古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

新札に思ったこと

2004-11-25 | 経済と世相
 11月21日、信金で、野口英世の新札を手にした。しがない終身国家公務員だから、新
札が回ってくるのも、遅い。やっとという感じだが、野口英世を見て思い起こすこと
があります。
 ご承知のように、英世は黄熱病の病原菌を探求して刻苦精励したが、ついに道半ば
で、自らも黄熱病に罹病してアフリカの地に倒れました。今日の医学の知識からは、
黄熱病は細菌が起こすのではなく、ウィルスによる病気で、ウィルスは光学顕微鏡で
は見えない。だから、英世がいかに努力しようとも、光学顕微鏡しかなかった当時、
黄熱病のウィルスは発見できなかったのです。
 このことから言えるのは、学問の発達に、その学問研究に使う道具の開発が、最重
要だということです。
 実際、昨年ノーベル賞を受賞した田中さんの研究は、たんぱく質の分析装置の研究
でした。DNAの解析が終った次の段階は、それぞれのDNAが、生命を構成するど
のようなたんぱく質を作るか、を探求することになります。たんぱく質の分析装置
が、次の生命科学の探求に、欠かすことが出来ない、基本的な役割を果たします。
青色ダイオードの開発も、ダイオードを焼成する炉の作成に、中村さんは日夜、苦
労されたと聞いています。つまり道具が、研究にも開発にも、最大の影響をする。
 脳科学の研究も、昔は、脳の働いている状況を目で見ることが出来ませんでした。
近年、CTやMRI、さらにはPETなど、脳の機能を画像化する(脳の血流量、酸
素代謝、糖代謝などの程度や分布の画像化)道具が開発されたことにより、急速に進
展しています。
 私が40年近く前に学んだ冶金学も、人類の最も古い科学でありながら、その内容
は、つい最近まで素朴なものだったと思います。それは、金属の高温状態を直接調べ
る方法(道具)が無かったためだと思います。機械工学は、例えば、機械加工した結
果物を手で持って測定することが出来る。冶金では、高熱反応している金属材料を直
接目で確認することは難しい。

 自然科学や工学の分野だけでなく、社会や政治のあり方も、道具の進展で変わって
くると思います。
最近、私が特に注目しているのは、IT技術が政治にどう影響するか?です。ITの
普及の結果、情報の広がりに歯止めをかけることが出来ない世の中になります。
 昔は、指導者しか情報が得られなかった。だから、指導者の方針が間違っているの
かいないのか、判断する情報が一般人には得られなかった。
 今は、指導者のやってることおかしいじゃない?と思われる情報やデ-タが、私の
ような市井人にも容易に得られる。指導者にはやりにくい世の中になったと言うべき
かも?

 新札の話から、どうも話が飛躍したようです。