第26日 <8月4日(水)>
【行 程】
道の駅:しほろ温泉 → ナイタイ高原牧場展望台 → 道の駅:おとふけ → 音更町内コインランドリー → 帯広市郊外ショッピングモール → 中札内美術村 → 六花の森 → 道の駅:なかさつない (泊) <129km>
昨夜はこの道の駅には30台近くの旅車が泊ったようだ。大変な賑わいである。その割に静かだったのは、皆さん旅の要領を心得ておられるからであろう。騒音をバラ撒くトラックもなく、安眠の時を過せたのは幸いだった。5時過ぎくらいからボチボチ次の目的地に向かう人たちが出発して行った。朝食を終えた8時ごろには残っている車は10台以下となっていた。その半分くらいは、早くも近くのパークゴルフ場に出かけて行かれたようである。ここはTVが殆ど映らず、何時もの朝ドラは音声で聞くだけだった。やはりブースターを取り付けなければならないかなと思った。今頃になってその気になるというのは、TVなどの画像に対して鈍感の証明となるのはよくよく承知している。
今日はあまり天気が良くないようだ。今のところ雨は大丈夫らしいが、雲が垂れ込めている。今日は上士幌のナイタイ高原牧場に行き、雄大な景色を眺めた後、その大自然の空気を胸いっぱいに吸って、半日くらいゆっくりと過したいと思っているのだが、それは上天気を予想してのことである。曇っていて霧が出たりしたら何も見えなくなってしまい、その様な思いは吹き飛んでしまう。どうするかしばらく迷ったのだが、とにかく行ってみることにした。
9時少し前、準備を終えて出発。ナイタイ高原牧場は、ここからは40分ほどの所にある。ナイタイというのは勿論アイヌ語であり、ナイというのは水の流れのことらしい。即ち川ということである。タイというのは、奥まってあると意味のようで、ナイタイというのは奥まった川があるということになり、川の源流となるような沢のある地形を指しているようだ。地図によれば、然別湖の東にナイタイ山という1300m超の山があり、その東側の山裾にある高原を開拓して大牧場が作られているのである。その草地の広さだけで430haもあり、これは守谷市の凡そ12倍の広さとなる。この牧場には、成牛となる前の牛たちが育てられているとのことである。
平地から次第に坂道となり、しばらく走ると牧場の基地となっているらしい場所があり、そこから牧場の上方にある展望台に向った道が6kmほど続いている。ここからは視界を遮る物が何もないので、その雄大な展望を楽しむことが出来る。今日の牛たちは近くにはいないようで、遙か遠くの谷の向こうで、白黒斑模様の一段が小さな塊となって見えるだけである。しばらく走って展望台の駐車場に到着する。天気の方は、霧は出ていなくて一応の眺望は利くのだが、山側の方には雨雲らしいのがあって、これが悪さを仕掛けてきそうな雰囲気だった。外に出てしばらく眺望を楽しむ。
ナイタイ高原牧場の風景。とにかく広い。中央に見える白黒斑の30頭近い牛たちも、ほんの一握りの点の集まりにしか見えない。この撮影場所から牛たちまでは1km以上離れていると思う。
とにかく広く大きな眺望である。眼下には帯広平野の北部の上士幌、士幌、本別、池田などの開拓された平地が広がり、その遙か遠くには斜里岳や知床の羅臼岳などが霞んで見えた。又右手の方には帯広市の都市部らしいのがスモッグを頭に掲げて広がっている。後ろを仰ぐと、これは牧場の上に未開発の山地が控えている。長野県の霧が峰や美ヶ原の大きな山の展望を思い出すのだが、ここは展望という点では、より間近に下界を見下ろすことが出来るので、一味違った感慨に捉われるのである。これが快晴の日ならもっともっと気分は爽快となるに違いない。残念ながら今日はそうはゆかないようで、小粒の雨が時々落ちてくるようになって来た。
展望台の休憩所の小屋の方に行くと、そこでは先着の邦子どのが店の人と何か話をしていた。実はここに来るには、もう一つの楽しみがあった。それは去年の北海道の旅で知り合った、Fさんが作られた大凧が、この店の中に飾られているという話をMさんからお聞きしており、それを是非拝見したいと思っていたのである。特に邦子どのは、Fさんの大凧のファンで、この地でその凧が大空に大きく舞い上がるのを見たいと盛んに言っていたのである。勿論それはFさんと一緒でなければ実現しないのだが、今年はそのチャンスは難しい。その飾られた大凧の前で、邦子どのは何やら話を仕掛けていたようだった。
Fさんの大凧は本格的なもので、ご自分で書かれた武者絵は、住まわれている青森県は五所川原のねぷたの技を駆使したものであり、真に飾るに相応しい芸術作品でもある。飾られているのは1枚だけなのかと思ったら、もう1枚増えて2枚となっていた。店の人の話では、今年もう1枚を頂戴したのだとのこと。Fさんは豪快な方なのだが、この凧に描かれた武者絵は、実にやさしい表情をしていた。特に目が優しい。これがFさんの本当の姿なのだろうと思った。今年は会えないけど、来年は是非お会いしたいものだと思った。邦子どのも同じ気持ちのようである。
展望台休憩所のお店に掲げられているFさん製作の大凧の武者絵。蛸の大きさは縦が2m横が1mほどもあろうか。これが大空に舞い上がる時は、さぞかし見事なことだと思う。
お土産にバター飴を少し買って外に出ると、雨が降り出していた。これではここで昼寝をしたとしてもあまり好い気分にはなれそうもない。霧でも出てきたら戻るのにも厄介になりそうである。仕方がないので下界に戻り、今日の泊りを予定している帯広市郊外の十勝川温泉の方に向うことにした。
