『イスラム流 幸せな生き方』より 家族のきずな
イスラムでは自由恋愛が禁止されているため、男女関係はすべて結婚を前提としたものとなる。日本人男性なら「あの子と付き合いたいな」という目で女性を見るが、向こうでは「結婚相手にどうか」で見る。そのぶん、男性が「この人」と思えば結婚までは早い。
私のモロッコの友人は、壊れたハードディスクをコンピューターショップに持って行き、そこで働く今の夫と知り合った。彼は彼女を一目見て「奥さんにしたい」と思ったそうだ。そこでさっそく質問を開始した。「名前は何か?」「父親は何をしているか?」「年は?」……。彼女はそんな彼の胸の内には気付かず、聞かれるままに答えていた。後日品物を受け取りに行った時、プロポーズされた。彼女も即OKしたという。プロポーズされた瞬間、恋に落ちてしまったとか。翌週には彼は彼女の家に求婚のあいさつに行っている。
男女隔離社会では男女が知り合うチャンスが少ないから結婚が遅れがちなのでは? と思われそうだが、実は逆だ。周りに異性が少ないぶん、たまに縁ができると「これを逃すと次がない」「この相手をなんとしてでもつかまえなければ」と焦りの心理が生まれる。こうして少ないチャンスをものにし、スムーズに結婚へと進む。
次々に異性が現れるような状況では、「他にもっと良い人がいるかも」とついつい思ってしまい、「気づいたらずっと独身だった」となりがちだ。
また異性に免疫がないから、縁があった異性にすぐときめいてしまう。1回会っただけで恋に発展するケースも多い。互いに紹介された場で、相手の女性がポッと顔を赤らめてうつむいたりすると、それだけで男性の方はグッときてしまったりする。
もちろん親が勧める相手と結婚したものの、合わなくて離婚ということもある。
パキスタンなどでは、結婚まで会ったことがないというケースが今もある。私がカラチで会った20代の女性は、14歳の時に両親が決めた相手と結婚した。結婚後に、夫根強い処女願望が麻薬と酒をやることを知った。やがて暴力も始まった。暴力がこうじて石油をかけられたこともある。今は2人の子供を連れて別居中だ。裁判で離婚が確定した場合、夫が子供を引き取る可能性があるため、離婚はしないという。
しかしそもそもイスラムでは、結婚前に女性の意思を確かめなければならないことになっている。嫌がる相手と無理やり結婚させられるわけではない。
『預言者が「既婚の女はその意向を尋ね七からでなければ嫁がぜてはならず、また処女もその同意を得てからでなければ嫁がせてはならなごと言ったとき、信者達が「その同意はどのように示されるのですか」と尋ねると、彼は『沈黙することによってだごと答えた』(アル=ブハーリーのハディース)
根強い処女願望
結婚前の男女交際は原則禁止だが、イスラム圏の大学は共学だから、実際にはけっこう行われている。
出会いで積極的なのは、たいてい女性の方だ。友人を介して携帯電話の番号を聞くというのが、よくあるパターンだという。大学では女性の方が多い。学歴ある女性は、結婚相手に自分と同じかそれ以上の男性を望むもの。それには在学中に相手を見つけなければ、というわけだ。それにどこも就職難だから、高学歴女性でも職が約束されているわけではない。となると、永久就職に道を見出す女性もいる。
ただし付き合っても、誰もが一線を越えるわけではない。お互い好意をもったら両親に紹介し、見合いの形に持っていく。
でも中には一線を越えてしまう男女も。その後2人は結婚するのか? 多くの場合しないそうだ。
男性たちはこう考えるからだ。
「自分と(結婚もしていないのに)こういうことをするなら、他の男ともきっとやるだろう」
「彼女とは遊び。結婚は、ちゃんと親が決めた相手とするんだ」
自分は遊んでいても、「結婚相手は処女」にこだわる男性は多い。「前の男の方がうまかったんじゃないか、比べられるんじゃないか」という気持ちもあるという。女性と簡単に付き合えないぶん、執着心が強くなるのかもしれない。
そこで結婚相手の処女性をチェックすることにもなる。イランの友人男性に聞いた話では、首都テヘランで80%、地方都市タブリーズでは95%が、「スペシャルドクター」に相手の女性を連れて行くという。友人の場合は相手が処女か気にしなかったが、姉と母親が望んでドクターに連れて行ったそうだ。
「処女」と「童貞」で困らない?
