Sunday Song Book #1068

2013年03月31日 | Sunday Song Book

2013年03月31日プレイリスト
「リクエスト特集」
1. アトムの子 / 山下達郎 "アルチザン" "オーパス" '91
2. GOOD LOVIN' / THE YOUNG RASCALS '66
3. THE WORLD THROUGH A TEAR / NEIL SEDAKA '65
4. TEN BELOW / CHRIS & PETER ALLEN "ALBUM #1" '68
5. LET THE BEST MAN WIN / GEORGE JACKSON "LET THE BEST MAN WIN" '6?('13)
6. (JUST LIKE) ROMEO & JULIET / THE REFLECTIONS '69
7. LAST KISS / J. FRANK WILSON & THE CAVALIERES '64
8. YOU MAKE ME FEEL BRAND NEW / 山下達郎 "ON THE STREET CORNER 2" '86
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■内容の一部を抜粋
・近況
今週は直近の収録とのこと。先週達郎さんは風邪を引いたそうで熱は出なかったものの咳が一週間ほど続いたという。「ようやく治ってきたときにまた番組ができるという。ラッキーという感じでございますが」と達郎さん。このところ寒暖の差が激しいので何年かぶりに風邪を引いたのだとか。新しい曲のまた次の曲の曲書きに勤しんでるそうだ。

・リクエスト特集
ひき続き今週もリクエスト特集。

・アトムの子
受験当日「アトムの子」をかけたクルマで息子さんを送迎したお母さんから第一志望に通ったという報告とリクエスト。

・GOOD LOVIN'
達郎さんのアイドル・グループ、ヤング・ラスカルズの1966年の全米NO.1「GOOD LOVIN'」。

・THE WORLD THROUGH A TEAR
ニール・セダカの1965年の「THE WORLD THROUGH A TEAR」は全米チャート76位。日本では日本語ヴァージョンが出て邦題は「涙の小径」。日本では結構ヒットした。今日は英語ヴァージョンへのリクエスト。リクエストした方から「達郎さんが選曲・監修したヴォーグスのベスト・アルバムを持ってますが、これ以外に選曲・監修したものがあれば教えてください」という質問。ヴェンチャーズの2枚組ベスト・アルバム『ヴェンチャーズ・フォーエバー』を選曲したことがあるそうだ。今のレベルからするとリマスターが古いのでもう一度やりたいが暇がないとか。ディオンとか、あと2,3枚洋楽で選曲をしたことがあるという。でも随分前なのでリマスターが古いという感じなのだそうだ。

・TEN BELOW
クリス&ビーター・アレンの「TEN BELOW」。後にソングライターとして有名になるピーター・アレンがクリス・アレンことクリス・ベルと兄弟のような感じで作った1968年のデュエット・アルバム『ALBUM #1』の収録曲。ソフト・ロックなので好きな人は多いが未CD化アルバム。プロデューサーはアル・カーシャー。アレンジは達郎さんの好きなジミー・ワイズナー。

・LET THE BEST MAN WIN
サザン・ソウルへのリクエスト。このところイギリスのエースがフェイムのカタログをものすごい勢いでリイシューしている。特にジョージ・ジャクソンの未発表曲のデモとか未発表テイクなどがCD化されている。そのヴォリュウム2となるコンピ盤『LET THE BEST MAN WIN』から。「LET THE BEST MAN WIN」は1967年から1970年あたりのレコーディング。

・まりやさんと杉真理さん、BOXのコラボ
まりやさんは今月までTBS系列のニュース番組「NEWS23 クロス」のエンディング・テーマ「それぞれの夜」をずっと担当していたが、4月1日から番組がリニューアルして「NEWS23」に変わる。エンディング・テーマはまりやさんが引き続いて担当することになった。新しいエンディング・テーマのタイトルは「Dear Angie ~あなたは負けない」。作詞作曲は杉真理さん。歌はまりやさんで演奏はBOX。

・レコードの国内盤と輸入盤の音質の違い
リスナーから「レコードの国内盤と輸入盤の音質の違い」についての質問。
アナログ盤の時代はどうがんばってもアメリカ盤のアナログ盤の音質に日本のレコードはかなわなかったという。デジタルになってその差が少し薄まったとか。アナログはやはり外盤だという時代がずっと続いたそうだ。

・ムーン時代のアナログ盤
暇がなくて準備が整わず遅れてしまったが『OPUS All Time Best 1975 - 2012』にちなんだプレゼント。『OPUS』はベスト・アルバムなのでムーン時代のアナログ盤。オリジナルの見本盤で達郎さんが持ってるストックの中から放出。サイン入りでプレゼント。くれぐれもヤフオフ等のオークションには流さないこと。今週から1986年にセカンド・エディションを出したひとりアカペラのアルバム『ON THE STREET CORNER 1('86 VERSION)』。10名にプレゼント。

・プレゼント
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」プレゼント係
http://www.tatsuro.co.jp

・番組スポンサー
新年度からスポンサーが変わる。蔦屋さんがはずれてJA共済と昭和電工とJAXの3社スポンサーになる。

・(JUST LIKE) ROMEO & JULIET
デトロイトの5人組のヴォーカル・グループ、ザ・リフレクションズの1964年のベスト10シングルで「(JUST LIKE) ROMEO & JULIET」。演奏がうますぎるのでどう考えてもモータウンあたりのミュージシャンがバックを担当していると達郎さん。
リクエストしたリスナーから「最近達郎さんはよりコンディションのいいレコードに買い直されてるとのことですが、もともと所有していたレコードは処分されてるのですか?」という質問。コンディションのよほど悪いものは壁にとめて飾ってるとか。そんなに悪くないものは友だちにあげるそうだ。年に何回かダブリの交換会をやってて、それが楽しいと達郎さん。

・LAST KISS
パール・ジャムの演奏で「LAST KISS」を知ったといリスナーからオリジナルにリクエスト。テキサスのシンガー、J. フランク・ウィルソンがキャバリアーズというバンドをバックに歌った作品。もともとはインディだったが2つ,3つのインディ・レーベルから発展して、わりとメジャーなジョシーというレーベルに買われて1964年全米2位の大ヒットになった。いわゆるデス・ソングで恋人の死について歌った曲で、当時そういうものが流行った時期があった。ウェイン・コクランのカヴァー・ソングだということが今回資料を見てわかったという。

・誕生日メッセージ代読コーナー
今年1月に番組最後の「誕生日メッセージ代読コーナー」を3月いっぱいでやめるとインフォメーションしたところ、たくさんの「やめないでくれ、寂しい」というお便りをもらったのだとか。
「それでいろいろな方のお便りを拝見しましてですね。気が変わりました。引き続きいきます。もともとホント自然発生的にスタートしたものですので、別に僕にとってそれほど大きなものじゃないんじゃないかと思ってましたが、予想以上にみなさん、このコーナーに思い入れの強い方がたくさんいらっしゃいまして、大体2分半で、一週間でご紹介できるのが30枚ぐらいなんです。ですから50週で1500枚。のべで1500ぐらいの方々にしか、そうしたメッセージを代読できませんですので。最近特にそういう具合にハガキ増えてきましたので、ボツにする方がかわいそうかなと思いましたがですね。でもこの2分間で少しでも人の幸せに奉仕できるのなら、そっちのほうがいいんじゃないかと考えが変わりました。リスナーのみなさんの中にはこんなコーナー不要だという、そういうようなお便りをくださる方もいらっしゃいます。このコーナーが終わったら僕は電気を切るとか、そういう方もいらっしゃいますが。それでしたらご勝手にお切りになってください。たった2分半のこのコーナーの、そうした家族のコミュニケーションとか、そういうものにものすごくプラスになってるとかお便りいただきますと、少しでもそうした人の和やかさとか幸せに奉仕するのがこうしたメディアとかラジオとか、ラジオに限らずですね、こうした放送文化の役目だと僕は思いますので、そんなことで喜んでいただけるんだったら続けてみようかなと。ただし最近ホントに枚数が多いので、ボツにされる方は何卒ご勘弁ください。小さなお子さん、一歳とか二歳のお子さんはどうぞ親御さんがご自分でお祝いしてください。いわゆる有名人、芸能人とか政治家の先生とか、そういう方々にも誕生日メッセージは致しません。それだけお含みおきください。なので4月以降も誕生日代読メッセージ、引き続き続けていきますので、またそうしたご所望があればお便りいただきたいと思います。新年度からも何卒よろしくお願い申し上げます」と達郎さん。

