山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

東北春旅の十の楽しみ

2014-05-05 03:24:08 | くるま旅くらしの話

 先に東北春旅の大雑把な計画について述べましたが、今考えている今回の旅の中での楽しみを十ほど取り上げて紹介したいと思います。何しろ5年ぶりの東北めぐりの旅なので、9日の出発を前にして、様々な思いは膨らむばかりです。その中で密かに思っている楽しみを身勝手に披歴し、同じような旅を志す方の参考に供したいと思います。

<その1:重要文化的景観の探訪>

 3年ほど前から国指定の文化財の中の「重要伝統的建造物保存地区」の探訪を思い立ち、それらの幾つかを訪ねていますが、今回から、それに加えて「重要文化的景観」を取り上げることにしました。文化的景観とは、「地域における人々の生活又は生業および当該地域の風土により形成された景観地で我が国民の生活又は生業の理解のために欠くことのできないもの(文化財保護法第二条大一項五号)」を指し、現在全国に38件の重要文化的景観が選定されています。その内東北エリアでは、3地域が指定されており、①遠野荒川高原牧場土淵山口集落 ②一関本寺の農村景観 ③最上川の流通・往来及び左(あてら)沢町場の景観がそれに当ります。この中で、②については以前に一度だけ訪ねたことがありますが、今回はその再訪と新たに他の場所も訪ねて見たいと考えています。

<その2:パンダ豆を手に入れる>

豆といえば、北海道が本場の様な気がしますが、私の一番好きなパンダ豆は、青森県産が一番なのです。パンダ豆というのは、豆の形と模様が一見パンダの顔に似ており、そこから名づけられたのだと思いますが、私の育った茨城県の北部では、この豆を「ひたし豆」と呼んでいました。大豆の一種で、一昼夜ほど水に浸した後にしっかりと塩茹でし、それを冷まして食べるのですが、これが丁度枝豆の中身だけを食べるのと同じ食感で味わえるのです。ビールのつまみや酒の肴の一つ加えて恥ずかしくない一品で、私の好物の一つです。東北を旅する時には、必ず七戸の道の駅や十和田の道の駅でこれを手に入れています。関東のスーパーなどでも売っているのを偶に見かけますが、値段が倍くらいもするので、とても買う気になれません。今回はできれば一年分くらいを手に入れたいと密かに考えています。

<その3:早朝の奥入瀬渓谷で朝食と花を楽しむ>

 何だか妙なタイトルとなりましたが、これが今回の春旅では最高の贅沢極まりない楽しみの様な気がします。どのようなことかといえば、早朝7時前の頃に、奥入瀬渓流のせせらぎと鮮緑に染まる森の樹間に車を止めて、モーツアルトを聴きながら朝食を摂り、コーヒーを味わうことなのです。春の東北を旅する時には、必ず奥入瀬渓谷を訪ねることにしており、その時は又必ず早朝の6時頃には渓流の傍にある駐車場に行き、二人占めの空間と時間を楽しむことにしています。今回は5年ぶりなので、その思いは一層強くなっています。そして、その後はせせらぎに沿って2時間ほどの散策をするのを常としていますが、この時はキクザキイチゲや二輪草などの野草たちが至る所に花を咲かせて私たちを歓迎してくれるのです。この味わいは、くるま旅の者にしか与えられない至福の世界ではないかと思っています。

<その4:バッケ味噌を作る>

バッケとは、秋田県などのエリアではフキノトウ(=蕗のとう)のことを言います。バンケと呼ぶ地方もあるようです。バッケ味噌とは、蕗味噌のことを言います。蕗といえば、秋田の大型の蕗が有名ですが、その蕗のトウも大型です。そのフキノトウを摘んで蕗味噌を作るのです。十和田から八甲田山麓に抜ける国道の道脇には、残雪の中に無数ともいえるフキノトウが頭をもたげています。それらを思う存分に摘んで山道を下り、田舎館村の道の駅に腰を据えて、バッケ味噌を作るのです。この作業には1日以上の時間がかかりますが、これも又くるま旅ならではの楽しみです。作ったバッケ味噌は、持参した小瓶に入れ、旅のおみやげとして知人に配ることにしています。さて、5年ぶりの今年は、フキノトウは大丈夫なのか、バッケ味噌は上手くできるのか、そのポイントは、家内の腕の発揮為所(しどころ)にあります。

