山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

筑波山登山の記(第3回)

2013-05-16 04:54:53 | 筑波山登山の記

<第3回 登山日 2013年5月14日(火)>

筑波登山も第3回目となった。この頃は、毎朝の歩きと併せて、筑波山に登るのが当たり前というか、当然ではないかとの気持ちが定着しつつある。これはもしかしたら一種の病なのではないかと思ったりしている。三浦さんがエベレストのてっぺんに登ったというニュースは未だ届いておらず、その吉報を待ちわびながら、俺は筑波山に登り続けるぞという気分もあるのである。

今回は先回よりも少し早い時刻から登り始めたいと考えていたのだったが、昨夜になってから今日のチャレンジを決めたため、準備が不足している部分があり、少し眠るタイミングがずれてしまい、起き出す時刻を誤って、結局前回と同じ4時の出発となった。予報では今日は良い天気だというのだが、起きて見ると何だか生温かくて、湿気が多くスッキリした快晴といった空ではなかった。筑波梅林の駐車場に着くまでの間に次第に夜が明けて来たのだけど、満面の水を湛えた水田のあちこちから靄が立ち昇って、それらがたなびいて幻想的な景観が作られていた。近くになるまで、筑波山の姿を見ることが出来ず、3kmくらいの所になって、ようやく山容が現れるといった感じだった。今日は、この分だと頂上へ行っても眺望は余り期待できないなと思った。

駐車場に車を留め、早速登山の準備を済ませ出発する。5時10分前である。筑波山神社に参拝し安全祈願と、今日登山を終えて家に戻ってから受診することになっているPSA検査結果が異常なしであることなどを取り敢えずお願いした。所詮何ごともなるようにしかならないとは解っていても、慾というものは神様の前では急に膨らむものらしい。誰もいない境内なので、無言の願い事も神様にはしっかり届いているのかもしれない。

5時10分、登山口からの登山開始である。山麓の杉の森は静まり返っていて、今日は小鳥たちも近くにはいないようだった。ゆっくりと歩きながら呼吸を整える。登り始めは杉の根が剥き出しになっている箇所をしばらく歩くことになる。歩くといっても既に平地ではない。登山口のところからかなり急な坂道が始まるのである。今日は男体山の方を目指すことにしている。頂上に着くまでは決して休憩をとらないというのが自分流の筑波山登山だと思っている。今回は途中で上着を脱ぐこともしないようにと、最初から上着は半袖のチョッキにしている。歩きのリズムを止めてしまうと、疲労が倍加する感じがして、その後が大変なので、どんなにゆっくりでも歩きを止めないことにしている。

10分ほど登った辺りから汗が出始めた。少し蒸し暑いのは、山の中も同じようで、これは前回などとは違った気象条件なのだった。2~3日前に雨が降っているけど、ここでの雨量はかなりのものだったらしく、登るにつれて足元はぬかるみを増してきた。ケーブルカーの中間点辺りまで来るころは、汗が噴き出すようになり、もはや上半身は汗で濡れ尽くしている感じがした。しかし、休むことは決してしないことにして、そのまま前進を続ける。毎日の鍛錬歩行が功を奏しているのを実感しながらの登りだった。上りは膝にショックを与える危険性が少ないので、安心して歩を進めることが出来る。息切れなどは全くない。登山用の呼吸が備わって来た感じがする。

1時間ほど登った所に男女川の源流の水場がある。水は飲まないけど、ここに水場があるということが登山者にとっては何だかホッとする存在だ。それにここまで来れば御幸ヶ原はもうすぐだし、従って男体山の頂上もぐっと近づくのである。気分を入れ替えて最後の急斜面の階段を登る。6時20分ケーブルカー頂上駅のある御幸ヶ原に到着。今回は一息入れることなしでそのまま男体山の頂上を目指す。凡そ75mほどの高低差、距離は300mほどだろうか。これを15分ほどかけて山頂へ。先ずは筑波山神社男体山御本殿に参拝する。ここを拝するのは2回目だけど、拝殿の前に寄贈企業の名前が金色に光っているのは、何とも不可解だ。本当に神様はここに座しておられるのかと疑ったりしてしまう。寄贈するのは人間なのだから、その名を刻んでもいいとは思うけど、本当に神様を敬うのならば、皆に拝ませる位置ではなく、せめて横にそっと名乗る程度にすべきではないのか。もし俺がこの会社の社長なら、断固そうするぞ、などと又また、つまらぬ横道へ逸れたりした。その会社の名は書かないことにしよう。