・YOU MAKE ME FEEL BRAND NEW
「将来の夢は達郎さんの主治医です」という医学部に入った19歳の女の子からのリクエスト。

■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係

04月07日は、引き続き「リクエスト特集」
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Sunday Song Book #1067

2013年03月25日 | Sunday Song Book

2013年03月24日プレイリスト
「リクエスト特集」
1. 不思議なピーチパイ / 竹内まりや "ラブ・ソングス" "エクスプレッションズ" '80
2. CRUEL TO BE KIND / NICK LOWE '79
3. SHO' NUFF / SLY, SLICK & WICKED '73
4. I WANNA GO HOME / DARRELL BANKS '68
5. MUSKRAT CANDLELIGHT / WILLIS ALAN RAMSEY "WILLIS ALAN RAMSEY" '76
6. I WOKE UP THIS MORNING / TEN YEARS AFTER "SSSSH" '69
7. (THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME / LOU JOHNSON '64
8. SUNSHINE -愛の金色- / 山下達郎 "ムーングロウ" '79
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■内容の一部を抜粋
・近況
番組は前倒しで収録しているという。新しい曲の次の曲にとりかかってるそうだ。ずっと曲書きでお篭りしてたから少し体重が増えたが、ウォーキングとかその他いろいろと奮闘努力のかいがあり、ほぼ元に戻ったとか。またこれから新曲の曲書きでお篭りすると体重が増えるかもしれないと達郎さん。

・リクエスト特集
先週にひき続いて今週もリクエスト特集。

・不思議なピーチパイ
「ちょっと春めいたきたので(東京の桜は金曜日に満開となった)」と達郎さん。年度末、新年度はいつもこの曲。まりやさんの「不思議なピーチパイ」。

・CRUEL TO BE KIND
番組でニック・ロウがかかるのはひじょうにめずらしい(実は3月24日が誕生日。25日という説もある)。1979年のヒット・ソングで「CRUEL TO BE KIND」。全米12位、全英も12位。
「私にとってのニック・ロウはブリンズレー・シュワルツ時代のですね、ちょっとカントリーっぽいイメージが強いので、ずいぶん明るくなったなぁ(笑)、そういうのが印象でございますが。私の友人にニック・ロウのもうとにかくフリークがいましてですね。そういうこと言いますと怒ります」と達郎さん。

・SHO' NUFF
調布市の超常連の方からエグいところをついたリクエスト。スライ、スリック&ウィッケッドの「SHO' NUFF」。オリジナル・シングルはとても高いそうだ。達郎さんの持ってるシングルはボロボロでとてもかけられる状態ではないとか。イギリスのノーザン・ソウルもののCDに収められてるので今日はCDから。スライ、スリック&ウィッケッドはいわゆるスィート・ソウルものの範疇に入るグループ。1973年の「SHO' NUFF」はシングル・オンリーの曲でPEOPLEというジェームズ・ブラウンのレーベルから出ている。プロデュースはJB。「SHO' NUFF」は「Sure Enough」のスラングだとか。

・I WANNA GO HOME
ダレル・バンクスは先日、アトランティックの1000円シリーズでかけたと達郎さん。でもシングルのB面はCD になってない。1968年のシングルのB面「I WANNA GO HOME」。「デトロイトのディープ・ソウルばりばりでございます」と達郎さん。

・MUSKRAT CANDLELIGHT
アメリカの「MUSKRAT LOVE」のオリジナルにリクエスト。アメリカが1973年に全米67位、その後1976年にキャプテン&・テニールが全米4位の大ヒットになった。オリジナルを歌ってるのは作曲者のウィリス・アラン・ラムゼイ。テキサス出身のシンガー・ソングライター。アルバムは1枚だけで、レオン・ラッセルのシェルター・レーベルから出ている。いわゆるシンガー・ソングライターのファンのあいだでは非常に人気の高いアルバム。1972年のアルバム『WILLIS ALAN RAMSEY』から、最初にレコーディングされたときは「MUSKRAT CANDLELIGHT」というタイトルだった。

・ドラマ「第二楽章」
この間、達郎さんがレコーディングしていたのはNHKのドラマ「第二楽章」の主題歌。「第二楽章」は4月16日からスタート。NHK総合で毎週火曜日午後10時、連続9回のドラマ。出演は羽田美智子さん、板谷由夏さん、谷原章介さん。主題歌のタイトルは「コンポジション」。「作曲」という意味で、クラシックの世界の話なのでこういうタイトルになったとのこと。NHKではアニメ、情報番組の主題歌があったものの、ドラマだと朝ドラ「ひまわり」の主題歌「ドリーミングガール」以来17年ぶり。リリースは今年の夏頃を予定。
http://www9.nhk.or.jp/dramatopics-blog/22000/147077.html

・フェスティバルホール公演
リスナーから「5月3,4日のフェスティバルホールのライヴは昨年のツアー・メンバーと同じなんでしょうか?」という質問。
「全く同じです。チケット取れましたでしょうか。でも、ツアー近いうちにはじまりますので、また、そういう予定がありますので、あんまりテンパらないように。よろしくお願いいたします。私がチケットを管理しているわけじゃないので、すいません」と達郎さん。

・I WOKE UP THIS MORNING
テン・イヤーズ・アフターのアルヴィン・リーが亡くなった。ギターの早弾きで知られた人。享年68歳。1969年のアルバム『SSSSH』から「I WOKE UP THIS MORNING」。アメリカとイギリスではヒットしなかったが日本ではかなりヒットした。邦題は「夜明けのない朝」。

・(THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME
バカラック作の「(THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME」のオリジナルにリクエスト。オリジナルは黒人シンガーのルー・ジョンソン。ルー・ジョンソンの1964年頃の作品はほとんどCDになってなくて、達郎さんの持ってるバカラックのコンピにはシラ・ブラックやディオンヌ・ワーウィックのヴァージョンしかなかったという。

・SUNSHINE -愛の金色-
2月の中旬に奥様をなくされた方からのリクエスト。奥様はこの曲が好きだったという。「お悔やみを申しつつ最後にこの曲をお届けします。お力落としのないように」と達郎さん。1979年のアルバム『MOONGLOW』から「SUNSHINE -愛の金色-」。

■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係

03月31日は、引き続き「リクエスト特集」
http://www.tatsuro.co.jp
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Motoharu Radio Show #144

2013年03月20日 | Motoharu Radio Show

2013/03/19 OnAir - 3rd. Week - 特集:『ZOOEY』第三回~コヨーテバンドを迎えて~
01.Ben Folds Five:Jackson Cannery
02.Schroeder-Headz:Linus and Lucy
03.James Brown:Funky Drummer
04.Nona Reeves:Mr. Melody Maker
05.Creedence Clearwater Revival:Have You Ever Seen the Rain
06.PLAGUES:トリシュナ
07.Grateful Dead:Eyes of the World
08.Curly Giraffe:Rootless wanderer
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■内容の一部を抜粋
・『ZOOEY』第三回~コヨーテバンドを迎えて~
佐野元春 and The Coyote Bandのアルバム『ZOOEY』の特集。その第三回目はスタジオにコヨーテバンドのメンバーをゲストとして迎えてミュージシャン、ソングライターとしての彼らのプロフィールを紹介する。ギターの深沼元昭、ベースの高桑圭、ドラムスの小松シゲル、キーボードの渡辺シュンスケ。ギタリストの藤田顕はスケジュールが合わず今回は欠席、また機会を改めて。

・アルバム『ZOOEY』を聴いた印象
高桑圭「パッケージ(『ZOOEY(Deluxe Edition)』)がゴージャスでした。すごいびっくりしましたね。重量感もあってね」

佐野元春「(『ZOOEY(Deluxe Edition)』は)マスターだけではなくて、僕たちの制作のプロセスがわかる写真集とか、それからインストゥルメンタル・ナンバーもね、ただヴォーカルを抜いただけではなくて、編集をちょっと工夫して、バンドのアンサンブルをそのまま聴いてもらおうという、そういうことをしました」

高桑圭「ブックレットに中に僕が自分で書いた譜面があって、ちょっと恥ずかしくなっちゃったんですけれど(笑)。アレ、僕、自分でないと読めない譜面で」

小松シゲル「アルバム作ってるときにツアーしたじゃないですか。ツアーとレコーディング制作を両方やりながら入っていくのはなかなかないことなので、それがすごいバンド感をより強くしたなと思いますね」

