山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

ジジババ二人くるま旅漫遊紀行(2003年 西の方へ行くの卷)第12日(その2)

2011-12-19 00:12:33 | くるま旅くらしの話

 

第12日 道の駅:奥津温泉(岡山県)からリフレかやの里(京都府)まで(つづき)

        

 正午近く鳥取市の郊外を通過しました。R9はバイパスとなっているようで、市街地は文字通りパスです。この頃の旧市街というのは、どこにおいても道路の通過が便利になるにつれて置き去りにされて衰退して行くようです。鳥取の街がどういう所なのか全く知らないままに郊外の大型ショッピングモールなどをかすめて走ると、間もなく砂丘への道の入り口となりました。とにかく今日はちょっと覗いて見ることにして、左にハンドルを切りました。砂丘近くの賑やかな場所にある駐車場に車を留めようとしたのですが、これが何と高い料金なのです。せいぜい300円くらいなら我慢するのですが、それを超えると腹の虫がムカッと来てしまい、留める気は一辺に反抗心に激変するのです。たかが砂浜をちょっと覗くだけなのに、車を置くだけで何でそんなに金をふんだくるのかと思ってしまうのです。

 

このような気持ちというかこだわりがどうしても消えないものですから、未だにジサマの犠牲になってバサマは見たい所が一杯ある京都市内の神社仏閣を訪ねることが出来ません。京都という街は魅力的ですが、駐車料金は高額だし、神社仏閣の拝観料は高いと来ていますので、くるま旅では訪ねる気がしないのです。言わせてもらえば、神社仏閣などというものは、もともと衆生を救うために建てられたものなのですから、それをなんだかんだ理屈を付けて銭を巻き上げるというのは、お門違いもいいところじゃないかと思うのです。砂丘だって同じじゃないかとそう思うと、とたんに今までの砂丘を見たいという気持ちが消え去ったのでした。

 

バカバカしいのでパスして少し先まで行きますと、なあんだ、立派な無料の駐車場があるではありませんか。人出で賑わう駐車場からは少し遠いですが、目の前の松林の向こうには同じ砂浜が続いています。そこまで行けば砂丘も同じように見られるというものです。たちまちご機嫌も回復するというのですから、ま、本人以外は呆れた奴と思うのは当然でありましょう。それでいいのです。

 

今日は天気が良すぎて夏日に近いほどの気温です。暑いのでわざわざ砂浜を歩く気にもなれず、ちょこっと様子を覗いただけで済ますことにしました。家内の方も同感なのは、さほどに観光心がないのかもしれません。砂丘というものがどんな按配のものなのかを確認するだけでいいのです。砂浜を時間をかけて歩くのは、若い人たちでいいのではなどと思っているからです。というわけで横着を決め込み、ちょうど昼飯時なので、今朝のご飯のあまりで作ったおにぎりを取り出し、先ほどハワイで買ったサバの串焼きをオカズにしてパクつきました。串焼きは夜の酒の肴にしようと思っていたのですが、待ち切れずに飛びついたという次第です。ウメエ~。ほんとにウメエ~。砂丘などどうでもいいわい。血糖値のことも忘れョ~。ということなのでした。

 

 満腹になって、本当はここで一眠りしたいところなのですが、もう少し京都の方に近づいておいた方が良いと考え出発することにしました。まだ次の目的地がどこなのかが決まっていません。もう少し先まで行ってから泊る場所を決めればいいやというわけです。これはくるま旅の優れた点であると同時に場合によっては欠点になるのかもしれません。何でもものごとを予定通りにやらなければ気が済まないという気の毒な人にとっては、間違いなく欠点だと指摘されてしまいそうです。ということで、とにかく出発してR9に戻って北上することにしたのでした。

 

 少し行くと道が二つに分かれており、左手の海岸線を行くのがR178、そして右手の山の方に入って行くR9とがあり、そのどちらを行くかでしばし迷いました。結局海岸線の方は起伏や上り下りが多くて道も狭い場所が多いのではないかと勝手に判断し、メイン国道であるR9を行くことにしました。R9の方がいざという時に頼れる道の駅が多いということもあります。ということで、R9を福知山の方に向かって進むことにしました。

 

 しばらく走ると夢千代日記で有名となった湯村温泉のある温泉町を通過しました。ちょっと立ち寄り湯をしたいところですが、少し前に腹を満たしたばかりでの日中の入浴はいくらなんでも無理というものでしょう。残念とは思いつつパスすることにしました。気がつけば温泉町からは兵庫県に入っており、ここからはもう但馬路となるのかもしれません。しばらく行くと道の駅「村岡ファームガーデン」というのがあったので、ちょっと寄ることにしました。実は関西エリアの道の駅のガイド図を持っていなかったものですから、それを手に入れたかったのです。売店で訊いたのですがないということで、別の但馬路だけが紹介されているものを頂戴しました。それはそれでありがたいのですが、これから先のことを思うとどうしても欲しかったのです。

 

 ここでちょっと文句を言わせて貰いますと、道の駅のガイドの地図の発行は国土交通省の外郭団体が行っているようですが、この団体はどうも気まぐれで仕事をしている感があり、真面目に本来の道の駅のPRをしようとしていないように思えるのです。エリアによって発行の頻度が違っていたり、配布に当たっても有料であったり無料であったりと一貫性がなく、デタラメの仕事ぶりが伝わってきます。天下りの役人どもが予算を貰うためにおざなりの仕事をしているとしか思えません。このような外郭団体は早々に淘汰すべきではないかと思ったりします。ま、うまく手に入らなかったという腹いせがなせる不遜の言ではありますが、幾ばくかの真実も入っている様に思っています。

