Sunday Song Book #1424

2020年01月26日 | Sunday Song Book

2020年01月26日プレイリスト「スコット・ウォーカー特集 PART 1」
1. THE LIVIN' END / SCOTT ENGEL '58
2. WHAT DO YOU SAY / SCOTT ENGEL '62('66)
3. WILLIE AND THE HAND JIVE / MOONGOONERS '62
4. I ONLY CAME TO DANCE WITH YOU / JOHN STEWART & SCOTT ENGEL (THE DALTON BROTHERS) '63
5. LOVE HER / THE WALKER BROTHERS '65
6. MAKE IT EASY ON YOURSELF / THE WALKER BROTHERS '65
7. THE SUN AIN'T GONNA SHINE ANYMORE / THE WALKER BROTHERS '66
8. (BABY)YOU DON'T HAVE TO TELL ME / THE WALKER BROTHERS '66
9. LAND OF 1000 DANCES / THE WALKER BROTHERS '66
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■内容の一部を抜粋
・近況
番組は前倒しで収録しているそうだ。1月はひたすら掃除とレコードの整理。仕事場の電気系統を少し変えたのでリニューアルをしなければならないとか。仕事場の整理がつけばモチーフをまとめて曲作りに入る予定だという。掃除なので個人的な時間があり、いろいろと映画を観たり、本を読んだりしているそうだ。「充電期間としてなかなかよかった1月です」と達郎さん。サンデー・ソングブックの仕込みも時間をかけてできたとか。

・スコット・ウォーカー特集 PART 1
昨年2019年3月22日に亡くなったスコット・ウォーカー。特集をしたかったがツアーがあって延び延びになっていたという。ようやく準備をしてスコット・ウォーカーの特集ができるようになったが、スコット・ウォーカーは「一筋縄では行かない」という言葉があるけれど、二筋三筋通ってるので、3週間使って徹底的にやることにしたそうだ。今週は「スコット・ウォーカー特集 PART 1」。まずスコット・ウォーカーが本名のスコット・エンゲルでやっていた時代の活動を中心に、そして後半はウォーカー・ブラザーズ時代の活動の前期まで。来週の「スコット・ウォーカー特集 PART 2」はウォーカー・ブラザーズ時代の後期からソロ活動へという時代を特集。再来週はショー・ビジネスに疲れて隠遁して、いきなりアバンギャルドな道を歩むその途中まで。全部やると4週間、5週間かかるので、達郎さんが聴いていて、いちばんスコット・ウォーカーのピークの時代、ウォーカー・ブラザーズ時代を中心に骨太な特集をするそうだ。

・スコット・ウォーカー
達郎さんの世代だとスコット・ウォーカーはウォーカー・ブラザーズのリード・シンガーとして一世を風靡した人。本名はノエル・スコット・エンゲル。1943年1月9日生まれ。達郎さんより十歳年上。オハイオ州の生まれでお父さんが石油関係のマネージャーをやっていたので、オハイオ、テキサス、ニューヨーク、いろんなところに転勤を繰り返したが、1959年にカリフォルニアに定住することになった。十代の頃から芸能界に興味があり、子役や、それから歌手としてレコードを作ることになる。当時の歌手で自分のテレビ番組を持っていたエディー・フィッシャーに可愛がられて、テレビ・ドラマに出る傍らで歌手に憧れるようになった。14歳でレコード・デビューを果たす。

・THE LIVIN' END
1958年、15歳の頃のレコーディングでスコット・エンゲル名義のシングル「THE LIVIN' END」。ディスコグラフィーとしては2枚めの作品になるが曲を書いてるのはロッド・マッゲンとヘンリー・マンシーニのコンビ。ロックンロールに憧れていたのでこの曲はロックンロール・サウンドだが、ブロードウェイ・ミュージカルに出ていた頃はティン・パン・アレイ系のスタンダード・ナンバーを歌っていて、そのようなのがクロスオーバーしている。スコット・ウォーカー時代にスタンダードやメロウな作品を歌っていても、その後ろにロックンロールの存在があるのはスコット・ウォーカーの大きな特徴だといえる。十代の頃、たくさんシングルを出しても全然売れなくて、そのうちに年を取ってきたので、少しずつ方式が変わってくるようになった。ロックンロール・テイストが影を潜めて、スタンダードを歌うクルーナー・シンガーの色合いが強く出てくるようになる。

