古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

私の時評:四面霧の中

2009-10-22 | 経済と世相
 以下、最近の新政権の動きについて、私の時評です。

 まずは、二人の論客の新聞寄稿を紹介します。
 
 ロナルド・ドーアさんが18日の中日で語っています。

【景気動向が心理、ムードによって左右されることを考えれば、最も害をなしそうなのは、民主党内閣の補正予算をめぐる騒ぎである。マニュフェスト実行のため、赤字国債を増やすより、自民党の補正予算の「ムダ」を削るという理屈は一応わかるのだが、削る方が先にきて、毎日のように大臣が威張って「これだけ削りましたよ」と節約競争をしているかのような姿がテレビに出ると、景気刺激どころではない。特に、「子ども手当て」の予算を捻出するために「子育て応援特別手当」を削る長妻厚労相や、ダム建設中止を命ずる前原国交相が、特に熱心な「健全財政」派のようである。

幸いにして、はっきり違うのは、亀井金融相である。1997年にも、橋本政権がもうバブル崩壊不景気から回復したつもりで、増税で財政再建を図ろうとして金融危機を起した時、亀井氏が「早すぎる」と声高々に反対していた。一貫している。彼の言うモラトリアムが貸し渋り、貸しはがしを防止する最良の手段であるかどうかは疑問かもしれないが、中小企業救済が、ホンモノの回復の鍵だという彼の主張は正しいだろう。】

梅原猛さんも19日の中日夕刊で語っています。

【民主党政権が発足し、鳩山首相が次々と言明する政策をみて、私は一種の驚きと感慨を禁じえなかった。なぜなら、その政策のほとんどは20年ほど前から私が強く主張し・・再三論じてきたことであるからである。

ダムをはじめとする不要不急の大型公共事業の中止をめぐっては、長良川河口堰及び諫早湾干拓事業について私は声を大にして反対を主張した。・・・・

鳩山首相は、2020年までの温室効果ガスの削減目標を1990年比25%減とはっきり宣言した。経済界からは危惧の念が表明されたが、国際的には珍しく日本の政治理想が大いに評価されたのである。私はこの大胆な提案に全面的に賛成である。・・このような政策は日本の伝統精神に沿うものである。

また鳩山首相は東アジヤ共同体の構想を提唱した。東アジヤ共同体の結成が必要というのは私のかねてからの持論である。・・・

独仏両国が長年の対立関係を解消し、ヨーロッパ共同体が成立したことは画期的なことであった。東アジヤ共同体の結成も、東アジヤ諸国の利益のためにも世界の平和のためにも必要欠くべからざることである。】



私の聞きかじりの話ですが、戦前の日本陸軍、「霧でまったく四面が見えない時は動くな」と教えられたそうです。一方、英国海軍はこう教えられたそうです。「霧でまったく四面が見えない時は動いてみよ」。

公共事業の中止や凍結は良いとして、自民政権の公共事業は、ダムや道路を作るだけでなく、地方にお金を循環させるという機能がありました。近年はむしろ、そちらの機能が大事だったのでは?ところが、民主政権では、ダムや道路を止める時、どういうシステムで地方に金を循環させようとするのか?それが霧の中です。

新政権は、四面霧の中、まずは動いてみようとしているのでしょうか?

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