 

 ということで諦めて出発です。少し行って「ハチ北」という道の駅がありました。この辺りの土地勘は全くありません。何故ハチなのかも分かりません。地図をみたら鉢伏山というのがあり、その辺り一帯をハチ高原と呼んでいるようですから、この山の名に由来するのかもしれません。又近くに氷ノ山(ひょうのせん)という山があって、この辺りはスキーの名所となっているようですから、冬季は寒く雪の多い場所なのでありましょう。そんなことを思いながら道の駅を覗いたのですが、何もありませんでした。

 

 ハチ北からは峠の下のトンネルを潜って出ると、R9は下り坂になりました。八鹿(ようか)町を過ぎて隣は養父(やぶ)町です。どちらも関東人には耳慣れない呼び名です。八鹿の方は確か同じ名前の銘酒があったと思いますが、養父の方は調べないと分からない読み方です。その養父町に入って川に架かる橋を渡ると直ぐ傍に道の駅「但馬楽座」がありました。ここにも寄ってほんの少し休憩しました。ここには関西エリアの道の駅のガイド地図が置いてありましたので、手に入れました。少し古いものだったのですが、無いよりはマシだと我慢した次第です。又ここには温泉も併設されていましたが、何だかごちゃごちゃしていて料金も高かったので入るのは止めて先へ行くことにしました。

 

 しばらく行くと夜久野という町があって、そこに「農匠の郷やくの」という名の道の駅がありました。時刻はもう16時近くとなっています。そろそろ今夜の宿を決めなければなりません。この道の駅で検討することにしました。道の駅の売店には地元産の黒豆などを使った菓子類などがいろいろ並べられていました。この辺りはその昔の丹波の国だったのでしょうか。黒豆といえば丹波とつながるイメージしかありませんので、発想は単純です。夜久野町というのも京都布に属しており、もうここは京都に入っているのです。明日のことをあれこれ考えている内にふと、天橋立を歩き渡って見たいという思いが浮かんできました。確かあれは歩けない距離ではなかった筈です。股の下から逆さの風景を覗くだけではつまらないとかねがね思っていましたから、いいチャンスです。よし、そうしようと決め地図を見ていると、近くに加悦(かや)町というのがあり、そこに「シルクのまちかや」という道の駅がありましたので、そこへ行って泊ることにしようと決めました。

 

 夜久野の道の駅を出て少し行くと福知山市の市街に入る手前でR9はR175にぶつかります。これを左折し、由良川に沿って4kmほど行くとR176の入り口があり、これを左折して行けば加悦町の方へ行けるのです。R176とR175は彼の酒呑童子で有名な大江山を真ん中に挟んで丸く取り囲むように通っている道なのでした。R176を通るのは初めてのことでした。酒呑童子の話は解かっているような、いないような曖昧な記憶です。鬼退治の話として頼光四天王の一人渡辺の綱の活躍だけは知っているものの、四天王の他の人たちが誰でどんな活躍をしたのかは分らず、分っているのは大江山と酒呑童子、鬼、渡辺の綱ということばだけなのですから、まあいい加減なものです。それにしてもいつも思うのは、何故童子が酒呑みなのかという疑問です。童子といえば子どものことでしょうから、何故鬼に童子などということばを用いているのか、そして又どうして子どもが酒を呑むのか解せません。これは現代感覚しか持ち合わせていない感性の貧しさの所為なのかも知れません。いや、とんだ脱線をしました。

 

 加悦の道の駅は直ぐに判りましたが、駐車場は坂の入り口にあって必ずしも平らではなさそうです。どのスペースも坂になっているのです。これじゃあ寝にくいなと思いました。近くに「リフレかやの里」という案内板があるのが目に入りました。もしかしたら温泉施設ではないかと思いつき、とにかく行ってみようと移動することにしました。これは結果的にピン・ポーンの大正解でした。もう日が暮れ出して辺りは薄暗くなって来ています。施設の玄関先に貼ってある料金などの案内を見ましたら、何と千円を超える金額が書かれていました。これじゃあぬか喜びかと一瞬驚き迷ったのですが、よく見ると、それは湯上がりのビール代込みの料金であり、それを除けばリーズナブルなものでした。ひと安心です。早速入浴させて貰うことにしました。いい湯でした。今日はちょろちょろと寄り道をしながら、気がつけば岡山県から京都まで来てしまっているのですから、多少疲れたというのは当たり前のことだなと、じっくり温泉を楽しんだのでした。その後は道の駅の方に行くのは止めにして、ここの駐車場に泊めさせて頂くことにしました。

 

 車に戻ってビールで一杯やりながらの夕食です。この風呂上がりの一杯のビールは、ビール好きの家内にとっても何の文句もない飲み物であり、この時間は我々夫婦にとって至福の時であると言っても良いように思います。今夜の肴は昨日別れた際にS君から頂戴したかまぼこでした。これが実に美味かった。いろいろあるかまぼこの中でも絶品といって良いものでした。S君ご夫妻ありがとう。ここには入ってくる車もなく静かで最高の眠りをものにすることが出来たのでした。

コメント
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