佐野元春「レコーディングをしながらツアー。これね、すごくよかったと思います。僕たち、スタジオの中だけじゃ、どうしても煮詰まってしまうでしょ。ライヴに出てオーディエンスとのやりとりの中で音楽が生き生きとしていくよね。その感覚をスタジオに持ち帰ってくる、そのバック・オン・フォースがいいかな」

小松シゲル「お客さんの顔が見えながら、またそれを思い出してレコーディングするという感覚ができたということはよかったですよね」

・コヨーテバンド
3人の素晴らしいソングライターがいる。ビートルズ、イーグルス、バーズ、バッファロー・スプリングフィールド。そんなバンドに似てるんじゃないかと元春は思ってるそうだ。

・渡辺シュンスケ
キーボード担当。1975年、名古屋出身。自分のバンド、カフェロンのヴォーカルとピアノを担当して作詞作曲もしている。サポートとしてもCHEMISTRY、BONNIE PINK、堂島孝平などそうしたミュージシャンのレコーディングやライヴに参加している。コヨーテバンドのレコーディングには今回が初参加。通称は「シュンちゃん」だが、元春は最初の頃「ショウちゃん」と名前を混同していて呼んでいたという。

佐野元春「シュンちゃん素晴らしいなと思うのはキーボードを弾く、そして僕と同じソングライターだということだよね。だからただの技術的なピアノの技法だけではなくて、歌と伴った演奏だなぁといったことを感じるんだけれども」

渡辺シュンスケ「いい歌というのはすごく立体的に楽曲ができていて、いらないところはスパっと省いたりとか、スペースを作ったりとか。佐野さんの音楽はすごい立体的にできていて、すごくやってて楽しませてもらってます」

カフェロンは渡辺シュンスケがヴォーカルをやろうとして作ったバンド。シュローダー・ヘッズは鍵盤の音楽を別の方向で極めてみようとして作ったユニットのだとか。ユニットの名前の由来は「スヌーピー」に出てくるピアノ男子がシュローダーくんなのだとか。ヘッズは言葉の響きから。

今回、コヨーテバンドのメンバーには影響を受けた音楽を一曲番組に持ってきてもらっている。渡辺シュンスケは一曲に絞りきれずに二曲持ってきた。ピアノをはじめた頃にボガンボスのキョン(Dr.kyOn)に憧れてて、Dr.kyOnについて調べるとニューオリンズの音楽があり、アラン・トゥーサンに行き着いたという。アラン・トゥーサンの「Southern Nights」はオリエンタルな雰囲気のあるすごく変わった曲で、音をクリエイトするのは演奏するだけではなくて、おもしろいエフェクターを使ったりして、空間を作ることのおもしろさをこの曲から教わったのだとか。
もう一曲はベン・フォールズ・ファイブ。はじめて聴いたときに「これがやりたい」と思ったそうだ。ピアノ、ベース、ドラムのトリオ。それまでお行儀の良いイメージしかなかったピアノを、まるでギターをかき鳴らすかのように鍵盤を弾く、ときには拳骨で叩きながらロックに歌う、それがかっこよく憧れたという。

・Jackson Cannery
・Linus and Lucy
ベン・フォールズ・ファイブの「Jackson Cannery」とシュローダー・ヘッズの「Linus and Lucy」を2曲続けて。

続けて聴くと相当影響を受けていると気がつく。「Linus and Lucy」は'60年代のヴィンス・ガラルディのカヴァー。ガラルディは「スヌーピー」のサントラをやっていたピアニストでもともとはジャズの大人しい曲。シュローダーヘッドはベン・フォールズ・ファイブと同じバンド編成で、ロックよりの演奏で激しくやってみようというコンセプトだったという。コヨーテバンドでもときどき演奏していて、3月13日に開催された『ZOOEY』発表記念ライヴでも披露された。

・小松シゲル
ドラムス担当。1972年、長野県出身。ノーナリーヴスのメンバーで、セッション・ドラマーとしても現在NO.1のドラマー。キリンジ、BONNIE PINK、いきものがかり、レキシほか数多くのミュージシャンのレコーディングやライヴでサポート・メンバーとして活躍している。通称は「コマ坊」で、ノーナリーヴスのメンバーの西寺郷太が名付け親。最近は「トマツ」と呼ばれていてファンのあいだで広まりつつあるらしい。

5歳上のお姉さんが中学生のとき吹奏楽部に入部、パーカッションを担当していてドラムに興味を持ったという。最初にバンドを組んだのは中学生の頃だとか。'80年代のMotoharu Radio Showで聴いたブッガーT. & MG'Sからソウル・ミュージックにのめり込むようになった。影響を受けたのはジェームズ・ブラウンで「Funky Drummer」のブレークビーツに痺れたそうだ。

・Funky Drummer
・Mr. Melody Maker
2曲続けて。ノーナリーヴスの新しいアルバム『POP STATION』から「Mr. Melody Maker」。

・深沼元昭
ギター担当。1969年、福島出身。プレイグス、メロウヘッド、GHEEEの3つのバンドを率いて活動している。元春の1996年のアルバム『FRUITS』収録の「水上バスに乗って」にプレイグスがバッキングとして参加。プレイグスは一時活動停止していたが2012年に活動再開して11年ぶりにアルバム『CLOUD CUTTER』を発表した。

・Have You Ever Seen the Rain
・トリシュナ
2曲続けて。影響を受けたアルバムとして持ってきたのはクリアデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル。そしてプレイグスのアルバム『CLOUD CUTTER』から「トリシュナ」。

・高桑圭
ベース担当。1967年、オーストラリア出身。元グレート3のメンバーで、2005年からソロ・プロジェクトのカーリージラフとして活動している。最新作は2012年の『FLEHMEN』。高桑圭がロッテンハッツのメンバーだった頃に伊藤銀次のレコーディングで元春とはじめて会ったそうだ。元春プロデュースの曲で、元春がコーラス・ラインを作るのでスタジオでちょっと待っててくれと言われ、12時間スタジオで待ったという。

影響を受けた曲はグレートフルデッドの「Eyes of the World」。高校生の頃にはじめて聴いて、最初はふにゃふにゃしている音楽だと思ったそうだが、何回も聴いてるうちにハマったという。一時はデッドしか聴いてない時期があり、二十代の頃にニルヴァーナがデビューしたのを当時は全く知らなかったとか。

佐野元春「グレートフル・デッド。僕らの世代の解釈によるとアシッド・ロック、あるいはサンフランシスコのサイケデリックのエリアから出てきた。ただレコード・サウンドよりも、むしろ彼らの場合はライヴですよね。年がら年中ライヴをやって、そしてファンは全米中ついていくという。デッド・ヘッズ。確かにカントリー、ブルース、R&B、いろんな要素が入ってんだけれども、グレートフル・デッドにしか奏でられないオリジナルな音楽っていうか空気感。これはね、世代を超えて共通するのはグレートフル・デッドのバンドが持ってる、あるいはそのサウンドが持ってる自由な感じっていうんですか、解放された感じというかね」

カーリージラフのアルバム『FLEHMEN』。アルバム・タイトルの由来は、馬が歯を見せる現象があって、馬が臭いときにする感情表現で、「フレーメン現象」と言うらしい。カーリージラフのアルバムが心に響くものであったらいいなという願いを込めたのだとか。

・Eyes of the World
・Rootless wanderer
グレートフル・デッドの「Eyes of the World」とカーリージラフの「Rootless wanderer」を2曲続けて。

佐野元春「全部自分で打ち込みでやってるということだけれど。是非、コヨーテバンドでね、僕たちのフィジカルな演奏でやったら、これはこれでいいと思うんだよね。どう?」

・番組ウェブサイト
「番組ではウェブサイトを用意しています。是非ご覧になって曲のリクエスト、番組へのメッセージを送ってください。待ってます」と元春。
http://www.moto.co.jp/MRS/

・次回放送
4月2日火曜日午後11時。
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Sunday Song Book #1066