・WHAT DO YOU SAY
1962年の「WHAT DO YOU SAY」はウォーカー・ブラザーズの頃に近い歌い方をしている。リバティーでレコーディングされたが、当時発売されずに、ウォーカー・ブラザーズの人気が出た1966年に本人の意志とは関係なく発売された。でもとってもいい出来の作品。スコット・エンゲル名義。この曲の作曲にはバリアントのバリー・ディボーゾが関わってるので、ウエスト・コーストに行けばそうした作家のコネクションで作られている。

1990年代のスコット・ウォーカーのインタビューでは、十代の頃にカリフォルニアに移ってから、ジャズとかいろんなヨーロッパ文学、美術、映画に興味が出たと話している。ベルイマンとかフェリーニとかブレッソンの名前が出てくるそうだ。フェリーニの『8 1/2』が63年、ブレッソンの『ジャンヌ・ダルク裁判』が1962年、ベルイマンの『沈黙』が1963年。アメリカのロックンロールからヨーロッパ映画に耽溺しはじめたのが、ウォーカー・ブラザーズからソロになる伏線になっている。

・WILLIE AND THE HAND JIVE
スコット・ウォーカーは二十歳前後の頃にベースを弾いていてセッション・ミュージシャンとかクラブバンドの活動もしている。そういうレコーディングは想像以上に多く残していて、宮治さんとの新春放談で何曲かオンエアしたが、今週も一曲だけ。1962年にムーングーナーズという名義で「WILLIE AND THE HAND JIVE」を出している。ジョニー・オーティスの曲で、この曲を聴くといろいろあってもロックンロールをやっているというのがよくわかる。後にスコット・ウォーカーはインタビューで「自分はサーファーの文化的な敵だった」というようなことを言ってるが、この時代の作品を聴くとロックンロールが嫌いじゃなかったということが証明されている。いくら仕事だといっても、この時代のレコーディングが少なからずあるので、嫌いではできないはず、と達郎さん。

・I ONLY CAME TO DANCE WITH YOU
スコット・ウォーカーの若い頃からの知り合いでジョン・スチュワートという人がいて、この人と組んでいろいろと作品を出している。「I ONLY CAME TO DANCE WITH YOU」(邦題は「太陽と踊ろう」)という曲も、ウォーカー・ブラザーズでスコット・ウォーカーが有名になったので、海外でも日本でも彼らの作品が出た。当時はザ・ダルトン・ブラザーズという名前で作品を作っていた。ジョン・スチュワートはウォーカー・ブラザーズのジョン・マウスや、「DAYDREAM BELIEVER」を作ったキングストン・トリオのジョン・スチュワートだと言われたが、どちらも違うそうだ。この頃からウォール・オブ・サウンドの片鱗が見える。この曲はゴールドスターのレコーディングだと言われている。

クラブバンドやルーターズのステージでベースを弾いていた時代に(ルーターズは実態のないバンドで、ステージは寄せ集めでやっていた)、スコット・ウォーカーと同じようにチャンスを窺っていたジョン・マウスというギタリストと出会う。これがウォーカー・ブラザーズの結成につながっていく。ジョン・マウスは歌手でギタリスト。いちばん有名なエピソードは、ビーチボーイズの近所に住んでいたので、カール・ウィルソンやデヴィッド・マークス(ビーチボーイズの創設のメンバー)のギターの先生をやっていたこと。ほかにもジェフ・ベックにエスクワイアという自分のギターを売ったということで知られている。ギタリストとしては優秀であったが、ウォーカー・ブラザーズ以降、そういう評価はなくなってしまった。ジョンとスコットがいろいろなことをトライしてるときに、もうひとりのメンバー、ドラムスのゲイリー・リーズがメンバーに加わる。ゲイリーがイギリスはよいところなので、イギリスに行かないかと声をかけて、ウォーカー・ブラザーズはイギリスに行くことになる。その直前にウォーカー・ブラザーズはアメリカで契約して2枚レコードを作っている。1枚目は泣かず飛ばずだったが...

・LOVE HER
ウォーカー・ブラザーズの2枚めのシングル「LOVE HER」。プロデュースをしているのはニック・ベネットで、もともとはビーチボーイズのプロデューサー。アレンジはジャック・ニッチェ。曲はバリー・マンとシンシア・ワイル。なかなかいい出来のシングルだったがアメリカでは全然ヒットしなかった。アメリカではスマッシュというレーベルから発売されていたので、イギリスに渡った後、同じ系列のフィリップスから1965年に「LOVE HER」をリリースしたら、全英20位のヒットになった。ここからイギリスでウォーカー・ブラザーズの人気が出ていくことになる。シングルなので当然モノラル録音なのだが、2000年に出たシングル集『THE SINGLES PLUS』に入ってる「LOVE HER」はリアル・ステレオ・ヴァージョンだったとか。今日はリアル・ステレオでオンエア。ジャック・ニッチェ得意のゴールドスター・スタジオ。

