高麗橋桜花 徒然日記ー料理人はどこまでできるのか ー

「高麗橋桜花」店主・「大阪食文化研究所」主宰森田龍彦のブログです。どうぞご贔屓にお願い申し上ます。

炉開き

2007-11-09 | 茶道

 11月は茶道の世界ではお正月。
 11月はその年の新茶の入った茶つぼの封を切り、客に初めてふるまう「口切り」という茶事を行ないます。(春の新茶を寝かせて、一番美味しくなる11月に封を切る、先人の偉大な知恵ですね。) お稽古も10月までの風炉から炉のお稽古へと変わります。
Photo
  先日のお稽古の茶菓子は亥の子餅でした。
携帯の画像で分かりにくいですが、お餅の天辺に焼印が3本ほど入っていて、うりぼうの背中の模様に模しています。

 一見ただのぎゅうひのお菓子なのですが、少しの工夫で季節や歳時を表現するのは日本人独特の和の感覚。ほんと、大切にしたいですねー。 最近、茶道のお手前はなかなか上達しませんが、お茶を立てる事や茶道でももてなしの精神や器の扱い、マナーやエチケットと違いなんかは先生のおかげでしっかりと学べているような気がします。

 もてなす側はいろいろとお客に喜んで貰えるように趣向を凝らし、正客はそれを受け入れて、楽しむ。次客以降は例えそれが間違っていても正客にならってその趣向を楽しむ。 礼には礼で応える。とても快い関係がそこにはあります。

 利休百首の中に次のような句があります。
○点前には 弱みをすてて ただ強く されど風俗 いやしきを去れ

 物事に取り組む時には、自分を信じること。しかし、傲慢な態度にならないように、周りの余計なことに振り回されないように。 最近、よくこの句を自分自身に投掛けています。

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恩師の三回忌。

2007-11-07 | 筆者の徒然なるままに

 11月3日に、今は亡き恩師の三回忌法要に参列させて頂きました。

http://naniwa-yasai.blog.ocn.ne.jp/ryourinin/2005/11/index.html

http://naniwa-yasai.blog.ocn.ne.jp/ryourinin/2006/11/index.html

 今回は20名くらいのごく親しい方々で3回忌法要が行われ、その後移動してお墓参りに行きました。私自身は初めてのお墓参り。ようやく墓前で手を合わせる事が出来ました。生きている自分が頑張る事で、少しでも高橋さんが頑張って生きていた事を伝えたいと思っています。

 「高橋さん、お久しぶりです。まだまだ力不足の自分ですが、この一年精一杯自分なりに頑張りましたよ。まだまだ多くの人には私が目指すものや大切にしたいことが本当に伝わって無いかもしれないけど、一年前と違って凄く理解をしてくれて、支えてくれる方々との出会いもありました。そう、皆さん不思議と高橋さんとご縁のあった方々ですよ。」

 「今度毎日新聞の農にかける夢というテーマで、毎日農業記録賞の優良賞を頂くことになりました。もちろん、料理の腕を褒められることも嬉しいけど、高橋さんと出会いがあって初めて気がついた農業との繋がりの大切さ。その思いをだけぶつけたら、選んでもらえました。自分と農との関わり方や思いを、このように評価されることは本当に嬉しいです。」

 「来年で私もいよいよ高橋さんが亡くなった36歳になります。どこまで高橋さんに近づくことが出来ましたか?せめて、あと一年だけは力を貸してくださいね。」合掌。

 その後、帰りに高橋さんのおかげでお付き合い出来るようになった、料理人として、人として私が目標にさせてもらっている上野さんといろいろとお話しさせていただきました。今から考えると、わざわざご一緒してくださったのかもしれません。

 ほんとたまになのですが料理の事や、生き方の事、自分では答えが出せなかったりした時にとても大きな助けになっています。今回も日本料理の献立の流れや調味料のことなど、ありがたくお話しさせて頂きました。会話はいつも具体的な話しと言うよりは、禅問答みたいな感じになります。こうやって自分の料理の考えや疑問を聞いて頂き、直接そのことについてお話ししてもらったことは、ほんと私の大切な財産です。

 恩師も私のこれからのことを心配して下さっていました。

 確かに、今はいろいろな事を行っています。普段の時間の大半は料理に従事していますが、それ以外に料理教室の講師や有能業運動や魚菜の会の運営に携わったり、生産者さんとの交流を深めたり・・。自分自身でも、本当にこれで良いのかと、自問自答を繰り返す日々です。

  でも、これら全ては自分が料理人として、一生生きていくために必要な土台だと思っています。美味しい料理を作る事と同じくらい、生産者の思いや現状を伝える事、食の大切さを伝える事、今までの日本の食の文化や歩み、日本人にとっての和食の意義、もっというなら食の世界での料理人の存在について。。

 ほんと生意気なことを書いていると思うのですが、数年前には考える事もしなかった事を、高橋さんとのご縁が切欠でたくさんの方々のご支援や叱咤激励で、考えることが出来るようになったのです。料理とは「ことわりをはかる」と書きますが、ことわりとは料理法だけに留まらず、人の繋がりに留まらず、食べる事を通じて感じる生命の循環のことわりなんじゃないかな、と少し考えるようになりました。だから、もっと謙虚に、もっと地道、もっと当たり前のことを大切に出来る人間になる必要があるのじゃないかと。

 もちろん、料理を作る時には純粋に美味しく作りたい、喜んでもらえるものを作りたい、一心です。でも、このような考え方をもって、これからも料理人という生き方をまっとうしたいと思っています。まだまだやらないと行けない事、学ぶ事はたくさんあります。 

 秋の澄んだ空を見上げて、「出来る限り真摯に頑張ります、見守っていて下さいね。」

 

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