2013年03月17日 | Sunday Song Book

2013年03月17日プレイリスト
「リクエスト特集」
1. たそがれダイアリー / 竹内まりや 02月27日発売ニューシングル
2. TOUJOURS DES BEAUX JOURS / SHEILA '64
3. IF YOU WANNA GO BACK / JEAN CARNE "JEAN CARNE" '76
4. THERE'S NO ME WITHOUT YOU / THE MANHATTANS "THERE'S NO ME WITHOUT YOU" '73
5. LOVE EPIDEMIC / THE TRAMMPS "THE TRAMMPS" '75
6. LOVE YEARS COMING / THE MATCH "A NEW LIGHT" '69
7. DON'T KNOCK / THE STAPLE SINGERS "WILL THE CIRCLE BE UNBROKEN" '60
8. 駅 / 竹内まりや "リクエスト" '87 "エクスプレッションズ" '08
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■内容の一部を抜粋
・近況
「花粉症に、黄砂に、PM2.5に全国が席巻されております(笑)。なかなか暮らしにくい空気でございますが。ひとつみなさま、お大事に」と達郎さん。達郎さんは幸運なことに花粉症とは無縁なんだとか。レコーディングが一段落して、来週になったら具体的なことをお知らせするとのこと。またこの次の作品の準備と、まりやさんの新曲のミックスとマスタリングがあるらしい。三十代の頭の頃のようなスケジュールのタイトさになってきているという。

・たそがれダイアリー
1月17日にスタートしたテレビ朝日系木曜ドラマ「おトメさん」(黒木瞳さん主演)の主題歌「たそがれダイアリー」。ドラマは先週、めでたく最終回を迎えた。

・リクエスト特集
お便り、リクエストが増えてるので今週、来週はリクエスト特集。

・TOUJOURS DES BEAUX JOURS
先週のガール・シンガー、ガール・ポップ特集の余り。フランスのガール・ポップ・シンガー、シェイラの1964年のヒット・ソング「TOUJOURS DES BEAUX JOURS」、邦題は「いつも青空」。もともとはシャドウズの、クリフ・リチャードのヒット・ソング。ヨーロッパ中でいろんな人がカヴァーしたが、日本ではクリフ・リチャードよりシェイラのヴァージョンのほうがヒットした。

・IF YOU WANNA GO BACK
ゴスペル出身のフィラデルフィアの女性シンガー、ジーン・カーンの1976年のアルバム『JEAN CARNE』から「IF YOU WANNA GO BACK」。ギャンブル&ハフの名曲。ジーン・カーンはジョージア州南部の出身、教会で歌っていた人。ジャズ、フュージョン、クロスオーバーのシンガーだったが、1976年にフィラデルフィア・インターナショナルと契約して、ギャンブル&ハフのプロデュースのもとに何枚かアルバムを出した。「5オクターブ歌手」と言われた人。

・THERE'S NO ME WITHOUT YOU
マンハッタンズの1973年のアルバム『THERE'S NO ME WITHOUT YOU』からメンバーの作曲になる「THERE'S NO ME WITHOUT YOU」。"家庭のない家はないし/一人きりを望む男なんていないし/夢のない子どもなんていないし/意味のない歌もないように/僕には君が/君のない僕なんてないんだ"という歌。

・LOVE EPIDEMIC
ドラマーのアール・ヤングがリーダーで作ったフィラデルフィアのグループ、トランプスの1975年のアルバム『THE TRAMMPS』から「LOVE EPIDEMIC」。'60年代頭からフィラデルフィアはアール・ヤングのドラムなしでは成立しなかったと言っても過言ではない。アメリカの'60年代、'70年代のR&Bシーンでは最も偉大なドラマーで、先程のジーン・カーンもマンハッタンズもアール・ヤングのドラム。

・レコーディングに最も時間をかけた作品
リスナーから「達郎さんがこれまでレコーディングに最も時間をかけた作品はどの作品なんでしょうか?」という質門。
『POCKET MUSIC』に入ってる「ムーンライト」で「M27」と言われててテイクがいくつあるかわからないそうだ。コンピューターがまだ機能的に十分ではなくてビートがずれたんだとか。それでものすごく違和感があって、何度もやり直して打ち込みに時間をかけたんだという。

・ムーン時代のアナログ盤
暇がなくて準備が整わず遅れてしまったが『OPUS All Time Best 1975 - 2012』にちなんだプレゼント。『OPUS』はベスト・アルバムなのでムーン時代のアナログ盤。オリジナルの見本盤で達郎さんが持ってるストックの中から放出。サイン入りでプレゼント。くれぐれもヤフオフ等のオークションには流さないこと。現在は1986年のひとりアカペラのアルバム『ON THE STREET CORNER 2』を募集している。10名にプレゼント。

・まりやさんのプロモ・グッズ
まりやさんの「たそがれダイアリー」のプロモ・グッズで文庫サイズの特製日記帳を20名にプレゼント。来週か、再来週には当選者の発表を行うとのこと。

・プレゼント
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」プレゼント係
http://www.tatsuro.co.jp

・テレビのなみだ
3月26日から東京のグローブ座にて鈴木おさむさん原作、脚本、演出の舞台『テレビのなみだ』のテーマ・ソングに達郎さんの「GET BACK IN LOVE」が使われることになった。3月26日から31日まで全8公演。出演は劇団ひとり。

・LOVE YEARS COMING
5人組のヴォーカル・グループ、ザ・マッチは実態のよくわからないグループ。ただ一枚出てるアルバムはいわゆるソフト・ロックでソフト・サウンディング好きのあいだでは有名。昨年末に日本で紙ジャケでCD化された。世界初CD化。1969年のアルバム『A NEW LIGHT』からジム・ウェブの作品「STRAWBERRY CHILDREN」のカヴァー作品で「LOVE YEARS COMING」。

・DON'T KNOCK
昨年公開された映画『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』のエンディング・テーマでメイヴィス・ステイプルズの「DON'T KNOCK」にリクエスト。この曲にはオリジナルがあって1960年のステイプル・シンガーズのアルバム『WILL THE CIRCLE BE UNBROKEN』に収録されている。今日はせっかくなのでオリジナル・ヴァージョンをオンエア。

・駅
まりやさんからのリクエスト。東京の東横線渋谷駅が再開発のため3月16日土曜日から地下に移ることになった。まりやさんはとても残念がっているという。なぜなら東横線渋谷駅のあの場所が「駅」の舞台になっているからなんだとか。"改札口を出た頃には/雨も止みかけたこの街に"というのは正にあの場所が舞台になっているのだそうだ。

■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係

03月24日は、引き続き「リクエスト特集」
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Motoharu Radio Show #143

2013年03月14日 | Motoharu Radio Show

2013/03/12 OnAir - 2nd. Week - 特集:『ZOOEY』 第二回
01.Yo La Tengo:I Saw the Light
02.Pretenders:Kid
03.Diana Ross & Marvin Gaye:I'm Falling In Love with You
04.Band of Horses:Feud
05.Band of Horses:Slow Cruel Hands of Time
06.佐野元春 & The Coyote Band:ビートニクス
07.佐野元春 & The Coyote Band:君と一緒でなけりゃ
08.佐野元春 & The Coyote Band:詩人の恋
09.佐野元春 & The Coyote Band:スーパー・ナチュラル・ウーマン
10.佐野元春 & The Coyote Band:食事とベッド
11.佐野元春 & The Coyote Band:Zooey
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■内容の一部を抜粋
・特集:『ZOOEY』 第二回
まもなく発表される佐野元春 and The Coyote Bandのアルバム『ZOOEY』の特集。

・I Saw the Light
米国のインディ・ロック・バンド、ヨ・ラ・テンゴがトッド・ラングレンの「I Saw the Light」をカヴァー。

・Kid
・I'm Falling In Love with You
プリテンダーズの「Kid」とダイアナ・ロス&マーヴィン・ゲイのデュエットで1973年の「I'm Falling In Love with You」を2曲続けて。

・3PICKS!
「Motoharu Radio Show」では毎月番組推薦盤3枚のCDをピックアップしている。今月3月の「3PICKS!」はロン・セクスミス『Forever Endeavour』、バンド・オブ・ホーセズ『Mirage Rock』、そして佐野元春 and The Coyote Band『ZOOEY(Deluxe Edition)』。どのレコードも心に響くよいソングライティングと素晴らしいサウンドがあると元春。この中から今週はバンド・オブ・ホーセズ『Mirage Rock』。