スコット・ウォーカーはインタビューで、ジャック・ニッチェには多くのことを教わった、とりわけウォール・オブ・サウンドというものに体現して、自分もそれをやりたいと、イギリスに行ってもそのようなものを再現できたのはジャック・ニッチェのおかげだと話している。イギリスでレコーディングされたウォーカー・ブラザーズはフィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドの忠実な、ある意味ではそれ以上のエコーを持ったサウンドが満載だった。

・MAKE IT EASY ON YOURSELF
「LOVE HER」に続いてリリースされた1965年の「MAKE IT EASY ON YOURSELF」は全英NO.1。アメリカでも全米16位のヒット。ここからウォーカー・ブラザーズの世界的な名声が広がっていく。バート・バカラック / ハル・デイヴィッドの名曲。邦題は「涙でさようなら」。ウォーカー・ブラザーズの出世作。

・THE SUN AIN'T GONNA SHINE ANYMORE
翌1966年の「THE SUN AIN'T GONNA SHINE ANYMORE」はウォーカー・ブラザーズの人気を決定付けた。達郎さんは中学二年のときにフジテレビの「ビートポップス」でフィルム(PV)を観たという。スコット・ウォーカーは歌いながら右手を差し上げるが、それが本当にかっこよくてレコード屋に飛んでいったそうだ。1966年、全英NO.1、全米13位の代表作。邦題は「太陽はもう輝かない」。オリジナルのエンディングにはファルセットが入っていたが、'80年代の終りにCD化されたときその部分が消えたとか。どのCDを聴いてもそうなのでマスターが変わっちゃったと思って、番組ではアルバムに入ってるステレオ・ヴァージョンをこれまでかけていたそうだ。しかし2007年に日本のユニバーサルから出た紙ジャケのシングルのモノラル・ヴァージョンはオリジナルより長くシンガロングまで入ってるので、今日はそのCDからオンエア。今回スコット・ウォーカーを特集するにあたり、家中のCDを全部聴いていちばんいいテイクを選ってるという。その作業が資料を調べるより大変だったとか。

ウォーカー・ブラザーズはイギリスでは1965年、1966年超絶な人気を誇った。音楽的なバックグラウンドを紐解くとライチャス・ブラザーズのコンセプト、フィル・スペクターがウエスト・コーストのレッキング・クルーでやっていたウォール・オブ・サウンドより、イギリスのミュージシャンもそれに勝るとも劣らない技量があるし、イギリスのエンジニアリングはエコーの処理がものすごく優秀で、ある意味ではフィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドを超えた、しかもリアル・ステレオのエコー感が快感原則として、強烈に押し寄せてきて、「THE SUN AIN'T GONNA SHINE ANYMORE」でもそれが十分に聴くことができる。あとウォーカー・ブラザーズの成功の要因は選曲の妙。ウォーカー・ブラザーズのヒットはほとんどがカヴァーで、アルバムではどこから持ってきたかわからない曲をカヴァーしている。イギリスで出た1枚目のアルバムと2枚めのアルバムを一緒にして日本では『THE SUN AIN'T GONNA SHINE ANYMORE』というアルバムが最初に出た。捨て曲が一曲もないのでみんな虜になった。その選曲を誰がしていたのか長いこと論争になっていた。いずれにしろ選曲の妙とそれのオーケストレーション。「THE SUN AIN'T GONNA SHINE ANYMORE」のドラムは誰かというのも長い間謎だった。今ではそれがイギリスのスタジオ・ミュージシャンのロニー・ベレルだということがはっきりとしている。

・(BABY)YOU DON'T HAVE TO TELL ME
ウォーカー・ブラザーズのウォール・オブ・サウンドの極地が「THE SUN AIN'T GONNA SHINE ANYMORE」の次のシングル、1966年の全米13位の「(BABY)YOU DON'T HAVE TO TELL ME」。ホビー・コールマンの1966年のシングルのカヴァー。「LOVE HER」はエヴァリー・ブラザーズのシングルのB面、「THE SUN AIN'T GONNA SHINE ANYMORE」はフランキー・ヴァリのファースト・ソロ・アルバムの収録曲。「持って来方がエグいというそういうものでございます」と達郎さん。

