新・遊歩道

日常の中で気づいたこと、感じたこと、心を打ったこと、旅の記録などを写真入りで書く日記です。

葉室麟『星火瞬く』

2023年11月09日 | 本・新聞小説
ロシア人で歴史上の人物という記憶しかない「バクーニン」が、葉室麟さんの手になれば一気に読んでしまう歴史小説になっています。
明治維新前夜の横浜ホテルで遭遇した人物達が絡む話ですが、その登場人物が当世のAクラスばかり!

一度は日本から追放されたシーボルトが、開国した日本に入国を許されて息子を伴ってやって来るところから物語は始まります。ストーリーテラーは息子アレクサンダー・シーボルト。若く繊細で柔かな視点がフレッシュです。

ロシアの思想家バクーニンがシベリア流刑地を脱出、箱舘を経て横浜ホテルに現れたのです。
そのわずか数ヵ月の横浜滞在中に交流するのが小栗忠順、勝海舟、清河八郎、高杉晋作、オールコック、ジョセフ・ヒコ(浜田彦三)。
ロシア軍艦の対馬占領や公使館焼き討ち事件に絡み登場人物はもっと増えて15~6名。まさにキラ星です。その複雑な糸をほぐす様に維新前夜の動きが興味深く味わえます。
登場するジョセフ・ヒコは吉村昭『アメリカ彦三』で感動の一冊になっています。
幕末の動乱期に幕府を支え近代化を目指す小栗忠順の言動が興味深いところで、もっと取り上げて欲しい人物です。




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