・バンド・オブ・ホーセズ
米国のインディ・ロック・バンドで結成は2004年。これまで3枚のスタジオ・アルバムを出している。デビュー当時から比較的玄人筋に受けているバンド。米国にはオルタナティヴな音楽を対象とした音楽アワードがある。ショート・リスト・ミュージック・プライズ。これまでTV オン・ザ・レディオ、スフィアン・スティーブンス、そしてキャット・パワーといったアーティストが賞を獲っている。バンド・オブ・ホーセズは2006年に最優秀作品としてノミネートされている。そして2010年に発表したアルバムがグラミー賞にノミネートされている。これによってバンド・オブ・ホーセズは世界的に注目されることになる。そのバンド・オブ・ホーセズが新しいアルバム『Mirage Rock』を出した。プロデュースはグリーン・ジョーンズが担当している。グリーン・ジョーンズといえばライアン・アダムスのプロデューサーとして知られている。彼のプロデュースはコンピューターを使わない、バンドのライヴなレコーディングが特徴。完璧な演奏よりも演奏のエネルギーを大事にしたレコーディングだと思われる。日本でもこれまで何度かコンサートを行っている。ライヴの評判がとてもいいバンドなのでまた来日したときはチェックしてみてくださいと元春。アルバム『Mirage Rock』から「Feud」と「Slow Cruel Hands of Time」の2曲。

・GreenPeople
環境問題に取り組むユースたちを紹介するレポート「GreenPeople」。毎週このコーナーでは環境を巡る社会活動を通じて様々なアクションを起こしている人たちを紹介。このコーナーの協力はNHKの環境特集番組「エコチャンネル」。
http://www.nhk.or.jp/eco-channel/

今週はNPO法人「雪国住宅研究会」。雪国ならではの住まいを研究している団体。新潟県小千谷市で平成元年から活動している。

・佐野元春 and The Coyote Bandのアルバム『ZOOEY』の特集
佐野元春 : さて、Motoharu Radio Show、今月一ヶ月間はちょうど明日発表となる僕の新しいアルバムを特集しています。今夜はその第二回目。アルバム・タイトルは『ZOOEY』。ここのところ活動を共にしているコヨーテバンドとセッションしました。先週はアルバム前半に当たる6曲を聴いていただきました。今夜はアルバムの後半全6曲を紹介したいと思います。まず1曲目は「ビートニクス」。このところ、ライヴで弾いてるギター。これまではフェンダー・ストラトキャスターというギターが中心だったんですけれど、最近はグレッチ・デュオ・ジェットというギターをよく使ってます。今回のレコーディングでもほとんどこのグレッチ・ギターを使いました。そしてバンドの中でもうひとりのギタリスト、深沼元昭くん。彼はギブソン・レスポール・スタンダードを使っています。僕のグレッチと深沼くんのギブソン。このふたつの音の相性がとても気に入ってます。これから聴いていただきたい曲もそうですね。このセッション、とてもご機嫌でした。ほとんど即興でできたといっていいです。バンドのみんなでロックンロールを楽しんだという感じですね。ヴォーカルのハーモニー・パートを取ってくれてるのは深沼くんです。僕の歌い回しに絶妙に合わせてくる彼の歌の技術。素晴らしいと思います。では僕の新しいアルバム『ZOOEY』から「ビートニクス」。

ビートニクス

佐野元春 : さて、続いてのこの曲は実はかなり昔に書いた曲です。'90年代前半でしたね。バンドはまだザ・ハートランドの頃でした。一度録音はしたんですが、歌詞がちょっと重すぎるんじゃないかと思ってアウトテイクにした記憶があります。今回、若干歌詞と編曲に手を加えてコヨーテバンドでレコーディングしてみました。これが素晴らしかったですね。アルバムの中では最もR&B、ジャズ傾向の強い曲です。コヨーテバンドというともちろんロックンロールは得意ですけれども、こうした抑制の聴いたソウル・ミュージックもいけるぞという感じですね。そして歌詞。リリックということでいうと、エルヴィスの時代から現代までロックンロールの歌詞はだんだん暗くてシリアスになってきているということ。どっかの記事で読んだことがあります。でも考えてみればそれは当然ですね。ロックンロール音楽も人と同じように成長しているんだと思います。ではここでアルバムからの曲を聴いてください。新しいアルバム『ZOOEY』から「君と一緒でなけりゃ」。

君と一緒でなけりゃ

佐野元春 : さて、この新作アルバムのレコーディングはちょうど全国ツアーと平行して行っていました。特に沖縄でのライヴが心に残ってますね。バンドも聴衆も素晴らしかったです。コンサート・ツアーというと、行く先々で多くの人たちと会います。そのときどきに物語が生まれるんですね。僕らのこの些細な日常というのは、よく眺めてみると、劇的な変革の連続ではないか、僕はそんなふうに思います。次に聴いていただきたいこの曲。「詩人の恋」。僕の何気ないギターのストロークからはじまります。バンドも抑制されたいい演奏をしてくれました。彼らが集中して演奏しているのがよくわかります。特に最後のほうで渡辺シュンスケくんがとても美しいピアノを弾いています。是非聴いてみてください。この曲のセッションを終えて、僕は何かから解放されたような、そんな自由な気持ちになったのを覚えています。新しいアルバム『ZOOEY』から曲は「詩人の恋」。

詩人の恋

佐野元春 : さて、世間には魅惑的で力強いワクワクするようなパワー・ポップ・バンドが星の数ほどいます。ラズベリーズ、バッド・フィンガー、チープ・トリック、ジェリー・フィッシュ、ファンテンズ・オブ・ウェイン。共通しているのはビートルズへのリスペクトだろうと思います。パワー・ポップ、僕も好きですね。ちょっと情けない詩にセンチメンタルなメロディ。それを照れ隠しするかのようにハードなギターでごまかす。これが僕が思うところのパワー・ポップですね。だとしたら次に聴いていただきたいこの曲は、正に僕流のパワー・ポップということになります。コヨーテバンドもみんな演奏を楽しんでくれました。この曲は僕にとって最高の女性讃歌ですね。やけくそになって愛情たっぷりに歌います。聴いてください。僕の新しいアルバム『ZOOEY』から「スーパー・ナチュラル・ウーマン」。

スーパー・ナチュラル・ウーマン

佐野元春 : さて、レコーディングのおもしろさということでいうと、バンドでセッションしていると、思わぬ方向に転んでいくのが楽しいですね。あまり決め事を多くしないでバンドが鳴る方向へ素直に向かっていく。そして散らかる寸前にサッと纏めあげる。何か料理のコツのようです。バンドのキーボードリスト、渡辺シュンスケくん。彼はこう言ってました。「音楽は理屈ではあるけれど説明のつかない不思議もある」正にそのとおりですね。一生のうちに僕らは何回レコーディングできるかわかりません。スタジオではとにかくそこで起こる全ての偶然に敬意を払って思いっきり楽しもう。そんな感じです。僕は思うんですけれども、歌や演奏というのはきっと何かに導かれて成されるものですね。そのことを知ってるのと知らないのとでは、行き着く先が違うんじゃないかと、僕は思います。では新しいアルバム『ZOOEY』からこの曲を聴いてください。「食事とベッド」。

食事とベッド

佐野元春 : さて、このアルバム・タイトル「ZOOEY」。どういう意味ですか? 多くの方から訊かれます。この「ZOOEY(ゾーイ)」というのは昔の友人のニックネームですね。とても僕のことをよく慕ってくれた若くて才能にあふれたアーティストでした。僕の曲をカヴァーしたいということで一度手紙をもらったことがあります。そのうち彼とは仕事をすると思ってましたが、残念なことに若くして亡くなりました。この「ZOOEY(ゾーイ)」というのはギリシャ語の「ZOE(ゾーエー)=いのち」という言葉を語源としています。生物学的な命ではなく、命が終わっても、決して消え去ることなく輝き続ける、そんな命のことですね。「ZOOEY(ゾーイ)」。僕の友人のニックネームもおそらくここに由来してるんじゃないかと思っています。では今夜の特集、最後の曲聴いてください。僕の新しいアルバム『ZOOEY』からアルバム・タイトル曲「Zooey」。

Zooey

・次回放送
来週も引き続いてアルバム『ZOOEY』の特集。スタジオにコヨーテバンドのメンバーを迎えて。
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Sunday Song Book #1065