「処女かどうかより、相性の方が大事なんじゃないの?」
「自由にお付き合いできないって、つまらなくないの?」
私たちなら、当然そう思う。これに対するムスリム女性の言い分はこうだ。
「大好きな男性に『俺のガールフレンドだ』って言われるより、『フィアンセだ』って言われる方が嬉しくない?」
「女性は宝石よ。ここでは男は結婚しないと、女性の手すら握れないの。それをタダでやらせるの? ずいぶんお安いのね。娼婦だってお金をもらうのに」
ともあれ、男女で「目指す方向」に違いがないのは良いことだ。日本の場合、女性が「この人と最短で結婚する方法は?」と内心思っていても、男は「いかに後腐れなく付き合うか?」を考えていたりする。そういうミスマッチがないぶん「時間のロスがない」ともいえる。
処女と童貞同士で結婚して、相性が合わなくて離婚ということはないのか?
これについては、結婚前も後も許された相手は夫婦だけ。相性など「贅沢な」ことは言っていられないのが現実だ。また相性うんぬんは比較対象があっての話。他との経験がなければ比べようがない。へたに経験があると前の相手と比べてしまい、「やっぱりあっちが良かったかも」などとなりがちだ。
初めてのベッドインが結婚前にしろ後にしろ、女性にとって期待感が高まるのは日本と同じだ。
女性たちは結婚式の何日も前からハマム(公衆浴場) へ通い、顔のマッサージと念入りな脱毛を行う。すべすべした肌が男性の快楽を増すと思われているからだ。
脱毛にはヘルワというものが使われる。レモンを5、6個絞り、砂糖を1キロ混ぜて熱湯で煮詰めて練った、アメ状のもの。これを肌にベタッとつけてはがすと、一緒に毛が取れる。
「豊満な体が夫に性の喜びを与える」と信じられているので、鶏肉など栄養があるものも積極的に食べる。むしろ日本より気合いが入っている。
デートもろくにしないで結婚し、ラブラブで暮らしている夫婦は多い。
イランの地方都市に滞在していた時のこと。市内の公園に行く途中、道に迷ってしまった。たまたま通りかかった男性に道を聞いたら、案内してくれることになった。道すがら、彼はしきりに言う。「おれんちに来て夕ごはん一緒に食べようよ。おれの奥さんの手料理、最高なんだ」。最初は断ったが、しつこく何度も誘ってくるので、しかたなくという感じで家に呼ばれた。
いただいたのは、「サラダ・シーラージ(キュウリやトマトのサラダ)」「チキンのトマト煮込み」などの定番料理。それはともかく、夕食が出てきたのは夜の12時近くで、とにかく眠くて、味はよく覚えていない。「手前味噌」という言葉があるが、愛妻の手料理なら、なんでも美味しく思えてしまうものらしい。
エジプトでは、町中に女性下着ショップがたくさんある。ショーウィンドーにはピンクのネグリジェやヒョウ柄のパンティなど、かなりキワドイ下着が堂々と陳列されている。その前で仲良く手をつなぎ、熱心に見入っている中年夫婦。よくある光景だ。
セクシー下着は夫婦の夜を盛り上げる必須アイテム。夫婦の性を奨励するイスラムでは、セクシー下着は何らやましいものではない。
「ねえ、あなた、あの赤いパンティ買ってよ」
「それより、あの黒のガーターベルトどうだ? そそられるなあ」
……そんな会話が聞こえてくるようだ。
日本や欧米の結婚は最初に愛があり、イスラムの結婚は結婚後に愛がある。順番が違うだけ。そして夫婦以外の異性と交われないからこそ、性の興味が夫婦だけに向けられ、密接な夫婦関係につながると言える。
イスラムでは自由恋愛が禁止されているため、男女関係はすべて結婚を前提としたものとなる。日本人男性なら「あの子と付き合いたいな」という目で女性を見るが、向こうでは「結婚相手にどうか」で見る。そのぶん、男性が「この人」と思えば結婚までは早い。
