上原ひろみ × 熊谷和徳

2011年04月27日 | Live

4月24日(日) 晴れ。

東日本大震災の影響により、ブルーノート東京がピンチに陥ってるそうです。
海外アーティストの公演がのきなみキャンセルという憂き目に遭ってるという。
それを聴いた上原ひろみが特別公演を行うことになったとか。

僕は元春の公演が延期になったので東京行きの新幹線のチケットを持っていました。
状況をみてチケットが無駄にならない方法をずっと考えていたんです。
なにかできるはずだと。
僕にいまできることは音楽を通じて募金を行うことなんじゃないかと思いました。
会場に東日本大震災の被災者支援の募金箱が設置されるようだし、
1st Showだったら日帰りできるので、急遽「上原ひろみ × 熊谷和徳」のデュオ・ライヴを聴きに行きました。

開演までブルーノート東京の目と鼻の先の岡本太郎記念館で過ごそうというスケジュールを組みました。
今年は岡本太郎生誕100年記念ということで東京国立近代美術館で「生誕100年 岡本太郎展」が開催されています。
ちょいと早めに出かけて、そちらにも行くことにしました。



「傷ましき腕」とか「森の掟」、「明日の神話下絵」など川崎市岡本太郎美術館に所蔵されてる作品が見られてよかったです。
大阪にいるとなかなか川崎まで行けませんから。
ただ大阪には万博記念公園に太陽の塔があり、岡本太郎といえば太陽の塔だろうという思いがあります。
なので絵画よりもパブリック・アートの作品に心惹かれていることを再確認しました。

東京メトロに乗って表参道へ。
節電のため駅のエスカレーターは封鎖してました。
車内の窓が開いてたのは節電のため空調を切っていたからでしょうか。



表参道の交差点のところにある山陽堂書店がリニューアル工事を行ってました。



大坊珈琲店で休憩したあと(階下の店舗にラーメン店が新規開店してました)、
岡本太郎記念館へ行ってきました。
はじめてでしたがとても楽しいところですね。
実は十年ほど前ですが、「岡本太郎と縄文」をテーマにした展覧会が大丸梅田店の大丸ミュージアムで開催され、
会場で岡本敏子さんのトークショーに参加したことがあります。
そんなことを思い出しつつ、アトリエを見学しました。



さて、そうこうしているうちにブルーノートの開場時間が迫ってきました。
前まで行くと中に入れるようでしたのでロビーで待機。
普段はあまりアルコールを飲まないんですが、なんかもう喉が渇いて開場すると思わずビールを注文してしまいました。
#ここからはネタバレしてますので、これから聴きに行かれる方は
#ライヴの楽しみを損なってしまうかもしれないので目を通さないでおくことをお勧めします。



ライヴはオンタイムでスタート。
上原ひろみと熊谷和徳のデュオ・ライヴはNHK-BSの「東京JAZZ」で見たことがありました。
熊谷和徳はタップダンサーなんですが、ピアノとタップの織りなすハーモニーというか、
対決というか、見どころ一杯でした。
ときどき上原ひろみが放つ地声が響いて、二人の間合いと緊張感にしびれました。
演奏もタップもアドリブなんですよね、素晴らしかったです。
途中、それぞれのソロがありました。
上原ひろみのソロ演奏は「Haze」。
今の勢いのある演奏は若いときにしか出せない音かもしれないなぁとか思いながら聴きました。

熊谷和徳は「Touhoku」。
二年ほど前にクルマで東北を廻った経験から生まれたタップダンスだそうです。
仙台出身ということで「Hand to Hand, Feet to Feet」チャリティー・プロジェクトを立ち上げ、
自分のできる範囲で支援活動を行っているとか。
http://tapperkaz.exblog.jp/13204819/

アンコールはビル・ウィザースの「Lean On Me」でした。
胸が震えました。
最後にサプライズでブルーノート東京からグラミー賞受賞祝いがありました。

日付が変わって今日、4月27日(水)。
ユーストリームのBLUE NOTE TOKYO CHANNEL
上原ひろみと熊谷和徳のデュオ・ライヴの2nd Show(21:30 Start)が生中継されます。



ソロモン流」の撮影クルーがブルーノートに入ってましたが、
この模様は5月29日(日)午後21時54分からオンエアされるようです。

■上原ひろみ × 熊谷和徳
2011年4月24日(日) ブルーノート東京
アリーナ席 D5-2

1st Show

Set List
1. I Mean You
2. Sakura
3. Bern Baby, Bern
4. Haze
5. Touhoku
6. Spain
Encore
7. Lean On Me
コメント (4)
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Sunday Song Book #967

2011年04月25日 | Sunday Song Book

<04月24日プレイリスト>
[「リクエスト大会」]
MY MORNING PRAYER/山下達郎 '11
THE DRIFTER/ROGER NICHOLS & THE SMALL CIRCLE OF FRIENDS '69
THAT'S THE WAY OF THE WORLD/EARTH, WIND & FIRE '75
WE'LL SING IN THE SUNSHINE/GALE GARNETT '64
I CAN'T MAKE YOU LOVE ME/BONNIE RAITT "LUCK OF DRAW" '91
WE BELONG TOGETHER/ROBERT & JOHNNY '58
LONELY MIXED-UP GIRL/THE CHARAYDES '66
ずっと一緒さ/山下達郎 '08
---------------------------------------------------
■内容の一部を抜粋
・近況
震災以降、やはりインパクトが強すぎたせいか、お便りが書けないという超常連のみなさんをはじめとしたリスナーが多くいて、今週はそうしたリスナーからのお便りが数週間ぶりに届いてるという。今週は先週告知したとおり「リクエスト大会」。

・MY MORNING PRAYER
日本テレビ系で4月1日からはじまった朝の情報エンターテインメント番組「ZIP!」のテーマソング。
先週の放送で初オンエアしたがタイム計算が押し気味だったので途中で切れてしまったと達郎さん。
「しかも、意外とあの、ディレクターのヤマギシくんが唐突に切ったものですから、すわっ! また地震情報か!? そういうような誤解を生んだような、そういうようなお便りもけっこういただいております。誠に申し訳ございません。今日はですね、そういうわけなので、お終いまでフル・ヴァージョンでお聴きいただきます。イントロも(トークが)乗らないで。アルバムの発売日が、そろそろ確定する時期になってるんですが、この曲をさあ、どうしようかな、入れようかな、どうしようかなという。毎週申し上げておりますが、地震の最中に作っておりましたので、それまで作っていた曲を書き直してやりましたので、ひじょうに特殊な心境で作った曲ですので、こういうものだから、なんといいましょうか、あんまりいい言い方じゃありませんが売り物にして(笑)、いいものなのかどうか。オール・フリーでなんかどっかで出してもいいかななんてことすら考えておるんで、まぁ、とりあえずこのヴァージョンはですね、いつものようにシングルにするとか、そういうことはありませんので、今日はフル・ヴァージョンで、お終いのほうまでお聴きをいただければと思います」と達郎さん。

・THE DRIFTER
震災以降、1曲目は明るめの曲にしたいなと思ってかけていると達郎さん。努めて「ミドル・オブ・ザ・ロード」の曲をかけるようにしてるが、「ミドル・オブ・ザ・ロード」でもきちんとした音楽的背景がなきゃダメなので、それだったらやはりロジャー・ニコルスの作品だと。
2007年の今頃、ロジャー・ニコルスの特集を組んだが、そのときにもかけた曲。1969年にロジャー・ニコルス&スモール・サークル・オブ・フレンズ名義で出した彼の名曲のひとつ「THE DRIFTER」。「これはたぶんデモなんです。だからフェイドアウトがすごく唐突でございますけれども」と達郎さん。

・THAT'S THE WAY OF THE WORLD
アース、ウィンド&ファイアの1975年のアルバム『THAT'S THE WAY OF THE WORLD』のタイトル・ソング。全米ソウル・チャート5位、全米チャート12位。

・WE'LL SING IN THE SUNSHINE
ゲール・ガーネットはニュージーランド出身の女性。テレビ女優、シンガー。「WE'LL SING IN THE SUNSHINE」は1964年、全米4位。邦題は「太陽に歌って」。リクエストしたリスナーはCDを探しているとか。たぶんCDは2004年に出た『続・僕たちの洋楽ヒット Volume.5』というコンピレーションしかないのでは? と達郎さん。

・エレクトロンホール宮城
仙台市のリスナーからのお便りの中の「エレクトロンホール宮城が被災して休館中」に触れて。
「あそこは私の重要なホームグラウンドなので是非とも修復を。目指したいと思っております」と達郎さん。

・I CAN'T MAKE YOU LOVE ME
ボニー・レイットの1991年のアルバム『LUCK OF DRAW』からシングル・カットされて全米18位というスマッシュ・ヒットになった。もともとはカントリー系のナッシュビルの作曲家が作った曲で、割とアップテンポな曲だったが、ボニー・レイットがレコーディングするときにスローにして成功したと資料に書いてあるそうだ。邦題は「夕映えの恋人たち」という超とんちんかんなタイトルで愛嬌でございますね、と達郎さん。

・山下家リクエスト特集
来週はゴールデンウィークの真っ最中なので、達郎さんとまりやさんの曲のリクエスト特集にしたいそうだ。最近あまり自分たちの曲がかかっておらず、「希望という名の光」ばかりだったので、できればライヴ・ヴァージョンを交えつつ、みなさんに喜んでいただければと思ってるのだとか。

・WE BELONG TOGETHER
ロバート&ジョニーはドゥーワップ時代のニューヨーク、ブロンクス出身のデュオ。「WE BELONG TOGETHER」は1958年の全米R&Bチャート12位、全米チャート32位。たくさんのカヴァーがあるけれどこれがオリジナル。