2013年03月10日 | Sunday Song Book

2013年03月10日プレイリスト
「ひなまつりガール・シンガー特集」
1. 希望という名の光(2012 アコースティック・ヴァージョン) / 山下達郎 "オーパス" ボーナス・ディスク '12
2. 涙の太陽 / エミー・ジャクソン '65
3. BILLY / COTTON CANDY(LEAH KUNKEL)'69
4. LET ME PASS BY / PEGGY LIPTON "PEGGY LIPTON" '68
5. EMMIE / LAURA NYRO "LIVE AT CARNEGIE HALL" '13
6. ZOO DE ZOO ZONG / TWIGGY & FRIENDS '71
7. THIS LITTLE FOOL / JODIE SANDS '62
8. 縁の糸 / 竹内まりや '08
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■内容の一部を抜粋
・近況
達郎さんは今週から来週にかけて歌入れ、ミックスダウン。新しい作品のレコーディングのフィニッシュなので番組は前倒しで収録しているという。

・希望という名の光(2012 アコースティック・ヴァージョン)
山下達郎 : さて、明日3月11日は東日本大震災のですね、二周年となります。昨年は3月11日、私の番組にちょうどあたりまして。2時46分という時間に黙祷の時間を設けたり、いろいろと企画をしましたが。今日は一日ずれて明日になります。明日はJFNでそうした特番が行われることと思います。二年経ちましたがまだ十万人以上の方がですね、避難生活を送ってらっしゃいますし、仮設住宅でまだご不自由な暮らしをしている方、たくさんいらっしゃいます。なかなかそうした住宅事情、新しい生活をはじめられる環境、故郷行ってもまだ瓦礫の山で仕事が戻ることができない、そういうようないろんな事情がありますが、本当にそれだけ大きかった災害であります。行政を責めたりですね、政治の無能、罵倒するのは簡単ですが、そうした部分だけじゃなくて、我々ひとり一人がですね、少しでも復興に向けてのですね、ひとり一人にできる努力というのを続けて、長い時間かかるかもしれませんが、そういうかたちで長い目でこの日本、あの災害を立て直すことをですね、みんなで考えていかなければなんないんじゃないかと思います。今日はそういう意味ではそうした特集をしませんが、昨年、私の番組でちょうど東日本大震災一周年のときに番組用に録音をいたしました、「希望という名の光」のアコースティック・ヴァージョンというものがあります。それを今日はお聴きをいただきたいと思います。ベスト・アルバム『OPUS(初回限定盤)』のボーナスCDに収められております。昨年の3月に録音しました「希望という名の光」のアコースティック・ヴァージョン。どうぞ。

・ひなまつりガール・シンガー特集
この20年、番組ではひな祭りの時期一年毎に「ガール・シンガー、ガール・グループ」特集をやってきた。先週はちょぅど3月3日だったが「OUT OF OPUS」特集を引っぱってしまったので一週遅れで「ガール・シンガー、ガール・グループ」特集。レコーディングしているのでほとんど「ガール・シンガー、ガール・グループで棚からひとつかみ」みたいなもの。寄せ集め、かき集めだが二年に一度やってるのでネタをいろいろと仕入れてるものの、年末にレコードの整理を行ったため、お皿がどこかに入っててわからなかったり、音はあっても資料がなかったりするそうだ。

・涙の太陽
エミー・ジャクソン、本名は深津エミさん。英国系のクォーターで湯川れい子さんに見初められてデビューした。1965年のヒット作で「涙の太陽」。「CRYING IN A STORM」というタイトルで洋楽扱いなのだが実は日本制作の楽曲。

・BILLY
コットン・キャンディはママ・キャスことキャス・エリオットの妹で、ラス・カンケルと結婚してレア・カンケルとなった女性シンガーの変名。1969年にダンヒルから出したファースト・シングル「BILLY」ではコットン・キャンディという名義だった。未CD化。

・LET ME PASS BY
女優でモデルでシンガーのペギー・リプトン。美人のシンガー好きのルー・アドラーのプロデュースで1968年にアルバムを出した。才色兼備の歌のうまい女性で、ローラ・ニーロやキャロル・キングなど、いろんな人の曲を歌ってるが、自分のオリジナルも優れた作品が揃ってる。これも未CD化。A面の1曲目で彼女のオリジナルで「LET ME PASS BY」。リズム・セクションのバンマスがハル・ブレイン。他にはジョー・オズボーン、ラリー・ネクテルといったレッキング・クルーの面々。オーケストレーションはマーティ・ペイジ。

・EMMIE
突然、ローラ・ニーロが1976年の3月に行ったカーネギーホールのライヴがCD化された。P.A.アウトかカセットかオープンリールか、いずれにしてもあまり音がよくないが、この当時はいいメンバーでいい演奏のライヴを行っている。いい演奏だが弾き語りのほうがいいので今日は弾き語り。ニューヨークなのでお客のウケがいい。『LIVE AT CARNEGIE HALL』から「EMMIE」。

・まりやさんのプロモ・グッズ
まりやさんの「たそがれダイアリー」のプロモ・グッズで文庫サイズの特製日記帳を20名にプレゼント。締め切りは3月いっぱい。

・ムーン時代のアナログ盤
暇がなくて準備が整わず遅れてしまったが『OPUS All Time Best 1975 - 2012』にちなんだプレゼント。『OPUS』はベスト・アルバムなのでムーン時代のアナログ盤。オリジナルの見本盤で達郎さんが持ってるストックの中から放出。サイン入りでプレゼント。くれぐれもヤフオフ等のオークションには流さないこと。現在は1986年のひとりアカペラのアルバム『ON THE STREET CORNER 2』。10名にプレゼント。

・プレゼント
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」プレゼント係
http://www.tatsuro.co.jp

・柄の悪さについて
リスナーから「プライヴェートは柄があまりよくないということですが、何かまりやさんに怒られたエピソードなどありますか?」というお便り。
達郎さんは東京の城北地区なので言葉が荒いそうだ。日常会話はどちらかというと「僕」よりも「俺」なんだとか。毒蝮三太夫さんの名言で「俺は柄が悪いけど日は悪くない」を目指したいという。

・ZOO DE ZOO ZONG
達郎さんの世代には懐かしい細身の代表みたいな人、ツイッギー。昨年ニューヨークで買ってきたレコードで1971年のシングル。ロジャー・グリナウェイとロジャー・クックのソングライター・コンビの作品で「ZOO DE ZOO ZONG」。当時イギリスで流行ってたオールド・タイミーを目指したシングル。

・THIS LITTLE FOOL
今回はガール・シンガー、ガール・グループといっても、いわゆるアイドルものがほとんどなくて「看板に偽りあり」みたいな感じだが、典型的な'60年代アメリカン・ポップの曲を最後にと達郎さん。ジョディ・サンズというフィラデルフィア出身の女性シンガーの1962年の「THIS LITTLE FOOL」。ジャック・ケラーの作品。

・縁の糸
3月7日にお姉さんが入籍するという方からのリクエストでまりやさんの2008年のシングル「縁の糸」。

■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係

03月17日は、レギュラープログラム「棚からひとつかみ」
http://www.tatsuro.co.jp
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Motoharu Radio Show #142

2013年03月06日 | Motoharu Radio Show

2013/03/05 OnAir - 1st. Week - 特集:『ZOOEY』 第一回
01.Pretenders:Popstar
02.Todd Rundgren:Wailing Wall
03.Ron Sexsmith:Back Of My Hand
04.Ron Sexsmith:Lost In Thought
05.Moon Martin:Aces With You
06.佐野元春 & The Coyote Band:世界は慈悲を待っている
07.佐野元春 & The Coyote Band:虹をつかむ人
08.佐野元春 & The Coyote Band:La Vita é Bella (ラ・ヴィータ・エ・ベラ)
09.佐野元春 & The Coyote Band:愛のためにできたこと
10.佐野元春 & The Coyote Band:ポーラスタア
11.佐野元春 & The Coyote Band:君と往く道
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■内容の一部を抜粋
・特集:『ZOOEY』 第一回
まもなく発売される佐野元春 and The Coyote Bandのアルバム『ZOOEY』の特集。

・Popstar
プリテンダーズの「Popstar」。
2月23日の東京公演でツアーのファイナルを迎えた佐野元春 and The Coyote BandのWinter Tour。ライヴはいつもこの曲ではじまっていたそうだ。

・Wailing Wall
トッド・ラングレンの「Wailing Wall」。
リスナーからWinter Tourのライヴ終演後にかかっていた曲にリクエスト。トッド・ラングレンの1971年のアルバム『Runt: The Ballad Of Todd Rundgren』に収録されている。

・3PICKS!
「Motoharu Radio Show」では毎月番組推薦盤3枚のCDをピックアップしている。今月3月の「3PICKS!」はロン・セクスミス『Forever Endeavour』、バンド・オブ・ホーセズ『Mirage Rock』、そして佐野元春 and The Coyote Band『ZOOEY(初回盤)』。どのレコードも心に響くよいソングライティングと素晴らしいサウンドがあると元春。この中から今週はロン・セクスミス『Forever Endeavour』。

