1998年、自殺者が年間3万人を超えました。以来昨年まで(多分今年も?)12年間3万人以上の人が自殺しています。1998年という年は、橋本内閣が消費税率を3%から5%に引き上げた97年の翌年です。消費税と自殺はあまり関係がない、と思われる方は、以下の記述をお読みください。
まず、中小企業と消費税の関係です。「益税」という言葉があります。商店で買い物をすれば、消費税を払いますが、この消費税を、商店ではまとめて税務署に払います。納税まで、いわば商店の預り金になります。ところが、年間売上が一定金額(以前は3千万円、今は1千万円)以下だと、消費税を納めなくて良いという制度になっている。商店主は、消費者の払った消費税をポケットに入れて良い。これが「益税」といわれます。誤解のないようにいうと、売上の5%をポケットに入れるわけではありません。商品の仕入れに際しては5%払っているわけですから。いわば、その商店の付加価値の5%がポケットに入る。消費税の導入に際し、中小企業の反対をなだめるため設けられた制度です。
中小企業主は「益税があるから、まぁいいか!」と思ったのかもしれませんが、実際に制度が始まると、とんでもないことになりました。消費税は売上税になる。法人税は利益がなければ、税金はかかりませんが、売上税は利益が出ようが出まいが、売上があれば税金がかかります(しかも限度額が3000万円から1000万円になった)。
不景気とデフレが続くと、商店の付加価値はゼロどころか、時にはマイナスにさえなる。そこに税金がかかるのです。税金は預かり金といっても、消費税分を乗せた値段では売れなくなる。
ここで、税金の種類によって、滞納される税金はどれくらいか?見てみます。
法人税、相続税、消費税、源泉所得税などがありますが、国税庁発表の「平成20年度租税滞納状況」によると、滞納額は全税目で1兆5538億円。消費税はこの29.2%にあたる4537億円(ただし国税分、消費税は国税4%、地方税1%)。消費税が1998年から急増し最悪です。
本来なら、消費税は顧客からの預り金ですから、滞納はないはずです。ところが、実際は、預り金ではなく、商店主が自腹で払う売上税になっている。だから、財務省は消費税にこだわるのです。法人税は、不景気で利益が出ないと取れないが、売上税は利益に関係なく、とれるからです。納税者側から言うと、不景気で資金繰りに困っている時に税金を払わねばならない!
職業別の自殺者数(09年)を見ると、無職者(18722名、57%)、勤め人(9159名、27.9%)、自営業・家族従事者(3202名、9.7%)となっています。
自殺者の自営業・家族従事者対勤め人の比は、1:3ですが、
就業者の数でいうと、自営業・家族従事者(796万人)、勤め人(6282万人)で比率は1:7ですから、自営業の自殺率は勤め人の倍以上です。
私は、自殺者の増加は非正規雇用の増加と関係があると思っていましたが、これにも、消費税が関係しているらしい。
理論的には、消費税は付加価値に税率を乗じたものになる。正社員に仕事をさせれば、その賃金は企業の付加価値になるが、派遣に切り替えれば、その賃金はその企業の付加価値にはならない。節税ができるのだ。
以上のようなことを考えると、簡単に「10%でどう」などと発言する首相は、軽率のそしりを免れないのは当然です。これが本日一番に言いたかったことです。
本稿は「消費税のカラクリ」(講談社現代新書)を参考にしました。
まず、中小企業と消費税の関係です。「益税」という言葉があります。商店で買い物をすれば、消費税を払いますが、この消費税を、商店ではまとめて税務署に払います。納税まで、いわば商店の預り金になります。ところが、年間売上が一定金額(以前は3千万円、今は1千万円)以下だと、消費税を納めなくて良いという制度になっている。商店主は、消費者の払った消費税をポケットに入れて良い。これが「益税」といわれます。誤解のないようにいうと、売上の5%をポケットに入れるわけではありません。商品の仕入れに際しては5%払っているわけですから。いわば、その商店の付加価値の5%がポケットに入る。消費税の導入に際し、中小企業の反対をなだめるため設けられた制度です。
中小企業主は「益税があるから、まぁいいか!」と思ったのかもしれませんが、実際に制度が始まると、とんでもないことになりました。消費税は売上税になる。法人税は利益がなければ、税金はかかりませんが、売上税は利益が出ようが出まいが、売上があれば税金がかかります(しかも限度額が3000万円から1000万円になった)。
不景気とデフレが続くと、商店の付加価値はゼロどころか、時にはマイナスにさえなる。そこに税金がかかるのです。税金は預かり金といっても、消費税分を乗せた値段では売れなくなる。
ここで、税金の種類によって、滞納される税金はどれくらいか?見てみます。
法人税、相続税、消費税、源泉所得税などがありますが、国税庁発表の「平成20年度租税滞納状況」によると、滞納額は全税目で1兆5538億円。消費税はこの29.2%にあたる4537億円(ただし国税分、消費税は国税4%、地方税1%)。消費税が1998年から急増し最悪です。
本来なら、消費税は顧客からの預り金ですから、滞納はないはずです。ところが、実際は、預り金ではなく、商店主が自腹で払う売上税になっている。だから、財務省は消費税にこだわるのです。法人税は、不景気で利益が出ないと取れないが、売上税は利益に関係なく、とれるからです。納税者側から言うと、不景気で資金繰りに困っている時に税金を払わねばならない!
職業別の自殺者数(09年)を見ると、無職者(18722名、57%)、勤め人(9159名、27.9%)、自営業・家族従事者(3202名、9.7%)となっています。
自殺者の自営業・家族従事者対勤め人の比は、1:3ですが、
就業者の数でいうと、自営業・家族従事者(796万人)、勤め人(6282万人)で比率は1:7ですから、自営業の自殺率は勤め人の倍以上です。
私は、自殺者の増加は非正規雇用の増加と関係があると思っていましたが、これにも、消費税が関係しているらしい。
理論的には、消費税は付加価値に税率を乗じたものになる。正社員に仕事をさせれば、その賃金は企業の付加価値になるが、派遣に切り替えれば、その賃金はその企業の付加価値にはならない。節税ができるのだ。
以上のようなことを考えると、簡単に「10%でどう」などと発言する首相は、軽率のそしりを免れないのは当然です。これが本日一番に言いたかったことです。
本稿は「消費税のカラクリ」(講談社現代新書)を参考にしました。