・LONELY MIXED-UP GIRL
バリー・マン、シンシア・ワイルとロジャー・クリスチャンの三者の共作。シャレイズという名前のグループでプロデュースはレイ・スティーブンス。ナッシュビル録音だからたぶんでっち上げと達郎さん。バリー・マン/シンシア・ワイルの作品の中でも割とレアなシングルで未CD化。

・ずっと一緒さ
明るいお便りを二通紹介して、両者のリクエストが「ずっと一緒さ」。

■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係

■今後の予定
05月01日は、「リクエスト特集(山下家編)」
http://www.smile-co.co.jp/tats/
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Motoharu Radio Show #075

2011年04月20日 | Motoharu Radio Show

2011/04/19 OnAir - 3rd. Week
Beady Eye:Bring the Light
Beady Eye:The Beat Goes On
Ron Sexsmith:Believe It When I See It
Ron Sexsmith:Miracles
Radiohead:Lotus Flower
The Korgis:Everybody's Got to Learn Sometime
Robbie Robertson:The Right Mistake
Robbie Robertson:He Don't Live Here No More
Fleet Foxes:Helplessness Blues
Amos Lee:Flower
Bruce Johnston:Disney Girls
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■内容の一部を抜粋
「今夜はロン・セクスミス、ビーディ・アイ、レディオヘッド、ロビー・ロバートソンの新作を用意してます」と元春。

・Bring the Light
・The Beat Goes On
今、話題になってる元オアシスのリアム・ギャラガーが率いる新しいバンド、ビーディ・アイ。デビュー・アルバム『Different Gear, Still Speeding 』はスティーヴ・リリーホワイトをプロデューサーに迎えて昨年の秋にロンドンでレコーディングされた。アルバムは全13曲収録。「Bring the Light」はビーディ・アイのデビュー・シングル。「The Beat Goes On」は元春がアルバムのベスト・トラックだと思う曲。

・ツイッター
「さて、Motoharu Radio Showでは今番組を聴いてくれている全国リスナーのみなさんがインターネット上で楽しくコミュニケーションできるツイッターという仕組みを採用しています。ここに参加したいという方は今からURLをお知らせするので是非書き取ってください。番組からツイッターのお知らせでした」と元春。
http://www.moto.co.jp/MRS/

・Believe It When I See It
・Miracles
「新しいアルバムが出るのを楽しみにしていましたロン・セクスミス。番組でもロン・セクスミスのレコード、これまでに何回か紹介してきました。1964年生まれ。カナダ出身のシンガー・ソングライターです。素晴らしいメロディと、ちょっと愁いを帯びた優しい歌声が魅力的です。新しいアルバムが届いてます。『Long Player Late Bloomer』。早速このアルバムから聴いてみたいと思います」と元春。

・Lotus Flower
レディオヘッドの新しいアルバムから。

・GreenPeople
環境問題に取り組むユースたちを紹介するレポート「GreenPeople」。毎週このコーナーでは環境を巡る社会活動を通じて様々なアクションを起こしている人たちを紹介。このコーナーの協力はNHKの環境プロジェクト「エコチャンネル」。
http://www.nhk.or.jp/eco-channel/

今週は「NPOおかげさま農と暮らしの研究所」という団体。青森県六ヶ所村でエコ・ヴィレッジを作ろうと2008年から活動している。

・Everybody's Got to Learn Sometime
コーギスのヒット・レコード。

・3PICKS!
「Motoharu Radio Show」では毎月番組推薦盤3枚のCDをピックアップしている。今月4月の「3PICKS!」はビーディ・アイ『Different Gear, Still Speeding 』、ロン・セクスミス『Long Player Late Bloomer』、そしてロビー・ロバートソン『How To Become Clairvoyant』。どのレコードも心に響くよいソングライティングと素晴らしいサウンドがあると元春。この中から今週はロビー・ロバートソン『How To Become Clairvoyant』。

・ロビー・ロバートソン
元ザ・バンドのギタリスト。13年ぶりとなる新しいレコード『How To Become Clairvoyant』が出た。ロビー・ロバートソンといえば独特のスタイルを持ったギタリストとして知られている。よくロビー・ロバートソンのギターを指して、土臭い演奏だとか、ブルージィーな演奏だと言う人もいるが、よく聴いてみるととても実験的で、ユニークにスタイルを持ったギタリスト。新しいアルバム『How To Become Clairvoyant』はちょっとザ・バンドの時代にも通じるようなサウンド・プロダクションという印象だと元春。このアルバムにはロビー・ロバートソンの友人たちが力を貸している。エリック・クラプトン、スティーヴ・ウィンウッド、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロ、ロバート・ランドルフといったミュージシャンたちが参加している。特にエリック・クラプトンがとても大きく貢献している。3曲ロビー・ロバートソンと共作して、6曲セッションに参加している。エリック・クラプトンとロビー・ロバートソンの関係でこんなエピソードがある。'60年代にクラプトンは当時のバンドを解散して、アメリカに渡ってザ・バンドに加入したくて、そのことを自分から申し出たところ、ザ・バンド側から「間に合ってます」と言われてしまったという。クラプトンはその後、アメリカ南部のミュージシャンたちとデレク&ザ・ドミノスを結成して、さらにキャリアを積んでいくことになる。ロビー・ロバートソンにとっても今回のエリック・クラプトンとのセッションは何か特別の意味を持っていたかもしれない。アルバム『How To Become Clairvoyant』からエリック・クラプトンが参加した2曲「The Right Mistake」と「He Don't Live Here No More」。「The Right Mistake」にはオルガンでスティーヴ・ウィンウッドも参加している。

・Helplessness Blues
フリート・フォクシーズの新しいアルバムから。

・Flower
エイモス・リーの「Flower」。

・ラジコ
リスナーから「今回の震災でラジオの力というものを感じてます。radiko.jpがエリア制限を解除していたとき、FMのDJが全国の方に聴いてもらえるのは励みになると話していました」というコメントを読んで。
「そうですね。今回のことで僕も改めてラジオの伝える力というものを感じました。携帯電話やインターネット、テレビなど、いろいろと方法はありますが、ラジオにはラジオにしかできない伝え方というものがあると思います。先日まで行われていたラジコを通じた暫定的な全国ネット放送ですが、個人的にはとてもいいことだと僕は思います。NHK-FMでも今年度中にこのIPサイマル放送の実用化を検討したいというアナウンスがありました。これを機会に是非、このIPサイマル放送についてもっと議論が高まればいいなと思います」と元春。

・Motoharu Radio Show2周年
リスナーから番組2周年へのお祝いコメントを読んで。
「あぁ、どうもありがとう。Motoharu Radio Showは今月4月で2周年目を迎えました。日頃から聴いてくれているリスナーのみなさんのおかげです。これからもよい音楽をみなさんとシェアしていきたいと思います。引き続いて応援をよろしくお願いします」と元春。

・Disney Girls
ブルース・ジョンストンの「Disney Girls」。

・次回放送
5月10日火曜日午後11時
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Sunday Song Book #966

2011年04月18日 | Sunday Song Book

<04月17日プレイリスト>
[「棚からひとつかみ+リクエスト」]
MY MORNING PRAYER/山下達郎 '11
TURN! TURN! TURN!/THE BYRDS '65
TELL ME WHEN/FREDDIE & THE DREAMERS '65
DON'T LET ME BE LONELY TONIGHT/JAMES TAYLOR "ONE MAN DOG" '72
OUT OF THE BLUE/THE BAND "THE LAST WALTZ" '78
DON'T GO PLEASE STAY/AARON NEVILLE "WARM YOUR HEART" '91
OUR LOVE IS HERE TO STAY/MEL TORME "AT THE CRESCENDO" '54
HAPPY HAPPY GREETING(LIVE)/山下達郎(10/10/26 神奈川県民ホール)
---------------------------------------------------
■内容の一部を抜粋
・近況
ニュー・アルバムのレコーディングを停止していたが、だいぶ電源の感じも戻ってきたので、今週からスタジオに戻るそうだ。今週はミーティングでアルバムの発売日の調整をするとか。

・棚からひとつかみ+リクエスト
「世の中は騒然としておりますが、それでも植物、こうした桜に限らずですね、春をどんどん運んできてくれます。そんな中ですね、少しでも番組のほうも明るく和やかにできればなと思っております。今日もみなさまのいただいたお便り、それからリクエストに基づきまして、『棚からひとつかみ+リクエスト』、半々ぐらいですかね。ハーフ&ハーフのような感じでございますが。今日もそんなにガサガサはしておりませんけれど、ちょっと賑やかなめの曲も、賑やかっつても(笑)、明るめの曲ですね。明るめの曲でいってみればなぁと、しっとりしたものと明るめの曲といろいろと取り揃えて、今日もお届けしたいと思います。ここんところ、ずっと『静かな棚つか』と申し上げておりましたが、今日は『棚つか+リクエスト』。山下達郎のレコード棚からアトランダムにお聴きいただきつつ、みなさまからいただきましたリクエストカードにお応えしつつという『棚つか+リクエスト』。日曜日の午後のひととき、世の中はいろいろとありますけれども、少しでも和んでいただければと思います。今日も最高の選曲と最高の音質でお楽しみいただきます。『山下達郎 JACCS CARD SUNDAY SONG BOOK』」と達郎さん。

・MY MORNING PRAYER
「4月からですね、日本テレビ系の朝のニュース・ワイド『ZIP!』のテーマ・ソングをわたしやっております。以前も申し上げましたが、3月中旬にこのテーマ・ソングを制作してるあいだに震災が起こりましたので、それまで作ってた曲を全部ボツりましてですね、新しく曲を書き換えました。(です)ので、ひじょうに突貫工事でやった曲であります。言ってみれば緊急避難のような感じでございましてですね、電源とかそういうものが、スタジオの電源が思うように、ボルトが上がらなかったとか、そういうような条件もありますので、そういう中で作った曲であります。ただ、そういう状況の中で作った曲なので、これがフル・ヴァージョンなんですけれど、間奏もありませんし、歌がA-B-Aといくもので作ったものでございますので、さあどうなるかという、もう一回リ・アレンジしてリレコするか、間奏付け足すか、ちょっと今考えておりますが、今週からレコーディングはじめますので、その中で考えてみたいと思います。果たしてこの曲、アルバムに入れるかどうかも、ちょっと今のとこは未定でございますが。とりあえず、こういう時代で(笑)、そういう出来事が起こって作った曲ですのでですね、なかなか自分の中でもある種複雑な思いがありつつお届けします。今のところテレビ番組の主題歌としてバックに流れております。単独でオンエアするのは今日が初めてでございます」と達郎さん。

