山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

‘14 東北春の旅レポート <第20回>

2014-05-28 06:31:08 | くるま旅くらしの話

【今日(5/28)の予定】 

  道の駅:おおえ →(R287)→ 大江町:左沢地区散策 →(R287)→ 道の駅:はくたか → この先未定

 

【昨日(5月27日)のレポート】    

<行程>

あぽん西浜駐車場 → 道の駅:鳥海 →(R7・R47)→ 道の駅:とざわ →(R47・R13)→ 道の駅:尾花沢 →(R13・R287・R112)→ 道の駅:寒河江 →(R112・R287)→ 大江町:重要文化的景観:左沢地区探訪(歴史民俗資料館・楯山公園)→(R287)→ 道の駅:おおえ(泊)

 <レポート>

昨日は今までの旅の中でもあまり起こらなかった現象だった。まさか遊佐町のここに戻ってくるとは、朝の出発の時には夢にも思わなかったことである。しかし、昨夜はずっと雨が降り続き、悪天候だったことを思うと、存外ここに泊ったのは正解だったのかもしれない。もう一度温泉に入って、熟睡できたのはその証拠のように思った。今朝は昨夜の雨も止んで、青空が現れ出し、何だか一気に暑くなる予感がした。今日はもう羽黒山などに行くのは止めにして、最上川に沿って走るR47を辿り、新庄から南下して尾花沢からそば街道を通って寒河江に抜け、ゴールとしては大江町の道の駅を考えている。大江町には、重要文化的景観の左沢地区があり、時間があれば今日それらの一部を訪ねて見たいと思っている。

8時半過ぎに駐車場を出て道の駅:鳥海に行き、ごみ処理などをした後、酒田方面へ向け出発する。昨日戻ってきた道を辿り、途中で給油をした後、酒田市郊外の最上川にかかる橋を渡った後、左折してR47に入る。この後はこの道を40kmほど行けば新庄市に入ることになる。その間はずっと最上川とつかず離れずの道なりが続いている。以前この道を反対方向から来たことがあり、今日は違う景色を見ながら行くことになる。しばらく行くと最上川は両側を山に挟まれた渓谷を流れることになり、この辺りは最上峡と呼ばれる景観が続いている。最上峡には今でも景観を楽しむ遊覧船が通っており、時々道の左方を水量豊かに流れる川面を、お客を乗せた遊覧船が行き交っているのが見えた。

相棒はどうしてもその遊覧船の姿を川の流れと一緒にカメラに収めたいと考えているらしく、奔っている車の中から盛んにシャッターを切るのだけど、焦点を合わせている間に景色は変わってしまい、シャッターを切った時は邪魔ものばかりが写る結果となっているようだった。ちゃんとした写真を撮るには、停まれば良いだけの話なのだが、道路幅に余裕はなく後続車もあるので、停めるわけにはゆかない。しばらく走っていると、遊覧船の乗り場と書かれたドライブインがあったので、そこに車を停めて舟が来るのを待つことにした。しかし、しばらく待ってもなかなかやって来ないので、いつまでもそうしているわけにもゆかず、出発する。間もなく戸沢村の道の駅近くになる頃に、もう一つの大きな遊覧船の基地の様なのがあったので、そこに車を停めてしばらく休むことにした。川の方に行ってみると、川下り(ここでは上りの便もあるようだった)の舟が何艘も繋がれていた。20分くらい後にここから下りの舟が出るらしいので、それを待って写真をとることにする。待つ間に最上川の水量豊かな流れをしばらく眺めることにした。芭蕉の「五月雨をあつめて速し最上川」の句は有名だが、最上川は五月でなくても一年中水量豊かな流れを保っている。東北の山の受けとめた雨水を静かに、時に激しくあつめて海に流す大自然の浄化作用を受け持ち続けているのかもしれない。人間どもはその流れを物資の流通手段として大いに活用させて貰っており、今日これから行く予定の大江町左沢(あてらざわ)地区なども、その恩恵を受けて栄えた場所であり、更にその上流にもたくさんの恵みを施している。

  

豊な水量の流れを滑りゆく川下りの舟。川の真ん中を行かずに岸辺のより深い場所を行くのは、何か理由があるのかもしれない。

間もなく出航時間が来て、十数名を乗せた遊覧船は出発していった。遠く九州福岡からやって来られた方もいたらしく、相棒はその方としばらく話をしていたようだった。相棒念願の写真を撮って、我々の方も出発する。すぐに道の駅:とざわに着く。この道の駅は韓国の高麗との縁があるらしく、極彩色の朱色の建物が何棟か高台に建っている。なんだか落ち着かない、この景色にはそぐわない感じがする。一番下の方にある地産品の売店を覗いたけど、獲物はさっぱり見当たらず、直ぐに出発することにした。新庄からは一部開通の高速道が無料通行OKとなっていたので、尾花沢の終点一つ前までそれを利用させてもらった。尾花沢の道の駅に寄り、少し休憩する。売り場の中にウルイの良いのがあったので、1把買い求めた。この地ではウルイのことをギンポと呼んでいるらしい。ウルイはギボウシとも呼ばれるから、それがなまってギンポとなったのかもしれない。なかなか面白いなと思った。