・LAND OF 1000 DANCES
日本で大ヒットした「LAND OF 1000 DANCES」はスコット・ウォーカーのロックンロール的なもしくはR&B的な側面が垣間見れる曲。邦題は「ダンス天国」。

■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
2020年02月02日は、「スコット・ウォーカー特集 PART 2」
http://www.tatsuro.co.jp
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Sunday Song Book #1423

2020年01月19日 | Sunday Song Book

2020年01月19日プレイリスト「『ねずみ』で棚からひとつかみ」
1. いのちの歌 / 竹内まりや "トラッド" "ターンテーブル" '14
2. MICKEY MOUSE / JIMMY SMITH '67
3. RAT RACE / THE DRIFTERS '63
4. RAT RACE / IMPELLITTERI "SCREAMING SYMPHONY" '96
5. MUSKRAT LOVE / CAPTAIN & TENNILLE '76
6. MICKEY MOUSE MARCH / JULIE LONDON '67
7. どぶねずみ / サンハウス "仁輪加" '76
8. SHAKE THAT RAT / NICK LOWE "BOWI" '76
9. BEN / MICHAEL JACKSON '72
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■内容の一部を抜粋
・近況
先週、先々週の新春放談は大好評だったとか。「大瀧さんの新春放談のようだとか、特に二十代の方、一曲もわからないし、何を言ってるのか全然わからないけれどもおもしろかった、これも(笑)、大瀧さんと新春放談をやってた時代とおんなじようなリアクションをいただきました」と達郎さん。番組は27年経ったけれど来年も新春放談続けられればと思ったという。達郎さんは年の末に風邪を引いて、大掃除ができず、ここ3年くらいは仕事場がCDやアナログ盤が山のようになっていて、それを整理してるそうだが、十日ほどでは全く整理がつかずまだやっているとか。

・『ねずみ』で棚からひとつかみ
今年の干支は子、ねずみ年なので今週は「『ねずみ』で棚からひとつかみ」。

・いのちの歌
大晦日にまりやさんが紅白歌合戦に出場して「いのちの歌」を歌ったが、そのおかげで2020年1月1日にリリースした「いのちの歌」のスペシャル・エディションが、オリコンのシングル週間売上チャートで1位になった。「まぁ間隙ぬってなんですけれども、でもお聴きいただいた方がいらっしゃらなければ、オリコン1位取れませんですので。2012年以来、8年近くぶりでございます。ありがとうございます」と達郎さん。

・MICKEY MOUSE
ねずみの歌はあんまりなくて、MOUSEもあまりない中で、MOUSEといえばアメリカ文化の中ではなんといってもミッキーマウス。達郎さんの世代だとディズニー映画のミッキーマウス・マーチがお馴染み。いろんな人たちがやってる中で、今週はジャズ・フィールドからジミー・スミスの「MICKEY MOUSE」。ジミー・スミスはハモンド・オルガンの名手。1967年のシングルでは珍しいことに歌を歌っている。プロデュースド・バイ・クリード・テーラー。

・RAT RACE
英語圏だとねずみはMOUSEのほかにRATがある。マウスはペットのねずみでラットは下水道にいる汚いねずみ。割とダーティーなイメージ。「RAT RACE」は出世競争という意味で、富とか権力をめぐる激しい競争に巻き込まれる生活様式のこと。ザ・ドリフターズの「RAT RACE」は1963年、全米71位。珍しいことにR&Bチャートにはチャートインしていない。曲を作ったのはリーバー&ストーラーにヴァン・マッコイが参加している。

・RAT RACE
インペリテリは速弾きギターの代表格のクリス・インペリテリのバンド。1996年のアルバム『SCREAMING SYMPHONY』から「RAT RACE」。2017年1月15日の放送では干支の酉にちなんでインペリテリの同じアルバムから「17TH CENTURY CHIKEN PICKIN'」をかけているそうだ。

・MUSKRAT LOVE
ウイリス・アレン・ラムジーが1972年に自分のアルバムの中で発表した「MUSKRAT CANDLELIGHT」を、アメリカがカヴァーして1973年に全米67位。このアメリカのヴァージョンをキャプテン&テニールがカヴァーして1976年、全米4位。マスクラットはジャコウネズミという意味だが、最近の辞書では違うとされているらしい。歌は言葉遊びのようなものだとか。

・MICKEY MOUSE MARCH
ジュリー・ロンドンの「MICKEY MOUSE MARCH」は1967年のアルバム『NICE GIRLS DON'T STAY FOR BREAKFAST』の最後に入ってる。

・スコット・ウォーカー特集
来週1月26日から初期、中期、後期に分けて3週間「スコット・ウォーカー特集」。

・AI美空ひばり
静岡市のリスナーから「昨年の紅白のAI美空ひばりをどう思いますか? 私としては技術としてはありかもしれませんが、歌番組の出演、CD発売は絶対否と考えます。AI大滝詠一、AI山下達郎なんて聴きたくありません」という質問。
「ごもっともでございます。ひとことで申し上げると冒涜です」と達郎さん。

・どぶねずみ
日本モノはなかなかいいものがなかったそうだ。サンハウスの1976年のセカンド・アルバム『仁輪加』から「どぶねずみ」。「鮎川誠さんの最高のギター・プレイ」と達郎さん。

・SHAKE THAT RAT
今度は変なやつ。ニック・ロウが1976年に出したEP『BOWI』に入ってるインスト曲「SHAKE THAT RAT」。「なかなかいいインスト曲なんです。変なベースのフレーズが耳から離れないという」と達郎さん。

・BEN
1972年にマイケル・ジャクソンがねずみと少年の友情物語の主題歌を歌った。全米NO.1の「BEN」。

■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
2020年01月26日は、「スコット・ウォーカー特集 PART 1」
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Sunday Song Book #1422

2020年01月12日 | Sunday Song Book

2020年01月12日プレイリスト「新春放談(ゲスト:宮治淳一)」
1. 月への旅路 / ザ・リンクス '67
2. DEVIL SURFER / SCOTT ENGEL '63
3. SHOTGUN / THE PLAYBOYS '59
4. CARD SHARK / THE STRANGERS '63
5. EASY LIVIN' / THE STRANGERS '65
6. VENUS / BOBBY JASON '64
7. LET ME DREAM / GEORGIA GIBBS '66
8. HEAVENLY ANGEL / THE VISCAYNES '61
9. DOWN AND OUT / GEORGE FREEMAN '63
10. SEPTEMBER RAIN / THE CHARLIE CALELLO SINGERS '67
11. DON'T LET THE OLD MAN IN / TOBY KEITH '18
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■内容の一部を抜粋
・近況
「1月の12日。ハッピー・マンデーの成人式の日の前でございますね。今年も成人される方、おめでとうございます。日本の将来はみなさんの双肩にかかっております。がんばってくださいませ。私はもう、とっくに、はるか昔でございますけれども。気だけは若く行ってみたいと、そういう感じでございます」と達郎さん。

・新春放談(ゲスト:宮治淳一)
先週に引き続いて宮治淳一さんをゲストに新春放談。9年ぶりの新春放談再開。先週は12月4日に発売されたワーナー・ポップ・ロック・ナゲッツ VOL.11,12の特集のような感じだったが、今週は宮治さんが持ってきたシングル盤、達郎さんが持ってきたいろいろなものを、お互いにかけあうそうだ。達郎さんは宮治さんが好きそうな感じを選んだとか。

・月への旅路
宮治さんが年末の掃除で見つけ、いちばんうれしかったというレコードで、ザ・リンクスの「月への旅路」。1976年か1977年に高田馬場のタイムでひっそり一枚だけあったのを見つけたという。その頃はエレキ・インストに夢中だった頃で、「これは絶対インストだ!」と思って買ったら実際にインストだったが、B面は「山口の夜」というタイトルで聴いたら歌謡ムード・コーラスだったとか。山口県の秋吉台がジャケットの写真に使われている。山口を中心に活動していたバンドで、A面の「月への旅路」はジョー・ミーク・サウンド。東芝プレスの私家盤で特販だと思われる。達郎さんは写真で見たことがあるそうだが、聴いたことはないという。

・DEVIL SURFER
達郎さんは昨年、スコット・ウォーカーが亡くなったので、番組でスコット・ウォーカーの特集をしようと思って準備中なんだそうだ。スコット・ウォーカーは一筋縄でいかない人。最初は1958年か1959年に歌手としてデビュー。エディ・フィッシャーに可愛がられて、テレビの子役とかをやって、その後はロックンロールをはじめて、だんだんスタンダード歌手を目指すようになった。ベースが弾けるのでインストをけっこう作っているとか。ルーターズのツアー・メンバーでベースを弾いていたこともある。そこでジョン・ウォーカーと知り合う。その時代にスコット・エンゲル名義で「DEVIL SURFER」という曲を書いて、1963年にレコードを出している。サーフィン、ホットロッドでは有名な曲だという。この時代だけでヴォーカルで一週間、インストで一週間特集できるぐらいレコードを出してるそうだ。