<その5:「あがりこ大王」への挨拶に参上する>

 妙なタイトルですが、あがりこ大王というのは、ブナの大樹に付けられたニックネームのようなものです。「あがりこ」というのは、数百年前に伐採したブナの切り株から生えた孫生(ひこばえ)が生長したもので、あがりこ大王は樹齢が数百年と推定される大樹なのです。人間が伐採した切り株から新しい樹の生命が芽生えて、息をのむほどの大樹になっているのを見ると、畏敬の念を覚えずにはいられません。あがりこ大王は、秋田県にかほ市の鳥海山麓の森の中に鎮座しているのですが、ここに何本かあるあがりこの中で、大王と呼ばれるにふさわしい貫禄を示して、我々人間どもの愚かさを戒め続けている感じがするのです。

<その6:鯵が沢の焼きイカを味わう> 

 イカといえば、多くの方々が真っ先に思い浮かぶのは函館のイカそうめんなのかもしれません。しかし、自分的には鯵が沢の焼きイカなのです。この地以外でも焼きイカを売っている場所は幾つもありますが、自分の場合は、鯵が沢が一番という観念が固まってしまっています。この塊は容易に溶けるものではなく、青森県の日本海側を通る時には、どんな障害があろうとも、鯵が沢に立ち寄って焼きイカを食べなければ不満はくすぶり続けるのです。中性脂肪の過多気味の自分には、思い切ってイカを食べられるのは、この場所しかないというのが本心なのかもしれません。鯵が沢の焼きイカを外したら、何時イカを口に入れられるかわからないというのが、現在の我が身体の定めなのです。少し心配なのは、この頃は鯵が沢の焼きイカの販売店が少し減ったような気がすることです。今回は増えていなくてもいいから、必ず何軒か残って商売をしてくれていることを切願しています。

<その7:小川原湖畔での静養>

青森県の東方に小川原湖という大きな湖があります。日本では11番目に面積の広い湖で、海とつながっている塩湖です。この湖の湖畔に道の駅があるのですが、その近くに幾つかの温泉があります。この辺りは数年前までは上北町と言ったのですが、今は隣の東北町と合併して東北町となったようです。青森県の天気予報を聞いていると「三八上北地方」という呼び方がありますが、これは南部地方を指しており、南部とは南という意味と南部藩の南部という二つの意味を持っているようです。三は三戸、八は八戸、そしてその少し北が上北ということになるのでしょうが、今は上北という町の名は消えてしまったわけです。上北の小川原湖の湖畔に行った時には、いつも2~3日腰を据えての静養を心掛けています。今回も温泉を味わいながらゆっくりするつもりでいます。

<その8:羽黒山に参詣する>

幾つかの神社やお寺さんにも参詣するつもりでいますが、出羽三山神社の中で、最も短時間で参詣できる羽黒山神社を久しぶりに訪ねたいと考えています。やはりあの国宝の五重塔を見たいし、上手く行けば境内に咲き残っているショウジョウバカマに逢えるかも知れないと密かに思っています。また、参道の脇に大ミスミソウの花を見られるかもしれません。宗教のことよりも、ここに残っている自然に関心大なのです。

<その9:喜多方ラーメンを食べる>

 旅の最後近くは福島県となりますが、東北春旅では必ず一度は、米沢から喜多方につながる国道を通ることにしており、その際には喜多方の町に寄って必ず名物のラーメンを食することにしています。数多くの店があり、どこを選ぶか毎度迷うのですが、今回も大いに迷って楽しみたいと考えています。

<その10:会津若松城下町の歴史探訪の下見をする>

 福島県は隣県なのですが、ここ守谷市からはかなり遠くになってしまい、なかなか訪ねる機会が作れません。特に会津若松は、是非ともゆっくりその歴史探訪をしてみたいと思っている場所なのですが、未だに実現していません。幕末の保守藩の代表的存在として、最も過酷な歴史の辛酸を舐めたこの地の風土は、嗤(わら)うよりも学ぶことの方が遥かに大きいように思います。少し土地の懐(ふところ)に入り込んで、その歴史の来し方を訪ねてみたいと思っています。今回はその下見をするつもりです。先ずは教育施設の核となっていた日新館などを訪ねて、その精神の土台となったものが何なのかを知りたいと思いますし、城下町の構成状況なども確認したいと思っています。幕末の会津藩については、早乙女貢氏の大著「会津士魂」に拠るところ大ですが、そこで取り上げられていることなどを思い起こしながら、できれば2~3日掛けてしっかり下見をしてきたいと思っています。

 

以上、取り敢えず今回の旅の中で思いを巡らしている項目を十ほど取り上げてみました。これらの全ての思いが叶うかどうかは判りませんが、一つでも多く実現させたいし、加えてその他にも幾つかの密かな楽しみがありますので、行きあたりばったりの出会いと共に、この旅の中で満喫したいと考えています。出発まであと数日です。準備を加速化させなければなりません。では。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする