■ASAHI SUPER DRY MUSIC FLAG(TOKYO FM & JFN全国38局ネット)
2007年6月24日(日) 15:00-15:55
[山本耕史×佐野元春]
ナビゲーター:山本耕史
フラッグ・アーティスト:佐野元春
Playlist
君が気高い孤独なら
コヨーテ、海へ
黄金色の天使
荒地の何処かで
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■内容の一部を抜粋
・山本耕史が見た佐野元春
音楽バラエティー番組「MUSIG」の中で元春がぐっさん(山口智充)とやっていたコーナーを見ていて、山本耕史は元春が独特な雰囲気を持っていると感じ、実際に会う前から元春に興味があったそうだ。The Whey-hey-hey Brothersのレコーディングでは、元春がぐっさんと自分の父親的な存在みたいに思えたという。
「ものすごく広いグラウンドで遊ばせてくれるような大きさを感じた」と元春の印象を話した。
・擦り傷だらけの都会育ち
下町は人情に厚いといわれる。下町気質というの恥ずかしがり屋であったりする。ロックンロール音楽の良いところは歌詞の中でどんなにシリアスであっても、響く時には楽天的であるということ。それは意外と東京下町の気質に似ている。街で生まれて街で育った元春は、ソングライティングする時もその景色をスケッチするしかないと話す。
「僕も街に暮らして思うんだけど、いつの間にか擦り傷ができているみたいな、擦り傷だらけの都会育ちのようなね、そんな少年だった。だからそれを正直に歌にしていく、詩にしていくのが僕のスタイルですね」と元春。
・コヨーテ、海へ
「今回のアルバム『COYOTE』で設定した風景というのは、現代を荒地として捉えてみたんですね。そしてその荒地をコヨーテが往く、こういう景色ですね。そしてそのコヨーテをどこに向かわせるのかというと、僕ら人間の生命の根源である海に向かわせてみようという、これがストーリーとしてありました」と元春。
・じぶんの詩-A BEAUTIFUL DAY
「緊張してガチガチな感じで佐野さんのレコーディングに望んだんですけれども、とても引き出してくれるというか、[楽しんでみんなでセッションしようよ]みたいな、ホントにそういう緊張を最初から取り払ってくれて、みんなが、一人一人が同じ場所で同じ力を発揮するというか、誰が中心で、誰が引っ込まなくてはいけないとか、そういうんじゃなくて、みんなが自分のいい部分をどんどんどんどん出していけるような曲だったと思うんですよね。だからどういうふうに弾いても気持ちいいし、どういうふうに弾いても褒めてくれるし、自分がちゃんとそこに存在できるような曲だったと思います」と山本耕史。
・小松シゲルのコメント
中学の頃に「Motoharu Radio Show」のテープを友人からもらって聴いていたという。だから佐野元春とのコラボレーションは、当時の思い出と相まって感慨深くあったし、うれしかったという。元春が当時ラジオで喋っていた熱いままの気持ちと同じままでいることに感動し、レコーディングするとか、歌ったり、曲を作ったりすることに対して一点もブレがないところは驚異的だと小松シゲルは話す。
「失礼かもしれないですけど、すごくかわいいんですよね。サウンド・チェックの時に、もうヘッドフォンをしていて、周りは音楽が聴こえないのに、佐野さんはその音楽に合わせて歌ってたりして、そんな音楽になりふりかまわず没頭している姿を見ると、うん、かわいい人ですね、すごい(笑)」と小松シゲル。
・高桑圭のコメント
レコーディングの時の楽しさがそのまま素直に音として刻まれたアルバムで、勢いがあるのでロック・バンドだと思ったと高桑圭は話す。
「世代は全然僕らよりも上なんですけれども、音楽を愛する情熱というものをすごい持ってる人なので、やっぱり僕も佐野さんくらいの年になっても、あれくらい情熱を持っていたいなと思いました」と高桑圭。
・深沼元昭のコメント
音楽に向き合う真摯でピュアな姿勢、音楽が好きだからやるという衝動を失ってないところ、そういうことを仲間で作り上げることに喜びを持っていて、参加する全員に対してそれを分け与えることができるところが尊敬できると深沼元昭は話す。
「表現者として多くの人がいろいろなものと戦ってやっていくと思うんですよ。そういう中で佐野さんは全然それを表に出さずに、っていうか、そういう自覚もそんなになく、自分が経験を積んでいったりとか、年齢もどんどんあがっていったりとかで、どうしても老成してしまうというか、できることがはっきりしてしまうし、ここはこうやったほうが早くできるよとか、そういうことになってしまうことに対してとか、自分が音楽をやっていくこと自体に対してテンションが下がってしまうこととか、そういうものとポーズを見せずに、自然な形で戦って、それに打ち勝って、ずっと続けているところに自分は尊敬しますよ」と深沼元昭。
・これからの音楽の在り方
「現在僕はレコード会社を持ってるんですね。正確に言うとレーベルを持っています。それは[DaisyMusic]というレーベルですね。今回のこの『COYOTE』というアルバムはそのレーベルから2作目にあたるんですね。で、この2作目から全楽曲をダウンロード配信するというふうにしました。現在、音楽を聴く側のスタイルもどんどん変わっていってるし、それと同時に音楽を作る側のスタイルもどんどん変わっていってるんですね。そして変わっていく現在というところにフットワーク軽くレコード・レーベルとして関わっていくことになると、新しい物事にどんどん関わっていきたい。そしてその先に、結局何がしたいかというと、音楽を愛しているリスナーたちにいちばんのベネフィットが落ちてゆくような、そういうレーベルの在りようを走りながら考えていこう、これが[DaisyMusic]レーベルのフィロソフィーですね。僕がこうしてソングライティングする、そして仲間、バンドを集めてレコーディングする、そしてそのレコードをそれを聴きたいという人に届ける、この一連のことですね、僕はビジネスと思ってない。音楽を作る、音楽をやっていく、音楽を届けるというのは、僕はビジネスではなくて、食事をしたり、散歩したり、それと同じようなレベルになればいいなといつも思っている。うん」と元春。
・音楽と言葉
「音楽と言葉は深い関係性があります。僕らソングライターがいつも試みているのは言葉を音楽化する、あるいはその逆で音楽を言葉化する。これをずっとやってきているわけですね。ですから日常、僕が今こうしてみなさんに話している言葉とも少し違う。音楽の言葉はね。普段僕らがこうして話している言葉は、ともすると言葉というのは、単なる伝達のツールでしかなくて、無味乾燥に響いてしまうこともあったりするけれども、そんな使い古されたある言葉が、曲の中に入り、音楽として機能し、そこに適切なメロディー、リズムが乗っかるとね、たちまちその使い古された言葉が、パァーと息を吹き返したように、意味をまた発するという、そういう化学反応というのはいくらでも起こり得るんですね。それを期待しながら僕はソングライティングしています」と元春。