山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

守谷というところ

2007-04-24 00:33:45 | くるま旅くらしの話

生も又旅であると考えると、私が今辿り着き、住み着いている茨城県守谷市という所も一つの旅先だと考えることができるような気がします。ここに引っ越してきてから早くも4年目を迎えています。家庭を持ってから11回目の引越しでここに至ったのですが、今まで一番長い期間住んでいたのは、川崎市内の7年ですから、それに比べると守谷の在住期間は、ようやくその半分を超えたに過ぎません。思うに、私どもがあまり家に拘泥することなく旅にうつつを抜かすのも、結婚以来平均4年足らずで棲家を替えてばかりいた暮らしの所為なのかもしれません。この歳になれば、定住を考えざるを得ず、それが偶々此処守谷だったということなのかも知れません。

さて、今日は、その守谷についてご案内したいと思います。茨城県守谷市などといっても、この近辺に住まわれている方以外は、殆ど耳にされることのない無名の土地ではないかと思います。

守谷市のロケーションですが、大雑把に言えば東に小貝川、西と北が鬼怒川、南に利根川という3本の川に囲まれた、東京都心から40kmほどの距離にある、面積約36㎢の小さなエリアです。人口は約5万7千人で、都市化の進むエリアと工業団地、それに昔からの農村エリアとで構成されていますが、昨年開通したつくば研究学園都市と都心の秋葉原を結ぶつくばエクスプレス(略称TX)の中継基地を控えた守谷駅の開設に伴い、急ピッチで都市化が進んでいるようです。あと5年後には人口は6万人を超え、都市化は益々スピードを増すように思えます。東洋経済が毎年発表する全国都市成長ランキングに拠れば、昨06年度では13位、04年度では第1位だったということですから、都市としての成長の可能性は大変高いということなのでしょう。このことを例にとって、行政の方ではチョッピリ嬉しがっているようですが、さて、如何がなものでしょうか?最近直ぐ近所の予想外の場所に、突然9階建てのマンションが建つことになり、これに憤慨した先住のある方は、引越しする!などと息巻いておられましたが、都市景観の規制条例等はあっても、規制が効かない状況では、住民としては妙な都市化はあまり歓迎できることではなさそうです。

ここに住むことになったきっかけは偶然であり、運命のいたずらというか、自分の気まぐれのようなことで、必ずしも願って求めた結果ではないのです。旅車の置ける家が欲しかったというのが、最大の動機であり、あとは自分の書斎さえ確保すれば、家そのものの中身など大して興味もなかったという、真にお粗末な考えなので、家内の度重なる非難を甘受するまでもなく、我ながら呆れかえるばかりです。それでも、今は一応定住の決心をしていますので、この街を大事にしたいと思っています。

此処へ越して以来、自分の足と自転車でこの街の殆ど全て(南のエリアの一部を除いて)を歩き、廻り尽くしました。36㎢といえばたった6km四方ということですから、本当は自転車など要らないのですが、足を鍛えるためには歩きだけでなく自転車も有効と考えているためです。糖尿病君の激励を受けて、毎日10km近く歩いていますので、旅に出掛けていて留守の時を除いても、街の中を歩くチャンスはいくらでもあるのです。基本的に毎日同じコースを辿らないことにしていますので、新しいコースを開発せざるを得なくなり、遂には全域を知り尽くすに至るという訳です。

その歩きや自転車での散策の結果分かったことは、守谷という所は、森も多いけど、小さな湖沼地帯であるということ。やはり古来からの利根川や鬼怒川、小貝川等の氾濫の名残りが随所に残っているのではないかと思われます。平均海抜が約20mといいますから、太古は海の中にあった砂地だったのかも知れません。開発が取り残した林や藪に行って見ると、その多くは沼である所が多いようです。

守谷の交通はTXの他に、関東鉄道の新守谷、守谷、南守谷の3つの駅があり、この中の守谷駅がTXとの乗り換え駅になっています。TX守谷駅は、1日の乗降客が1.5万人を超え、当初の目論見よりも多くなっていますが、これはTXの都心と守谷駅までの往復ダイヤが充実している結果によるものと思われます。守谷から先、終点のつくば研究学園に向う電車は、発着の本数が半数以下となり、やや不便な感じは否めません。ついでですが、TXという電車の性能・仕様は、既存のJRや関東鉄道の車輌とは格段の上位レベルにあり、乗り心地が優れているのを実感することができます。不満といえば料金が高いということでしょうか。

守谷の交通としては、鉄道の他に2本のメイン道路が通っています。国道294号線ともう一つは常総ふれあい道路と呼ばれる県道です。現在はこの2本の道路に沿って新たなショッピングモールなどが建設され、その裏側に住宅等の建築も進んでいるようです。

なお、もう一つ交通については、常磐高速道が街を南北に縦断して走っていますが、この道は半地下構造となっており、これを跨ぐ陸橋が多いのですが、騒音も排ガスも思ったより少ない感じがします。守谷にはサービスエリアがあるだけでインターチエンジは隣のつくばみらい市の谷和原が最寄となりますが、これを利用した高速バスに乗ると、夜間なら東京駅から我が家の玄関まで40分で着くことができます。

私が住んでいるのは、北守谷エリアで、関東鉄道新守谷駅から徒歩5分ほどの住宅街ですが、駅に近い割には商店なども少なく閑静な場所です。この辺りは以前牧場等があった所らしく、住宅の進出する余地がなかったようで、新守谷駅も不動産屋と学習塾の建物くらいしかない寂しい駅前風景です。最近駅前近くに大きなマンションが建設されていますので、あと何年か後には、この辺の景観も一変するのかも知れません。

とにかく都市化の波が押し寄せ、新しい創造と共に何かが壊れて行くのが入り乱れて実感できるのが今の守谷市といったところでしょうか。

守谷市の住んで一番満足しているのは、緑が多いということです。歩くのが宿命みたいになっている自分にとって、緑のない道ばかりを歩くのは辛い気分になるのですが、守谷には幾つかの遊歩道が整備され、公園も多く作られており、合わせていろいろな種類の樹木が植えられ、四季の景観を美しく彩ってくれています。その中を縦横無尽に歩き回ることができるのは、この上ない幸せです。少し足を伸ばせば、小貝川、鬼怒川、そして利根川の堰堤に辿り着くことができ、川の流れに思いを馳せることもできるし、冬には田園の彼方に純白の冠雪をいだいた富士山を眺めることもできます。又旧守谷町の中心街近くには守谷城と呼ばれる、一説によれば彼の平将門の築城によるとかいう、お城の旧跡もあります。小さな丘に築かれた城ですが、周囲を沼などの湿地帯で囲む、なかなか戦略的な築城だったようです。何度も足を運び、城跡の森の空気を深呼吸しました。守谷の歴史のことはこれからの知る楽しみの一つです。

街が発展することには反対はしませんが、上手な都市化を進めて頂き、この美しい自然が何時までも多く残り続ける、落ち着いた風情のある街であって欲しいと願っています。
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