東京多摩借地借家人組合

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借地権を売却したいのだが無断譲渡だと言って地主は承諾してくれない

2008年07月02日 | 譲渡・転貸借
(問)借地上建物の売却を不動産業者に依頼し、売買契約書を作成し、手付金の授受及び所有権の移転の仮登記も終了している。しかし地主は無断譲渡を理由に、土地明渡を通告して来た。


(答)建物を譲渡する場合、借地権の譲渡について予め地主の承諾を必要とする(民法62条1項)。
 承諾を得ずに借地権を譲渡すると地主は、無断譲渡を理由に借地契約を解除することが出来る(民法612条2項)。契約が解除されると借地人は地上建物を収去し、土地を明渡さなければならない。
 また地主が契約を解除しない場合でも、譲受人は無断譲渡ということで借地権の取得を地主に対抗出来ない。従って、譲受人は土地を不法占拠していることになり、地主から直接建物収去・土地明渡の裁判を申立てられることもある。明渡請求に対して譲受人は地主に建物買取請求権を行使することが出来る(借地借家法14条)。しかし建物買取価格は借地権価格の20~30%位であり、最終的に譲受人は金銭的損害を蒙ることになる。
 このようなトラブルを回避するためにも、地主の承諾に代わる許可を裁判所に申立てて譲渡代諾許可を受けておく必要がある(借地借家法19条)。
 申立の時期は「譲渡」の前になされなければならない。
 譲渡とは建物の所有権の移転の本登記又は引渡を受けて土地を使用する状態と解されている。売買契約を既に締結している場合でもその履行前に申立をしないと「不適切な申立」として却下される。
 相談者は仮登記の状態なので未だ代諾許可の裁判の申立は出来る。この申立をすると裁判所が借地条件の変更や財産上の給付を条件に地主に代わって譲渡の許可をする。その場合譲渡許可の承諾料は、特段の事情が無ければ借地権価格の10%を基準額としている。残存期間が5年以下の場合は基準額より2~4%程度増額される。
 但し申立をする場合、譲渡する「第三者」は特定されていなければならない。また地主は「第三者」に優先して買受ける権利を有している。
 尚、許可後の6ヶ月以内に建物を譲渡しないと効力は失われる。(東京借地借家人新聞)




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