・TURN! TURN! TURN!
ザ・バーズの1965年の全米NO.1。フォークロックとして「MR. TAMBOURINE MAN」の全米NO.1に続いて生まれた大ヒット。旧約聖書の伝導の書の文句にピート・シーガーがメロディを付けた作品。「万物には 変節があり 季節がある そして天の下には あらゆる目的のための時がある この世に生を受ける時 死ぬる時 種をまく時 刈り取る時 苦しみの時 癒す時 笑う時 嘆き悲しむ時 あらゆるものに 変わり目があり 時節がある」

・TELL ME WHEN
3月20日放送で仙台の超常連、矢部智剛さんのお便りを紹介した。
http://blog.goo.ne.jp/sitedoi/e/66f62f20791e8d002b5bb2be411e1fe0

その後の続編がお便りで届いたという。「ちゃんと届きました。お大事に」と達郎さん。こんなときは明るめの曲を、バブルガム的なロックンロールもこういうときには気晴らしにはいいかなと選曲したのは「TELL ME WHEN」。
フレディ&ザ・ドリーマーズは'60年代に活躍したイギリスの5人組のヴォーカル・インストゥルメンタル・グループ。いわゆるバブルガムガム・ロックだが、曲は当時のイギリスのプロの作家がいい曲を書いてる。1965年のサード・アルバムから。

・DON'T LET ME BE LONELY TONIGHT
リスナーからのリクエスト。「DON'T LET ME BE LONELY TONIGHT」はジェームス・テイラーの代表作『ONE MAN DOG』(1972年)からシングル・カットされて全米14位。アイズリー・ブラザーズがカヴァーして違うジャンルのヒット曲にもなった。

・OUT OF THE BLUE
リスナーからのリクエスト。ザ・バンドの1978年のラスト・アルバム『THE LAST WALTZ』に収められてるスタジオ・レコーディング曲。

・ニュー・アルバム
「今までやってた曲を若干差し替えましてですね、ご時世もご時世なので、時節に合わせた曲にしようかななんて思っております。だからといって、別に地味になるわけじゃないんですけども、ちょっといろいろ思ってることがありましてですね、しこしこと」と達郎さん。

・DON'T GO PLEASE STAY
リクエストはアーロン・ネヴィル。「ニューオリンズを代表する、とっても不思議な声の方ですが」と達郎さん。
アーロン・ネヴィルの1991年のアルバム『WARM YOUR HEART』はゴールド・アルバムを獲得した一作。このアルバムに収められている「DON'T GO PLEASE STAY」はドリフターズの1961年の曲のカヴァー。バート・バカラック、ボブ・ヒリヤードのコンビによる作品。

・OUR LOVE IS HERE TO STAY
リスナーからのリクエスト。
#実は僕のリクエストでした。先日、聴きに行った矢野顕子さんのライヴで「OUR LOVE IS HERE TO STAY」という曲が気に入りました。「達郎さんのお勧めがありましたら番組でかけてください」というリクエストでした。ちなみにブログでも矢野さんのライヴを取り上げてます。
http://blog.goo.ne.jp/sitedoi/e/fa151028bf75a36fff962474102dd5b5

山下達郎 : ジャズ・スタンダードのリクエストでございますが(苦笑)。そうか、あっこちゃん「OUR LOVE IS HERE TO STAY」やったのか。僕もこれ、いつかやろうかなと思っているんですが。この曲、アレですよね。ガーシュイン兄弟のいちばんラストの、ガーシュインが病気になったときに、アイラが書いた詩だという記憶がありますが。だから、そういう痛切さみたいなものを持ってる曲でもありますが、とってもいい曲であります。「OUR LOVE IS HERE TO STAY」。いろんな人が確かにやってますが、僕はメル・トーメ、フォア・フレッシュメン、そしてジャッキー・グリーソンのインストと、この3ヴァージョンが僕にとってベストですね。今日はメル・トーメかけましょうか。1954年のメル・トーメのアルバム『LIVE AT THE CRESCENDO』というのがありますが。ここでのライヴ・ヴァージョンがいちばん有名なものです。

・HAPPY HAPPY GREETING(LIVE)
達郎さんのファンクラブに入ってる福島県南相馬市の方からのお便りとリクエスト。昨年、郡山で達郎さんのライヴを見たとか。今年年末から予定されてるという全国ツアーだが郡山も予定に入ってるそうだ。
おそらく来年になるかもしれないけれど、ツアーの計画を組み立てている段階でスケジュール自体まだ決まってないが、福島にも必ずうかがいたいと思っております、と達郎さん。
今日オンエアしたヴァージョンはファンクラブ限定のクリスマスCDから。2010年10月26日に神奈川県民ホールでライヴ・レコーディングされたもの。

■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係

■今後の予定
04月24日は、「リクエスト特集」
http://www.smile-co.co.jp/tats/
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Motoharu Radio Show #074

2011年04月15日 | Motoharu Radio Show

2011/04/12 OnAir - 2nd. Week - 大瀧詠一を迎えて #2
01.大滝詠一:1969年のドラッグレース
02.大滝詠一:あつさのせい
03.大滝詠一:びんぼう
04.はっぴいえんど:さよならアメリカさよならニッポン
05.大滝詠一:空飛ぶくじら
06.小林 旭:熱き心に
07.大滝詠一:君は天然色
---------------------------------------------------
■内容の一部を抜粋
・3月22日放送
今週は東日本大震災の緊急情報番組のため延期された3月22日の放送分を予定を変更してオンエア。

元春: Motoharu Radio Show。今夜は先週に引き続き、特別な方にゲストに来ていただいています。今月3月、『ロング・バケイション』30周年アニバーサリー盤と『NIAGARA CD BOOK 1』を出した大瀧詠一さんをゲストに迎えています。

・1969年のドラッグレース
元春が教育テレビでやっている番組「ザ・ソングライターズ」で、松本隆さんをゲストに迎えたとき、「1969年のドラッグレース」の詩は暗に大瀧さんにおくったものだと話していた。

大瀧 : '69年に細野さんと僕と松本くんと一緒に、松本くんが運転して、軽井沢からぐるっとひと周りする旅というものをやったんです(笑)。あのときの歌です。結局ね、曲ができなかったんだよね(笑)。彼曰く、あのときの思い出を曲にしたんだと思います。

元春 : あの詩というのは、やっぱり大瀧さん、松本さん、細野さんが共有していた景色というふうに僕ら思っていいわけですよね。

大瀧 : 思っていいと思いますけどね。はっぴいえんど以前というか直前ですね。はっぴいえんどはじめるぞというような、それがおそらく'84年になって、15年経ってたわけですよね、『Each Time』のときには。そのときに、「まだ終わりじゃない」というようなことを、彼は言いたかったわけじゃないですか。僕は終わるつもりだったですけどね(笑)。

元春 : すばらしい。今回大瀧さんが来てくださるということで、大瀧さんが作詞をし作曲をした曲をピックアップしたんですけれども。

大瀧 : すいません、わざわざ、なんか気を遣っていただいて。大した歌はないですよ。言っときますけど僕の詩はね(笑)。

元春 : 初期の作品においては擬音が多いですよね。どどどど、とか、いらいらいら、とか。

大瀧: 多いですよね~。あれはオノマトペ。宮沢賢治は僕は一回も読んだことはないんだけれども(笑)、オノマトペが多いというのはあとで聞きましたね。やっぱり同県人だからなんでしょうか。

元春 : 言葉の韻律というものに焦点を合わせて見ていくと、大瀧さんはじめてやった楽器がドラムということで、リズムから先にくる人なんだなということをわかった。

大瀧 : リズムです。

元春 : ソングライティングにおいても歌詞を書くときに、その意味性よりも韻律のほうに先に...

大瀧 : 仰る通り。意味性よりもというより意味性なし。音律100%。

元春 : あはははは。けっこう意味が出てると思うんですけれども(笑)。

大瀧 : あとでこじつけ。意味は全く考えたことないですよ。自慢じゃないですけど。「あつせのせい」ってのがあって、みんな言ってて。「あっ! と驚くためごろう~」のがあの頃流行ってたのよ。「あっ!」っていうふうに言ったら、次に人は「と驚くためごろう~」と頭に浮かぶだろうと。で「つさにのぼせあがった」と違うの言ったら、ガクっとくるだろうっていう。そういう(笑)。ふふふ。ウケた? ウケてるね~。いいよ(笑)。

「あつさのせい」

・ツイッター
「さて、Motoharu Radio Showでは今番組を聴いてくれている全国リスナーのみなさんがインターネット上で楽しくコミュニケーションできるツイッターという仕組みを採用しています。ここに参加したいという方は今からURLをお知らせするので是非書き取ってください。番組からツイッターのお知らせでした」と元春。
http://www.moto.co.jp/MRS/

元春 : そのような擬音だけではなく、ソングライターの大瀧さんが使う言葉というのは心に引っかかりをもたせる言葉というんですかね。濁音を使うのがひじょうに上手だなと思うんですね。初期の詩においては「びんぼう」ですね。これ完全に濁音ですよね。これがロックのリズムに合いまると、ぴったりというか韻律を感じるというかね。この「びんぼう」という曲を書いたときのことを覚えてますか?

