山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

筑波山登山の記(第32回)

2015-04-07 11:09:52 | 筑波山登山の記

<第32回 登山日 2015年4月1日(水)>

   長いこと筑波山に足を向けなかった。登山が嫌になったわけではないのだが、一度途切れてしまうと、強引に目前の些事を押し切って山に向かう意思が働かなくなり、些事に引きまわされて動きを止めてしまうという日々が続いていた。昨年の4月25日以来だから、早や1年近く経っての再開ということになってしまった。昨年は最低でも月2回、年間24回の登山を目指していたのだが、結果は19回という惨めさで20回にも至らず終いだった。今年は立ち上げの開始が遅れてしまったが、昨年以上の実績は積み上げたいと考えている。あまり大きな数値は言い触らさない方が賢いと思うようになっている。

  登山はしなかったけど、歩きの方は欠かさず行っており、昨年も500万歩以上の実績を残すことが出来てはいる。しかし、平地を歩くのと登山のそれとでは一歩の価値というのか、エネルギー消費の格差は大であり、比較するのはナンセンスである。使う筋肉も多岐に亘ることになり、身体を鍛え維持するには、このハードさが不可欠だと思っている。筑波山麓の梅林の観光が3月末日に終了するので、それを待って登山を再開することを決めていた。観梅時には車での来客が多く、駐車場はかなり混雑するので、それを避けたいとの思いがあった。

  自分の毎日の起床は、深夜の2時~3時の間で、これは仕事や思考のための時間の使い方を、昼夜逆転させることを思いついて以来の自分の習慣となっていることなのだが、登山にも叶っている起床時間である。この日も3時過ぎには起き出して所用を済ませる。天気が不良との予報なので、ご来光は期待できないため、暗闇登山は止めて明るくなる5時半頃から登山を開始することにして、家を4時半に出発する。途中の道は勿論空いていて、筑波山麓のいつもの駐車場に着いたのは5時10分頃だった。ところが、いつもは無料で置いておける梅林駐車場はすっかり様相が変わっており、機械式の有料駐車場となっていたのである。これには驚いた。駐車料は500円だという。登山の度に500円もの大金を払う気にはなれず。近くのガマ広場と呼ばれる空き地の方へ行って見たら、こちらは200円也の臨時駐車場となっており、管理の人もいないようなので、取り敢えずそこに車を置き登山を開始することにした。料金をとられるなら、戻って来てから払わせて貰おうと思った。それにしてもこの1年の間に随分とまあ、変わるものだなと思った。筑波山麓に幾つかある市営の駐車場は、いずれも500円の料金で、これはかなり高額のように思う。一元の観光客だけを相手ならば、それでいいのかもしれないけど、リピーターにとっては、さほど混んでもいない時期でも500円というのは納得しがたい金額である。重伝建のある桜川市の真壁の町だって、雛飾りのシーズンの臨時駐車場は200円ほどと良心的である。つくば市は、東京都心辺りの行政のやり方と同じでいいと勘違いしているのではないかと思った。機械式では、キャンピングカーは入らず、今年は泊まりがけの登山は無理かなと思ったりした。

  久しぶりの登山なので、仕切り直しの敬意をこめて先ずは筑波山神社に参拝して安全を祈願する。5時30分神社脇の登山道入り口からの登山を開始する。今日は最もポピュラーな御幸ヶ原コースを登ることにしている。今回からメモをとる代わりの新兵器として、ICレコーダーを持参している。今までは、登山コースの各ポイントで、メモ帳を取り出して通過時刻や所感などを記録していたのだが、これが面倒なので、先日新兵器を購入したという次第。ICレコーダーは、それが登場した30年前の頃にも買って使ったことがあるのだが、今日でのそれは記憶量も機能も大幅に進化しており、その中でもパソコンに残しておけるというのが魅力的である。これだと、書かなくても生の自分の声で、その日その時の思いを残しておくことができるのである。大いに活用して行こうと思っている。

  5時25分神社脇の小さな石の鳥居のある登山口から出発する。筑波山神社のご本体は勿論筑波山であり、神社のご本殿は男体山と女体山の二つの峰の頂上に築かれている。今日の登山は、いわば男体山ご本殿への参詣と同じというわけである。ゆっくりと足を運ぶことに決めて、一歩一歩を進める。登山で大事なのはむやみに休まないことだと心得ている。今までの筑波山登山で、途中で休んで水を飲んだことは一度も無い。呼吸を整えながら確実に一歩を進めてゆく。この単調な作業が登山の真髄なのだ。久しく忘れていた登山道の石の並びなどを思い出しながら、そう、もう少し行くと、さざれ石になりかけた岩の露出している所があるな、などと自分が勝手に名づけた箇所や位置が目に入って来る。そのような場所を幾つか通り越して、間もなく中間点のケーブルカーが交差するのが見えるポイントを通過する。ここまで45分。いつもよりは5分ほど遅いペースだ。今日はこれでいい、と自分に言い聞かせて汗を拭って更に歩を進める。