私のモロッコの友人は、壊れたハードディスクをコンピューターショップに持って行き、そこで働く今の夫と知り合った。彼は彼女を一目見て「奥さんにしたい」と思ったそうだ。そこでさっそく質問を開始した。「名前は何か?」「父親は何をしているか?」「年は?」……。彼女はそんな彼の胸の内には気付かず、聞かれるままに答えていた。後日品物を受け取りに行った時、プロポーズされた。彼女も即OKしたという。プロポーズされた瞬間、恋に落ちてしまったとか。翌週には彼は彼女の家に求婚のあいさつに行っている。
男女隔離社会では男女が知り合うチャンスが少ないから結婚が遅れがちなのでは? と思われそうだが、実は逆だ。周りに異性が少ないぶん、たまに縁ができると「これを逃すと次がない」「この相手をなんとしてでもつかまえなければ」と焦りの心理が生まれる。こうして少ないチャンスをものにし、スムーズに結婚へと進む。
次々に異性が現れるような状況では、「他にもっと良い人がいるかも」とついつい思ってしまい、「気づいたらずっと独身だった」となりがちだ。
また異性に免疫がないから、縁があった異性にすぐときめいてしまう。1回会っただけで恋に発展するケースも多い。互いに紹介された場で、相手の女性がポッと顔を赤らめてうつむいたりすると、それだけで男性の方はグッときてしまったりする。
もちろん親が勧める相手と結婚したものの、合わなくて離婚ということもある。
パキスタンなどでは、結婚まで会ったことがないというケースが今もある。私がカラチで会った20代の女性は、14歳の時に両親が決めた相手と結婚した。結婚後に、夫根強い処女願望が麻薬と酒をやることを知った。やがて暴力も始まった。暴力がこうじて石油をかけられたこともある。今は2人の子供を連れて別居中だ。裁判で離婚が確定した場合、夫が子供を引き取る可能性があるため、離婚はしないという。
しかしそもそもイスラムでは、結婚前に女性の意思を確かめなければならないことになっている。嫌がる相手と無理やり結婚させられるわけではない。
『預言者が「既婚の女はその意向を尋ね七からでなければ嫁がぜてはならず、また処女もその同意を得てからでなければ嫁がせてはならなごと言ったとき、信者達が「その同意はどのように示されるのですか」と尋ねると、彼は『沈黙することによってだごと答えた』(アル=ブハーリーのハディース)
根強い処女願望
結婚前の男女交際は原則禁止だが、イスラム圏の大学は共学だから、実際にはけっこう行われている。
出会いで積極的なのは、たいてい女性の方だ。友人を介して携帯電話の番号を聞くというのが、よくあるパターンだという。大学では女性の方が多い。学歴ある女性は、結婚相手に自分と同じかそれ以上の男性を望むもの。それには在学中に相手を見つけなければ、というわけだ。それにどこも就職難だから、高学歴女性でも職が約束されているわけではない。となると、永久就職に道を見出す女性もいる。
ただし付き合っても、誰もが一線を越えるわけではない。お互い好意をもったら両親に紹介し、見合いの形に持っていく。
でも中には一線を越えてしまう男女も。その後2人は結婚するのか? 多くの場合しないそうだ。
男性たちはこう考えるからだ。
「自分と(結婚もしていないのに)こういうことをするなら、他の男ともきっとやるだろう」
「彼女とは遊び。結婚は、ちゃんと親が決めた相手とするんだ」
自分は遊んでいても、「結婚相手は処女」にこだわる男性は多い。「前の男の方がうまかったんじゃないか、比べられるんじゃないか」という気持ちもあるという。女性と簡単に付き合えないぶん、執着心が強くなるのかもしれない。
そこで結婚相手の処女性をチェックすることにもなる。イランの友人男性に聞いた話では、首都テヘランで80%、地方都市タブリーズでは95%が、「スペシャルドクター」に相手の女性を連れて行くという。友人の場合は相手が処女か気にしなかったが、姉と母親が望んでドクターに連れて行ったそうだ。
「処女」と「童貞」で困らない?
