安倍新総裁がハッスルしている。
インフレ目標を2~3%に設定し、目標に達するまでは金融緩和を続ける。建設国債を日銀に引き受けさせ、公共投資を拡大せよという。最近「インフレターゲット論」を勉強されたらしい。
「デフレ」を脱却するには、金融の緩和(低金利と量的拡大)と公共投資が標準の処方箋で、日本経済が「デフレ」を脱却できないのは、日銀の金融緩和が不徹底のためだ、というのです。
要するに、「デフレ」というのは、需要が不足している。つまり国民がカネを使わないからであり、国民がカネを使わないときは政府がカネを使わなければならない。だから公共投資で政府がカネを使い、一方、金利を下げて企業家の設備投資意欲を盛り上げよう、そうすれば、企業は投資にカネを使い、公共投資のカネが国民に廻って国民もカネを使うようになるから、デフレ脱却が出来るというわけです。
つまり、公共投資と金融緩和が「景気の呼び水」になると考えるのです。
本当にそうなるのか?例えば、株価を考えてみましょう。株価は株を買う人が多くなれば上昇し、誰も買わなくなれば下落します。株価の上昇を図るため、金融を緩和する。その時、確かに投資家は資金を調達しやすくなる。しかし、カネを持っているからといって直ちに投資家は株を買うわけではない。株の上昇が見込めるときに買うわけです。株価が下がると思えば、カネをもう少し手元において、「もっと安くなったときに買おう」と考えるでしょう。
企業家にしてもそうです。企業家は、金利が下がるから投資をするわけではない。設備投資で生産増する製品が売れると考えた時、設備投資に踏み切る。金利が安くなっても、売り上げが増える見込みがない時は、新規投資の必要はなく、従来の設備で生産していればいいのです。
国民もそうです。公共投資で雇用された労働者が得た収入を消費に回してくれれば、景気は良くなるが、「将来が不安だから、おカネは使わず貯金しておこう」となれば、消費はもりあがりません。
「呼び水」は、井戸に水はあるのだが、一時的に水が出なくなった場合に有効です。井戸の水が枯れてしまった場合には、「呼び水」を入れても水は出てこない。
「景気の呼び水」も同じで、井戸の水が枯れていないか、チェックしないと有効性を保証できないと思います。「井戸の水が枯れていない」とは、どういう状態か?
資本主義社会とは、企業家が資金を調達して、原材料を購入し、労働者を雇用して製品を生産する。その製品を販売して得られたお金が最初に調達した資金を上回るときにそれが利潤になる。その利潤が新たに投資され、企業家が生産を増やすというサイクルが廻ることで経済を成長させる。
このサイクルに不具合が発生しているのが、井戸に水のこない、つまり水が枯れた状態と、私は考えます。
今、日本の経済は、生産する商品を国民の購買力では消化できない状態です。かろうじて、外国に輸出することで、資本主義経済を回している。だから、中国の景気が少しダウンすると、直ちに景気は下向くし、EUが不景気になれば、日本も不況に。リーマンショックが起これば、日本で発生した金融不安ではないのに、当事者の国よりも打撃が大きくなる。
では、何故国民の購買力が落ちてしまったか?「経済のグローバル化」に対応を誤ったからだと思います。経済がグローバル化すれば、人件費比率の高い商品は、新興国にかないません。したがって、そういう商品は新興国に譲って、「どうすれば付加価値率の高い商品を生産し、販売できるか」を追及しなければなりません。それが直ちには出来ないなら、グローバル化のテンポを遅くして時間を稼がねばならなかった。
それをやらずに人件費比率を下げることで、対応しようとした(製造業の派遣の自由化)。その結果、年収200万円以下の労働者が3割にも達する状況になった。これでは、国民の購買力が落ちて当然です。
国内だけのモノ、カネの動きで資本主義のサイクルが上手く廻らない状態で、金融だけ緩和しても「デフレ」脱却が可能とは思えないのです。第一、経済がグローバル化した今日、緩和したカネが日本国内に廻るという保障はないのです。