そこから少し登り続けていると、左足の膝に違和感を覚えて来た。痛いというのではなく、何だか力が入らず踏ん張りが利かなくなっている感じがし出した。や、これはヤバイぞ、と思った。というのも左膝には爆弾を抱えているからだ。30年ほど前、半月板を痛めたことがあり、回復するまでに1年近くかかったことがある。その時の専門医に言われたのは、半月板の故障そのものは治らないと思え、但し普通の暮らしができるようにするためには膝の骨を動かしている筋肉を鍛えるように、とのことだった。それ以降はこの忠告を守り、走ることは控えるようにしている。元々は自分は走ることが好きな人間なのだ。又、ハードな歩きをするときは、両膝に必ずサポーターをして、膝への負担を少なくするようにしており、登山の場合は勿論しっかりサポーターを装着して来ている。ちょっとでも違和感を覚えた時は、決して無理をしないように留意しなければならない。登山の場合は、歩けなくなったらお終いなのである。救急車に来て貰うこともできないのだ。左膝には極力負担を掛けないような歩き方に努めることにした。しばらく慎重に歩いていると、違和感が少なくなってきたので安堵した。6時50分、御幸ヶ原に到着する。

天気は予報通りで、青空は全く期待できない。それどころか、かなりの風が吹き上げて来ており、寒さも相当なものだ。休憩なしで男体山の頂上に向かう。頂上までは今まで以上の急な岩場が待っている。途中の坂道の端にカタクリとキクザキイチゲを見つけた。カタクリはまだ蕾。イチゲは寒さのせいか開花した花をつぼめてしまっていた。寒くなければ愛らしい花を見られたのにと残念に思った。岩場を乗り越えて頂上のご本殿に。無事に登山で来たことを謝し、更に今後の登山の無事を改めて祈念した。

   

今日の登山の証明写真。男体山ご本殿。山頂は僅かに春の気配を樹木たちの芽のふくらみに感じるけど、今日は冬の寒さだった。

   

御幸ヶ原から男体山頂へのコース脇に見たカタクリの花の蕾。麓の観光案内所では、カタクリの花畑の宣伝の幟がはためいていたけど、本番はもう少し先になるなと思った。

   

カタクリの直ぐ近くにキクザキイチゲの株があった。こちらも寒そうに咲きかけた花をすぼめていた。

いつもだとここで着替えるのだが、今日は寒くて、あまり汗もかいていないので、そのまま直ぐに下山することにした。いよいよ下りが始まるのだが、とにかく膝を痛めないように細心の注意をしながら一歩一歩を進める。10分ほどで御幸ヶ原に戻り、ここでほんの少し休憩し、持参の枇杷茶を流し込む。近くにいた人に挨拶すると、その方が話かけられて来て、何やらケーブルカーが新しくなったとのこと。直ぐ傍の頂上駅を覗くと、ピカピカの新車が停まっていた。もう一個の相棒の車両は下の駅に停まっており、この両方を見るには、もう少し遅く来て、中間点で見るしかないなと思った。そのようなことを思いながら、直ぐに下山を開始する。

その後も順調に下って、登山口の鳥居に着いたのは、8時20分頃だった。直ぐ下の筑波山神社の境内が騒がしいので、何だろうと見ていたら、何やら神輿のようなものを担いだ人たちが、一列になって階段を登って来ていた。何をするのか、山頂の方に向かっているようなので、これから何かの神事が行われるのかなと思った。そのまま下ってゆき、ホテルの前を通過するときに「筑波山神社御座替祭」とあったので、そうなのかと納得した。「御座替(おざがわり)祭」とは何なのかと調べてみたら、年に二回(4月1日・11月1日)男体山・女体山のご本殿の神衣を新しいものに着替えるという大切な神事だとか。なるほど、それで朝から花火が打ち上げられて空砲が鳴っていたり、大勢の人たちがやって来ているのかと思った。しかし、当方は登山だけが目的なので見物する気にはなれず、そのまま駐車場に戻る。

   

筑波山神社の神事「御座替祭」の景観。これは先頭方の人たちで、この後も続々と人が集まって来ていた。神様も年に2回衣替えをなさるのかと、あとで人間の気遣いを微笑ましく思った。

駐車場には数台の車が停められていたが、管理人はおらず、料金の徴収もなさそうなので、着替えを済ましてそのまま車を出発させる。我が家への到着は9時45分。久しぶりの登山は終了した。さて、明日からしばらくの間、身体の節々が痛くなるぞ、と覚悟した。

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