山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

ジジババ二人くるま旅漫遊紀行(2003年 西の方へ行くの卷)第12日(その1)

2011-12-18 00:24:12 | くるま旅くらしの話

第12日 道の駅:奥津温泉(岡山県)からリフレかやの里(京都府)まで

        

 騒音に眠りを断続化されて少し頭の思い感じの目覚めでしたが、外に出てみるとそのようなことは一ぺんに吹き飛んでしまいました。山の中の朝の空気は清新です。駅舎の反対側の道の向こうに2本の山モミジが植えられており、まだ幼木なのですが、それが鮮やかに紅葉しており、目を覚まされました。このところ比較的暖かい天気が続いており、さほど寒さも感じなかったのですが、さすがにここは山の奥深い場所であり、朝夕の冷え込みも厳しいのでありましょう。モミジの赤さでそれが判ります。奥津温泉というのはもしかしたら奥津山の略語であり、文字通り津山の奥座敷といった役割を担ってきた場所なのかもしれません。ふとそのようなことを思い浮かべました。まだ祭りは終わっていないのでしょう、駅舎の近くでは祭りの来訪者に向けての稼ぎの準備をしている香具師(やし)らしきお父さんたちがあれこれと商売道具の整備をしていました。皆早起きです。今日やってくるであろう大勢のお客さんに期待しているのでありましょう。祭りというものを別の角度から見ている感じがしました。これもくるま旅ならではのことなのだと思います。旅館に泊っていたのでは、このような体験をすることはできません。

 

 さて、今日はどこまで行きつくことになるのか、凡その予定としては、とにかく日本海側に抜けて、その後は京都の方に向かって行こうと考えています。途中まだ通過ばかりしていて寄ったことがない、鳥取砂丘というのを歩いてみたいなとも思っています。いつものようにトイレの処理と給水を終えた後、地元の農産物の即売場を覗いてみましたが、特に購買意欲をそそるものは見当たりませんでした。出発です。

 

 しばらく山の中を走るとやがて人形峠が近づき、峠の下を潜る長いトンネルを潜るとそこからは鳥取県となりました。人形峠といえば我が国では唯一となるウランの産出地だと聞いていますが、今頃はその実態はどうなっているのかさっぱり分かりません。全国各地にやたらに原発がつくられていますが、その燃料となるウランが人形峠のものが使われているなどという話は耳にしたこともありませんから、あの話題は一時のマスコミの気まぐれだったのかもしれません。ワッと飛びついて、一時話題をさらったらその後は何事もなかったように次の出来ごとに飛びつくというのがマスコミの本質のようで、それに振り回される一般大衆はもうすっかり馴らされてしまって、同じような性質を身につけて世の中を渡っている様になってしまっているような気がして、このジサマには気に入りません。ジサマ一人が気に入ろうと入るまいと知ったことではないというのが、これ又マスコミの在り方ですから、ウランのことも知ったことではないということなのかもしれません。トンネルを潜りながら、もしかしたらこの中にも放射能とやらの得体の知れない悪意に満ちた電磁波のようなものが満ちているのではないかなどと思ったのでした。

 

 トンネルを出て、今度は下りに変わった坂を下りてゆくと三朝の道の駅がありました。三朝といえばウランならぬラジウムの温泉が有名ですが、この道の駅は温泉街からはかなり離れた所にあるようです。楽市楽座と名付けられた道の駅にはたくさんの車が留っていて、大勢の人が行き交っていました。何だろうとちょっと寄って見ることにしましたが、駐車場所を探すのに苦労をしました。ようやく空いているのを見つけて車を停め、市とやらを覗いてみました。地元で採れた新鮮な野菜などの農産物が溢れていました。なかなか魅力的なレベルの物ばかりです。これらの野菜類などを求めて大勢の人たちがやって来ているようです。先日の内子や沼隈の道の駅と同じように、ここにも活力というか活気がみなぎっているのを感じました。このような地場産物の販売に関して生産者である農家と消費者の人たちを結びつけるに力のある知恵者の方がいるに違いないと思いました。道の駅に活気を感ずることが出来るのは嬉しいことです。しかし、今の一消費者のジサマとしては、旅の途中であり欲しいからといってたくさん買うわけにはゆきませんので、ムカゴ(=山芋の実)を1袋買うだけでした。塩茹でして酒のつまみに供する予定です。少しさびしい思いがしました。

 

 道の駅を出て、少し行くと三朝温泉への道の案内看板がありました。ちょっと寄って、あわよくば朝の立ち寄り湯も良いかななどと思いながら行ったのですが、道筋にはそれらしき湯屋の建物を見つけることが出来ず、諦めることにしました。細道を中へ入って行けば見出すことが出来るのかもしれませんが、SUN号は図体がでかくて無理なのです。温泉街というのは概して入り組んだ細い露地道が多いので、予めよく調べておかないと立ち寄り湯などの目的を達するのが難しいことが多いのです。今回も失敗でした。

