山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

つくば市という所

2007-10-16 11:20:20 | くるま旅くらしの話

昨日久しぶりにつくば市内を訪ねた。家内のフォークダンスの練習に付き合ってのことだが、勿論のこと、私はその様なダンスなどには一切興味も関心もない。もともとは運転手代わりだったが、この頃は家内も運転するようになったので、運転指導員的な役割と何よりも散歩・散策目的で同行している。

つくば市などと言っても、東北や北海道の旅先では、殆ど無名の存在である。筑波山知ってますか?と話しても、田舎のおじいちゃん、おばあちゃんには、知らんなあ、それ、どこの山?くらいの反応しか示して貰えない。富士山と並ぶ関東の名峰筑波などといっても、それは地元の人の虚勢だけであって、富士山は知っていても筑波山などは知らない人が多いのである。茨城県を茨木と間違え、大阪近くにあるなどと考える人が存外多いのには驚かされるこの頃だ。最近の若者は、地理の勉強などには関心がなく、必要な地名だけわかっていれば、あとは「関係ない!」で済ませているようだ。

つくば市は、茨城県では水戸市に次いで人口第2番目の市である。つい先ほどまでは日立の方が上位だったが、今は追い越したようだ。つくば市については、市のホームページを見れば大概のことはわかる。そう思っている、その様に考えている人は結構多いような気がする。しかし、本当のつくば市は、やはり行って見なければわからない。

つくば市には、理想の実現を目指す3つの像がある。①科学技術都市、②国際都市、③田園都市の3つである。私が見たところでは、①と②は、市街地中心部の研究学園都市のエリアに限られ、市の殆どは③に該当するような気がする。ところで、田園都市というのはあるのだろうか。田園都市とは、都市ではなく田舎そのものを言うように思えるのだが。つくば市は研究学園都市エリアを除けば、田舎であることは明らかだ。

もともと研究学園都市などというものができなかったら、このエリアは関東平野の恵みを最大限に享受できる豊かな田園地帯だったのである。筑波山の山塊エリアを除けば、山は全くなく小高い丘すらも殆ど無いような耕作地帯なのだ。恐らく標高も海抜30mくらいしかないと思われる。研究学園都市ができて、突然田舎のど真ん中に新しい市街地が形成されたのだった。その市街地の中心は元の桜村辺りであろうか。広大な敷地を有する独立行政法人の建物が、元からあった林を取り込んだ中に幾つも立ち並び、日本の国が推進する先端科学の重要な研究機関がここに集中している。そこで何が行なわれているのかはさっぱりわからないが、時々新聞やTVで紹介されるニュースの中に、ここの独立行政法人の名前が挙がるのを見ると、日本の科学技術の未来のかなりの部分がここに付託されているに違いないと思うのである。

研究学園都市と都心の秋葉原を結ぶ、つくば新線(=略称TX)という鉄道が先年開設された。営業開始直前につくば市を訪れた時に、そのターミナル駅が無いのが不思議だった。もう直ぐ運転が始まるのに、駅舎が出来上がっていないどころか、どこにも見当たらず工事の気配すらもないのである。ただ予定されているターミナルの辺りには、立派なバスターミナルだけは完成して運航も開始されていた。後で知ったのだが、何とTXの終着駅は地下なのだ。少しガッカリした。確かに交通渋滞などを考えると、駅舎は地下の方が好都合かも知れない。しかし、街の顔という点では、つくば市はまさに顔なしであるように思う。もっとも現市庁舎も市街の中心部からは遠く離れた田舎にある。これも今のところは顔なしのシンボルのようだ。新しい市なので、これから歴史を刻んでゆく中で、顔を確立してゆくということなのかも知れない。

というように、つくば市はまだまだ未完成の都市なのである。このつくば市に歩きに行くのは、散策の道が充実しているからである。研究機関を結ぶ道にはたくさんの樹木が植えられ、公園も多く、木立ちに包まれた遊歩道も多い。我が守谷市にも遊歩道は多いが、その規模や長さの点ではどうしても見劣りがする。較べて見てもあまり意味は無いが、時々は気分転換につくば市にやって来るのである。

市の中心街から少し外れた所に家内のフォークダンスの練習会場があって、そこ駐車場に車を停めた後、既にゴーストタウン化が始まった初期建設の小規模団地内の小路を通り抜け、市街地の外の田んぼ道の方へと急ぐ。そこには真ん中に花室川という名前だけは美しげなドブ川が流れており、その脇道を上流に向って1時間ほど歩き、今度は左折してつくばエキスポ博のシンボルタワーというかロケットが展示されている記念公園の方へ向って歩く。途中から田舎は終り、突然人工的な公園が出現する。公園で一呼吸入れた後は、国際会議場横の道を真っ直ぐ東に進んで、理想的な林の中の小路を、緑を楽しみながら歩いて、再び郊外に出て左折し、やがて駐車場に戻る、というコースだった。この他にも幾つかのコースを自分なりにつくってあるが、概ね3時間程度の歩きであり、万歩計は2万歩を少し超えたレベルとなる。

つくば市は、不思議な実験都市である。未来志向の部分と過去の豊かさの部分が共生している都市のようにも思う。行政当局は、いみじくも田園都市というような言葉を使われたが、私としては、何よりも田園都市を目指して欲しいなと思っている。科学技術都市とか国際都市などというのは目的ではなく、単なる都市の構成要因の一つでいいのではないか。目指すのは田園都市であって欲しいと願っている。

コメント
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