・ロン・セクスミス
カナダ出身のシンガー・ソングライター、現在49歳。これまで11枚のスタジオ録音盤を発表している。とても優れたシンガー・ソングライターで、ポール・マッカートニー、エルヴィス・コステロ、エルトン・ジョン、彼のファンだという同業者もけっこう多くいる。デビューのきっかけとなったのは1995年に出した最初のアルバムをエルヴィス・コステロが絶賛したことから注目されるようになった。ロン・セクスミスが書く曲はメロディも詩もとても素晴らしいのでこれまで多くのシンガーがカヴァーしている。レイ・デイヴィス、ロッド・スチュワート、ニック・ロウ、k.d.ラング。そうしたカヴァー・レコードを通じてロン・セクスミスの曲は多くの人に知られていった。新しいアルバム『Forever Endeavour』は現在のポップ・ロックのシーンでとてもよい仕事をしてきているミッチェル・フルームがプロデュースを担当している。このアルバムのミュージシャンのクレジットを見てみるとミッチェル・フルームの仕事には欠かせないドラマーのピート・トーマスの名前がある。1989年の元春のアルバム『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』にも参加したドラマーなので個人的にも親しみを感じると元春。今回もこれまでのロン・セクスミスらしい自然で温かみのあるやさしい曲がたくさん収録されている。アルバム『Forever Endeavour』から「Back Of My Hand」と「Lost In Thought」の2曲。

・Aces With You
リスナーからのリクエストで、むかし元春が伊藤銀次さんに勧めた曲、ムーン・マーティンの「Aces With You」を銀次さんにプレゼントしたいとのこと。
「そうですね。銀次の音楽性にとても近いものを感じたので、この曲聴いてもらえるかなぁと思って、彼に推薦したのを覚えています。ムーン・マーティン。'70年代後半、'80年代前半に活躍したソングライターです。後にロバート・パーマーがBad Case Of Loving Youという曲をカヴァーして有名になりました」と元春。

・GreenPeople
環境問題に取り組むユースたちを紹介するレポート「GreenPeople」。毎週このコーナーでは環境を巡る社会活動を通じて様々なアクションを起こしている人たちを紹介。このコーナーの協力はNHKの環境特集番組「エコチャンネル」。
http://www.nhk.or.jp/eco-channel/

今週はNPO法人「ごみじゃぱん」。家庭ゴミの半分を占める容器や包装ゴミに着目し消費者が容器、包装ゴミの少ない商品を選ぶ取り組みを行っている。神戸大学の学生たちが中心になって2006年から活動している。

・佐野元春 and The Coyote Bandのアルバム『ZOOEY』の特集
佐野元春 : さて、Motoharu Radio Show、今月一ヶ月間はまもなく発表する僕の新しいアルバムを特集します。今夜はその第一回目。アルバムのタイトルは『ZOOEY』。ここのところ活動を共にしているコヨーテバンドとセッションしました。これまでツアーで何曲か披露してきているのですが、新曲をこうしてまとめて聴いていただくのはこの番組が初めてということになります。まず1曲目はリード・トラックとしてこの番組でも何回か聴いていただきました。「世界は慈悲を待っている」。アルバムの1曲目に持ってきました。荒地から一歩踏み出した景色ですね。そんなイメージで書いてみました。ドラムス:小松シゲル、ベース:高桑圭、彼らの演奏はとてもいいですね。全体的な雰囲気はモータウン・リスペクトの一曲となりました。この曲は単純なふたつのコードの繰り返しでできてます。ダンス曲でよくあるかたちですね。そして渡辺シュンスケくんの弾くハモンド・オルガンがとてもいい感じで心をかき立ててくれます。誰の心の中にもある"Grace"という美しいソウル、それを表現してみました。この曲を新生コヨーテバンドから挨拶代わりの一曲として紹介します。僕の新しいアルバム『ZOOEY』から「世界は慈悲を待っている」。

世界は慈悲を待っている

佐野元春 : さて、僕の中で半ば偶像化しているレコーディング・プロデューサーがいます。フィル・スペクター。幼い頃、両親が持っていたレコードを聴いて以来、ザ・ロネッツの「Be My Baby」、この曲は僕の大好きな曲のひとつになりました。'60年代、フィル・スペクターが発明したサウンドは正に大都市ニューヨークの街の音でした。街に暮らす人たちのためのポップ・ソングですね。そのスペクター・サウンドの様式を用いてプロデュースしたのが次に聴いてもらいたいこの曲、「虹をつかむ人」です。僕の中では「SOMEDAY」、「月夜を往け」に続くフィル・スペクター・リスペクトの一曲となりました。聴いてください。新しいアルバム『ZOOEY』から「虹をつかむ人」。

虹をつかむ人

佐野元春 : さて、3.11以降に書いた最初の曲はこの曲でした。「La Vita é Bella (ラ・ヴィータ・エ・ベラ)」。この時期、東北の震災と原発事故で国全体が打ち拉がれてました。ポップ・シンガーに求められたのはチャリティ、そしてソングライターに求められたのはヒューマニズムでした。同じ時期、僕はNHK「ザ・ソングライターズ」で同業のソングライターに同じ質門を繰り返して訊きました。「ソングライティングは現実を乗り越えることができるんだろうか?」答えは様々。しかしどのソングライターも表現を諦めないという強い意思を持っていたのが素晴らしいなと思いました。この曲では渡辺シュンスケくんのオルガンからはじまります。夜明けのイメージですね。続いて深沼くんが弾くディストーション・ギター。この曲の感情を表しています。愛しいことに理由はない。人の命は続いていく。ただ残念なことに人が"La Vita é Bella (ラ・ヴィータ・エ・ベラ)"、人生は美しいと感じられる頃には、身も心も擦り傷だらけです。聴いてください。僕の新しいアルバム『ZOOEY』から「La Vita é Bella (ラ・ヴィータ・エ・ベラ)」。

La Vita é Bella (ラ・ヴィータ・エ・ベラ)

佐野元春 : さて、文学や歌に限らず、今も昔も世の中の作家たちの興味というとそれは愛の矛盾についてですね。どの作家もこれをテーマして手を替え品を替えてなんだかんだと呟いています。例えばシェイクスピア。何行も費やしてそれを物語にしています。しかしスモーキー・ロビンソン。彼はたった3分のラヴソングでそれを表現します。しかも13歳の女の子でも感じるやり方で表現する。これはとても素晴らしいことだと思います。僕が理想とするラヴソングのかたちですね。次に聴いていただきたいこの曲、そんなふうに表現できてたらいいなと思います。聴いてください。僕の新しいアルバム『ZOOEY』から「愛のためにできたこと」。

愛のためにできたこと

佐野元春 : さて、「あの人がいてくれる限り大丈夫」そんな人がいてくれると心強いですね。ちょうど今の季節冬の空を見上げると一際輝く星があります。いつも僕らの営みを照らす守り神のような存在、それがポーラスタアです。今夜は僕の新しいアルバム『ZOOEY』、このアルバムからの曲を聴いていただいてます。このアルバムのレコディーングがはじまるとき、バンドにメンバーが一人増えました。ギターの藤田顕くんです。この曲で彼はフェンダー・ジャズマスターを使ってとても感じのいいアルペジオを弾いてくれてます。そしてもうひとりのリズムギターは深沼元昭くんです。曲の中ギター・ソロも深沼くんが弾いてますが、これがシンプルかつ強力なフレーズですね。この曲のハイライトといってもいい、僕の大好きな瞬間がここにあります。みなさんも是非、聴いてみてください。新しいアルバム『ZOOEY』から「ポーラスタア」。

ポーラスタア

佐野元春 : さて、みなさんもそうだと思いますが、機嫌がいいときに口ずさむ曲というのがあると思います。僕の場合は'60年代の名曲、ヤング・ラスカルズの「Groovin'」ですね。この曲を口ずさむと何か心が晴れ晴れとした気持ちになります。何か人を信じることに少しだけ無防備になれるような、そんな感じです。次に聴いていただきたいこの曲もそんな気持ちで書いてみました。誰かに愛されてるという感覚。とても大事な感覚です。そこにある安心感というのは何にも代え難いですよね。しかしどうでしょう。この曲は愛されるということに慣れた人たちにとってはきっとピンと来ないかもしれません。世の中にはそうでない人たちであふれています。次に聴いていただきたい「君と往く道」。この曲はそんな人たちにこそ口ずさんでもらいたいなと思っています。では今夜の特集、最後の曲聴いてください。アルバム『ZOOEY』から「君と往く道」。