・SHOTGUN
スコット・ウォーカーのインスト作品から。時代を遡って1959年のプレーボーイズ名義の「SHOTGUN」。この曲もスコット・ウォーカーのオリジナル。

・CARD SHARK
リバティーからはストレンジャーズという名義でスコット・ウォーカーは「CARD SHARK」というインストを1963年に発売している。プロデュースはスナッフ・ギャレット。キーボードはレオン・ラッセルだと思われる。カップリングの「MINDREADER」はヴェンチャーズそっくりだとか。

・EASY LIVIN'
同じくストレンジャーズの1965年のシングル。A面はローリング・ストーンズの「TELL ME」のカヴァー。そのB面で「EASY LIVIN'」。ルーターズそっくりで笑えるそうだ。「TELL ME」はヴォーカルものなのでスコット・ウォーカー特集でオンエア予定。

・VENUS
ボビー・ジェーソンの1967年の「VENUS」はフランキー・アヴァロンの全米NO.1のカヴァー。ジャック・ニッチェがアレンジ。宮地さんが持ってきたシングル。

・LET ME DREAM
この曲も宮地さんが持ってきたシングル。ジョージア・ギブスという女性アーティストの1966年の「LET ME DREAM」。テディ・ランダッツォのオケ。「LET ME DREAM」はクインシー・ジョーンズがプロデュースしたレスリー・ゴアのヴァージョンが知られているという。

・HEAVENLY ANGEL
ヴィスケインズはサンフランシスコの白人男性ふたりと黒人男性ふたりの混合のグループで、実はスライ・ストーンが所属していたドゥー・ワップのグループ。1961年の「HEAVENLY ANGEL」。歌ってるのはスライ・ストーン。最近CDが出たそうで、12月にちょうど届いたから、かけようと思ったと達郎さん。

・スクリーン・ジェムズ・ソングライターズ
宮治淳一さんは今年も5月くらいから母校の早稲田大学のエクステンションセンターで社会人向けの公開講座、講演をすることになった。今年のテーマは「スクリーン・ジェムズ・ソングライターズ」。2月11日にホームページがアップされる予定だという。

・DOWN AND OUT
宮治さんはバリアント・レーベルのジョージ・フリーマンを今年どうしても出したいそうだ。権利が不明なのだが再挑戦したいとのこと。1963年の「DOWN AND OUT」。

・SEPTEMBER RAIN
達郎さんが持ってきたレコードで、ザ・チャーリー・カレロ・シンガーズの1967年の「SEPTEMBER RAIN」。

・DON'T LET THE OLD MAN IN
達郎さんの選曲。達郎さんが昨年観た映画で、2018年のクリント・イーストウッド監督作品、日本公開は2019年の『運び屋』から。エンディング・タイトルがトビー・キースというカントリー・シンガーの「DON'T LET THE OLD MAN IN」。
達郎「これがなかなか泣けたんですよ、ラストでね。このあいだ、年末に風邪引いちゃって、それでうちの奥様が紅白に出るので、風邪をうつすといけないので、しばらくホテルに隔離されてたんですよ」
宮治「隔離されてた(笑)。大変でしたねぇ」
達郎「そのときにNetflix観まくって、Netflixは特に音楽モノのクインシー・ジョーンズとかサム・クックとか、そういういいドキュメンタリーがたくさんあってね、それを観まくって。ちょうどそれでこの『運び屋』があったんで、それを観たらこのエンド・タイトルのトビー・キースのDON'T LET THE OLD MAN INっていうね、老いを迎え入れるな、もう少し生きたいなら、老いに身を委ねるな。ドアをノックされてもね、ずっとわかってたって。いつか終わりが来ると。立ち上がって外に出ようっていう、それね、老いるのは早いっていうね、いい歌なんですよ、これ。バリトンのね、最近カントリー聴くとくるんですよ。こう、オールディーズばっかりやってるけど、やっぱ新譜はね、新譜でいいものはちゃんとあるっていうね。一応、サントラは買ってきたんで(笑)。今日はそれを最後にしようかと思いましてですね」と達郎さん。

・今後の予定
1月末にスコット・ウォーカー特集の予定。デヴィッド・ボウイやデヴィッド・シルヴィアンが絶賛する後期のおどろおどろしいものが今は知られているが、その時代を聴くのは達郎さんにとって拷問だったとか。スコット・ウォーカーは昔のインストなんて関係ないと生前話していたそうだが、サーフィン、ホットロッド・ファンとしてはそうはさせないと思ったという。