ギンポを買って一息入れた後は、R13を少し走って、尾花沢の郊外からそば街道と呼ばれるR347へ右折して入る。この街道は寒河江の方に最上川と交差しながら向かっているのだが、途中に美味しい蕎麦を食べさせてくれる店が何店かあり、蕎麦通の人には見落とせない道筋である。我々は蕎麦通というわけではないけど、時には美味い蕎麦を食べたいという思いは無くしてはいない。今日は久しぶりにそれを味わわせて頂こうと考えている。少し走って、最上川に架かる橋のたもとに「はやぶさ」という店があったので、ここに入ることにした。この店も認定店となっていた。山形県では蕎麦は板そばに限ると思い込んでいるので、板そばを注文した。以前慈恩寺そばを食べた時は、その板の中に入っていたのは真っ黒なそばで、これは度肝を抜かれるほどに堅くて、食べるのに苦労したのを覚えている。まさかそれほどのことはなかろうと思っていたが、運ばれてきたのを見ると白いものだったので安堵した。さっそく口に入れると、ほど良い堅さで、これがそばつゆともぴったり相性が良く、実に美味かった。出されたコゴミのごまあえや漬物も美味くて、この店を選んで良かったなとしみじみ思った。久しぶりに本物の蕎麦を味わった思いがした。

  

村山市そば街道の「はやぶさ」の板そば。具の入っている小丼につゆを入れ、それにそばをつけて食べる。板そばは普通のそばの3倍近い量があり、満腹の満足となった。

昼食の後は、とりあえず寒河江の道の駅を目指す。この辺りはサクランボの名所で、道路の両端にはサクランボ畑が広がっていた。まだ実がついたばかりで、これから膨らんで行くのであろう。農家の人たちはそれほど忙しくもなさそうな畑の感じだった。今は、田植えが終わって一息入れているといった状況なのかもしれない。間もなく寒河江の道の駅に着く。ここはかなり規模の大きな駅舎があり、平日でもかなりの人が訪れていた。30分ほど休憩する。まだ15時前で日は高く、気温は27度を超えているようである。あまりにも暑いので、シャツを脱ぎ七分袖のTシャツ一枚になることにした。数日前までの寒さとは打って変わった環境変化に、果たしてこれから老人は耐えて行くことができるのか、などと大げさに思うほどの暑さだった。

しばらく休んだ後、まだかなり時間があるので、予定していた重要文化的景観の探訪地の内、左沢地区の散策は明日にすることにして、今日は先ず大江町の歴史民独資料館を訪ね、その後左沢の景観を一望できるという楯山城址公園に行くことにして道の駅を出る。10分ほどで歴史民俗資料館に着く。中央公民館というのがあり、そこで受付をし、100円也の入館料を払って資料館の方へ向かう。そこは斎藤半助という方の住まいを移築補修した建物らしく、かなり大規模の古民家らしい建物が資料館となっていた。中に入ると、誰もいないと思っていたのが、ボランティアの方なのか同世代と思しき男性がおられて、家のことやその昔の産業のことなどについていろいろ丁寧に説明して下さった。それによると、この家は、今はもう限界集落が崩壊して住む人もいなくなった十郎畑という集落の名主を務められた方の居宅であり、町に寄付されたものであるとか。その昔江戸から昭和の初めごろまでは、この地は青苧(あおそ)という衣料の原料となる草を植え、それを大阪や江戸に卸すという商いをして栄えたとのこと。青苧のニーズがすたれた後は、養蚕も行われるようになったとも。しかし昭和40年代でその集落の住民は絶え、今は荒れたままだとか。資料館の中には、明治以からと思われるさまざまな民具などが展示されていた。また、青苧を材料とした織物製品や織り機なども展示されていた。これらは相棒の興味関心の度合いの高いもので、説明は逆転している感じだった。何はともあれ、青苧を始めこの地での産物が、最上川の水運や大正に入って引かれたJR左沢線などの運送手段を利用して広く全国に運ばれていったということが良く理解できた。

  

大江町歴史民俗資料館となっている、旧斎藤半助家居宅の景観。重要文化的景観の幟が立っていた。

歴史民俗資料館を出た後は、近くにある楯山公園という所に出向く。ここはその昔の城跡で、そこからの景観は日本一というので、日本一公園とも呼ばれているとか。行ってみると狭い敷地に東屋の様なものが建てられており、確かにそこからの景観は、最上川とそれに寄り添うようにして発展してきた左沢の町が一望でき、見事だった。日本一かどうかは別として、歴史に思いを馳せれば、重要文化的景観にふさわしい眺めだなと思った。写真を撮ったのだが、景色が大き過ぎて上手く収まらないのが残念である。明日は、あの眼下に広がる町中を歩いてみようと思いながら公園を後にして道の駅に向かう。

  

楯山公園から俯瞰した左沢の町並みの景観。左側の流れが最上川。この川はこの辺りでかなりひねくれて蛇行しているようだ。

大江町の道の駅には何度もお世話になっているのだけど、左沢への関心は全くなく、今回重要文化的景観良関心を持って初めてそれと知った次第である。左沢が重要文化的景観に指定されたのは昨年のことであり、気づかなかったのもやむを得ないのかもしれない。とにかく今夜は道の駅に泊ることにして、先ずはそのすぐ近くにある温泉へ。ここには幾つかの入浴施設があるのだが、自分たちは一番近くにある舟唄温泉というのを利用させてもらっている。ここは最上川の急流断崖の上あたりに建っている施設で、景観も良いしお湯も源泉かけ流しである。料金も200円とこれまた安い。先ずは相棒が温泉に行き、その間に自分はウルイを茹で、それが終わって旅の記録の整理などをする。その後道の駅の方に移り、それから自分は温泉に出かけた。戻ってきて夕食。何人かのくるま旅の人たちがおり、今夜は数台が泊りを一緒とするようである。6時過ぎになってようやく日が沈み、やれやれという感じになった。夕食の後は、いつもの通りの早めの就寝となる。

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