大瀧 : 覚えてますよ、もちろん。ジム・リーブスにあるんですよ。「Bimbo」。(一節歌う) うん、これは「びんぼう」で行こうと(笑)。

元春 : あははは。

大瀧 : なんかね、ホーボーとかね、旅して歩いてるとか、そういう人たちの歌なんだよね、どういうわけだか。それでこれは「Bimbo(びんぼう)」はおもしろいなぁと思って。たったそれだけ。あとは意味性、何にもないですよ。

元春 : 意味はあとから(笑)...

大瀧 : もちろんです。意味はないんですよ。追及されるとひじょうに困る、ない(笑)。

元春 : 宝くじ買って十時 あたって余った金がザクザク だけど びんぼう どうしてもびんぼう びんぼう びんぼう ひまだらけ

大瀧 : だから宝「くじ」だから「十時」にしただけでしょ。

元春 : ふふふ。しかし、ここで韻律を踏んでるわけですよね。

大瀧 : まっ、言えばね(笑)。

元春 : 当時このようなライミングしてる人っていうのは、それほど...

大瀧 : ライミングっていうの、これ(笑)。ふふふ。

元春 : ははははは。

大瀧 : 駄洒落だよ、ただの(笑)。ふふふ。

「びんぼう」

・びんぼう
1972年、はっぴいえんど在籍中に出たソロ・アルバム『大瀧詠一』から。はっぴいえんどのグループ内ソロみたいな感じで、レコーディング・メンバーもはっぴいえんどのメンバーが多い。ソロ・アルバムのカッティングの工場から羽田に行ったと大瀧さん。はっぴいえんどサード・アルバムのロサンジェルス録音の旅立ちの日だったとか。ロサンジェルスから帰ってきてから、ソロ・アルバムの見本盤を聴いてるそうだ。

はっぴいえんどのロサンジェルス録音はサンセット・サウンド・スタジオで行ったとか。「外はいい天気だよ」のオルガンは『Pet Sounds』のときにブライアン・ウィルソンが使ったオルガンだったそうだ。エンジニアのウェイン・デイリーは直前にデイヴ・メイソンのアルバム『Headkeeper』のエンジニアをしていた人。大瀧さんが「田舎道」を歌ったら、「デイヴ・メイソンにそっくりだ」とお世辞か皮肉かよくわからないことを言ったという。

元春 : このアルバム(『HAPPY END』)ではアディショナルのミュージシャンとしてヴァン・ダイク・パークスも参加してましたけれども。僕、大瀧さんに伺いたいのは、大瀧さん、その後、あまり海外でのセッションというのは...

大瀧 : 全くありません。あれが最初で最後。僕は個人的に。

元春 : これは僕、大瀧さん、きっと独自の何か見解があると思うんですけれども。日本でのレコーディングにこだわる理由というのは何かあるんですか?

大瀧 : あぁ~。う~ん。めんどくさいからね。飛行機嫌いだからね。

元春 : あははは。ヴァン・モリソンと同しですね(笑)。

「さよならアメリカさよならニッポン」

・空飛ぶくじら
1972年5月発売のシングル。ソロ・アルバム『大瀧詠一』が出る半年前に出た2枚目のソロ・シングル。元春が中学生の頃、12歳くらいのときによくラジオでかかっていたという。大滝詠一は出版社を変えてその第一弾だったとか。未だにその出版社と続いてるそうだ。

大瀧 : 僕はジョン・レノンのファンで、まぁ、ポールも大好きなんだけれども、ポールのほうが一般的にわかられているという考え方だったのね(笑)。当時。ジョンはわかりにくいというね、ブルース・コードが多いしね。ポールはいろんな、「Yesterday」とかわかりやすい音楽を作る人だという印象があったので。ポールのような歌作りはしないっていうのが(笑)、はっぴいえんどのときの、なんとなく全員の不文律というか。別にジョンというわけでもないんだけれど、あんまりわかりやすい曲じゃないものをやろうというのが暗黙の了解であったと思いますよ。

元春 : しかし大瀧さんの中にはそれをやりたいという気持ちがあった...

大瀧 : いやソロだから。ソロだから違ったことをやったほうがいいのではないかっていうことで、あえてソロだからやったんですよ。だからB面の「五月雨」っていうのは適当な長唄で、ベース以外全部自分でやるとか、そういう遊びだったんですよ。多少、今になって思えばメロディメーカー的なものの端緒がそこであるのかもしれないけれど。なんせねぇ、曲を作って二年目だからね。幼稚さはご勘弁願いたいね(笑)。

元春 : 珍しい楽器を使ってたんです。クラリネットかなんかですよね。

大瀧 : あの頃はね。ポールが、ほら「Honey Pie」だとか。

元春 : ノスタルジックな響きがありました。「空飛ぶくじら」というのはね。

大瀧 : また、あのクラ(リネット)の人上手かったんだよねー。

元春 : スタジオ・ミュージシャンの方ですか?

大瀧 : うん。佐野さんだったかな、上手い人だったなぁ。

「空飛ぶくじら」

・ロックンローラー

元春 : はっぴいえんどのレコードを聴いててわかるのは、僕なんか聴くと、あっ大瀧さんはロックンローラーだなぁって思うんですよね。で、何かの記事で読んだんですけれど、細野さんに「ロック・シンガーはシャウトだよ」って言われた。

大瀧 : ふふふ。細野さんが言ったんだよね。なんというか嬌声というか奇声というか、ほらリトル・リチャードのような、ジョン・レノンも「Slow Down」とか、そういうようなときにやる、あのシャウトはまだやってないねって言うから(笑)。それで「びんぼう」のときに無理矢理入れたの。エルヴィスもああいう、これ見よがしのシャウトはしないんだよね。歌自体がひとつのシャウティング・スタイルというようなことで、奇声を上げるリトル・リチャードのようなのってないので、あんまりそういうのは言われたことなかったんだけれども。まぁ、ジョン・レノンはやってたから、やってたんだよ。ラリー・ウィリアムスばりっていうかね。ポールはリトル・リチャードのシャウトで、ジョンはラリー・ウィリアムスのシャウトだったんだよね(笑)。そういうようなことがあって、そういえば「やってない」って言われたから、強引に入れましょうということで、それで「びんぼう」にあえて出来損ないのシャウトを入れてみました。

元春 : はっぴいえんどで肉感的な唱法を持っていたのは何といっても大瀧さんだと思いますね。

大瀧 : 自分ではロックンローラーだと、ドラマー上がりですから。

・分母分子論

元春 : しかし大瀧さんは日本の歌謡の歴史に詳しいことで知られてますよね。大瀧さんの持論であるいわゆる「分母分子論」ですよね。これは日本のポップスを、世界史分の日本史で捉えた、なるほどなっていう理論だと思うんですけれども。この理論は発表された後考え直しが入ったり、あるいは更新したりということは今あるんですか?

大瀧 : そうですね。NHK-FMで'90年代に二回やったんですけれども、「日本ポップス伝」というものをね、湊プロデューサーのもとにやりましたけれども。あれは「分母分子論」のラジオ版だったっていうふうに思ってます。明治から1970年までというのを二度に渡ってやったんですけれども、いろんなことをやろうと思えばまたやれると思うんですけれど、各論的に大筋はあんなもんなんですよ。だから部分部分のところを掘り下げるっていうようなことは必要だなっていうふうに思いました。それ以降、なんと演歌の大御所、船村徹さん、遠藤実さん、作詞家の星野哲郎さん、そのお三方にインタビューを試みました。それで小林旭さんを中心に当時昭和30年の歌謡がどういうものであったかというのを、直に私が質問したところ、「これは異種格闘技である」といわれました(笑)。確かに向こうの人は僕のことなんか知らないわけですよね。全く畑違いなわけだから、なんだけれども大先生は懐が深いというかね、話を聞いてくれて、こっちの拙い質問もちゃんと丁寧に答えてくれたんですけれども、そういうふうな各論に行くんだと思ってます。それからもうひとつはね、「日本ポップス伝」の前に「アメリカン・ポップス伝」というのを実は僕はやってるんです。ただそういう名前じゃなくて「Go! Go! Niagara」というラジオ番組が「アメリカン・ポップス伝」だったんです。先に「アメリカン・ポップス伝」をやっていたんで、次に「日本ポップス伝」をやったということなんです。ラジオ関東のときは「アメリカン・ポップス伝」って名はうってないんです。途中で終わると思ってなかったので未完で終わってるんですよ。ですから「日本ポップス伝」のような「アメリカン・ポップス伝」をやろうと思ってます。

元春 : それは興味深いですね。これはもうステーションとか決められてるんですか?

大瀧 : あの心の中では決めております。今晩、夜、個人的に誰かに発表するかもしれません。ふふふふ。まだ誰にも話しておりません。

元春 : 大瀧さんの中では「Go! Go! Niagara」と「日本ポップス伝」というのは対象は違えども...

大瀧 : 同じです。「分母分子論」の論になる前のものは、すでに混沌とした形ではあったけれど提示していたと。今度僕『NIAGARA CD BOOK 1』という12枚組のボックスを出したんですけれど、その中に入ってる12枚というのも、それが「分母分子論」なんですよ。作品の中に評論活動を入れたっていう、ちょっとかっこよく言えばの話ですけれど。言っときますよ、大した歌じゃないですよ。ここはね、強調しときますからね。真面目に聴いちゃあダメですよ。こういうのは聞き流すのがいちばんいいんですけれど、ただそういうつもりになっていますね。結果的にそうなってると思いました。

・小林旭

元春 : 僕が大瀧さんが他のシンガーに書いた曲で好きなのは小林旭さんの「熱き心に」ですね。今でも小林旭さんご自身のコンサートのオープニングをこの曲を歌って...

大瀧 : オープニングとクロージングは必ずこの曲を使っていただいてるんですよねー。

元春 : 光栄な話ですよねー。

大瀧 : 本当に有り難いっていうか、身に余る光栄ですよ。だって1曲しか書いてないんですから。

元春 : 大瀧さんの世代から見て小林旭さんといえばやはりスターという感じですか?

