未唯への手紙
未唯への手紙
シェアという価値観
『3万人調査で読み解く日本の生活者市場』より
緩やかなつながりが心地よい「ルームシェア」
「アリー my Love」「フレンズ」など、海外ドラマに登場するルームシェア。欧米では若者のライフスタイルとして一般的だが、日本でもドラマや情報番組で話題となり、紹介サイトも増え、にわかに人気を集めている。
全回答者3万人中の約1%がルームシェアを経験し、約3%が利用意向を示す。若年層の特に男性の利用経験・意向が高く、20代男性ではすでに約2%がルームシェアを経験、約5%が利用意向を持つ。
では、なぜ若者はルームシェアを求めるのだろうか。部屋を共有することで生活費負担を抑えることができるが、どうもそれだけではなさそうだ。
20代男性の経済的余裕度を見ると、「経済的に余裕がある」との回答が全体19%に対して、ルームシェア経験層は30%と高く、必ずしも経済的に困っていない。一方、20代女性では、経済的に「余裕がある」「余裕がない」のいずれの回答もルームシェア経験層が高く、生活費負担軽減のためにルームシェアを志向する場合もあるようだ。
20代ルームシェア経験層のライフスタイルに目を向けると、共同生活をしながらも「気ままな生活をしたい」一方で、「自分よりみんなの幸せを考えたい」「誰も見ていないときにもルールに従う」といった他人や規律を大切にする様子もうかがえる。自分のスタイルを大切にし、同居人との距離感を守りながら、緩やかなつながりが心地よく刺激となっているようだ。
ものは増やさず、利用頻度の低いものは借りたり、共有する「SHARE」スタイルも彼らの特徴だ。仕事にも前向きで、「満足感や充実感のある仕事をしたい」「責任者となり他人を指導したい」と自己実現による上昇志向も持ち、新たなアイデアを生み出し、独立開業の意向も高い。
「SHARE」は、単純な貸し借りだけにはとどまらない。「SHARE」スタイルに、「緩やかなつながり」「仕事にも前向き」といった特徴を重ねると、さらなる新しい価値やビジネスの創造も期待できる。
電子書籍と読書家の微妙な関係
「電子書籍元年」と言われた2011年。ソニー、パナソニック、シャープ、NTTドコモ、KDDIなど、各社が相次いで電子書籍端末を投入した。もっとも、電子書籍は新しいものではない。2004年にはソニーのLOBR16、松下電器(当時)のΣBookと、大手メーカー2社から端末が発売され話題になった。しかし、電子書籍市場は、今も携帯電話向けの電子コミックを除くと、たかだか100億円規模にとどまっている。6%という電子書籍端末の保有率を見ても、まだ普及には遠い。
海外では、アマゾンのKindleが2007年末に発売され、電子書籍ブームを作り上げた。Kindle人気を支えているのは、電子製品にありかちな新しもの好き層ではなく、読書家だと言われている。他の多機能なモバイル端末に比べ、電子書籍を読むだけのKindleは、当初、決して良い評判ではなかった。だが、読書家にとっては、軽くて単機能で、紙の書籍よりも安く本が買えるKindleは最適というわけだ。そもそもアマゾンはオンライン書籍ストアであり、大量に書籍を購入する読書家を多数顧客に抱えていた。Kindleに乗り換えるのは、自然の流れとも言える。
一方、日本の電子書籍は、電機メーカーが中心になって作り上げてきた経緯がある。そのせいか、今はまだ電子書籍端末は目新しい電子製品のひとつにすぎない。
電子書籍端末を保有している人のうち、2008年以前に購入したのは50%の865人。Kindleが日本に輸入されたのは2009年であるから、この865人は、前述したLIBR16などの購入者と考えられる。この層は、スマートフォンやタブレット端末、デジタルフォトフレームといった電子機器の保有率が平均よりも高い。すなわちデジタル製品好きとみられる。その一方で余暇に「読書をする」という割合は43%と、平均よりは高いものの、大きな差ではない。
日本でも電子書籍市場が大きく広がるのは、電子書籍端末が電子機器の新製品としてではなく、書籍の延長として読書家に評価される日が来たときなのではないか。
