山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

ボクシングだけの問題か?

2007-10-15 20:50:10 | くるま旅くらしの話

 このところ文明批判のようなことばかりを旅にかこつけて書いたりしているが、今日は旅とは無関係の腹立ちについて書くことにしたい。それは今日JBCから裁定が下された、先日の世界フライ級タイトルマッチにおける亀田問題である。

 先日珍しくTVの放映を見ていて、それが世界タイトル戦だと知り腰を据えて観ていたのだが、両者共に切れのない冴えない戦いぶりで、何だこれは!とガッカリしながらの観戦となった。しかし、終盤になるにつれて、金髪のアンちゃんの方がボクシングをしているのではなく、ただゴリゴリとグローブを擦りつけてクリンチまがいのことをやっているのが目立ってきた。その内に何だかレスリングのようなことをやりだしたので驚いた。これがボクシングなのか?目を疑いたくなるようなシーンが展開され、レフリーが反則減点を取ったのだが、それが何と2点(ラウンドとしては3点減点)だった。2点で済むような反則内容では無いのではと思った。こんな世界戦を見たのは、初めてである。ボクシングが如何にショウ・スポーツであるとはいえ、ここまで堕落したものかと呆れかえったのだった。

 戦いが終わって金髪のアンちゃんは負け、そそくさとお辞儀もしないままに退場していった。世界戦なら、どんなお粗末な試合でも戦った両者がお互いの健闘を讃えあうのが礼儀というものだろう。その様な形式的なことは無用だ!というのが負けた側の本心であって、その表れがこのような行動なのかも知れない。こんな奴らがのさばってTVの画面を賑わしているような国を情けないと思う。日本人はボクシングにおいて、世界に恥を示したといってもいいのではないか。せめて日本人同士だったということが、嗤(わら)い話としての世界への反響を少なくしてくれるのかも知れない。(あるいはその反対かも)

 亀田一家というのは、ボクシング界にとっては諸刃の剣のような存在だったであろう。特異な人気は業界を盛り上げ、観客動員などにおいてそれなりの貢献をもたらしていると考えられていたに違いない。しかしその人気の本質は邪悪だったということが、解明されたようだ。即ち剣(つるぎ)は正ではなく、邪の働きしかできないものだったということだ。

 戦い以前に相手に対して罵詈雑言を浴びせ、恫喝まがいの行為をとるというショウマンシップスタイルは、例えば彼のモハメッド・アリを思い起こすが、彼の置かれていた社会状況を思えば、ある程度は理解ができるし、我慢も出来るのだが、この亀田一家の振舞いはとてもそれと比較できるものでは無い。当初は邪悪ぶるのを売りにしていたようにも思えるが、それが当ってくるにつれ、思い上がりはいつか本物の邪悪の世界へ足を踏み入れてしまったようである。

 彼らは大口を叩くだけではなく、ひたすらにボクシングでの勝ちを求めて、血の滲むような鍛錬を続けて来たに違いないはずなのだが、少しばかり勝ち奢った結果、勝てば無法行為もまかり通るなどと世の中を舐めてしまっている嫌いがある。今回の処分は、はっきり言って甘い。甘すぎる。リング外の愚劣な罵詈雑言だけならともかく、リングの上でのこの試合における一連の行為は亀田一家の本気の演出だったような気がする。父親の再登場はあり得ないとしても、たった1年のライセンス剥奪では、時間不足で反省も更正もできるはずがないだろう。

 ところで、一つ疑問に思うのは、マスメディアの存在と対応だ。今のマスメディアが人間の持つ興味本位という欲望を刺激し、そこに報道のニーズをより多く見出そうとしていることは明らかだ。犬が人間に噛み付いたのではニュースにならないが、人間が犬に噛み付けばニュースとなる、とは確かにニュースの本質を突いてはいるけど、今の世の中、あまりに興味本位の報道が多すぎはしないか。犬に噛み付く人間を養育しているようなところがある。

 今回の亀田一家の事件も、穿って考えてみれば、マスメディアが亀田一家をけしかけて本物の邪悪心を芽生えさせ、育てていたのではないか。そして事件を引き起こさせれば、これがたまらない面白いニュースとなってゆく。昨日までの味方は、亀田一家にとっては最大脅威の敵に変身している。マスメディアは正邪の使い分けが上手である。変わり身も早い。ほんの一握りの悪ぶった連中の先のことなどどうでも良いと考えているのではないか。何だかその様な気がしてならないのである。そう思うと、犠牲者はむしろ亀田一家の方であって、表に出てこない原因系に潜んでいるものを放置しておいてよいのかという思いすらする。しかし、一小市民は無力である。せいぜいこの程度の問題提起しかできない。

 最後に。チャンピオンの内藤君は、亀田一家とは反対の意味で、マスメディアにもみくちゃにされ、使い捨てられる危険性がある。とにかくゆっくり休んで、次の試合に臨んで欲しい。そしてベストを尽くしてチャンピオンの座を守って欲しい。

コメント
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