2020年03月29日プレイリスト「棚からひとつかみ+リクエスト」
1. 明日の私 / 竹内まりや '94
2. WAIT TIL' MY BOBBY GETS HOME / DARLENE LOVE '63
3. GRADUATION DAY / THE BEACH BOYS "CONCERT" '64
4. FIRST ROSE OF SPRING / WILLIE NELSON '20
5. ヒゲのテーマ / たかしまあきひこと エレクトリック・シェーバーズ '80
6. DO ME / TEDDY PENDERGRASS "TEDDY" '79
7. COME NEXT SPRING / SCOTT WALKER "SCOTT 2" '68
8. 蒼氓 / 山下達郎 "僕の中の少年" "オーパス" '88
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■内容の一部を抜粋
・近況
「え〜大変なことになってまいりました。東京はこの週末は外出自粛、他県からの往来自粛でございます。もう全世界的にだんだん大変なことになってまいりましたので、これはもう完全にですね、戦争状態だと思います。日本もじわじわとという感じですが。スーパーマーケットから納豆が消え、パスタが消え、肉が消え、スーパーマーケットのあの行列を見ておりますと、今から75年前の敗戦後の買い出し列車の図を思い出します。こうなったらもう(笑)、右往左往しても、ジタバタしてもしょうがないのでですね、何度でも申し上げますけれども、冷静に、落ち着いて、自分のできること、成すべきことを致しましょう。このあいだテレビで話しておられましたラグビーのアスリートの方のようにですね、さあみんなで助け合って試練を乗り切るぞ、メディアの方、どうしてそういうこと言えないんですかね(笑)、ホントに。私の知り合いの飲食店の親父はですね、もうこうなったらしょうがない、とにかく頑張るだけだと。今までだってそうしてきたし、必死で頑張ってダメだったら自分がそれだけのもんだっただけだとですね。含蓄が、深い、言葉であります。まぁ、悪口はやめて励ましと寛容と協調に努めましょう。オリンピックのドタバタに象徴される如くですね、全てが政治と利権で動くのが今の世の中の常でありますけれども、この際論争とか利害対立、一度お休みにして、休戦協定結んで、今この世界の危機的状況、および我が国のこの状況に対して何ができるのか、皆で力を合わせて考えて行動しなければ、そう思います。また医療関係者のご努力にただただ期待する他ありません。人類の歴史上ではいろんな疫病が発生してまいりました。何度なく発生してまいりましたけれども、その都度制圧してきました。今回も必ず乗り越えられると私は信じております。私自身は私のスタッフとか、ミュージシャンのそうしたケアを考えつつですね、頑張って行きたいと思います。みなさんとともに頑張ってまいりましょう。このようなこと申し上げておりましたら(笑)、9年前の大震災のときもおんなじことを言ってるのを思い出しました。こういう場合の重要要素は寛容と臨機応変と専門家の委託とあのときも申し上げておりました。みんなで頑張ってまいりましょう」と達郎さん。
・棚からひとつかみ+リクエスト
こういうときの番組の内容をどうするのか、選曲をどうするのか、大変なんだそうだ。いろいろ世情はあるが年度末なんで今週、来週は「棚からひとつかみ+リクエスト」。この状態が続いていくならば、またサンソンのリスナーのために山下達郎のライヴ音源で構成していくつもりだとか。とりあえず今週は今の世情に鑑みてやさしい、そして明るい感じで選曲した「棚からひとつかみ+リクエスト」。
・明日の私
この季節になるとリクエストが増える竹内まりやさんの「明日の私」。「地方から上京して就職に来る女の子の歌ですけれど、今年は就職もこういうウイルス騒ぎでいろいろと大変でございますけれど、負けないで頑張ってください」と達郎さん。
・WAIT TIL' MY BOBBY GETS HOME
今年度最後のプログラム。来年度も番組は変わらず続行されて27年半を迎える。ダーレン・ラヴの「WAIT TIL' MY BOBBY GETS HOME」はフィル・スペクターのプロデュース作で、1963年、全米26位。ダーレン・ラヴはスタジオ・コーラス・グループのブロッサムズのリード・シンガー。マライア・キャリーでおなじみの「CHRISTMAS(BABY PLEASE COME HOME)」のオリジナル・ヴァージョンを歌った人。スタジオ・セッション・グループという影に隠れて一般的な知名度はないけれど素晴らしい歌唱力を持った人。フィル・スペクターのプロダクションではクリスタルズとかゴースト・シンガーもやっていたが、「WAIT TIL' MY BOBBY GETS HOME」はダーレン・ラヴ名義。ジェフ・バリーとエリー・グリニッチの作品。盛岡市の超常連のリスナーからのリクエスト。
・GRADUATION DAY
名古屋市のリスナーからのリクエスト。「今年は卒業式が中止とか、あとは親御さんが参加できないとか、いろいろ残念な日々ですけれど、せめて音楽の世界だけでも卒業式の歌」と達郎さん。「GRADUATION DAY」はもともとはフォー・フレッシュメンのレコーディングだが、フォー・フレッシュメン・フリークのブライアンがビーチボーイズでカヴァーした。1964年全米NO.1になったアルバム『THE BEACH BOYS CONCERT』から「GRADUATION DAY」。最後に「DAY」と遠くで聞こえるのはドラムスのデニスの声。それがシャレになっている。「アメリカがいちばん豊かだった時代の空気が満載でございます」と達郎さん。
・FIRST ROSE OF SPRING
