古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

自動車産業のバブル

2009-02-16 | 経済と世相
以下、2月12日の中日夕刊「景気球」で高田創氏(みずほ証券)の言です。

【1980年代、日本がバブル期に不動産・株投機に走り、そこに金融機関が資金を貸し込み、資産価格高騰上昇でお祭り騒ぎになった時は、日本人の誰もがバブルを意識し、その崩壊も実感した。】

【今回のように、海外でバブルが発生した時は日本では実感がない。】しかし、

【米国ではサブプライム問題の原因となった不動産価格の急上昇とその値上がり益を背景にした借入資金がさらなる住宅投資や耐久消費財、自動車、家電に向かって米国全体がバブルに踊った。米国の過剰消費・投資は経常収支の大幅赤字につながり、その表裏一体の関係に日本や中国の大幅な経常収支黒字が存在した。米国の過剰な自動車需要や過大な住宅需要による家電需要に応えた日本の輸出企業は、結果としてバブルに踊ってしまったことになる。】

 80年代から90年代にかけての日本のバブルの原因は、プラザ合意後の円高に対応すべく政府・日銀が金融緩和策に走りすぎたことである。

 今回も、政府・日銀は策を誤った。

米国の需要がバブルであることを見越して、米国への輸出にブレーキをかけるべきであった。つまり、徐々に円高に誘導すべきだったのだ。

ところが、逆に、円安に誘導したのである。平成12年貼る以降、日本は総額で、なんと32兆円もの為替介入で円安誘導したのである。しかも、このドル買いで得た資金で米国債を買い捲り、米国債増発の44%を日本が買い占めたという。

 おまけに、日本は外国と比べて空前の低金利で、外国は日本で資金を調達して(円キャリトレード)、それをドルに代えて米国で投資した。

 結果、ドルがあふれて米国のバブルに油を注いだ。

 バブルが破綻すると、慌てた外資は、円キャリトレードで調達したドルを売って円に代えて日本に返済する。猛烈な円高をきたした。

 高田さんは、尚こう言う。

【今となっては批判の対象となるが、海外での一時的需要に対し、日本の製造業が変動への対応も可能となる雇用体系を志向してきたのも、振り返ってみて極めて妥当な対応と言える。】

 ある意味で、「派遣切り」も仕方なかったというのだが、派遣労働者のセーフテイネットを壊した上での「派遣切り」は残酷である。更に、

【海外からの「未曾有の新型感染」を防ぐには金融政策で円高圧力を和らげること、当面は国内での抵抗力をつけるべくセーフテイネットを確保するしかないだろう。】

全く同感です。しかし、円高圧力を和らげるべく金融政策を活用することが大事なら、円安に行き過ぎる時も金融政策を活用してもらいたい。国内であれ、国外であれ、バブルの発生は金融政策の失敗なのです。

それに派遣労働者のセーフテイネットを配慮しなかった為政者の責任は大きい、と私は考えます。

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