下りる途中に前回も見たツリーハウスに立ち寄る。これは丁度ゲゲゲの鬼太郎の住まいのように、木に取り付けて作った小屋があり、以前TVのコマーシャルの映像作成に使われたものである。勿論中に入ることなど出来ず、以前よりも駐車場も狭くなっていて、近寄りがたいものとなっていた。写真を2~3枚撮って後にする。
高原牧場ての途中の道脇にあるツリーハウス。何年か前のコマーシャル撮影用に作られたものらしい。ここで本を読みながら昼寝をするのも良いものだろうなと思った。
下界に降りて、R241に入り、帯広方面に向かって走り続ける。北海道には真っ直ぐな道が多いけど、このあたりの道も真っ直ぐだ。どこまでも真っ直ぐで、道の両側にはジャガイモやトウモロコシ、小豆などの畑が防風雪林に守られて続いている。士幌から音更町に入り、ここの道の駅で小休止。しばらく休んで出発する際に、電柱にコインランドリーの広告があるのを目にする。邦子どのが最前から帯広で洗濯をしたいと言っていたので、帯広まで行かなくても今日ここで済ませればいいのではないかと思って話すと、その方が良いとのこと。それで、急遽先に行くのを変更し、広告にある1km先左折という案内に従って走る。ところが1km行って左折しても見つからない。これじゃあダメだと諦めてもう少し先に行ったら再び同じ案内があり、左折の表示があった。1kmどころか2km近くの距離だった。少しムカツキながら左折して行ったのだが、又見つからない。とうとう通りの角まで来てしまった。バカモンと思いながら引返そうとすると又広告の表示が電柱にあった。戻る方向である。バカバカしいったらありゃしない。からかわれているように感じた。戻って少し行くと極めて判り難い表示の看板があり、そこが目的の場所だった。何というセンスの無さだろうと呆れ返ってしまう。しかしそれでもまあ見つかったので、洗濯を始めることになった。
洗濯は邦子どのの世界である。丁度昼飯時近くになっていたので、ご飯を炊いてその準備をすることにした。これは自分の役割である。オカズは既存のもので間に合わせることにする。今朝のTVが音声だけだったので、昼の放映をもう一度見たいと思い、TVの受信の準備もする。SUN号のTVは見るのに手間が掛るのである。アンテナを一々セットして、チャンネル設定をしなければならない。リッチな人は全て自動でできる装備をつけているのだが、年金暮らしでは、その様な贅沢は出来ない。ま、それもあるけど、この一々の面倒くささがボケ防止の薬にもなっているのだと思っている。ここの受信状態もNHKに限って良くなかったが、一応映像はそれと判明できるレベルでは映っているので、まあ善しとした。洗濯物の洗いの処置をし終えた邦子どのが戻って、昼食となる。TVを見えて一休みしている内に洗濯も終了に近づく。
休憩の間の話で、邦子どのが帯広近郊の観光ガイド情報の中で、中札内の六花の森とかいう美術館や美術村、それに何とか庭園や花畑などを見たいと盛んに言うので、それならば今日十勝川温泉に泊るのを止め、明日に備えて中札内の道の駅まで行ってそこに泊ることにしようと、又々予定を変更することにした。どこに泊っても大して変わりはない。ということで、帯広市内を通り抜けて中札内の方へR236を行くこととなった。
途中帯広の郊外近くにショッピングモールがあるので、もし家電の販売店があったら、ブースターを買ってしまおうと思い立ち寄る。行って見ると新たに巨大店舗も加わったのか、まさに大規模のモールとなっていた。家電の店に入って探したのだが、売っているのはTVの完成品ばかりで、部品などは殆ど置いていない。ブースターなどというものは、売るべき商品ではないと考えているようである。大型量販店の殆どはこのような販売哲学のようである。解らないわけではないけど、売れないものは売らないという考えだけで良いのかについては多少疑問がある。ということで、ホームセンターの方に行ってみた。ここにはちゃんと欲しい物が置いてあった。どう取り付けるのか少し不安があるけど、間違ったものを買いさえしなければ何とかなるだろうと、買うことにした。
その後は一路中札内の道の駅を目指す。道の駅に着いたのは、未だ15時半くらいだったので、錨を下ろすには少し早過ぎると思い、明日行く予定の場所の下見に行くことにした。皆道の駅からそれほど遠くはない場所のようである。先ずは中札内美術の村へ。思ったよりは遠かった。森の中に施設や作品が点在しているようである。詳しいことは明日にすることにして、次の訪問先の六花の森に向かう。本当はこちらの方が先に行かなければならないロケーションなのだが、入口の案内表示が不十分で、途中までの判り易さを台無しにしている。先刻のコインランドリーと同じだなと思った。美術の村にも同じ様な言い方が少し当てはまる感じがする。道案内というのは、最後が肝心だと思うのだが、この辺りでは途中が肝心で、それさえしっかりやっておけば、迷わずにやって来るはずと思っているらしい。どうにも解せない。若しかしたら、これは自分の不注意による単なる見落としなのかも知れないけど、歩いているわけではないので、走る車からは見落としがちなのだということをもっと解って欲しい。
とにかく六花の森も所在も確かめて、もう1ヶ所の紫竹ガーデンとかいうのは明日にすることにして、道の駅に錨を下ろす。車は多く、混んでいる。大型のトラックなども休息に入ってきて、なかなか落ち着かない。夕刻になって、ようやく混雑も収まり、泊りの車は数台となったようである。時々雨音が天井を叩いたりしていたが、本降りには至らなかったようだ。早めの就寝とする。
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