2018年05月27日プレイリスト
「フェンダー・ギターで、棚からひとつかみ Part 1」
1. SPARKLE / 山下達郎 "フォー・ユー" "オーパス" '82
2. RAVE ON / BUDDY HOLLY '58
3. MISERLOU / DICK DALE & THE DEL-TONES '62
4. BURN / DEEP PURPLE (RITCHIE BLACKMORE) "BURN" '74
5. AVALANCHE / ALBERT COLLINS "ICE PICKIN'" '78
6. CARL'S BIG CHANCE / THE BEACH BOYS (CARL WILSON) "ALL SUMMER LONG" '64
7. I'VE BEEN LOVING YOU TOO LONG / OTIS REDDING (STEVE CROPPER) "OTIS BLUE" '65
8. CANONBALL RAG / JAMES BURTON '61
9. MOONSHINE / JAMES BURTON & RALPH MOONEY "CORN PICKIN'" '68
10. L.A.BABE / 円藤一成 (山下達郎) "RUN TO LIVE, LIVE TO RUN" '84
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■内容の一部を抜粋
・近況
今週からツアーのリハーサルがはじまるそうだ。「今、ツアーのリハーサルの準備で追われております」と達郎さん。そんなときにWindowsを再インストールをしてぐしょぐしょになっているという。今日帰ってからまた朝までかけて修復するのだとか。
・フェンダー・ギターで、棚からひとつかみ Part 1
二週間「ギブソン・ギターで、棚からひとつかみ」をやって、今週からはフェンダー・ギター。今週来週の二週間で、今週は「フェンダー・ギターで、棚からひとつかみ Part 1」。ギブソン・ギターと同じで達郎さんのリスニング・ライフの中からの選曲。エレキ・ギターの歴史は60年以上あるので「フェンダー使い」と括ってやっても枚挙に暇がない。だからほんの舐める程度。
・SPARKLE
達郎さんはフェンダーのテレキャスターを愛用している。1970年代からずっとテレキャスター、あとストラトキャスターも使う。達郎さんのライヴはみんなエレクトリック・ギターはフェンダーを使ってるそうだ。フェンダー・ギターの1曲めは1982年のアルバム『FOR YOU』から「SPARKLE」。「ちなみに両サイドのギター、それから真ん中のオブリ、この曲はすべてフェンダーのテレキャスターで演奏しております」と達郎さん。
・RAVE ON
ロックンロールの黎明期に活躍したバディ・ホリー。1958年のヒット・ソング「RAVE ON」は全米チャート37位だが、全英では5位まで上がった。イギリスで非常に人気の高いシンガーだったが、1959年に飛行機事後で亡くなった。享年22歳の若さ。「たくさんカヴァーがありますが、やはりバディ・ホリーのオリジナルが乾いた感じ」と達郎さん。フェンダー・ギターはレオ・フェンダーという人が作った。カリフォルニアに工場があってカリフォルニアで生まれたギターなので音が乾いている、「こじつけですね(笑)」と達郎さん。
・MISERLOU
ロックンロールの黎明期はソリッド・ボディー、木杢のエレキ・ギターだったので、カリフォルニアのサーフィン・ホットロッドのシーンではとにかく使われた。サーフィン・ホットロッドの草分けといえばディック・デイル。ディック・デイル&ヒズ・デルトーンズの1962年の「MISERLOU」。ヒット曲ではないが日本では知らない人がいない。ディック・デイルはもともとサーファーだったがギターを持って人気が出た。フェンダーのストラトキャスターで演奏している。ディック・デイルは左利きだが右利き用のストラトキャスターを左手で弾いている。同じスタイルの人、ジミ・ヘンドリックスは明らかにディック・デイルから影響を受けていて、シアトルでディック・デイルのライヴを見たという説が有力である。
・BURN
今の世界の趨勢だとフェンダのストラトキャスターかテレキャスターの二大勢力に分かれる。弾きやすさ、かたち、音、いろいろな意味で使いやすく、木杢なので耐久性もある。ストラトキャスター弾きで達郎さんが最初に思いついたのはリッチー・ブラックモア。ディープ・パープルの1974年のアルバム『BURN』のタイトル・ソングで「BURN」。邦題は「紫の炎」。シングル・ヴァージョンなので早めにフェイドアウトしている。
・AVALANCHE
ミスター・テレキャスターといえばアルバート・コリンズ。テキサス・ブルースの重鎮。1978年のアルバム『ICE PICKIN'』のいちばん最後に入ってる「AVALANCHE」。「雪崩」という意味だとか。ちなみにアルバート・コリンズの別名はアイスマン。1993年にがんで亡くなっている。
今日かけているギタリストはみんなピックアップをつけたり、位置を変えたりして改造している。今回は「棚つか」なのでそこにはあまり触れないと達郎さん。
・CARL'S BIG CHANCE