「処女かどうかより、相性の方が大事なんじゃないの?」
「自由にお付き合いできないって、つまらなくないの?」
私たちなら、当然そう思う。これに対するムスリム女性の言い分はこうだ。
「大好きな男性に『俺のガールフレンドだ』って言われるより、『フィアンセだ』って言われる方が嬉しくない?」
「女性は宝石よ。ここでは男は結婚しないと、女性の手すら握れないの。それをタダでやらせるの? ずいぶんお安いのね。娼婦だってお金をもらうのに」
ともあれ、男女で「目指す方向」に違いがないのは良いことだ。日本の場合、女性が「この人と最短で結婚する方法は?」と内心思っていても、男は「いかに後腐れなく付き合うか?」を考えていたりする。そういうミスマッチがないぶん「時間のロスがない」ともいえる。
処女と童貞同士で結婚して、相性が合わなくて離婚ということはないのか?
これについては、結婚前も後も許された相手は夫婦だけ。相性など「贅沢な」ことは言っていられないのが現実だ。また相性うんぬんは比較対象があっての話。他との経験がなければ比べようがない。へたに経験があると前の相手と比べてしまい、「やっぱりあっちが良かったかも」などとなりがちだ。
初めてのベッドインが結婚前にしろ後にしろ、女性にとって期待感が高まるのは日本と同じだ。
女性たちは結婚式の何日も前からハマム(公衆浴場) へ通い、顔のマッサージと念入りな脱毛を行う。すべすべした肌が男性の快楽を増すと思われているからだ。
脱毛にはヘルワというものが使われる。レモンを5、6個絞り、砂糖を1キロ混ぜて熱湯で煮詰めて練った、アメ状のもの。これを肌にベタッとつけてはがすと、一緒に毛が取れる。
「豊満な体が夫に性の喜びを与える」と信じられているので、鶏肉など栄養があるものも積極的に食べる。むしろ日本より気合いが入っている。
デートもろくにしないで結婚し、ラブラブで暮らしている夫婦は多い。
イランの地方都市に滞在していた時のこと。市内の公園に行く途中、道に迷ってしまった。たまたま通りかかった男性に道を聞いたら、案内してくれることになった。道すがら、彼はしきりに言う。「おれんちに来て夕ごはん一緒に食べようよ。おれの奥さんの手料理、最高なんだ」。最初は断ったが、しつこく何度も誘ってくるので、しかたなくという感じで家に呼ばれた。
いただいたのは、「サラダ・シーラージ(キュウリやトマトのサラダ)」「チキンのトマト煮込み」などの定番料理。それはともかく、夕食が出てきたのは夜の12時近くで、とにかく眠くて、味はよく覚えていない。「手前味噌」という言葉があるが、愛妻の手料理なら、なんでも美味しく思えてしまうものらしい。
エジプトでは、町中に女性下着ショップがたくさんある。ショーウィンドーにはピンクのネグリジェやヒョウ柄のパンティなど、かなりキワドイ下着が堂々と陳列されている。その前で仲良く手をつなぎ、熱心に見入っている中年夫婦。よくある光景だ。
セクシー下着は夫婦の夜を盛り上げる必須アイテム。夫婦の性を奨励するイスラムでは、セクシー下着は何らやましいものではない。
「ねえ、あなた、あの赤いパンティ買ってよ」
「それより、あの黒のガーターベルトどうだ? そそられるなあ」
……そんな会話が聞こえてくるようだ。
日本や欧米の結婚は最初に愛があり、イスラムの結婚は結婚後に愛がある。順番が違うだけ。そして夫婦以外の異性と交われないからこそ、性の興味が夫婦だけに向けられ、密接な夫婦関係につながると言える。
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