだが、なんだか知らないけどセルフで食べものを受け取って食卓に運んで食べるような仕組みらしい。バイキングとかこのようなシステムは自分の一番嫌いな食べ方である。動き回って餌を探すなどというのは真っ平ご免である。パーティなどで、バイキング仕様の場に出くわした時は、殆ど食べずに酒ばかり飲むことが多かった。クラブキャンプなどでの一品持ち寄りパーティなども、邦子どのがいなかったら、恐らく食べものを取りに行くことなどをせず、自分で用意して持参した物しか食べないと思う。食べる時に動くのが嫌いなのだ。捕まえた獲物は、じっくり一箇所で味わうべきものだ。食べながら次の獲物のことを考えるなど落ち着かないことおびただしい。酒だって飲み終わった後に直ぐに横になって眠れる場所が一番安心して飲めるのである。だから飲み屋で飲む酒は安心できない。家に帰らなければならないからである。仕事がらみの時代が終わった今は、付き合い以外は、酒場に行って飲むことなど考えたこともない。というわけで、食べるのはお断りした。邦子どのの気分はかなり下がるのだと思うけど、初めてのことでは無いので、とにかく自分の好きなようにやってもらいたい。
昼食を止めた後は、森の中の野草たちの写真を撮る。彼らを見ていると腹の空いたことなど忘れてしまう。この森の中には秋の七草を植えているのかと思うほどそれらが多く見られた。萩、女郎花、桔梗、ススキ、それにフジバカマの代わりには山ヒヨドリなどが咲いていた。あと葛となでしこがあれば全部揃うことになるけど、なでしこはともかく、葛を植えるのはかなり勇気が要るのではないか。関東の秋はまだまだ先だけど、この地の秋は夏と一緒にやってきているようである。
女郎花の花。最近は、野生の花がめっきり少なくなり、花屋さんで見るしかできなくなりつつある。来年もここに咲いていてくれればいいのになあと思った。
今まで見たこともない、蘭系統の花があった。帰宅後に調べてみたがよくわからない。丈は40cmくらいで、小さな蘭の様な花をたくさんつけていた。良く見ると品のある花である。ご存知の方は教えてください。
美術村だから、何人かの芸術家の館などがあるのだろうけど、今回は野草を見ただけで、後は何も見る気がせず、次回以降にすることにした。美術村を後にして、もう一度道の駅に戻り、野菜等を買ったあと忠類の道の駅を目指す。忠類の道の駅には、パークゴルフの愛好者の誰かが滞在しているはずである。
ところが行って見ると、知り合いの人は皆無だった。キャンプ場や駐車場には、いつもと同じようにかなりの人たちが滞在していたのだが、ぐるーっと廻ってみても、知り合いは一人もいないのである。不思議に思い、念のため今年は所用があって早く自宅に戻っておられる、福島県のIさんに電話して訊いて見ることにした。Iさんはここの常連のお一人で、自分よりは事情を良くご存知である筈と思ったのだ。で、訊いたところでは、良くは判らないけどお盆近くとなると常連の滞在者はシーズン来訪者の迷惑になってはいけないと、その時期一斉に他場所に移動することがあるのだとか。未だお盆には少し早いと思うけど、そうなのかもしれないと思った。誰もいないのでは、ここに泊っても仕方がないと考え、とにかく傍にあるナウマン温泉に入って、そのあと今夜も中札内の道の駅にお世話になることに決める。予想外の展開である。
16時過ぎ忠類を出発して中札内に向う。とにかく今日は暑い。30℃をかなり超えているに違いない。こうなると内地と変わらなくなる。頼みは夜の涼しさだけである。ようやく蝦夷梅雨も終わって本物の夏を迎えたようだ。エゾ蝉たちの鳴き声も一段と大きくなったようだ。日の影がかなり長くなり出したので、道の駅に戻る手前にある美術村にもう一度寄って、木蔭で休むことにした。これは正解で、森の木立ちがどうにか車が入れるだけの日陰を作ってくれていた。北海道には木がたくさんある割には、木陰のある駐車場が少ない。これは防雪と関係があるのかもしれないと思っているけど、真偽はわからない。地元の方に声を掛けられ、20分ほど雑談をする。
17時を過ぎ、道の駅に戻る。昨日よりも車が少なく感ずるのは、少し遅い時間となっているからか。とにかく暑い。蒸し暑い。車の中よりも外の方が涼しいのだけど、虫が多いのでうっかり居続けはできない。汗を流しながら夕食を終える。止せばいいのに、焼きソバなどを作ってしまった。汗が収まるまでにかなり時間が掛った。涼しくなり出したのは深夜近くなってからだったろうか。寝苦しい時間が続いて、やっと本物の眠りにつけたのは1時を過ぎていた頃だと思う。明日は雲があってもいいからチョッピリ涼しくなって欲しい。
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