7月5日の中日夕刊「大波小波」欄に次の記述がありました。
【政策通、護憲派、良識の人といわれた故宮沢喜一首相の功罪のうち、あえて罪の方を挙げれば、バブル経済の発生と後の財政赤字拡大の主因を生んだ政策運営であろう。
日米貿易不均衡の対応策として円高ドル安政策を決めた1985年のプラザ合意後、急激な円高下の経済の舵取りを取ったのが宮沢蔵相だった。親米派の宮沢さんは、米国の要求のまま、内需の拡大での日本の輸入増を期待。円高不況の対策にもなるとの信念で大型予算を組み、国有だったNTT株の放出利益までつぎ込んで財政の大盤振る舞いをした。
金利下げと複合して効果は爆発し、バブル経済を出現させた。バブル崩壊後の深刻な不況時には、首相として90年代初めの2年足らずの在任中2度、事業規模14兆円の景気対策を補正予算で実行した。しかし、景気は上向かず、歳出を増やした国と地方の財政は悪化し、いまあえいでいる。景気は特別な景気対策を止めた小泉内閣から上昇しているのが皮肉だ。
宮沢さんは、積極財政をうたう古きケインジアンの枠から抜け出せなかった。バブル経済が日本のその後の社会、経済にどれほど深い傷を残したかを考えると、その責任とともに政策通をしても読めない経済運営の難しさを教訓に残して逝った。】
この記事は簡にして要を得た記述だと思います。
ただ、【政策通をしても読めない】は【政策通なるが故に読めない】と考えるべきだと思います。
「不況時に金融緩和をすれば、不況から脱出できる」というのは「緩和したお金が国内を循環する社会」では当然ですが、金融をグローバル化した社会では「緩和したお金は必ずしも国内で循環するとは限らない」。専門家ほど、不況には金融緩和と条件反射する。専門家でなかったら、グローバル下世界でのカネの循環について必死に考えたと思います。
成功体験の多い人ほど、その成功体験にとらわれ、急激な変化に対応できる方策を生み出せない。宮沢さんもその例外ではなかったと思います。
バブル時の政策運営をいまさらあげつらうつもりはありませんが、心配するのは目下の円安、日銀は過去の成功した体験に基づく経済政策に固執してはいないでしょうか。
【政策通、護憲派、良識の人といわれた故宮沢喜一首相の功罪のうち、あえて罪の方を挙げれば、バブル経済の発生と後の財政赤字拡大の主因を生んだ政策運営であろう。
日米貿易不均衡の対応策として円高ドル安政策を決めた1985年のプラザ合意後、急激な円高下の経済の舵取りを取ったのが宮沢蔵相だった。親米派の宮沢さんは、米国の要求のまま、内需の拡大での日本の輸入増を期待。円高不況の対策にもなるとの信念で大型予算を組み、国有だったNTT株の放出利益までつぎ込んで財政の大盤振る舞いをした。
金利下げと複合して効果は爆発し、バブル経済を出現させた。バブル崩壊後の深刻な不況時には、首相として90年代初めの2年足らずの在任中2度、事業規模14兆円の景気対策を補正予算で実行した。しかし、景気は上向かず、歳出を増やした国と地方の財政は悪化し、いまあえいでいる。景気は特別な景気対策を止めた小泉内閣から上昇しているのが皮肉だ。
宮沢さんは、積極財政をうたう古きケインジアンの枠から抜け出せなかった。バブル経済が日本のその後の社会、経済にどれほど深い傷を残したかを考えると、その責任とともに政策通をしても読めない経済運営の難しさを教訓に残して逝った。】
この記事は簡にして要を得た記述だと思います。
ただ、【政策通をしても読めない】は【政策通なるが故に読めない】と考えるべきだと思います。
「不況時に金融緩和をすれば、不況から脱出できる」というのは「緩和したお金が国内を循環する社会」では当然ですが、金融をグローバル化した社会では「緩和したお金は必ずしも国内で循環するとは限らない」。専門家ほど、不況には金融緩和と条件反射する。専門家でなかったら、グローバル下世界でのカネの循環について必死に考えたと思います。
成功体験の多い人ほど、その成功体験にとらわれ、急激な変化に対応できる方策を生み出せない。宮沢さんもその例外ではなかったと思います。
バブル時の政策運営をいまさらあげつらうつもりはありませんが、心配するのは目下の円安、日銀は過去の成功した体験に基づく経済政策に固執してはいないでしょうか。