春の歌をかけようと思ったそうだが特集で何度もやってるのでネタが途切れてしまったという。今日は寝技で最新新譜をオンエア。ウィリー・ネルソンの新しいアルバムは4月リリースの予定だったが、今回のウイルス騒ぎで7月に延期になったそうだ。でも先行シングルがダウンロード、配信で発表されている。アルバムのタイトル・ソングで「FIRST ROSE OF SPRING」。「春の最初の薔薇という素敵なタイトルの曲でございます。最近こういう歌が来るんですよ、歳のせいか(笑)。こないだのトビー・キースとか来る歳になってしまいました。でもウィリー・ネルソン70枚目のアルバムだそうです」と達郎さん。
・ヒゲのテーマ
「報道によりますと志村けんさんがコロナに罹って入院されているという情報がながれてまいっております。志村さんは私ちょっとだけでも知己を得ております。志村けんさんは私がいちばん好きなコメディアンの方であります。25年くらい前はですね、飲み屋が同じでよくお話をさせていただきまして、対談もさせていただきましたことがあります。くれぐれも陰ながらですけれどもお大事に。回復をお待ちして申し上げております。志村けんさんの応援で一曲」と達郎さん。志村けんさんといえば全員集合でヒゲダンスという大ヒットしたネタがあるけれど、このときに演奏されていた「ヒゲのテーマ」はたかしまあきひことエレクトリック・シェーバーズが1980年にレコーディングしている。実はその一年前の1979年、テディ・ペンタグラスのアルバム『TEDDY』に収録されていた「DO ME」のカヴァーで、このインスト部分を「ヒゲのテーマ」のダンス・ミュージックとして使っている。
・DO ME
「ヒゲのテーマ」のオリジナル・ヴァージョンでテディ・ペンタグラスのアルバム『TEDDY』から「DO ME」。日本盤は当時700枚しか売れなかったが、今はR&Bブームでもてはやされている。「志村さんご快癒心よりお祈り申し上げております。また志村魂、さんざん観させていただきましたが、また、あげさせてください」と達郎さん。
・山下達郎 SPECIAL ACOUSTIC LIVE 2020
今週末の4月4日、5日に開催を予定していた名古屋クラブクアトロでの山下達郎 SPECIAL ACOUSTIC LIVEはウイルスの感染が拡大をしている状況を鑑みて公演中止を決定したとのこと。チケットの受付開始後の中止決定なので、抽選受付の申し込みはすべてキャンセルになった。今のところ中止になってるが、できれば延期にしたいそうで、延期先の時期をいつ頃にするか、いつになったら安全にライヴを行えるか、ウイルスの状況が落ち着いたら、改めて名古屋クラブクアトロの振替公演をやってみたいという。
「私のこの番組はですね、リスナーのみなさん、本当にシャレがあります。お便りも前向きですしね。棘棘した方、ひとりもおりません。音楽の同好の絆というのはかくも強いものかというですね、こういうときに本当に強く感じます。誠に私はですね、私の番組のリスナーの方が誇らしく感じる今日このごろでございます。とにかく今の世の中ですね、私がいちばん怖いと思うのはとにかくシャレが通じない。西暦2000年頃でしたら、この番組でレコード会社の役員の悪口とか言ってましたけれど、それでもシャレで済んでたんですけど、ところが今、そうじゃない。何かというとですね、片言隻句とらまえて、切り取り強盗よろしくネットでさらされまして。するとどっからかですね、怪しげな恫喝が飛んでくるんですね。別に、そういうもの少しもビビリませんけれども、まるで近くのどっかの独裁国家のようなですね、全くおかしな世の中になったと思います。まぁ、ネットの罪といいましょうか。そういうものありますけれども。まぁ、でも申し上げることは申し上げたいと思いますが、なんか私のこういう東京的な物の言い方が辛口とかですね、キツイとかですね、仰る方もいらっしゃいますが、こんなの全然、まだまだ控えめで控えめで喋ってるんです。これ本気になったらこんなもんじゃありません。またそういうこと言うの、もうやめましょうね(笑)。へへへへ」と達郎さん。
・COME NEXT SPRING
こういうときはスコット・ウォーカー。スコット・ウォーカーとウォーカー・ブラザーズの特集をもう一週やろうとしているそうで、このウイルス騒ぎで二の足を踏んでるという。日野市のリスナーからのリクエストでスコット・ウォーカーのソロ・セカンド・アルバム『SCOTT 2』(1968年)に入ってる「COME NEXT SPRING」。もともとはトニー・ベネットの1956年の同名の映画の主題歌。
・8cm CD
長野市のリスナーから「達郎さんはCDの8cmシングルを何枚くらい所有しているのでしょうか? それはどのように保存しているのですか?」という質問。
8cm CDの収納の仕方はCDの棚に横にしているそうだ。少しはみ出るが、8cm CDはそんなに持ってないのでとのこと。音が悪いのであんまり好きじゃなかったとか。
姫路市のリスナーからは「8cm CDはどうしてなくなったのですか?」という質問。
いろいろ理由はあるけれどレコード店で陳列しにくいのと、CDプレイヤーのトレイに乗せるときにアダプターが必要だったり、当時のカーステレオでかけられなかったりしたので、だんだん衰えて、12cmに統一されたり、マキシシングルに変わったりした。諸説あるけれどだいたいそんな感じ。
・蒼氓
今日の最後はリクエストが集まった「蒼氓」。
番組の終わりに
「来週は新年度でございます。いろいろございますけれども、年度替わりは時間でありますので否応なくやってまいります。え〜どうなるかはなかなか不明瞭な段階ですけれども、頑張って乗り越えていきたいと思います」と達郎さん。
■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
2020年04月05日は、引き続き「棚からひとつかみ+リクエスト」
http://www.tatsuro.co.jp