とにかく全身汗びっしょりになっているので、大急ぎで着替えをする。しかし、下半身の下着までは幾らなんでも神様の傍ですっぽんぽんになるわけにもゆかないと思い、そこは汗を拭うだけに止めた。歩いている内に乾いてしまうことを期待して。水(=エノキ茸のお茶を冷やしたもの)を存分に飲んで、水分の補給をする。今朝はパン一枚食べただけで出て来たので、少し腹が空いた。ビスケットを食べようかと思ったのだが、箱がリュックの下の方に入っており、取り出すのが面倒なので止めて、その代わりに黒飴を2個ほど頬張る。これで下山も大丈夫だろうということにした。景色をと思ったけど、予想通り下界の眺望は殆ど利かない。写真を撮るのもつまらないという感じなのだ。一応登山をしたという証拠にと、1枚だけ霞みの中に僅かに見える下界の写真を撮った。一息いれて直ぐに下山を開始する。

   

筑波山男体山頂からの今朝の眺望。澄んだ空気なら正面に富士山が見えるのだが、今日は靄が立ち込めていて、下界の方は未だ眠りから覚めていないようだ。上空は青空が広がっている。

御幸ヶ原にかけての頂上付近は、今は野草たちの花の姿も消え去り、目立つのは真っ赤な色のツツジの花だった。紫色のミツバツツジも混ざっているけど、真っ赤な色の花は株も大きくて、存在感がある。ミヤマキリシマやクルメツツジがここにあるはずはないだろうから、これは山ツツジといったものなのだろうか。大きな株はケーブルカーの駅の近くにも幾つかあって、これは電車で登って来る人には印象的だろうなと思った。先回まで元気な花の姿を見せていたニリンソウたちは、もう殆ど姿を消し、最後の化粧落としをして咲いているのが僅かに見られるだけだった。

   

山ツツジの鮮やかな赤い花。新緑に映えての萌える赤には、老人でもやるぞという元気を一杯もらえて嬉しい。まだ半分くらいはつぼみが含まれている様だ。

気合を入れて下山を開始する。時刻は6時55分。前回の時よりも少し早いペースである。下山に関しては、未だに自信が無い。膝の不安は、死ぬる時まで付きまとう問題であるから、これはもう慎重に対処するしかない。杖を上手く使うように心がけながら、慎重に足を下ろす。雨の後が影響して滑り易くなっており、要注意である。左膝に爆弾を抱えているので、段差の大きい箇所は可能な限り右足から先に下ろすように心掛ける。途中後ろから来た人に2回ほど追い越された。皆同世代の人たちばかりだったけど、足や膝にトラブルの無い方は良いなと羨ましくお見送りした次第。とにかくマイペースで一歩一歩足を下ろした。それでも2回ほど足を滑らし、そのうちの1回は尻もちまでついてしまった。ドジである。それにしても尻もちをついた姿の自分というものは、真に惨めなものだなと思った。とっさの動きがとれないというのが老人の証拠なのであろう。

水場を過ぎ、中間点を過ぎて、ケーブルカーの宮脇駅傍の登山口に着いたのは、8時10分だった。御幸ヶ原から75分かかったことになる。膝の方も、ふくらはぎの方も大丈夫で、それからの駐車場までの歩きは3回目を無事に終わった安堵感と嬉しさに満たされていた。8時25分駐車場に戻り、10分後には帰途に就く。途中事故渋滞に巻き込まれ、30分以上も帰宅が遅れたのには、ちょっぴり後味の悪さのようなものを感じた。しかし、その後の病院でのPSA検査の結果の報告は、特に心配なしということだったので、まずは安堵し、早速祝杯(?)を挙げたのだった。

コメント
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