・新春放談
来年も宮治さんと新春放談の予定。

■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
2020年01月19日は、子年にちなんで「『ねずみ』で棚からひとつかみ」
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Sunday Song Book #1421

2020年01月05日 | Sunday Song Book

2020年01月05日プレイリスト「新春放談(ゲスト:宮治淳一)」
1. ORANGE BLOSSOM SPECIAL / THE SPOTNICKS '62
2. SUAVECITO / MALO '72
3. NEVER LET HIM GO / JODY MILLER '65
4. SUSPICIONS / BETTYE LAVETTE "TELL ME A LIE" '82
5. I DON'T WANNA GO / THE MOMENTS "WITH YOU" '76
6. YOU DON'T NEED A GYPSY / ROBERT JOHN '72
7. EVER SINCE YOU'RE GONE / BRINSLEY SCHWARZ '73
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■内容の一部を抜粋
・近況
「みなさん新年あけましておめでとうございます。山下達郎です。サンデー・ソングブック、2020年がスタートいたします。今年も何卒、よろしくお願い申し上げます。旧年中はいろいろとお世話になりました。今年もいろいろとがんばって番組作り励みたいと思っております」と達郎さん。

・新春放談(ゲスト:宮治淳一)
番組は28年目を迎えているが、「そのうちのですね、20年近くは新春放談というかたちで、大瀧詠一さんとお正月は、とにかく馬鹿話をですね(笑)、展開してまいりましたけれど。久しぶりに新春放談復活することになりました。昨年の7月に私風邪引いたときにピンチヒッターをお願いしました宮治淳一さん、ワーナーのいわゆるストラテジックといいましょうか、オールディーズ関係のですね、コンピレーションをたくさん出してる方ですけれども。今回もワーナー・ポップ・ロック・ナゲッツ VOL.11,12というのを、12月の4日に発売になりまして。それのお話をですね、今日は中心に据えまして今週来週の二週間、久しぶりに9年ぶりの新春放談になります。宮治淳一さんをお迎えしまして昔と同じようにですね、カルトなオタクな話をですね、展開してまいりたいと思います」と達郎さん。
珍しいことに昔の新春放談は12月の収録だったが、今回は直前の収録で、リアルタイム(何がリアルタイムなのかわからないということだが)、そういうかたちで話をしていきたいそうだ。

・新春放談復活について
2011年のお正月以来の新春放談。1983年にスタートして27年の歴史があった。NHKのサウンドストリートで1984年、1985年、1986年の3年やって、その後は佐野元春さんの番組や萩原健太さんの番組で新春放談をして、1993年の正月からはこの番組になり、そこからずっと続けていた。当時、大瀧詠一さんがパブリニックの場に登場するのは新春放談だけだった。大瀧さんが亡くなったあとはもうないと思っていたそうだが、昨年の7月に達郎さんのピンチヒッターでポップ・ロック・ナゲッツの特集を二週間したところ、リスナーに大好評だったので、「じゃあ宮治さんだったら新春放談できるんじゃないかと」と達郎さん。

・ゴールデン・オールディーズ・タイム
日曜日は今、ゴールデン・オールディーズ・タイムになっているという。ネットのおかげでラジオ番組がどこにいても聴けるようになり、宮治さんの番組で聴いた曲のリクエストが番組に届くそうだ。達郎さんの番組と宮治さんの番組、ピーター・バラカンさんの番組と、クリス松村さんも日曜日に濃い曲をかけている(AORの帝王と言われてる)ので、充実した日本のラジオ文化が形成されているとか。

・ORANGE BLOSSOM SPECIAL
今回は珍しく年明けの収録。1月3日にスプートニクスのボー・ウィンベルグが亡くなったので「ORANGE BLOSSOM SPECIAL」から今日はスタート。宮治さんは日本のエレキ・インストの重鎮で、「ニュー・エレキ・ダイナミカ」という誰も知らない濃いミニコミをやっていたそうだ。

・SUAVECITO
12月4日に「ポップ・ロック・ナゲッツ」シリーズの11と12がリリースされた。70'sを中心に、宮治さんによるとUnknown but goodies の選曲。解説にはアンドリュー・ゴールドがマーニ・ニクソンの息子と書いてあり、達郎さんも知らなかったので、資料性が高いとか。今回の11と12の選曲は達郎さんの趣味を外してるそうだが、ライナーを読むと納得させられるのだという。でもマロの「SUAVECITO」は達郎さんの好きな曲。