 

 元の道に戻って倉吉方面へ向かいました。倉吉はよく耳にする山陰の町ですが、通るのは初めてです。しかし今回は何の予備知識もなく、家内の国宝探訪のリストに入っている物件もありませんでしたので、どこにも寄らずに通過しただけでした。そのまましばらく走るといつの間にか道は高速道路風になりました。よくは分かりませんが山陰道のようなものを造っている一部なのかもしれません。周りの景色の中にハワイなどと書かれた看板が目に入ります。ハワイ温泉などと書いてあるので、日本のこんな寒そうな所にハワイもないだろうとバカにしながら走っていたのですが、後で地図をみたらこの地は羽合町というのでした。従って羽合温泉というのも本物なのでした。わざわざカタカナで書いてあるのは、勿論宣伝効果を狙ったものでありましょう。よくある話ですが、まさか本場のハワイ島からクレームがつくなどというはないのだと思います。近くに海のようなものが見えたので、この辺りは湾になっていていよいよ日本海に来たのかなと思ったのですがそれは間違いで、東郷湖というかなり大きな湖なのでした。でも日本海も近くて、その海沿いに高速道を建設中のようでした。一部無料で使用できるようになっているようです。そのままその道を走っていると道の駅の案内板がありましたので、寄って見ることにしました。「はわい」という名の道の駅で、どうやら出来たてのほやほやのようです。高速道のSAのような形で運営されているようです。この頃はこのような形の道の駅が幾つか現れて来ているようです。

 

 構内の売店を覗くと、オオッ!サバの串焼きがあるではありませんか。ジサマの大好物なのです。いつも若狭辺りを通る時にはこれを買うのが何よりの楽しみなのですが、まさか今日ここでお目にかかれるとは思いもしませんでした。しかも格安の380円なのです。少し小ぶりではありますが、サバの味には違いないはずです。これを見逃すことは許されません。2~3本買いたい所ですが、バサマの顔はそれを歓迎してくれてはいないようなので、1本で我慢することにしました。本場のハワイには串焼きなどあるはずもないと思いますから、ジサマにとっては日本のハワイの方がはるかに嬉しい場所なのです。これからの山陰の旅では必ずここに寄ることになるだろうなと思いました。単純な話です。

 

 しばらく休憩の後、そのまま高速道を北上しました。泊村というのを過ぎ隣の青谷町という所で高速道は終わっていました。そこからR9に入って鳥取市方面へ向かいます。高速道が無料というのは助かります。時間と経費の削減に大いに寄与してくれるように思います。北海道にもそのような場所がありましたが、日本全国がそうなってくれるとくるま旅の者にとっては真に好都合となります。なるべく高速道は使わないというのがジサマの考え方だった筈なのですが、こういう場所に出くわすと簡単に考えが変わったりするのは、まあ根っからのご都合主義ということなのでありましょう。

 

 海岸線を走る道は岬と呼ばれる地形の部分では坂道となり、曲がりと上り下りが多くなります。青谷町の東端に長尾鼻というのがあり、そこに魚見台という展望台がありましたので、ちょっと車を停めて景色を眺めました。今日は穏やかに晴れて日で、海は青々と広がっていました。魚見台というからには、ここから魚の群れ泳ぐ姿が望見されたに違いありません。今頃は海の生物たちの暮らしも大分に変わってしまって、魚の大群を見ることも滅多になくなってしまったのではないかと思いながら、サバ君たちはどの辺りを泳いでいるのかななどとあらぬ妄想を膨らませたのでした。

 

 魚見台から坂を下りると海岸線がぐっと近くなって、道の左手には少し白波を立てた日本海が直ぐ傍となります。この辺りは白兎海岸と呼ばれている旨の案内板がちらりと目に入りました。停まることはしませんでしたが、そうか、この辺りが彼の因幡の白ウサギの話で有名な場所なのかと思いました。古事記のこの話の解釈には諸説があって、どれが本当なのかなどジサマにはさっぱり分かりませんが、この地で良いのではないかと思います。蒲の穂などは見当たりませんでしたが、もしかしたらその昔にはこの辺りにはたくさん自生していたのかもしれません。しかしまあ、古事記の説話というのは、作り話だとしても、とてつもない大きなスケールのものだなと感じ入ってしまいます。その昔の人たちの想像力というのは、科学などという余計なものなかった分だけ伸び伸びとしていたのかもしれません。(つづく)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする