・・・「拙著「男らしさという病?」(風媒社、2005年)の第3章「ヤオイ女性と百合男性が出会うときー親密性は変容するか」で論じたように、BL文化は、「女性が、女性という記号を離れて対等な対について思考実験するための避難所」であり、BL本の消費者は、「準フェミニスト」です。公共図書館にBL本を開架しておくことに嫌悪感を抱く人たちは、「同性愛嫌悪」を内面化しているか、「女性が性について表現することははしたない」と思っているか、のどちらかでしょう。アメリカのTVドラマ「Lの世界」や「セックス・アンド・ザ・シティ」が社会現象となる時代に、その感覚の保守性に呆れます。
この事件を看過すれば、「準フェミニスト」たちから「避難所」を奪った余勢を駆って、バックラッシュ派は、「フェミニズム」本体への攻撃に手を付けるでしょう。この事件を見過ごすわけにはいきません。」 |