3月12日(金) 曇り。
ボブ・ディランの9年ぶりとなる日本公演を聴きに行った。
僕が聴きに行ったのは大阪公演の二日目。
本当は日本公演の初日だったのだが、追加公演が決定して、
それが日程の都合で初日の前の日に行われることになり、
残念ながら日本公演の初日を見ることができなくなった。
ボブ・ディランは1941年5月24日、アメリカ・ミネソタ生まれ。現在68歳。
1961年にレコーディング・アーティストとしてコロムビアと契約して49年。
最近では2005年の映画『No Direction Home』の影響なのか、
2006年のアルバム『Modern Times』、2009年のアルバム『Together Through Life』が
連続して欧米のアルバム・チャートでNO.1を獲得している。
日本公演は1988年から続いている"Never Ending Tour"の一環として行われた。
日本では初めてとなる収容人数二千人前後のライヴハウスを廻るツアーだった。
ライヴは英語のアナウンスではじまった。
「ご来場のみなさん、ロックンロールの桂冠詩人に拍手を」と言ってたようだ。
ディランは黒のスペイン帽子に黒の上下の衣装、緑色のシャツ。
ジャケットは金ボタンでパンツのサイドには白のラインが入っていた。
バンドは全員グレーの衣装。
最近のディランはキーボードを弾きながら歌う。
上手にキーボードがあり、その横にハーモニカを置いたテーブルがあった。
1曲目は何を歌ってるのか、よくわからなかったが、
「ヒョウ皮のふちなし帽」だったようだ。
ステージが雪模様のライティングになり
ディランがハーモニカを吹いた2曲目は「Lay, Lady, Lay」だった。
ふっと力が抜けるような感じがした。
僕はずっと悩んでいた。週末になると落ち込んでいた。
だからメロウなメロディ・ラインとハーモニカ、そしてディランの声が沁みた。
4曲目に「Don't Think Twice, It's All Right」が歌われたときは
ディランは僕のために「くよくよするなよ」と歌ってるのだと思った。
6曲目は「Just Like A Woman」だった。
"誰もが痛みを感じて今夜この雨の中に立ってる"
それはもう僕自身のことだろという感じ。
こんなことってあるのかという心境になった。
ディランは僕を励ましているのだという錯覚に苦笑した。
ディランはハーモニカを吹くのが楽しいというように
上機嫌でハーモニカを吹いて歌った。
バンドはディランの動きを見ながら演奏した。
チャーリー・セクストンはステージの真ん中にいてギターを弾いた。
昨年行われたライヴのセットリストを調べると、
最近は「Ballad Of A Thin Man」をやっているようで、
僕はこの曲が好きだから日本公演で聴けることを楽しみにしていた。
「Ballad Of A Thin Man」が聴けたら、それでもう満足だった。
本編が終わるとステージの後ろに『20世紀少年』のような目をデザインした幕が降りた。
ディラン・ファンの浦沢直樹はこの幕をどう思うだろうかと僕は考えていた。
ディランはその幕の前で「Like A Rolling Stone」を歌った。
サビで聴衆の大合唱が起こり盛り上がった。
最後の曲は「見張り塔からずっと」だった。
すべての演奏が終わったあと、ディランとバンドはステージの前に出てきた。
前回の日本公演と同じで聴衆を無言で睨みつけていたが、ディランは帽子を脱いでいた。
もしも誰かがディランを指差して
「あの男が神様だ」と言ったとしたら、僕は信じたかもしれない。
神様ってあんな姿をしているのかと。
2010年3月12日(金) Zepp Osaka
1階スタンディング整理番号321番
Band Members
Bob Dylan - guitar, keyboard, harp
Tony Garnier - bass
George Recile - drums
Stu Kimball - rhythm guitar
Charlie Sexton - lead guitar
Donnie Herron - trumpet, electric mandolin, pedal steel, lap steel
Setlist
01. Leopard-Skin Pill-Box Hat (Bob on keyboard, Donnie on pedal steel)
02. Lay, Lady, Lay(Bob center stage on harp, Donnie on pedal steel, Stu on acoustic guitar)
03. Beyond Here Lies Nothin' (Bob on keyboard, Donnie on trumpet)
04. Don't Think Twice, It's All Right(Bob on guitar, Donnie on lap steel, Stu on acoustic guitar, Tony on standup bass)
05. The Levee's Gonna Break(Bob on keyboard, Donnie on electric mandolin, Tony on standup bass)
06. Just Like A Woman(Bob on keyboard and harp, Donnie on pedal steel, Stu on acoustic guitar)
07. Tweedle Dee & Tweedle Dum(Bob on keyboard then center stage on harp, Donnie on pedal steel)
08. Make You Feel My Love (Bob on keyboard and harp)
09. Honest With Me (Bob on keyboard, Donnie on lap steel)
10. Po' Boy (Bob on keyboard and harp)
11. Highway 61 Revisited (Bob on keyboard, Donnie on lap steel)
12. I Feel A Change Comin' On (Bob on keyboard, Donnie on lap steel)
13. Thunder On The Mountain(Bob on keyboard, Donnie on lap steel, Stu on acoustic guitar)
14. Ballad Of A Thin Man (Bob on center stage on harp, Donnie on lap steel)
Encore
15. Like A Rolling Stone (Bob on keyboard, Donnie on pedal steel)
16. Jolene (Bob on keyboard, Donnie on lap steel, Tony on standup bass)
17. All Along The Watchtower (Bob on keyboard, Donnie on lap steel)