大瀧 : 大スター。映画スターでもあるけれど僕は歌も好き。すごく好きだったんです。

元春 : これは大瀧さんのほうからオファーしたんですか?

大瀧 : これは向こうから。向こうからって旭さんでもないのよ。CM。CM会社の人がいて、旭さんを起用するってアイディアが絵のほうから出たと。音は誰かないだろうかってことで、それは僕がCMを最初にやったのは'73年なんですけれども、'73年からずっーと付き合ってるCMの会社があるんですね。で、そこの人が福生に来て録音なんかしていくわけですよね。来ると暇なのでいろんな話をするわけですよ。そのときに僕が編集した小林旭ビデオというのを見したりしてたの(笑)。で、僕がファンだってのを何年も前から彼は知ってたのね。で、ホントに'85年になったときに、久々に現れて未だに忘れられない、「大瀧さん、今度は断れませんよ」って(笑)。あのひとことは忘れられないですよね~。あぁ、ようやく来たか~って感じでしたね。で、僕も全身全霊を込めて。で、僕が作ったっていうよりも、やっぱり旭さんとか、総体のね、それまでの作家の人なんかのアレを全部たまたま代表してまとめることができたっていうようなことだと思いますよ。

「熱き心に」

・フィードバック
「Motoharu Radio Show。番組ではみなさんからの楽しいフィードバックを待ってます。番組専用のウェブサイトを用意しているので、是非ご覧になって曲のリクエスト、番組へのコメントを送ってください。みなさんからの楽しいフィードバックを待ってます」と元春。
http://www.moto.co.jp/MRS/

元春 : 『ロング・バケイション』30周年おめでとうございます。このアルバムを聴いて僕が思うのは'80年代の空気感ですよね、海辺の景色とか、海辺のドライヴとか、そういった景色を思い出すんですよ。『ロング・バケイション』30周年アニバーサリー・エディションは今のリマスタリングで提供しているという理解でいいんですよね?

大瀧 : これ以上のことはないというふうに思いました。最早。ええ。CD第一号にしてもらってね、たまたま第一号になってしまったのでCDとずっと付き合いましたけれども、そろそろCDという形態も終わるっていう噂もありますけれども(笑)、30年やってきて、大体行き着いたところはこんなもんだったなって感じですかね。

元春 : 『ロング・バケイション』という、あの作品が持ってる質感についてお話したいんですけれども。正に'80年代初期の日本の景色を描いたのか、それとも『ロング・バケイション』があのような内容だったので、そのように日本の景色がなっていったのか、定かじゃないんだけれども、今聴いても時代をすごく感じるんですよ。

大瀧 : 確かにそうだと思いますよ。'80年の4月にはじめて8月にオケは全部録り終えてるんですよ。本来は'80年の728に出る予定で作っていたんです。だから'80年の景色ってんだか、そういうものが缶詰されてる音だとは思いますね。リゾート法っていうのも'79年だったらしいんだよね。社会的に。あとになって調べた話ですけれど。それがあるのと、あとは'80年のウォークマンの登場というんですか、それが音楽が外に出たとか一般的な言い方をされましたけれど。

元春 : たぶんリアルタイムで『ロング・バケイション』という傑作を聴いてる人はこの番組のリスナーの方に多いと思うんですけれど。1曲目がはじまった途端にその時代の景色がよみがえるというか、ひじょうにノスタルジーを喚起させる力が強いんですよね、『ロング・バケイション』という作品は。

大瀧 : 最初出たときからという意味ですか? リアルタイムのときから?

元春 : いや、リアルタイムのときは時代と並走しているから心地よく聴けたんですね。大瀧さんのメロウなヴォーカル、心地よく聴けた。これが10年経つ、20年経つ、30年経って今聴くと、今の時代にはない独特の'80年代のあの時代の雰囲気というものを強く喚起させるというか...

大瀧 : そうですか。特別覚えてないですよ、佐野くんの「アンジェリーナ」だって'80年だし、みんなあの頃の人たちいっぱい出してるから、共通なものなんじゃないですか?

元春 : そうですよね~。なんだけれども『ロング・バケイション』の持ってる情緒性というんでしょうかね。もう何か良質なノスタルジーが最初からパックされていたかのような...

大瀧 : 詩のせいだと思うよ。言葉だと思います。やっぱり言葉の力は強いんですよ。これは「あたりはに わかにか きくもり」と歌ってたらなんともなんないでしょう(笑)。

元春 : ははは。はっぴいえんど時代とは全然違いますけれどもね(笑)。吉田保さんと大瀧さんが構築した独特の透明なリバーブ感というか...

大瀧 : あのレコーディングはね、'80年代にもう行われてないレコーディング方法をやったんですよ。「君は天然色」、「Velvet Motel」、「カナリア(諸島にて)」、それから「(恋する)カレン」、「フォー・タイムス・ファン(FUN×4)」の5曲は一発録りなんです。ツーチャン(ネル)の一発録り。だから半分はツーチャン(ネル)で一発録りです。あとはバラード、「スピーチ・バルーン」とか「(雨の)ウェンズデイ」とかは普通のマルチ録音ですけれど。それがちりばめられてるというのが、ひょっとしたら聴き飽きることのない音の関係性かもしれないと思いましたけれど。それは確信犯です。ツーチャン(ネル)で一発録りするということをやってみました。

元春 : そうでしたか。ミュージシャンたくさんスタジオに集める。そこでレコーデットしている時点で、エンジニアである吉田保さんと大瀧さんは最終の音像みたいなものが確実にあったと、こういう理解ですか?

大瀧 : 僕はナイアガラその前の5年間でエンジニアをずっーとやっていて、何度もトライしてるんですよ。それが『ナイアガラ・ボックス(NIAGARA CD BOOK 1)』でありますから聴いてください。自宅のスタジオでずいぶんいろんなトライをしてるんですよ。その試行錯誤を大きなスタジオでやったということと、吉田保さんのようなプロのエンジニアが誰かいてくれると、僕のエンジニア部分の労力が代理でやってもらえるし、インチキな詩を書かなくていいしね、松本くんのいい詩がアレだしね。詩は松本くんに書いてもらう、エンジニアは吉田保さんにやってもらうということで、僕はふたつの重荷から解放されてるわけですよ。完璧にサウンドだけに集中できたというのがこのアルバムなんですよ。あの頃はみんなマルチ録音で24になった。16チャンネルから24チャンネルになってるし、『(Niagara) Triangle 2』のあとの『Each Time』は24同期させてるんですよ。48でやってるんですけれど、そういうふうな時代だからこそツーチャン(ネル)一発録音のようなものが、福生でもやってるんですけれど、それを大きなスタジオでやろうということを長年構想して温めていたんですね。

元春 : 『多羅尾伴内楽団』の演奏を聴いてみると確かに一発録りの筋の通った演奏感みたいなものを感じますね。ダビングして録ったんじゃないなという感じはありますね。全員で滑走しているという感じ。

大瀧 : そうそうそう。クールなものはダビングの、あの個別な音がクリアに聴こえるというようなものは、バラードなんかはいいんですけれども、やっぱりロックンロールはね、一気にやらないとダメですよ。だからリマスターしながら、遊びながら、「君は天然色」のアコースティック・ギターのだけっていうのがあるんですよ。ほれでね、後半すっごい音が大きくなってるの。(上原)ユカリ(裕)のドラムが乗ってきて、あの、かぶりがすっごい大きくなってるの。最初はすっごい小さいんですよ。で、アコースティックだけのって、アレがやっぱりねぇ、一発録りの良さですよね。ユカリの演奏、盛り上がってきてるから、アコースティックの連中もかき鳴らし方が力が入ってくるわけですよ。そういう自然感も録音したかったというのがあって一発録りにしたんですけどね。そういうようなことで、もしね、中身よりも何度聴いても飽きない音だっていうふうに思われてもらえるなら、原因はそこにあるのかなぁっていうような気がするんですよね~。

「君は天然色」

元春 : そうしたサウンドでいうと、よく大瀧詠一流フィル・スペクター・サウンド、ウォール・オブ・サウンドなんていうような説明の仕方もありましたけれども...

大瀧 : 『ロング・バケイション』の中では3曲しかないですけれどね、スペクター・サウンド(笑)。ふふふ。冬の歌あるしね(笑)。

元春 : 僕、不思議なのは、当時'80年代、フィル・スペクターのレコーディングの現場などは、例えば今でいうとYouTubeに載ってますけれども、当時はそういう資料みたいなものは書物でしかなかったんじゃないですか?