君と往く道

・アルバム『ZOOEY』デラックス盤
パッケージは『ZOOEY(初回盤)』と『ZOOEY(Deluxe Edition)』の二種類。デラックス盤の詳細はスペシャルサイトに掲載されている。
http://www.moto.co.jp/ZOOEY/deluxe.html

・次回放送
来週も引き続いてアルバム『ZOOEY』の特集。
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「フェスティバルホールへのメッセージ~開幕のプレリュード~」

2013年03月03日 | 山下達郎

昨年末からフェスティバルホールに縁の出演者による色紙が展示されてます。
当初は年末までの展示の予定だったと思うんですが、
年が明けてからも展示されてます。

今日は午後から所用で中之島に行った折りに、
行き掛けの駄賃でフェスティバルタワーに寄りました。
13階のスカイロビーまでエレベーターで昇って
スカイテラスから大阪湾方面を眺めたかったんですが
閉鎖されてました。
この時期は風が強い日多いですからね。

今、ネットで調べると、
屋外デッキは土日祝の終日閉鎖してるみたいですね。
スカイテラスもそうなんでしょうかね。

仕方なくフェスティバルホールのエントランスまで足を運んだところ、
「フェスティバルホールへのメッセージ~開幕のプレリュード~」に
山下達郎さんの色紙が展示されてるのを見つけました。
写真は左が佐橋さんで右が達郎さん。
「山下達郎さんとフェスティバルホール」には
"ホールの備品だったトラメガを、
一時閉館中は全国各地のコンサートで使用していただきました。"
と書いてありました。



こちらの画像をクリックすると拡大して表示されます。


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Sunday Song Book #1064

2013年03月03日 | Sunday Song Book

2013年03月03日プレイリスト
「OUT OF OPUS」Part 2~リクエスト編
1. たそがれダイアリー / 竹内まりや 02月27日発売ニューシングル
2. MUSIC BOOK / 山下達郎 "フォー・ユー" '82
3. あしおと / 山下達郎 "メロディーズ" '83
4. POCKET MUSIC / 山下達郎 "ポケット・ミュージック" '86
5. マーマレード・グッドバイ / 山下達郎 "僕の中の少年" '88
6. SOUTHBOUND #9 / 山下達郎 "コージー" '98
7. 僕の中の少年 / 山下達郎 "僕の中の少年" '88
---------------------------------------------------
■内容の一部を抜粋
・近況
今日は3月3日、おひなまつり。達郎さんのところも娘さんなのでひな人形を飾ってるとのこと。でも達郎さんはひな祭りもへったくれもなくてスタジオで仕事に勤しんでるとのこと。

・「OUT OF OPUS」Part 2~リクエスト編
昨年リリースしたベスト盤『OPUS All Time Best 1975 - 2012』は3枚組全49曲。入りきらず選曲から洩れた曲にお便り、リクエストが集まっている。それならということで『OPUS』に入ってない曲をデジタル・プロセッシングして、最新リマスター・ヴァージョンで聴いてもらうことになった。題して「OUT OF OPUS」。『OPUS』から洩れた曲を二週間で特集する企画。先週は達郎さんが選びたくて涙を飲んで落とした曲、オミットした曲を中心に選曲したが、今週はリスナーからのリクエストに基づいて。

・たそがれダイアリー
テレビ朝日系木曜ドラマ「おトメさん」(黒木瞳さん主演)の主題歌「たそがれダイアリー」。約一年ぶりのまりやさんのシングルとして2月27日に発売された。今回の演奏メンバーは達郎さんのコンピューター・プログラミングが中心で、難波弘之さんのエレクトリック・ピアノ、サックス・ソロは宮里陽太くん、ブラスとストリングスは生演奏。一曲入りのシングル、ワンコイン・シングルで525円。今回はサプライズ企画として初回生産分50枚に1枚の割合で本人の直筆サインが入ってる。CDパッケージを開けてのお楽しみ。まりやさんのオフィシャル・サイトに画像がある。
http://www.mariyat.co.jp//index.html

詳しくはワーナーミュージック・ダイレクトの「たそがれダイアリー」スペシャルサイトにて。
http://wmg.jp/mariya/

・MUSIC BOOK
1982年のアルバム『FOR YOU』の中の一曲。昨年亡くなった佐藤博さんを追っかけて、ロサンゼルスまでマルチテープを持って行ってピアノをダビングした一曲だという。

・あしおと
1983年のアルバム『MELODIES』収録曲。今年はアルバム発売30周年、「クリスマス・イブ」30周年の年。「あしあと」は昔からリクエストの多い曲。地味な曲だが隠れた人気曲だと達郎さん。ライヴでは『MELODIES』のツアーで一回やったきりだとか。何回もやろうとして練習を重ねているがやる機会がなく、今年のツアーの中でできたらと考えてるが、あくまでも予定ではということ。
曲をかけ終えて。
「このころはドラム、ベース(は生演奏)で、自分でキーボードを弾いて、ギターは後からダビングする、メリー・ゴー・ラウンドとか全部そうで、ウワもの全部ひとりでやっております。そういう時代の音源であります」と達郎さん。

・四十肩、五十肩、ぎっくり腰
50歳になるリスナーから「達郎さんは四十肩、五十肩、ぎっくり腰は経験済みですか?」という質門。
達郎さんは好運なことに四十肩、五十肩、ぎっくり腰にもなってないという。腰は丈夫なんだとか。中学の頃にブラスバンドをやってて、ずっーと行進で大太鼓を叩かされたので、それで背筋が強くなったかもしれないと達郎さん。

・POCKET MUSIC
1986年のアルバム『POCKET MUSIC』のタイトル・ソング。このときのレコーディングがはじめてのデジタル・レコーディングだけれど、歌は全部アナログで録ってるそうだ。特に「POCKET MUSIC」はアナログのテレコで歌を録ってるので、このニュアンス、歌のまろやかさはデジタルでは絶対でないと達郎さん。この曲もアルバムが出たときのツアーでしか演奏してない。

・マーマレード・グッドバイ
1986年のアルバム『POCKET MUSIC』やそれに続く1988年のアルバム『僕の中の少年』などは思入れがあって作ってたアルバムなんだとか。当時は夏っぽくないとか地味、内省的だとずいぶん言われたそうだ。10年ほど経ってこのあたりのアルバムへのシンパシーをハガキに書いて寄せてもらって力づけられたことがあるという。アルバム『僕の中の少年』から「マーマレード・グッドバイ」もベストに入れたかったが長尺で駄目だったとか。この曲はアレンジに無理がありステージではあのグルーヴが出ない悲しい曲だそうだ。

・まりやさんのプロモ・グッズ
まりやさんの「たそがれダイアリー」のプロモ・グッズで文庫サイズの特製日記帳を20名にプレゼント。締め切りは3月いっぱい。

・ムーン時代のアナログ盤
『OPUS All Time Best 1975 - 2012』にちなんだプレゼント。『OPUS』はベスト・アルバムなのでムーン時代のアナログ盤。オリジナルの見本盤で達郎さんが持ってるストックの中から放出。当選者はくれぐれもヤフオフ等のオークションには流さないことと達郎さん。先週に引き続いて今週も『POCKET MUSIC』。10名にプレゼント。今出てるCDはリミックスだが、アナログはオリジナル・ミックスしかない。とてもレア。今週からの告知はアカペラのアルバム『ON THE STREET CORNER 2』。今週、来週と呼び込んで10名にプレゼント。

・プレゼント
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」プレゼント係
http://www.tatsuro.co.jp

・SOUTHBOUND #9
1998年のアルバム『COZY』から「SOUTHBOUND #9」。ステージの再現性の薄い曲だが最近できそうな感じになってきたという。チャンスがあれば次のツアーでやりたいそうだ。

・僕の中の少年
1988年のアルバム『僕の中の少年』からタイトル曲。
今回のリクエストでかけられなかったが「MAGIC TOUCH」や「DAYDREAM」も多かったとか。

■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係

03月10日は、一週遅れで、おなじみ「ひなまつりガール・シンガー特集」
http://www.tatsuro.co.jp
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