古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

議論、消費税にとどめるな

2010-08-03 | 経済と世相
。「議論、消費税にとどめるな」と題する記事が3日の朝日朝刊に載っていました。安井編集委員の寄稿ですが、面白い指摘を紹介します。

『21年前消費税の導入にあたり、政府が繰り返し訴えたのは、「直間比率の是正」。所得税や法人税など直接税中心の税制から主要国並みに間接税に頼る税制に変えてゆくという考えだった。税収の中の間接税比率(国税分)をみると、消費税が導入された89年度は25.8%。イギリスは43.4%、ドイツは46.8%、フランスは60.9%だったから、日本の比率は確かに低かった。

それが今では46.5%(10年度予算)だ。主要国(08年度)をみると、英38.8%、独55.1%、仏57.6%。国税に限れば、国際水準に近づいた。ただ、日本が何かと手本にする米国は6%と、直接税に頼る。(中略)

景気の低迷で主要な直接税である所得税、法人税がピークに比べ半分以下に減ってしまったことが大きな理由だ。そうした要因に加えて、消費税が導入され、3%から5%に引き上げられる過程で実施された、さまざまな税制改革の影響もある。

例えば、所得税では中低所得者も04年までは軽減されたが、高所得者も最高税率が引き下げられるなど累進構造は見直され、負担が軽減された。法人税も減税された・・・・

税制改革の論議を消費税をどうデザインするかにとどめてはならない。所得の再配分機能を回復するため、所得税や相続税なども議論すべきである。』



私が疑問に思うのは、増税が必要であるとしても(その点問題があると考えるが)、その増税すべき税が何故消費税でないといけないのか?消費税アップを止めて、法人税や所得税の累進税率アップでは何故いけないのか?



今、『消費税のカラクリ』(斎藤貴男著、講談社現代新書)を読んでいるが、同書では、

『所得税の累進税率を20年前のレベルに戻すだけで、所得税収はたちまち倍増する。

(かつて19区分最高税率75%であったが、1980年代半ばから緩和されつづけ、99年からはわずか4区分、最高税37%。年間所得100億円の人と1800万1円の人は税率が同じになった。)

法人税が聖域のように扱われるのもおかしい。財界や政府が強調するほどには日本の法人税率は高くないし、社会保険料を含めれば、企業の負担は諸外国の法人よりずっと軽くなっている。



法人税への依存を軽減しなければ、大企業の工場だけでなく、本社機能や有能な人材まで海外に流出してしまうぞといった恫喝など受け流そう。

企業の立地要因はその地域の市場規模や労働力の質・量とコスト、補助金をはじめとする優遇制度、インフラの程度、安全性や環境対策等々での各種規制など多様かつ複雑であり、税率だけで決定されることなどありえない。』と述べている。