インフレ目標を2~3%に設定し、目標に達するまでは金融緩和を続ける。建設国債を日銀に引き受けさせ、公共投資を拡大せよという。最近「インフレターゲット論」を勉強されたらしい。
「デフレ」を脱却するには、金融の緩和(低金利と量的拡大)と公共投資が標準の処方箋で、日本経済が「デフレ」を脱却できないのは、日銀の金融緩和が不徹底のためだ、というのです。
要するに、「デフレ」というのは、需要が不足している。つまり国民がカネを使わないからであり、国民がカネを使わないときは政府がカネを使わなければならない。だから公共投資で政府がカネを使い、一方、金利を下げて企業家の設備投資意欲を盛り上げよう、そうすれば、企業は投資にカネを使い、公共投資のカネが国民に廻って国民もカネを使うようになるから、デフレ脱却が出来るというわけです。
つまり、公共投資と金融緩和が「景気の呼び水」になると考えるのです。
本当にそうなるのか?例えば、株価を考えてみましょう。株価は株を買う人が多くなれば上昇し、誰も買わなくなれば下落します。株価の上昇を図るため、金融を緩和する。その時、確かに投資家は資金を調達しやすくなる。しかし、カネを持っているからといって直ちに投資家は株を買うわけではない。株の上昇が見込めるときに買うわけです。株価が下がると思えば、カネをもう少し手元において、「もっと安くなったときに買おう」と考えるでしょう。
企業家にしてもそうです。企業家は、金利が下がるから投資をするわけではない。設備投資で生産増する製品が売れると考えた時、設備投資に踏み切る。金利が安くなっても、売り上げが増える見込みがない時は、新規投資の必要はなく、従来の設備で生産していればいいのです。
国民もそうです。公共投資で雇用された労働者が得た収入を消費に回してくれれば、景気は良くなるが、「将来が不安だから、おカネは使わず貯金しておこう」となれば、消費はもりあがりません。
「呼び水」は、井戸に水はあるのだが、一時的に水が出なくなった場合に有効です。井戸の水が枯れてしまった場合には、「呼び水」を入れても水は出てこない。
「景気の呼び水」も同じで、井戸の水が枯れていないか、チェックしないと有効性を保証できないと思います。「井戸の水が枯れていない」とは、どういう状態か?
資本主義社会とは、企業家が資金を調達して、原材料を購入し、労働者を雇用して製品を生産する。その製品を販売して得られたお金が最初に調達した資金を上回るときにそれが利潤になる。その利潤が新たに投資され、企業家が生産を増やすというサイクルが廻ることで経済を成長させる。
このサイクルに不具合が発生しているのが、井戸に水のこない、つまり水が枯れた状態と、私は考えます。
今、日本の経済は、生産する商品を国民の購買力では消化できない状態です。かろうじて、外国に輸出することで、資本主義経済を回している。だから、中国の景気が少しダウンすると、直ちに景気は下向くし、EUが不景気になれば、日本も不況に。リーマンショックが起これば、日本で発生した金融不安ではないのに、当事者の国よりも打撃が大きくなる。
では、何故国民の購買力が落ちてしまったか?「経済のグローバル化」に対応を誤ったからだと思います。経済がグローバル化すれば、人件費比率の高い商品は、新興国にかないません。したがって、そういう商品は新興国に譲って、「どうすれば付加価値率の高い商品を生産し、販売できるか」を追及しなければなりません。それが直ちには出来ないなら、グローバル化のテンポを遅くして時間を稼がねばならなかった。
それをやらずに人件費比率を下げることで、対応しようとした(製造業の派遣の自由化)。その結果、年収200万円以下の労働者が3割にも達する状況になった。これでは、国民の購買力が落ちて当然です。
国内だけのモノ、カネの動きで資本主義のサイクルが上手く廻らない状態で、金融だけ緩和しても「デフレ」脱却が可能とは思えないのです。第一、経済がグローバル化した今日、緩和したカネが日本国内に廻るという保障はないのです。