1960年代の頭にはジャズマスターとかジャガーというエレクトリック・ギターが作られた。ビーチボーイズの1964年のアルバム『ALL SUMMER LONG』でカール・ウィルソンがギター・ソロを弾く「CARL'S BIG CHANCE」ではジャガーを使用している。カール・ウィルソンはこのあとエピフォンを使うようになるが、この頃のビーチボーイズのライヴはみんなフェンダー。ジャガーにジャズ・ベースを使用している。カールも1998年に亡くなった。
先週までの「ギブソン・ギターで、棚からひとつかみ」ではフリーのポール・コゾフをかけ忘れていたとか。「惜しいことしましたが。まぁ、チャンスがあれば。チャンスがあるかな(笑)」と達郎さん
・PERFORMANCE 2018
今年も6月23日から全国ホール・ツアーがはじまる。全国24都市49公演。昨日の26日(土)から8月分の長野、札幌、苫小牧、北見、大阪、新潟までのチケット一般発売がはじまっている。6月3日まで。詳しくは山下達郎オフィシャル・サイトにて。
http://www.tatsuro.co.jp/live/
・細田守監督最新作『未来のミライ』
『時をかける少女』、『サマーウォーズ』、『おおかみこどもの雨と雪』、そして『バケモノの子』に続く細田守監督最新作『未来のミライ』が7月20日に公開される。この度、このアニメ『未来のミライ』のオープニング・テーマとラストのエンディング・テーマ(主題歌)を達郎さんが書下ろした。この2曲はシングルとして7月11日に発売。曲目等の詳しいインフォメーションは来週発表予定。リマスタリングがまだできてないのでオンエアはまだ先になるという。
https://wmg.jp/tatsuro/
・フェンダー・テレキャスター
リスナーから「達郎さんがギターを決めた理由」などの質問。
単純にテレキャスターがいちばん安かったからだとか。フェンダーのギターはボリュウムもトーンもフルで使うしかなく、ボリュウムを絞るとコンデンサーが効いて音が硬くなるという。マイクの位置だけでできるので初心者でも使いやすいそうだ。ギブソンのレスポールはボリュウム2つ、トーン2つを組み合わせることによって無限のバリエーションができる。そのあたりのバリエーションはギブソンが圧倒的に優れている。そういう意味では達郎さんはリード・ギタリストではなかったのでカッティングでいくならテレキャスターがいちばんいいなとそういうような感じたったとか。
・I'VE BEEN LOVING YOU TOO LONG
達郎さんがテレキャスターを使いたいと思ったいちばんの理由はスティーヴ・クロッパー。メンフィス・サウンドの雄で、ブッカーTとMG'Sのスティヴ・クロッパーがテレキャス使いで、この人の音にすごく影響されてテレキャスターが好きになったそうだ。スティーヴ・クロッパーは歌のバックで演奏するときの存在感が半端ない人。オーティス・レディングのバックはブッカーTとMG'sでずっとレコーディングしてきた。1965年、R&Bチャート2位、全米チャート21位の「I'VE BEEN LOVING YOU TOO LONG」。オーティス・レディングの素晴らしい表現力の歌のうしろで淡々とアルペジオを弾いている。この音がなければサザン・ソウルは語れない。
・CANONBALL RAG
テレキャスター使いといえばジェームス・バートン。チェット・アトキンスにも匹敵するギターのテクニシャン。エルヴィス・プレスリーやリック・ネルソンのバック、有名なところではデール・ホーキンスの「SUSIE Q」。ジェームス・バートンが十代のときの演奏でギター・リフも彼が考えた。2011年にイギリスのエースからジェームス・バートンの'50年代、'60年代の初期の作品を集めたコンピレーションが出た。この中に入ってる1961年のテレビ・ショーの録音で「CANONBALL RAG」。マール・トラヴィスの作品で有名。'50年代にカリフォルニアでオンエアされていたカントリー・ミュージックのテレビ番組「ターンホールパーティー」にジェームス・バートンがマール・トラヴィスの代役で出たときの演奏だとか。この時代にテレキャスを弾いてるか確証が取れてない。
・MOONSHINE
もったいないのでジェームス・バートンをもう一曲。1968年にペダル・スチール奏者のラルフ・ムーニーとふたりで組んで作ったアルバム『CORN PICKIN'』から「MOONSHINE」。ジェームス・バートンもギターを改造していてスリー・ピックアップのテレキャスターを使っている。
・L.A.BABE
今日の最後は達郎さんが'80年代に円藤一成さんという神戸生まれの、ウィルソン・ピケットをこよなく愛している、R&Bが好きなシンガーに提供した「L.A.BABE」。1984年のアルバム『RUN TO LIVE, LIVE TO RUN』には達郎さんが2曲提供。自身で気に入ってる作品だったがアルバムが長い間廃盤だったので、こうした人に提供した作品を集めたコンピ『WORKS OF TATSURO YAMASHITA』に収録。2004年にファンクラブで販売しているので「もしご興味があれば私のホームページにアクセスしてお求めください」と達郎さん。青山純さんがドラム、伊藤広規さんがベース、佐藤博さんがキーボード、達郎さんのギターに、イブのコーラス。ちなみに左側のギターがテレキャスターで、右のオブリがストラトキャスター。
■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
2018年06月03日は、「フェンダー・ギターで、棚からひとつかみ Part 2」
http://www.tatsuro.co.jp