山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

アフターサービスとは何か(その2)

2007-04-05 07:09:27 | くるま旅くらしの話

人間同士の理解というのは、情報交換によって進み、深化してゆくものです。言葉をはじめ様々なツールを使ってお互いが情報を交換し合うことによって、相互理解が進んでゆくわけですが、初期段階では情報の量が重要です。そして相互理解が進むに従って、今度は情報の質が問題となります。

例えば、男女の出会いなどを考えて見ますと、どちらか一方が一目惚れしたという話でも、何の会話も無しの状態では、お互い何者かを理解することはできません。最初は他愛もない話から始まり、あれこれとたくさんの会話や対話を続けることによって、次第にお互いの理解が進んでゆきます。そしてやがて恋愛が成就し、めでたく結婚したとしても、尚全てを理解し合っているわけではなく、更なる情報のやり取りが大切になってきます。この段階では、情報は量ではなくその場にフィットした質が重要となるのです。その場にフィットしない情報は理解を損ねることはあっても、より以上の理解の向上、発展には役立たないことでしょう。

このような人間同士の相互理解のあり方は、ビジネスにおいても不変です。何故なら、ビジネスも人間同士のやり取りの上に成り立つものだからです。このような理屈は、一見当たり前のことと見過ごされ、それだけで終わってしまいがちなのですが、私はビジネスにこれを応用することが大変重要だと考えます。

アイデアやヒントと言われるものは、突然降って湧いたように生まれるものではなく、しっかりした理屈(理論・哲学・信念)に基づいて生まれてくるものだと思います。哲学や理論を持たなければアイデアやヒントを生むのは難しいのです。アフターサービスのあり方を考える際も、しっかりした経営(行動)哲学や理論、信念を持つことが何より大切と考えます。

元に戻って、贔屓顧客関係の形成をどのようにして行なうかということですが、そのポイントとしては、

①顧客接点(直接お客様と接するセクション・人材)を強化し、情報交換の密度を上げる(量→質)

②ⅠT(新情報技術)の活用

この二つがメインだと思います。

の顧客接点というのは、お客様と直接対応する業務セクション(組織)や人材(個人)のことを言います。この立場、役割を担うに当って、各人、各セクションが、お客様との情報交換(具体的にはその時々の相互会話や対話)の中で、どのような聴き方をすれば良いのか、何を話せば良いのか、何を話してはならないのか等々の中身を意思統一し、行動につながるように明確にしておくことが大切なのです。お客様の対応は、すべて各人が好き勝手に自分ペースで処理してもOKというようなやり方は、よほど優秀な人材が揃っていないとできない話でしょう。冒頭の経営課題の信用性や倫理観などは、この意思統一の中に全て組み込まれて実践されなければならないものだと思います。

次にのITの活用ですが、私の知る限りでは、現在ホームページを開設していないメーカーさんや販売店さんは殆どないのではないかと思います。つまりIT活用取り組みへの基本体制はできていると見て良いと思うのです。ところが、実際のホームページの活用となると、課題が多いように思います。ホームページの殆どは更新が少なく、動きが見られません。単に製品(車)や付属品等の紹介に止まっています。いつ見ても、あまり変わり映えのしないページばかりです。

ズバリ申し上げれば、アフターサービスにページを割いているホームページは大変少ないように思われます。恐らく個々の相談事はメール等で個別になされていて、ブラインドになっているのだと思います。それはそれで当然のことなのですが、実は、その内容は他のオーナーやユーザーにとっても大切な関心事であるかも知れないのです。そのような情報の公開を行なうことが、一般の人々を含めてお客様の関心を手許に引き寄せる大切なポイントになる筈です。寄せられたオーナーやユーザー情報を、具体的にどのような形で公開してゆくかについては、いろいろ考えなければならない課題が含まれると思いますが、ホームページに動きを持たせる施策の一つとして欠かせないもののような気がします。

次に贔屓客の形成を目指すためには、先ずは業者サイドからの情報提供の働きかけが大切だと思います。これはお客様名簿やカード等をもとに、個々のお客様に対して定期的に車の情報やくるま旅などに関する情報(つまりは買った車を使って是非ともそれやってみたい、出かけてみたいというような衝動に駆られるような情報)を提供するという試みです。売った車を上手に使ってもらえなければ、次の販売へ影響することは必至です。

キャンピングカーの販売店では、多くの場合オーナーやユーザーなどによるクラブキャンプ等を行い、お客様とのコミュニケーションの向上を図っていますが、これだけでは不十分と考えます。メール等を活用して、最低でも1回/2月くらいのペースで、お客様個々人(=全顧客)に対する情報提供を行なうべきです。そして時々はオーナーやユーザーから意見を頂戴するためのアンケートなどを行なうことも必要かと思います。贔屓客の形成は、あくまでも「個人」への働きかけが中心でなければなりません。お客様一人ひとりに対する地道な情報提供・交換の積み上げが、相互信頼の形成に結びついてゆくのだと思います。

以上、サービスとは何かについて、私の考える理屈とその応用の一部について述べましたが、私自身の旅車に関して感じているアフターサービスのあり方の大切なポイントを二つほど取り上げ、述べたいと思います。

◆サービスは心の読み取りとその対応としての動きが決め手

 サービスという言葉は、もともと相手に対して奉仕するというのが語源ですから、基本的には如何に正確に相手の心を読んで、それに行動でどう応えるかということが大切になります。心を読むというのが何よりも大切ですが、これは人間修養と大いに関係があることでしょう。この説明は、個人の心構えなどと関係があり、難しいのでここでは省略します。

強調したいのは、動きのことです。動きに関して大切なのは「タイミングとスピード」ということでしょう。多くの場合、クイックレスポンス、即ちスピーディな対応がサービスの原則です。旅車業界の現実では、この問題は物理的な面で困難を来たしていることが多いようです。工場と販売店のロケーションが離れていたり、多数の部品の在庫を確保することが困難であったり、専門の技術者が不足していたりして、なかなかスピーディに対処して頂けない現実があるようです。この改善は一挙には無理でありましょう。

しかし、このような状況にあったとしても、スピーディな対応を忘れないようにして欲しいと思うことがあります。それは修理や改良等が長納期となる場合には、ユーザーの方から、「未だですか」と確認の連絡が入る前に、納期の様子をタイムリーに連絡して欲しいということです。特に新規納入顧客の場合は、このような働きかけは絶対的な要件だと思います。このような細かな気配りがあれば、ユーザー側としても、たとえ納期が遅くなっても事情を理解して納得しやすくなります。けれども部品を依頼した時は調子よく引き受けたのに、その後はナシのツブテで放置されたままなら、顧客心理は決して良い方法へは向わないのが当然です。

このような細かな対応は、顧客接点に位置する全ての人の責任であり、トップの躾の範疇だと思います。総じてわが国のアフターサービスの世界は、スピードとタイミングに大きな課題が残っているように思えてなりません。キャンピングカーに関してもその例外ではないような気がします。(人手が足りないのだからしょうがないという言い訳は、お客様の立場から見れば、勝手な甘えに過ぎないことなのです。甘えを捨て、必死の努力をして、キチンと対処できているお店やメーカーが、確実に贔屓客を形成・獲得し、成長して生き残ってゆけるのだと考えるべきでしょう) (以下明日へ)

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