・NEVER LET HIM GO
ポップ・ロック・ナゲッツはワーナーのカタログから選曲している。今日はワーナー以外のキャピタルのカタログからジョディ・ミラーの「NEVER LET HIM GO」。達郎さんはデイヴィッド・ゲイツの特集をしたときにウォントかけて手に入れたそうだ。もう20年ほど前のこと。アレンジはデイヴィッド・ゲイツ。デイヴィッド・ゲイツの作品で自身もセルフ・カヴァーしていて、ポップ・ロック・ナゲッツ VOL.11に収録している。

・SUSPICIONS
ポップ・ロック・ナゲッツ VOL.11に収録している「SUSPICIONS」はエディ・ラビット。1979年、全米カントリー・チャートNO.1で全米チャートは12位か13位だそうだ。達郎さんにとって「SUSPICIONS」はベティ・ラベット。レーベルはモータウンだけどナシュビル録音。1982年のアルバム『TELL ME A LIE』に収録。

・アナログ・ブーム
達郎「今更、アナログだって言いやがる。絶対やだ、そんなもん。世界的な傾向でしょ? ファッションですよ、どうせ」
宮治「実際、音いいですよ」
達郎「いや〜。僕、2010年以降、向こうでアナログけっこう、180グラム重量盤とかありとあらゆるもの買いましたけれど、オリジナル・ヴァージョン超えてるもの一枚もないっすよ」
宮治「今の180グラム買うくらいだったらコンディションのいいオリジナルのほうがいい?」
達郎「マスターが劣化しているのでどうしょうもない。マスターをアナデジした段階でハイ落ちしてるんで、それを結局EQかけたりコンプかけたりしてるんでステロイド状態なわけね。シュガー・ベイブのSONGSは90年代の頭くらいに大瀧さんが全部アナデジしていってくれたの。まだ劣化がそんなに悪くない状態で、テープそのものがヘタってない状態で、ベスト・コンディションでアナデジにトランスファーしてくれたんで、今でもハイクオリティーなプレスができるんですよ。所詮はすべてマスターなんで。だからCDって80年代は本当に音悪いんだけど、アナログ・マスターはまだ全然劣化してない時代で、それを今リマスターしたほうが、CDだって立派なアーカイヴなんでね。そっちのほうが今の2018年リマスターというものよりも全然いいですよ」
宮治「じゃあマスターとして使えるということですね。変なEQやってないで、行って来いというか、かえってそれがよかったんですね」
達郎「でマイナス14デジのヘッドマージンが低いんだけと、でもマスター自体は悪くないんで、そういうことをね、誰も論争しないし、考えもしないで、やれアナログだ、アナログだってね。アナログは音が違うとか。それででもほとんどのシェアはスマホで聴いてますからね」
宮治「うははは。そうですよね」
達郎「おかしいですよ。こういうこと言うとね、またいろいろと言われるんです。別にいいんですけど」
宮治「うひひひ」

・I DON'T WANNA GO
ポップ・ロック・ナゲッツ VOL.11に収録しているブルース・ロバーツの「I DON'T WANNA GO」はモーメンツのアルバムのために書いた曲のセルフ・カヴァー。今日はモーメンツのヴァージョン。この曲が収録されているモーメンツのアルバム『WITH YOU』(1978年)はまだCD化されてない。達郎さんはこの曲を結婚式のB.G.M.でかけようと思っていたが、オープンリールでテープに録っていたら、まりやさんが「何言ってんの? これ失恋の歌じゃない?」って言われたとか。

・YOU DON'T NEED A GYPSY
ポップ・ロック・ナゲッツ VOL.12に収録しているロバート・ジョンの「YOU DON'T NEED A GYPSY」は世界初CD化。1972年の作品。

・30枚目
ポップ・ロック・ナゲッツはVOL.12でちょうどナゲッツ・シリーズの30枚目になるそうだ。30枚作ったら終わりにしようと以前、宮治さんは話していたが、バリアント・レーベルがまだ全然やれてないこともあり、一回出した曲の許諾のリクエストも5,6年経つんで、状況が好転して許諾してくれるかもしれないし、再挑戦して、まだ作ってみようという気持ちになってるとか。達郎さんはドゥー・ワップ・ナゲッツの続編を今年作るという。メジャーなものは全然だめなので、法的にクリアできる隣接権もので行くとか。

・EVER SINCE YOU'RE GONE
ポップ・ロック・ナゲッツ VOL.12に収録しているブリンズレー・シュウォーツの「EVER SINCE YOU'RE GONE」(1974年)。宮治さんのリクエスト。

■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
2020年01月12日は、引き続き「新春放談(ゲスト:宮治淳一)」
http://www.tatsuro.co.jp
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