大瀧 : ないですね。ありません。想像です。全部想像。僕はアメリカはフィル・スペクター、イギリスはジョー・ミークというプロデューサーが好きで、「(さらば)シベリア鉄道」というのはジョー・ミークへのトリヴュート・ソングなんですけど。その前に『多羅尾伴内楽団』でジョー・ミークには何曲もトリヴュートしてたんですね。で、最近、ジョー・ミークのところのライヴ・ビデオが出たんですよ。で、福生の鏡がないので、演奏者に行くときは戸を開けるんですよ。戸は二重になってるんですよね。音が洩れないように。で、開けて「あぁ、あそこのとこどう、これこう」と言って帰ってきて、それでエンジニアを閉じてやるというのを、ジョー・ミークがやってた(笑)。あの人も八畳ぐらいの狭い部屋だったのね。それでやっぱり閉じてて、ガラスがなくて、ほんでミュージシャンに指示するときに、いちいち戸を開けんの(笑)。それはね、同じだったのでびっくりして。それでベース、ドラムの音の代わりにバスタブに入って全員で足、ドーン、ドーン、ドーンっていうふうにやったとかね。

元春 : バスタブのリバーヴを使った。

大瀧 : そうです。僕、『多羅尾伴内楽団』で4人にブーツ履かせて、木の板を踏ませましたけど(笑)。みんな、やってんですよね。いや~驚きましたねぇ。でも、そういうの観てね、あぁ、やってんだっていうね(笑)。

元春 : そうですよね~。昔はそういう手作りの録音でしたよねー。

大瀧 : そういうことしかできなかったのでね。自宅のスタジオの良さっていうのか、ああいうような、いろんなことを試すことができたので、ようやく『ロング・バケイション』のときにそれが生きたと思いましたね。

元春 : 結局、時代を経てみると、そういう手作り的な音、マニファクチュアな音のほうが人々に長く聴かれますよね。

大瀧 : と思いますよ、僕は。いろんな工芸品なんかとか、ああいう大量生産のものは、そのとき安かったり、大量に出たってものは残らないんじゃないですか。

元春 : 僕もそう思いますね。今夜どうもありがとうございました。

大瀧 : いや、どうも。

・番組ウェブサイト
「番組ではウェブサイトを用意しています。是非ご覧になって曲のリクエスト、番組へのメッセージを送ってください。待ってます」と元春。
http://www.moto.co.jp/MRS/
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Sunday Song Book #965

2011年04月11日 | Sunday Song Book

<04月10日プレイリスト>
[「やや静かな棚からひとつかみ」]
希望という名の光/山下達郎 '10
ONE IN A MILLION/THE DUPREES"TOTAL RECALL" '69
ONLY YOU BABE/CURTIS MAYFIELD "GIVE, GET, TAKE AND HAVE" '76
SUNLIGHT/THE YOUNG BLOODS"ELEPHANT MOUNTAIN" '69
MY ONE AND ONLY LOVE/JOHNNY MATHIS "WARM" '58
BABY, BE MINE/MIKI HOWARD "LOVE CONFESSIONS" '87
いのちの歌(LIVE)/竹内まりや(10/12/22 大阪城ホール)
---------------------------------------------------
■内容の一部を抜粋
・近況
東日本大震災からほぼ一ヶ月。相変わらず余震が続いており、一昨日は激しい余震があり、またもや東北地方の鉄道が運休したり、電気が停電になったりしている。番組のほうは地震から一ヶ月になるので、静かな曲からやや静かな曲に変えていこうとしていた矢先だったとか。この時期、ラジオでどういうプログラムを発信するのかと迷うんだそうだ。

・やや静かな棚からひとつかみ
「先週、先々週、静かなレパートリーでずーっとお届けしておりますが、そろそろ変えようかなと思ってるときに、大きな余震ですので、今日も比較的おちついたプログラムでいければなと思っております。『静かな棚からひとつかみ』で先週はアレしてますが、今日は『やや静かな棚からひとつかみ』で、こういうときは本当に自分のレコード棚からロックンロールとかですね、そういうジャンルを超えてですね、ありとあらゆる棚から引っぱり出して、こんなものはどうだ、こんなものはどうだという、それなりにですね、ほんの小ちゃな努力ですけれど、一生懸命プログラムを構成してやっております。少しでも心の癒し、心の慰めになればという願いを込めて今日もお届けしたいと思います」と達郎さん。

・希望という名の光
先週の水曜日、4月6日にNHKの音楽番組「SONGS」で「歌に込めた祈り」と題した東日本大震災特別番組がオンエアされた。まりやさんの「人生の扉」、達郎さんの「希望という名の光」、森山直太朗さんの「さくら(合唱)」、それから美輪明宏さんの「花~すべての人の心に花を~」。各曲コメントとともにながされた。
「美輪さんはさすがに、あの~、どっしりとした方ですのでね、日本は必ず復活するんだと、美輪さんは長崎の被爆者でもあられますので、そうした確信に満ちたコメントを出されてました。素晴らしい先輩でございます。みんなで、この日本、まだまだはじまったばかりですけれども、まだ全然終わりじゃありません。闘いはこれからという感じでございますが、しっかりとみんなで復興に向けて、努力を少しでも自分なりにやっていかなきゃなという感じで考えてます」と達郎さん。
今日オンエアする予定だった日本テレビ系で4月1日からはじまった朝の新番組「ZIP!」のテーマソング「MY MORNING PRAYER」。実はパソコンのトラブルで、データが変になってるので予定を変更。来週オンエアとなった。というわけで今週は「SONGS」でオンエアされた「希望という名の光」。

・ONE IN A MILLION
「先週は『静かな棚からひとつかみ』。今日は1曲目をアップ・テンポにしたかったので『やや静かな棚からひとつかみ』でお届けをいたしたいと(笑)、思います。え~、ちょっと、やっぱり、こう、自分を含めてですね、ちょっと世の中沈み気味なので、ちょいと明るいメロディでいってみたいなと。それではじめてみました」と達郎さん。
デュプリーズはニュージャージー出身の4人組の白人男性ヴォーカル・グループ。ドゥーワップ・グループとしてスタート。1962年に「YOU BELONG TO ME」(達郎さんの『ON THE STREET CORNER 1』の1曲目)。ヒットは'60年代後半になるまででなかった。「ONE IN A MILLION」は1969年のアルバム『TOTAL RECALL』に収められている。トニー・ハッチの作品で、プロデュースはフィラデルフィアの名プロデューサー、ジェリー・ロス。達郎さんの好きなジョーレン・ゼッティのアレンジ。

・ONLY YOU BABE
先週のスモーキー・ロビンソンのようにカーティス・メイフィールドも人の心を癒すファルセットと達郎さん。1976年のアルバム『GIVE, GET, TAKE AND HAVE』からシングル・カットされて、全米R&Bチャート8位のヒット。

・ゴスペル
番組のための選曲に苦心したという達郎さん。考えた結果、ゴスペルをかけることにして、何十年ぶりという感じでゴスペルをよく聴いたという。そうすると今まで感じられなかったことを感じるようになり、今後のソングライティングにいきるじゃないかと思ってるそうだ。

・SUNLIGHT
ジェシ・コリン・ヤングがリーダーとなってボストンで結成された4人組のフォーク・ロックのグループ、ヤング・ブラッズ。その後3人組になった1969年のサード・アルバム『ELEPHANT MOUNTAIN』に収められたジェシ・コリン・ヤングの書いたヤング・ブラッズの最高傑作と言われるバラッド「SUNLIGHT」。「彼女の髪から洩れてくる日の光を見たことがあるかい」という素敵な歌い出しなのだとか。

・MY ONE AND ONLY LOVE
このあいだの「鎮魂プログラム」を聴いたリスナーから、フランク・シナトラに心が揺さぶられたのであんな曲をというリクエスト。
「ああいうことでないとフランク・シナトラかかりませんですね(笑)」と達郎さん。
今回はジョニー・マティス。達郎さんのいちばん好きなアルバム、1958年の『WARM』の2曲目「MY ONE AND ONLY LOVE」。歌も素晴らしいがパーシー・フェイスのアレンジがまた素晴らしいとか。
「君を思うそれだけで僕の心は歌い出す 春の翼に乗った四月の風のように 君はいつでも輝いて見える ただ一人愛する人よ」と歌っているそうだ。

・レコーディング中断
3月にニュー・シングルを出した直後に地震があり、今レコーディングが中断しているそうだ。いろいろと考えざるをえず、どちらにしろこの状況だと発売日が遅れることになるので、曲をまた変えようとか考えて、曲を書いたりしているとか。詳しいスケジュールは追って発表する予定だそうだ。ツアーは年末から行う予定だったので、それは予定通りに行うつもりなのだとか。

・ファンクラブ会報
東北のファンクラブ会員が千人弱いるそうで、会報はこれまで通り郵便で発送したとか。届かなければ現地で避難所を廻って、ダメだったら戻ってくるという手順になってるそうだ。

・BABY, BE MINE
R&B系でちよっとゴスペルっぽいバラード・ナンバー。達郎さんの好きな黒人シンガー、ミキ・ハワード。活動の初期はR&Bだったけれど、最近はジャズをやってて惜しいなと思ってるとか。「BABY, BE MINE」は1987年のアルバム『LOVE CONFESSIONS』のシングル・カット。R&Bチャート5位の初期の代表作。

・いのちの歌(LIVE)
本当は日テレ系モーニング・ショー「ZIP!」のテーマ曲「MY MORNING PRAYER」をかける予定だったが、Macの調子が悪いので予定変更とのこと。
まりやさんの「いのちの歌」にリクエストが届いてるそうだ。もともとは2009年の朝ドラ「だんだん」の挿入歌としてまりやさんが作詞して、マナカナが歌った曲。「souvenir again 2010」でまりやさんが最後にピアノ弾き語りで披露した。2月にオンエアした音源で2010年12月22日、大阪城ホール公演から。

■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
■今後の予定
04月17日は、レギュラープログラム「棚からひとつかみ」(予定)
http://www.smile-co.co.jp/tats/
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「KOBE Sound Falling "A WEEK"」 矢野顕子

2011年04月09日 | Live

4月1日、神戸朝日ホールで行われた矢野顕子のピアノ弾き語りコンサートに行ってきました。
ネタばれしてますので、4月27日のCotton Clubに行かれるという方は、
ライヴの楽しみを損なってしまうかもしれないので目を通さないでおくことをお勧めします。

会場の神戸朝日ホールは神戸朝日会館って映画館だった場所でした。
1994年4月にオープン。1995年1月17日の阪神大震災では幸いにもホール、そして人的な被害もほとんどなく二ヶ月後に再開。
しかし震災の影響で興行関係の市場が低迷して2004年3月末から休館していたという。
昨年、改装されてホールとしてこの春7年ぶりにグランドオープン。フェスティバルホールの姉妹ホールになるそうです。
http://www.kobeasahihall.co.jp/



3月27日(日)からは「KOBE Sound Falling "A WEEK" 」と題して7組のアーティストが日替わりで公演を行う予定だったそうですが、
急遽、東日本大震災の被災者支援活動として、公演の売り上げの一部を寄付するチャリティー・コンサートに変更となりました。
4月1日(金)は矢野顕子のピアノ弾き語りコンサートでした。