緩やかなつながりが心地よい「ルームシェア」
「アリー my Love」「フレンズ」など、海外ドラマに登場するルームシェア。欧米では若者のライフスタイルとして一般的だが、日本でもドラマや情報番組で話題となり、紹介サイトも増え、にわかに人気を集めている。
全回答者3万人中の約1%がルームシェアを経験し、約3%が利用意向を示す。若年層の特に男性の利用経験・意向が高く、20代男性ではすでに約2%がルームシェアを経験、約5%が利用意向を持つ。
では、なぜ若者はルームシェアを求めるのだろうか。部屋を共有することで生活費負担を抑えることができるが、どうもそれだけではなさそうだ。
20代男性の経済的余裕度を見ると、「経済的に余裕がある」との回答が全体19%に対して、ルームシェア経験層は30%と高く、必ずしも経済的に困っていない。一方、20代女性では、経済的に「余裕がある」「余裕がない」のいずれの回答もルームシェア経験層が高く、生活費負担軽減のためにルームシェアを志向する場合もあるようだ。
20代ルームシェア経験層のライフスタイルに目を向けると、共同生活をしながらも「気ままな生活をしたい」一方で、「自分よりみんなの幸せを考えたい」「誰も見ていないときにもルールに従う」といった他人や規律を大切にする様子もうかがえる。自分のスタイルを大切にし、同居人との距離感を守りながら、緩やかなつながりが心地よく刺激となっているようだ。
ものは増やさず、利用頻度の低いものは借りたり、共有する「SHARE」スタイルも彼らの特徴だ。仕事にも前向きで、「満足感や充実感のある仕事をしたい」「責任者となり他人を指導したい」と自己実現による上昇志向も持ち、新たなアイデアを生み出し、独立開業の意向も高い。
「SHARE」は、単純な貸し借りだけにはとどまらない。「SHARE」スタイルに、「緩やかなつながり」「仕事にも前向き」といった特徴を重ねると、さらなる新しい価値やビジネスの創造も期待できる。
電子書籍と読書家の微妙な関係
「電子書籍元年」と言われた2011年。ソニー、パナソニック、シャープ、NTTドコモ、KDDIなど、各社が相次いで電子書籍端末を投入した。もっとも、電子書籍は新しいものではない。2004年にはソニーのLOBR16、松下電器(当時)のΣBookと、大手メーカー2社から端末が発売され話題になった。しかし、電子書籍市場は、今も携帯電話向けの電子コミックを除くと、たかだか100億円規模にとどまっている。6%という電子書籍端末の保有率を見ても、まだ普及には遠い。
海外では、アマゾンのKindleが2007年末に発売され、電子書籍ブームを作り上げた。Kindle人気を支えているのは、電子製品にありかちな新しもの好き層ではなく、読書家だと言われている。他の多機能なモバイル端末に比べ、電子書籍を読むだけのKindleは、当初、決して良い評判ではなかった。だが、読書家にとっては、軽くて単機能で、紙の書籍よりも安く本が買えるKindleは最適というわけだ。そもそもアマゾンはオンライン書籍ストアであり、大量に書籍を購入する読書家を多数顧客に抱えていた。Kindleに乗り換えるのは、自然の流れとも言える。
一方、日本の電子書籍は、電機メーカーが中心になって作り上げてきた経緯がある。そのせいか、今はまだ電子書籍端末は目新しい電子製品のひとつにすぎない。
電子書籍端末を保有している人のうち、2008年以前に購入したのは50%の865人。Kindleが日本に輸入されたのは2009年であるから、この865人は、前述したLIBR16などの購入者と考えられる。この層は、スマートフォンやタブレット端末、デジタルフォトフレームといった電子機器の保有率が平均よりも高い。すなわちデジタル製品好きとみられる。その一方で余暇に「読書をする」という割合は43%と、平均よりは高いものの、大きな差ではない。
日本でも電子書籍市場が大きく広がるのは、電子書籍端末が電子機器の新製品としてではなく、書籍の延長として読書家に評価される日が来たときなのではないか。
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