古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

FRB金利引き下げ

2008-01-24 | 経済と世相
 19日の朝日・経済気象台にこんな記事が出ていました。
【米国の有力経済紙を見ていたら、「日本では非正規社員の増加が経済成長を阻んでいる」という記事が目に留まった。1990年代末以降の規制緩和によって非正規社員が急増したこと、それによって企業は固定費を削減できたが、労働者は不安定かつ低賃金の仕事を甘受しなければならなくなったこと、などが書かれていた。
 それ自体はおそらく、正しい指摘だ。しかし、筆者は、米国のメデイアがそのような記事を書いたということ自体に、強い違和感を覚えた。それは彼らが90年代の、長期経済低迷の折、「日本が終身雇用制や年功序列賃金など硬直的な労働慣行を改革し、米国のように柔軟な労働市場を実現することが、景気回復を可能にする」と言っていたことと相容れないからだ。
 今から思うと、当時の米国人のアドバイスには、的外れのもの、効果がないもの、副作用が大きすぎるものが少なくなかった。公共投資を追加しても景気が回復しないのは、金額が足りないからだ、もっと大胆な景気刺激策を実行せよ。金融不安が消えないのは、不良債権を抱えた大銀行を破綻させずに延命を図っているからだ。デフレが続くのは、日銀が金融を引き締めているからだ、日銀は量的金融緩和を躊躇するな・・。・・・(中略)・・・
 ・・・米国が日本に対して行った無責任なアドバイスの実効性を、今度はアメリカ自身が検証する番だ。】
 「無責任なアドバイス」かどうかは別として、10数年前日本の起きた不良債権問題がアメリカで今起きている。昔は、アメリカで起きたことは数年後日本に起きるといわれたが、今回は、日本で先に起きたことがアメリカで起きている。 三菱UFJ証券の水野和夫氏は言う。(中央公論2月号)
「日本の一人当たりGDPが欧米に比べて低かった80年代前半までは、欧米で起きたことが10年後に日本で起きた。総合スーパーやコンビニエンスストアの普及などが典型である。
 しかし、日本の一人当たりGDPが87年に米国を抜いたあたりから、日本で起きたことが、その後に欧米で見られるようになった。土地バブルがそう・・・」
 日本の場合、円はローカル通貨ですから日本だけの問題だったが、今回、USドルは世界の基軸通貨、、世界経済が揺れている。
 あの時、時の総理小渕さんをして「世界一の借金王になった」と言わしめるほど、政府は国債発行による借金で景気対策を行った。しかし、見るべき効果はなかった。
 何故、景気対策の効果がなかったのか?
 「グローバル化の時代、従来の景気対策をしても、マネーが国内を巡回する先に海外へいってしまい、海外で景気刺激をしているからだ」と小生は考えています。
 さて、今回、ブッシュ大統領は緊急景気対策を発表し、FRBは0.75%の利下げを発表しました。その効果如何?
 全体として、米国にお金が留まるか、米国外にマネーが流れてしまうかを見れば予測できるのではないでしょうか?水野さんはこう続けています。
「95年の強いドル政策以降、外国人の対米証券投資は常に経常赤字を埋め合わせるのに十分な金額であった。ところが、07年7~9月期の対米証券投資は前期の3894億ドルから443億ドルへと急ブレーキがかかった。
 07年7~9月期・・経常赤字1785億ドルの4分の1しか対米証券投資として流入していない。」
  時代の潮流が変わったと思われます。つまり、ここ十数年、米国は貿易赤字を世界から集めた資本収入というお金でで補ってきた。そのお金が集まらない!
 サブプライム問題はきっかけで、ドルに対する信用がゆるぎ、ブッシュ政権では抑えることができなくなっていると愚考します。