山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

筑波山登山の記(第30回)

2014-04-26 23:34:16 | 筑波山登山の記

<第30回 登山日 2014年4月24日(木)>

  昨夜はここへ泊って初めての大荒れの天気を体験した。日中は暖かくなって、まあまあの天気だったのだが、夕刻なると積乱雲が発達して、それが筑波山のてっぺんの上あたりで悪意を込めての活動をし始めたらしく、22時頃になると気温がかなり下がり、突然ドカンと一発雷を落とし始めた。最初は何のことか判らず、何か付近で車などの事故でもあったのかと不安になったが、引き続いてのドカンに、これは雷鳴なのだなと気付いた次第。それにしても雷には雨が付きものなのに、雨は降らずただ少し風が騒いで、傍の桜の木を揺らしていただけだった。ところがどっこい、間もなく車の天井が大騒動を開始し、とんだ大雨が降り出した。それに合わせて、筑波山が真っ二つになるかと思うほどの雷がズシーンと重い音を立てて、車と大地を何度も揺るがしたのだった。暗闇の中で、広い駐車場に泊っているのは自分だけなので、雷に集中攻撃されたらとんでもないなと思ったりした。落雷体感の経験は、旅の中で能登のブリ起こしの集中砲火を浴びた経験があるので、そう簡単には驚かないのだが、昨夜の筑波山の落雷劇もかなりのものだった。これで、明日は視界も少し良くなるのではないかなどと、図々しく考えながらの寝床の中だった。

 さて、今日は今回の2回目。予定としては白雲橋コースを往復するつもりでいる。ただ、それだけでは物足りないので、一度女体山頂から御幸ヶ原に降りて、自然研究路というのを大石重ねとかいう名所まで往復しようと思っている。本当は自然研究路を一周したいのだけど、途中崩落個所があり通行禁止との案内が出ているので、折り返すことにしようと思ったのである。

 5時少し前に起き出して、軽く食事をし、出発の準備をする。今頃は5時になればもう明るくなっており、日の出も間近という感じだ。脚の調子を確認しながら歩き始め、登山口に着いたのは5時45分だった。昨夜の雨が地面を濡らして、所々に水溜りが出来ていのを見ると、かなり降ったらしい。滑って転倒しないように気をつけながら慎重に歩を進める。このコースは最初の40分ほどが、単調だけどかなり急な登りばかりが続くので、これが結構厳しいのである。ようやく一息つける平らな場所に着いて、ここまで来れば、もう弁慶茶屋跡までは直ぐである。1時間ほどで弁慶茶屋跡に着いて、休憩なしで先に進む。ここからは巨岩・奇岩の連続で、岩場のきつい場所なのだが、楽しみがついているので、あまり疲れを感じない。大仏岩の近くまで来ると、頂上はもうすぐそこである。一気に登って、山頂には7時30分に到着した。

 少し眺望に期待してきたのだが、途中で大気が暖まり出してボワッとなってきたので、こりゃあダメだなと思ったのだが、やっぱりそうだった。前回にはまだ残っていた眼下の桜源郷ももう終わったようで、代わりに田植えの準備をしているのか、田んぼに引かれた水がおちこちに光って見えた。山頂周辺の樹木たちの芽吹きも始まったようで、膨らんだ芽のつぼみが少し割れ始めていた。一息入れて、御幸ヶ原に向かう。

     

女体山頂からの下界の眺め。筑波の北条米の産地の水田には水が引かれて、今年の田植えの準備が始まったようである。

     

山頂付近のブナの芽吹きが始まった。樹木にも個体差が大きくて、未だ眠ったままの木も見られるけど、芽のふくらみは皆もう弾けそうだ。

 途中のカタクリの里の周遊路は、既に閉鎖されていた。昨日見たよりもイノシシの悪さは一層ひどくなっている感じがした。筑波山のイノシシは、放置しておくと動物愛護を超えての問題を惹起するのではないかと思った。このカタクリの里以外でも、あちこちにイノシシの荒らした跡が見受けられるのである。

 御幸ヶ原に降りて、自然研究路を大石重ねに向かう。この道は桜川市側にある薬王院というお寺さん近くからの登山コースに通じている道でもある。まだそこを通って登ったことはないのだが、いずれはチャレンジしてみたいと思っている。自然研究路は男体山の下辺りを囲んで一回りする1.5kmほどの散策路なのだが、今日が初めてのチャレンジである。どんな感じなのだろうと期待が膨らんだ。

