古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

佐藤優さんのTPP論

2012-11-18 | 経済と世相
佐藤優さん(元外務省主任分析官)の「TPPと帝国主義」と題する寄稿が16日の中日朝刊に載りました。

『野田首相はTPPを解散・総選挙の焦点にしようとしている。

筆者は何故このような選択の余地がない事項が争点になるのか、さっぱり理解できない。(*1)

 そもそもTPPを自由貿易と考えるのが間違いだ。

自由貿易は普遍的原理だ。アジヤ太平洋地域のみ自由貿易を導入することは、

それ以外の地域に対して障壁を作ることに他ならない。

TPPは自由貿易の名をかたる保護主義で歴史的にはブロック経済と親和的な発想だ。(*2)

 TPPに反対する人々の議論は、

国際政治と安全保障の現実を無視するロマン主義のように筆者には見える。

現在、国際秩序は帝国主義的な転換を遂げつつある。

急速に経済、軍事面で発展する中国が自己主張を強め、国際社会のゲームのルールを

一方的に変更しようとしている。尖閣諸島をめぐる日中関係の緊迫はその一例だ。(*3)

 中国の帝国主義的拡大を防ぐために、日本は米国との軍事同盟に加え、

TPPで軍事産業を含む経済的連携を米国、オーストラリヤと強化するというのがTPPの本質だ。

ロシヤが主導するユーラシヤ同盟も、TPPと協力関係をもつようになるだろう。

日本、米国、オーストラリヤは太平洋地域における広域帝国主義の枢軸国だ。

TPPに参加しないという選択肢はあらかじめ排除されている。(*4)』と言う。

 この小論、大事な論点を含んでいます。以下は、小生の考察です。



 (*1)私も野田首相がTPPを総選挙の焦点にするという理由がさっぱり分らない。

選挙の焦点にするには、TPPの実態をすべて国民に開示しなければならない。

現在、その内容がほとんで開示されていないのだ。

こういう中で選挙の焦点にしようがない。首相は何を考えているのだろう。

 (*2)私も同感です。

 (*3)補足が必要です。

米国がこの地域で、警察官の役目を果たそうとすると、米国は現在の軍事力を維持できなければならない。

そのためには、経済力が必要だが、その経済力が刻々と落ちている。

そこで、米国の経済にてこ入れが必要で、そのためにTPPが必要になっている。

下世話に言うと、米国に儲けさせるためにTPPが必要なのだ。

 (*4)この点には、小生反対です。TPPに参加しないという選択肢を、日本は検討すべきです。

つまり、日本の防衛を今後も従来どおり米国に頼ると、

実質的には、日本の防衛費が高くつくことになると思うからです。

いずれにしても、TPPは経済問題と言うよりは、防衛問題である点では、

筆者と小生の意見は一致しています。