古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

時評・野田外交

2012-09-25 | 経済と世相
「閣議決定回避 米国が要求」の記事が22日の中日新聞トップでした。
『「2030年代に原発稼動ゼロ」を目指す戦略の閣議決定の是非をを判断する直前、米政府が閣議決定を見送るよう要求していたことが、政府内部への取材で分った。米高官は日本側による事前説明の場で「法律にしたり、閣議決定して政策をしばり、見直せなくなることを懸念する」と述べ、将来の内閣を含めて日本が原発稼動ゼロの戦略を変える余地を残すよう求めていた。』という内容です。
 米側の要求の根拠として「日本の核技術の衰退は、米国の原子力産業にも悪影響を与える」「再処理施設を続けたまま原発ゼロになるなら、プルトリウムが日本国内に蓄積され、軍事転用が可能な状況を生んでしまう」などと指摘。再三、米側の「国益」に反すると強調したという。

 米国のウェスチングハウスは原子力部門を東芝に売り渡した。GEも原子力は日立の傘下で、日本が原発ゼロになり、東芝・日立も原発をやめれば、米国は、新興国のすべての原発が、ロシヤや中国に頼るのを、傍観することになる。
 米国が日本の原発ゼロに反対したい気持ちは分るが、これは日本の内政問題。野田総理は、そんなことまで米国の許可を得る必要があると思っているのか!

ところで、尖閣問題。何故ここまで紛糾するのか。
尖閣の所属問題は、日中共同宣言(1972年)の交渉で(田中角栄と周恩来との交渉)、「将来の両国民の知恵に待ちましょう」ということになった。
 つまり、「棚上げ」ということ。「棚上げ」とは言葉を変えれば「現状をそのままにして、現状を変更する行動は両国政府ともとらない、ということ。
 ところが民主党政権になってから、尖閣は国内であるから、国内法を適用すると、台湾の漁民の操業を国内法で取り締まった。
 さらに、今回の土地の国有化。国内の土地を政府が買い上げることに問題はない。というのだが、相手にとっては、日本国内と思っていないから、日本政府は「棚上げ、つまり現状維持の約束」を破ったことになる。
 竹島問題でいうなら、竹島に韓国大統領が上陸しても、竹島は韓国領という韓国の立場が正しければ、何も問題ない。しかし、日本はそう思っていないから、大統領の行動が日本人にとっては、日本への挑戦に見えてくる。
 まったく同様に、尖閣は中国の領土と思っている中国人には、日本政府が中国に断りもなく、尖閣の土地を購入するのは、中国への挑戦行動に見えるのだ。
18日の日経ビジネスオンラインでは、
【2012年9月9日、ロシアのウラジオストックで開催されたAPECにおいて、中国の胡錦濤国家主席が野田総理と15分間ほど立ち話をする機会があった。このとき胡主席は、厳しい表情を崩さずに、次のように語っている。
 ここのところ、中日関係は釣魚島問題で厳しい局面を迎えている。釣魚島問題に関して、中国の立場は一貫しており、明確だ。日本がいかなる方法で釣魚島と買おうと、それは不法であり、(購入しても)無効である。中国は(日本が)島を購入することに断固反対する。中国政府の領土主権を守る立場は絶対に揺るがない。日本は事態の重大さを十分に認識し、まちがった決定を絶対にしないようにしなければならない。中国と同じように日中関係の発展を守るという大局に立たねばならない。
 日本が「尖閣は日本固有の領土だ」と確信しているのと同じ程度に、中国も「釣魚島は中国古来の領土だ」ということを、同じ程度に強く確信している。国民レベルで言うならば、中国の方がこの「確信」に対する熱意は熱い。
 しかし、話し合いが終わって、「胡主席と何を話したのか」という記者の問いに対して、野田首相はどう答えたのか。
中国の発展は、わが国や地域社会にはチャンスで、戦略的互恵関係を深化させていきたい。現下の日中関係については大局的観点から対応したいと申し上げた。
としか語ってない。つまり、胡主席が言ったところの最重要なキーワード「日本は事態の重大さを認識し」は、日本側には「認識」されなかったのである。
日本側の抑制的な判断に期待していた胡錦濤
 ところが中国では、当日のニュースで胡主席がどのような主張をしたかに関して広く報道している。それはすなわち、「日本が少しは事態の重大性に気づくだろう」という期待感をにじませたものだった。
 その証拠に、石原東京都知事が今年の4月、アメリカで「東京都による尖閣購入」を宣言して以来、中国で抗議の声は上がっていたものの、一方では都知事の尖閣上陸を日本政府が許可しなかったことが高く評価されていた。日中国交正常化40周年記念である今年、日本政府が実行した唯一の賢明な判断として、中国国内では繰り返し報道されていた。
 裏には「野田首相が抑制的な判断をするだろう」という期待が込められていた。
 その野田総理が、15分間とは言え、胡主席が時間を取って中国側の意思を伝えたというのに、翌日の10日には「尖閣国有化」閣議決定を宣言し、11日に実際に閣議決定してしまった。 】野田総理は、せめて柳条溝事件81周年の9月18日を過ぎるまで待つべきでなかったか。
 「原発ゼロ問題」における米国への対応と、「尖閣問題」における中国への対応との余りにも大きな違い!

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