 案内板に従って研究路に入る。思ったよりも急坂の少ない歩きやすい道だった。道の両側にはカタクリや二輪草の花がまだまだ元気に咲き誇っていた。カタクリの里よりもはるかに落ち着いた雰囲気でそれらを味わえて嬉しかった。少し坂を下ると、大石重ねというのがあった。名称からは巨石の様なものが重なって見られる名所なのかと思ったのだが、それは全くの期待はずれで、何と大石ではなく小石の山がそこにあった。説明によると、筑波山に上る時に小石を懐に入れて登ると、身が軽くなって楽に登れるとか、罪や過ちが許されるとか、或いは神棚に筑波山の石を拾って上げておけば、子宝を授かるなどといった信仰が盛んだったとか。この塚はその名残だとのことだった。それにしてもなぜ、大石重ねなのかなと思った。今日はここまでで、写真を撮りながら来た道を戻る。

     

大石重ね。丸くて平べったい、すべすべした石が重ねられていた。現代でもこれら小石を持って祈願する人が多いのかもしれない。大いなる願いの籠った石なので大石重ねと呼ぶのかも。

 御幸ヶ原に着いて、さてどうするか少し迷った。まだ8時20分なのである。このまま来た道を戻るのもつまらないなと思い、帰りは昨日と同じおたつ石コースから迎場コースを通って戻ることにした。二度同じ道を引き続いて通れば、いろいろ気づくことも多いのではないかと思った。もう一度女体山頂近くまで戻って、脇の下山道から先ずは弁慶茶屋跡を目指す。まだ昨夜の雨の水たまりなどが残っていて、滑りやすいので要注意である。女体山下は岩場が多いので、慎重に歩を進める。

 間もなく弁慶茶屋跡に着いて、そこからはロープウエイの下方駅のあるつつじヶ丘に向かって降りる。昨日の歩きの途中で、何か野草の発見がありそうな気がしたので、今日はカメラを抱えながら注意深く道端を見ながらの下山だった。二輪草やカタクリやタチツボスミレなどは写真の対象からは外すことにした。しばらく行くと白っぽい花を咲かせている小さなスミレを発見した。何という名なのかは判らない。スミレにはかなりの種類があるので、それらの特徴を正確に覚えていないとダメなのである。エイザンスミレというのも筑波山にあるというので、もしかしたらそれなのかなと思ったりした。少し下ると、小さな背丈のボケが鮮やかなだいだい色の花を咲かせていた。その少し先にはキジムシロが爽やかな黄色の花を咲かせて春の光を浴びていた。もうロープウエイの駅までは200mほどで、観光バスから降りた子どもたちの歓声が聞こえてくる。筑波山は、子どもたちには格好の鍛練遠足の場所として利用されているようで、昨日もそうだったけど、今日はもっと多い子どもたちがこれから頂上を目指すようである。

     

スミレは種類が多いのでそのどれなのかよく解らない。これは、葉の形からは叡山スミレではないようだ。ツボスミレか或いはミヤマスミレなのかも?

     

クサボケの花。ボケは樹形がもっと大型だけど、これは小さくて地を這うようにして花を咲かせている。花の真紅の鮮やかさは、見れば見るほど美しい。

 ロープウエイ傍の駐車場まで降りて、そこからは昨日と同じ迎場コースを歩く。このコースは筑波山万葉古路と名付けられているらしい。道脇の所々に万葉集に収められた歌を刻んだ碑が建てられていた。大樹の森なので、その中を行く道は昼なお暗いという感じである。木の下に生えている灌木や下草たちも何だかひょろっとしていて、虚弱体質の様な感じがするのは、仕方のないことなのであろう。それらの灌木の中では、真っ赤な実をつけているアオキと新芽を出し始めたユズリハが目立った。ここのユズリハは、街路樹などのそれとは異なっており、正式には何というのだろうかと思った。家に帰ってから調べることにした。静かな森の道は、心身を浄化されてくれるかのようで、清々しく気持ちのいい時間だった。

 間もなく今朝の登山口に到着する。坂を下って少し先が筑波山神社の境内である。昨日その石垣の脇に紫色の塊を見つけている。ツクバキンモンソウである。今日はそれをカメラに収めるつもりで来ている。今朝は縮んで固まっていた花たちも、今は春の光の中で伸び伸びと花を広げていた。ツクバキンモンソウは、ジュウニヒトエをもっと小さくしたような、小さな植物で、株が大きくなっていないとなかなか気付かないものである。これは筑波山神社の境内にあるのだから、本物なのだろうと思った。先週と比べて周辺の新緑は量と輝きを一層増したようである。アカネも伸長を始め、冬の間縮こまっていたヤエムグラなどもいつの間にかすっかりおとなの草に生長しているのに気付いたりしながらの帰り道だった。11時少し前に車に戻り、今日の登山はこれで終わり。明日は暗闇登山を予定している。

     

ツクバキンモンソウの大きな一株。筑波なのだから何処かにあるはずだと探していたら、神社の境内の石垣の下の陽だまりの場所に咲いているのを見つけて嬉しかった。

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 筑波山登山の記(第29回) | トップ | 筑波山登山の記(第31回) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

筑波山登山の記」カテゴリの最新記事