ここからはネタばれしてます。

矢野顕子のコンサートを聴きに行くようになって長いですけれど、この夜ほど感動したライヴは経験がないですね。
1曲目の「電話線」から矢野顕子がこの曲に込めた思いというものが伝わってきて心が揺さぶられました。
演奏されるどの曲にも祈りが込められてるように思いました。
もちろん矢野顕子はどんなときでも矢野顕子なんだけれど、いつもと違う雰囲気がしました。

ニューヨークで3月26日の土曜日にオノヨーコやショーン・レノンが参加したベネフィット・コンサートがあったそうです。
発起人はジョン・ゾーンだったらしく、マーク・リーボウから誘われて矢野顕子も出演したとか。
そのときにマーク・リーボウたちと歌ったのがガーシュインの作品「Our Love Is Here To Stay」という曲。
ロッキー山脈がくずれそうになっても、ジブラルタルの岩が落ちそうになっても、私たちの愛はここにある、そう歌われる曲なんだとか。
アイラ・ガーシュインとジョージ・ガーシュインの兄弟による作品で、
アイラはジョージがもう長くは生きれないことを知ってたので、これが二人で作る最後の作品なのだと意識して歌詞を書いたという。
そんなエピソードをリハーサルで聞いた矢野顕子は、もうそれだけで胸がいっぱいになったのだとか。
マーク・リーボウがカリフォルニアからニューヨークに着いたのはコンサート開演の15分前。
コード進行を確認するくらいしかリハーサルできず、ぶっつけ本番で歌ったが、とてもできが良かったと話していました。
しばらくはこの曲をレパートリーに加えて歌い込んでいきたいと。

神戸も16年前に被災しました。聴衆の中から時折鼻をすする音がしたけれど、きっと泣いている人もいたのだろうと思います。
「今夜はこの曲を歌うつもりできました」と言ってはじまったのは「Green Fields」。グッと来ました。感無量でした。

最後の曲となった「ひとつだけ」。
キヨシローと共演したヴァージョンがYouTubeにアップされてて、矢野顕子関連の動画のなかでは断トツのヒット数なんだとか。
歌の途中で「みんなも一緒に歌いませんか?」。静かに唱和する声がホールに響きました。涙がこぼれそうになりました。

■「KOBE Sound Falling "A WEEK"」 矢野顕子
2011年4月1日(金) 神戸朝日ホール
E列13番

1.電話線
2.Evacuation Plan
3.クリームシチュー
4.恋愛宣言
5.温泉に行こう
6.トランスワールド
7.Go Girl
8.Our Love Is Here To Stay
9.All The Bones Are White
10.David
11.Happiness
12.嘆きの淵にある時も
13.Greenfields
Encore
14.春咲小紅
15.ひとつだけ

[おまけ]

ロビーにフェスティバルホールのレリーフと同じ「牧神、音楽を楽しむの図」を再現しています。



ホールのピアノは二年余り倉庫で眠っていたというフェスティバルホールのピアノでした。

終演後、ロビーでT ボーン・バーネットのチームが参加したアルバム『AKIKO』のアナログ・ディスクを購入。
東日本大震災の被災者支援の義援金を募っていたので寄付しました。

三宮センター街の垂れ幕。


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Motoharu Radio Show #073

2011年04月08日 | Motoharu Radio Show

2011/04/05 OnAir - 1st. Week - 大瀧詠一を迎えて
01.Bright Eyes:Beginner's Mind
02.Bright Eyes:Jejune Stars
03.佐野元春:彼女はデリケート
04.Eddie Cochran:Somethin' Else
05.シュガーベイブ:DOWN TOWN
06.大瀧詠一:五月雨(シングル・バージョン)
07.Elvis Presley:(Now and Then There's) A Fool Such As I
08.大瀧詠一:我が心のピンボール
---------------------------------------------------
■内容の一部を抜粋
・3月15日放送
今週は東日本大震災の緊急情報番組のため延期された3月15日の放送分を予定を変更してオンエア。

佐野元春: Motoharu Radio Show。今夜は特別な方にゲストに来ていただいています。今月3月、『ロング・バケイション』30周年アニバーサリー盤と『NIAGARA CD BOOK 1』を出した大瀧詠一さんをゲストに迎えて楽しいお話を伺いたいと思います。

・3PICKS!
「Motoharu Radio Show」では毎月番組推薦盤3枚のCDをピックアップしている。今月3月の「3PICKS!」はアーケイド・ファイア『The Suburbs』、アクロン/ファミリー『S/T II: the Cosmic Birth and Journey of Shinju TNT』、そしてブライト・アイズ『People's Key』。どのレコードも心に響くよいソングライティングと素晴らしいサウンドがあると元春。この中から今週は『People's Key』。

・ブライト・アイズ
ブライト・アイズはシンガー・ソングライター、コナー・オバーストのソロ・プロジェクトの名前。2004年のシングル「LUA」が全米チャートでNO.1となって注目された。コナー・オバーストは新世代のソングライターの中で最も期待されてる一人。それは例えば彼を指してネクスト・ボブ・ディランと言われてることからもわかる。2007年のアメリカ大統領選挙のとき、対外的にかなり好戦的な姿勢をとっていた、それまでのジョージ・ブッシュの政権を倒そうということで、ミュージシャンたちが全米でボート・フォー・チェンジというコンサート・ツアーを行った。そこにはブルース・スプリングスティーン、ジャクソン・ブラウン、そしてREMといったミュージシャンたちが参加。その中でコナー・オバーストも若い世代を代表して歌っていた。結果、そのときはブッシュ政権が再選されたが、直後にコナー・オバーストはブッシュ政権を非難する、批判する曲を書いてダウンロード販売した。コナー・オバーストのブライト・アイズ名義のアルバムとしては4年振りとなる新作が出た。アルバム・タイトルは『People's Key』。このアルバム『People's Key』から「Beginner's Mind」と「Jejune Stars」の2曲。「Beginner's Mind」は、気取った偽善者なんかになるなよ 連中は君がくじけず何度でもやり直すのが気に入らないんだ 初心者の心でもって さあ流されないように しっかり掴まっていこう、と歌っている。

・GreenPeople
環境問題に取り組むユースたちを紹介するレポート「GreenPeople」。毎週このコーナーでは環境を巡る社会活動を通じて様々なアクションを起こしている人たちを紹介。このコーナーの協力はNHKの環境特集番組「SAVE THE FUTURE」。
http://www.nhk.or.jp/savethefuture/mamoribito/index.html

今週は「足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ」、通称「足温ネット」。1996年から江戸川区で温暖化対策に取り組んでいる市民グループ。
http://www.nhk.or.jp/savethefuture/mamoribito/movie/motoharu1.html

・特集「大瀧詠一を迎えて」

・ヴォーカルのダビング
大瀧さんはひとりでヴォーカルのダビングをするという。その理由は3つあって、人前で歌うのが嫌なのがひとつ、録り直すときに人に任せてると時間のロスになるし自分の実力が出ない、人見知りするし、人に命令されるのが嫌という我が儘な気質というのがひとつ、自分以上に自分の真性に合ったエンジニアリングとか、助手のやり方を自分以上にうまくやる人がいないから、という3つだそうだ。ひとりで録り直してて間違ってオケを消したことがあって、それは『NIAGARA MOON』の「論寒牛男(ロンサム・カウボーイ)」だという。

・彼女はデリケート
ヴォーカルのダビングということで元春が思い出すのは『NIAGARA TRIANGLE VOL.2』の「彼女はデリケート」。2時間、3時間かけて、ダブル・ヴォーカルで、かちっとまとめたものを持って行ったら、「歌い直してくれ」と大瀧さんに言われたという。そのときに大瀧さんから「佐野くん、エディ・コクランだよ」と言われ、2回くらい歌ったのが採用となったとか。
最初のテイクを聴いた大瀧さんは歌の中の「彼女」の年齢層が高く感じたとか。丸の内のOLに向けて歌ってるような気がしたそうだ。「彼女」の対象はもう少し下だと思い、エディ・コクランのように歌ってくれと言ったのだという。そうすると元春はシェイクしながら歌ったとか。

・Somethin' Else
大瀧さんがイメージしたのは「Somethin' Else」。「Somethin' Else」はイギリスで受けた曲で、アメリカではヒットしなかったという。元春に感じたのはアメリカン・ロックというよりもイギリスのロック。それでイギリスのロックンロールのつもりで「佐野くん、エディ・コクランだよ」と言ったとか。

・風速四十米
大瀧さんの曲を聴いてると、突然訳のわからないものが落ちてくるという印象があると元春。手塚治虫さんの「ひょうたんつぎ」みたいものがと。はっぴいえんどの「颱風」のフェイドアウト際に「何、風速40メートル?」って言ってるが、それが何かのパロディーだということはわかるものの、何のパロディーなのかわからないそうだ。
「颱風」は12分くらいある長い曲を編集したと大瀧さん。石原裕次郎さんの映画『風速四十米』のパロディーで、歌もあるそうだ。その歌の中に出てくる台詞なのだという。

・DOWN TOWN
大瀧さんがプロデューサー、エンジニアとして関わったシュガーベイブの作品。ハーモニーはマイクを四方で囲んで録音したという。シュガーベイブ4人とシンガーズ・スリー3人の7人。達郎さんだけ声が大きいから「一歩後ろ(下がって)、二歩後ろ(下がって)、三歩後ろ(下がって)」と指示を出したという。

・ポップ・ソングを意識的に聴いたのはいつ?
1962年にラジオで聴いたエルヴィスで、中学二年の頃だと大瀧さん。日本で『ブルーハワイ』という映画が大当たりして、昔の曲(「ハウンド・ドッグ/冷たくしないで」)を再プレスしたらリバイバル・ヒットしたそうだ。そのときにはじめてエルヴィスを知ったとか(エルヴィスは1956年デビュー)。1962年というとフォーシーズンズとビーチボーイズがデビューしている。だから大瀧さんはリアルタイムでデビュー曲から追いかけているとか。ほかにも1962年デビューのアーティストやグループは1967年まで追いかけたという。エルヴィスで産湯を浸かったという自負があるものの、ビートルズの魅力には抗し難く、1964年、ビートルズ以降はイギリスの音楽に入ってゆくことになったそうだ。

