古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

消費税が輸出補助金として機能している

2010-08-04 | 経済と世相
『消費税が輸出補助金として機能している』ってご存知ですか。

 外国に輸出される物品などは、通常輸出先の国で間接税(消費税)が課されます。わが国で輸出される物品に消費税を課すと、二重に課税されることになります。そこで、輸出の際、国内で課された消費税は還付する仕組みになっています(輸出戻し税)。この金額が半端でない。07年度のデータで、トヨタは3219億円、以下(単位億円)ソニー(1587)、本田(1200)、日産(1035)、キャノン(990)、マツダ(803)、松下(735)、東芝(703)、三菱自(657)、スズキ(518)と続いている。



 理屈の上では、輸出企業は仕入れの際に支払った消費税分を取り戻しただけだ。

 しかし、実際の取引においては、消費税を上乗せした金額を納入業者にそのまま払っているわけではない。必ず単価の切り下げを要求するし、またいうまでもないが、輸出企業がその都度その金額を税務署に払っているわけでもない。結局、輸出戻し税制度は、税制を通じて、輸出補助金になる。通常の補助金は議会の承認が必要だが、これは議会の預かり知らない補助金なのである。



 輸出大企業は、消費税の引き上げでまったく被害なく、場合によっては、引き上げ幅が大きいほど利益を生むのである。

 中国やインドなど、アジヤの新興国でも、この輸出戻し税方式がとられている。WTOは、公平貿易の観点から輸出への補助金を禁止している。だから、消費税の戻し制度という名目で、実質的な輸出補助金を出しているのだ(GATTの時代から先進国で既に行われていた)。



 日本経団連は幾度となく、消費税の引き上げを求める提言をしてきた。2003年の奥田ヴィジョンで、「04年から毎年1%ずつ消費税率を上げて14年度から先は16%に据え置く」と説き、07年には「経済財政諮問会議」が「消費税率を2025年までに最低でも17%程度まで引き上げる必要がある」旨の試算を基に議論を進める方針を決定した。



 財政再建のための正論である。しかし、正論にも色々あって、人は、自分に有利な正論は声を大にして唱えるが、不利になる正論には、口を閉ざしているものらしい。



 もう一つ、先日IMFが日本に関する審査で、来年から消費税の引き上げが必要だ、と声明したそうである。

 注意しなければいけないのは、IMFの日本に関する勧告や声明は、当然IMFの日本人スタッフが担当する。彼らの多くは、財務省からの出向である。財務省に気に入られる勧告を出せば、彼らにとって出世のステップになるのだ。