古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

電話加入権

2004-11-08 | 経済と世相
 最近腑に落ちないニュースが伝えられている。NTTの電話加入権料の値下げで
す。今まで、7万2千円だったのが、来年度から半額の3万6千円、以後、徐々に値
下げして最終的にはゼロにするという。今まで、固定電話を設置する時、NTTにこ
の金額を支払った。将来電話が不要になったら、この加入権を売れば、時価で売れ
る。換言すると、電話利用者の資産であった。それを半値にし、将来ゼロにする。こ
れが問題になっている。
 よくある話だが、マンションを売り出したけど、売れ行きが悪いので値下げした
ら、既購入者から「値下げするなら、我々にもその分返金せよ」と苦情が出る。これ
と同じかな?と思ったが、このケースとは違うようだ。
 マンション業者は値下げすると、業者のバランスシートにおいて、資産の部の在庫
に評価損が出る。
一方、資本の部でマンション建設の借入金(他人資本)が減るわけでないから、自己
資本の欄の利益が減る。つまり、損失が出るのだ。
 しかし、電話加入権料の場合、NTTのバランスシートにおいて、多分(小生、会
計の専門家でないので違っていたら教えて下さい)他人資本の部に記載されている筈
だ。是が半額になれば、バランス上資産の部で、回線など固定資産の評価を下げるだ
けだろう。つまり、NTTに損失は出ないのだ。
 加入権を持つ利用者にNTTは何らかの保障をすべきだと思いますが、NTTで
は、「電話加入権の資産価値をNTTが保障するものではない」と言っているらし
い。
 成る程、債権や株の場合、資産価値は保証されていない。しかし、株や債権がゼロ
になる場合は、会社が倒産する時だ。その時には、従業員はリストラされ、経営者は
解雇、時には損失金の損害賠償もありうる。つまり、経営者が痛みを受けるのであ
る。
 しかし、今回の電話加入権の問題では、痛みを受けるのは、電話の利用者だけで
あって、NTTは全然痛みが無い。この点で、マンションの値下げや、株・債権の値
下がりと全く違う。
 のみならず、一般の会社では、電話加入権を資産の部で記載している筈だから、こ
れに評価損が出ると、その分、利益が減る。利益が減れば、法人税他の税金が減る。
一社だけの話でない。全国でそうなり、税収が減る。その分を補填するため政府は一
層の増税をすることになる。
 にも拘わらず、総務省は何も言わず、これを認可すると言う。一体、NTTは民営
会社なのだろうか?聞くところでは、NTT西日本で損失が出たら、東日本が補填で
きるしくみがあるそうだ。つまり、西とか東とか、NTTデータとか分離しても、表
面上だけで、実体は一社で巨大独占会社。競争とは無縁の国策会社ではないのか?で
あればこそ、こうした損害を一方的に消費者に押し付けることができるのだ。
 以上は、NTTにも会計にも素人の私の推論です。皆さんの中に、事情に詳しい方
がみえたら、解説頂ければ幸甚です。