・楽器
楽器ははっぴいえんどのときにはじめたに等しいと大瀧さん。最初に演奏した楽器はドラムで高校三年生だったとか。はじめて叩いたときの録音が残ってるという。その後の楽曲でドラムのフレーズはほとんど大瀧さんが考えたものだそうだ。いろんなリズム・パターンの楽曲があるのも、ドラムを最初に触ったという経験があるからなんだとか。

・多重録音
高校三年生の頃からカセット二台で多重録音を行っていたとか。エンジニアの吉野金次さんと一緒に作ったソロ・アルバム『大瀧詠一』はほとんど一人多重録音なのだそうだ。「それはぼくぢゃないよ」はスチール・ギター以外は全部自分でやったとか。一人多重録音に凝ったのが1972年から1973年にかけてだという。

・五月雨(シングル・バージョン)
シングル「空飛ぶくじら」のB面。ベース以外はすべて大瀧さんが一人多重録音。

・ザ・ソングライターズ
元春が教育テレビでやっている番組「ザ・ソングライターズ」で大瀧さんに出演依頼をしたことがあるとか。今回は「ザ・ソングライターズ」のラジオ版ということになるそうだ。はっぴいえんどで大瀧さんが詩を書いた「颱風」は英語の音韻を日本語の音韻に置き換えて詩を書いてる。おそらくその作業を行った最初の世代が大瀧さんだと元春。「四辺(あたり)は俄にかき曇り窓の簾(すだれ)を冽(つめ)たい風がぐらぐらゆさぶる」という詩を大瀧さんは文節を切って歌った。「あたりはに わかにか きくもり」と。

・(Now and Then There's) A Fool Such As I
オリジナルのハンク・スノウは「Don't Be Angry With Me」と歌っているが、エルヴィスは「ドンビーアン グリーウィズミー」と歌っている。「それはないんじゃないかと思ったが、エルヴィスの新しさはそこにあったのさ」と大瀧さん。

・番組ウェブサイト
「番組ではウェブサイトを用意しています。是非ご覧になって曲のリクエスト、番組へのメッセージを送ってください。待ってます」と元春。
http://www.moto.co.jp/MRS/

・来週も引き続いて特集「大瀧詠一を迎えて」。
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Sunday Song Book #964

2011年04月03日 | Sunday Song Book

<04月03日プレイリスト>
[「静かな棚からひとつかみ」]
元気を出して/竹内まりや "リクエスト" "エクスプレッションズ" '87('08)
WHAT THE WORLD NEED NOW IS LOVE/JACKIE DeSHANNON '65
LALENA/DONOVAN '68
NEVER WOULD HAVE MADE IT/MARVIN SAPP "THIRSTY" '07
I'LL ALWAYS LOVE YOU/BARRY MANN "SURVIVOR" '75
I'M LOVING YOU SOFTLY/SMOKEY ROBINSON "LOVE BREEZE" '78
希望という名の光/山下達郎 '10
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■内容の一部を抜粋
・近況
こうした未曾有の災害の中、緊迫した状態は変わらないので、達郎さんの周りでも緊張した空気というか重い空気があって、体調を崩す人もいるし、関西や九州、海外に行く人もいるそうだが、達郎さんは半蔵門のTOKYO FMから動くつもりはなく、出来る限り続けていきたいとのこと。今年の秋には番組も19年を迎えるので末永く半蔵門でやっていきたいと達郎さん。先週はこういう空気の中、静かめの曲で「静かな棚からひとつかみ」いう感じでやったが、今週もその続編。

・元気を出して
今週はまりやさんの「元気を出して」のリクエストを採用。

・WHAT THE WORLD NEED NOW IS LOVE
リスナーから届くハガキの大部分は、地震のショックでレコードを聴く気力がなかったがラジオのおかげでまた元気が出た、というそういうような内容が多いという。達郎さんもまた、番組の選曲をするためにCDを聴いて、そして曲提供の依頼という仕事がなければ、音楽を聴いたり作ったりするような心の余裕が持てなかったので、リスナーの気持ちがよくわかるのだとか。
ジャッキー・デシャノンは美人作曲家で、シンガーでもある。名作をたくさん作曲してるが、歌手としてもヒット曲がたくさんある。「WHAT THE WORLD NEED NOW IS LOVE」は1965年、全米7位の彼女の代表作で、バート・バカラック/ハル・デイヴィッドによる作品。「いま世界に必要なものは愛」というハル・デイヴィッドの思想が現れている。ほかにもディオンヌ・ワーウィックなど、いろんな人が取り上げてるが、ジャッキー・デシャノンのヴァージョンがNO.1でしょうと達郎さん。なぜかアルバムには入っておらず、シングルのみのリリースなので、達郎さんは持っておらずアレンジが誰かわからないという。アル・デローリーかアーニー・フリーマンといったカリフォルニアのアレンジャーじゃないかと思ってるそうだ。

・LALENA
スコットランド出身の吟遊詩人、ドノヴァン。こういう機会でなければかからないと達郎さん。もともとはボブ・ディランのようなプロテスト・ソングを歌っていたが、だんだん独自の耽美的な歌世界に移行していった。この曲もベスト・アルバムにしか入ってないシングルのみの曲。1968年、全米33位だが、日本では深夜放送でよくかかっていて大ヒットした。

・NEVER WOULD HAVE MADE IT
3月20日の「鎮魂プログラム」は仙台と福島が緊急震災特別放送だったため、翌週の27日に振り替えて番組が放送された。そのおかげで今週は被災地から多くのお便りが届いてるという。「鎮魂プログラム」でいちばん反響があったのはゴスペルだったとか。達郎さん自身はコンテンポラリー・ゴスペルよりトラディショナル・ゴスペルのほうをよく聴いてるそうだが、せっかくなので今週は最近のゴスペル、2007年のマーヴィン・サップの作品から。この人は1967年生まれなので比較的若いゴスペル・シンガーになる。彼の2007年のアルバム『THIRSTY』は全米ゴスペル・チャート1位、R&Bチャート4位、全米チャート28位の大ヒット作。シングル・カットされた「NEVER WOULD HAVE MADE IT」は全米ゴスペル・チャート1位、R&Bチャート14位、全米チャート82位というゴスペルとしては異例のヒット。
「SUNDAY SONG BOOK」はオールディーズの番組なので'90年代以降の作品はほとんどかからない。こういう機会でなければオンエアされなかった曲。ゴスペル・ソングは歌の力があるので「サウンド・シャワー」といわれる。

・I'LL ALWAYS LOVE YOU
「サウンド・シャワー」といわれる作品は黒人音楽だけではない。達郎さんのいちばん好きなアメリカのソングライター、バリー・マンの作品からそういった曲の紹介。1975年のソロ・アルバム『SURVIVOR』はブルース・ジョンストン絡みのウェスト・コースト・レコーディング。その中の白眉が「I'LL ALWAYS LOVE YOU」。ほとんどゴスペル・ソングといっても差し支えないくらいのソウルフルな作品と達郎さん。アメリカの'60年代、'70年代、'80年代を代表する大作曲家バリー・マン。奥さんのシンシア・ワイルと共に数限りないヒット曲を持ってるが、ソロ・アルバムはそれとはうってかわって、ひじょうに内省的な内容のアルバムが多い。

・ZIP!
日本テレビ系で4月1日から朝の新情報番組「ZIP!」(午前5時50分 - 午前8時)がスタートした。毎週月曜日から金曜日の帯番組で、そのテーマソングを達郎さんが担当している。曲のタイトルは「MY MORNING PRAYER」。
http://www.ntv.co.jp/zip/

「私の朝の祈り」という意味の新曲だが、先週も話したように完成間近に東日本大震災が起こり、詩曲ともに全面的に書き換えたという。そういう意味では緊急避難みたいな感じなので、当分このままだけれど、事態が落ち着いたらまた違うことになるかもしれないとのこと。六本木のレコーディング・スタジオで震災直後に録音したが、通常の電圧117ボルトのところ113ボルトしかなく、シンセサイザーのチューニングが合わず、もっと下がったらお釈迦になるところだったとか。レコーディング中はピッチが上がったり下がったりへろへろで、そんな中をかいくぐってのレコーティングなので、詩も曲も技巧的なテクニックが通じなくて、むき出しのような曲になったという。それでも思ってることを込めた、ひじょうにシンプルな内容の曲になったと達郎さん。来週くらいになるとオンエアできるかもしれないが、今のところ売り物にする気が起こらないという。フル・ヴァージョンがとりあえず出来てるので、オンエアはする予定とのこと。

・SONGS
今週の水曜日、4月6日にNHKの音楽番組「SONGS」で「歌で届けるメッセージ」と題した東日本大震災特別番組がオンエアされる。番組が届けたい歌を選んだ中に達郎さんの「希望という名の光」とまりやさんの「人生の扉」が含まれており、ミュージック・ビデオがコメントとともにながされることになったそうだ。
4月6日水曜日、23時10分からで、通常より15分遅れのスタートとなる。
http://www.nhk.or.jp/songs/songs.html

・I'M LOVING YOU SOFTLY
スモーキー・ロビンソンのソロ・アルバム・CD化シリーズ Vol.4から。達郎さんのいちばん好きな1978年のアルバム『LOVE BREEZE』が待望のリマスタリングでCD化された。B面のラストに入っててシングル・カットされR&Bチャート68位。

・希望という名の光
今週もたくさんのリクエストがあったそうだ。

■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM「山下達郎サンデー・ソングブック」係
■今後の予定
04月10日は、レギュラープログラム「棚からひとつかみ」
http://www.smile-co.co.jp/tats/
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