Sunday Song Book #1428

2020年02月23日 | Sunday Song Book

2020年02月23日プレイリスト「山下達郎ライブ特集」
1. ミライのテーマ (LIVE) / 山下達郎 "18/10/26 中野サンプラザ"
2. DANCER (LIVE) / 山下達郎 "16/04/20 岩手県民会館"
3. 君は天然色 (LIVE) / 山下達郎 "19/09/24 名古屋国際会議場センチュリーホール"
4. HOT SHOT (LIVE) / 山下達郎 "80/05/03 中野サンプラザ"
5. REBORN (LIVE) / 山下達郎 "19/08/10 中野サンプラザ"
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■内容の一部を抜粋
・近況
令和最初の天皇誕生日。「東京は昨日春一番が吹きました。早い春一番であります。天候不順なので、まぁ、しょうがないんですけれども」と達郎さん。最近はSNSでいろんな情報が飛び交い、どこまでが本当で、どこまでが嘘なのか、わからない情報がたくさん流布しているので、そういうものにあまり付和雷同せずに、自分の身は自分で守るという、消極的だが、仲間内で助け合わなきゃと思ってるそうだ。

・山下達郎ライブ特集
今週は二月に一度のラジオの聴取率週間。ネタがないのでいつもの「山下達郎ライブ特集」。この数年間はライヴ・ソースをチェックする時間がなかったけれど、今回は時間がありチェックして、P.A. OUTだが、ここ3,4年のソースで揃えることができたとか。

・ミライのテーマ(LIVE)
細田守監督の2018年の映画『未来のミライ』のオープニング曲「ミライのテーマ」。2018年10月26日に中野サンプラザにてライヴ・レコーディング。ここ数年間で音のまとまりが出てきたという。リズム・セクションは11年やってるので(今年で12年目)、だいぶ音がまとまってきたそうだ。

・DANCER
2016年4月20日に岩手県民会館にてライヴ・レコーディングした「DANCER」。2015年から2016年にかけて行われたデビュー40周年のツアーで、2015年の年末に声の調子が悪くて、延期した公演の振替公演で、実質的な千秋楽のライヴ・ヴァージョン。

・君は天然色
先週、ライヴ特集の告知をしたら、いちばん多かったリクエストが大滝詠一さんの「君は天然色」だったという。「大滝さんの君は天然色はすごーく集中力が必要な曲でありまして、どこがいいテイクかなって探そうにも50回もやってるので、全部聴けないんですよね」と達郎さん。今回はリクエストしたリスナーの一人が愛知県の方なので、2019年9月24日の名古屋国際会議場センチュリーホールにしたそうだ。全体のまとまりが比較的にいいなと思ったとか。昨年は大滝詠一さんの七回忌だったので演奏前に「今晩はみなさんにひとつ、大滝詠一さんの曲を一曲、お聴きをいただければなと思います。これも今から四半世紀以上も前の話になるんですけれども。大滝さんとカラオケ屋に行ったんですよね。二人じゃないっすよ(笑)、仲間内とカラオケ屋に行きまして。それで僕はこの曲を歌わしてもらったんですけれども。それを聴いて大滝さんが僕に、この歌はお前にやるよって言ったんですよね。僕はそれを長いこと忘れていたんですけれども。今回この曲をステージでやるにあたって、知人経由ですけれどその話が出てきて。あぁ、そんな話もあったなってですね。ちょうど七回忌を前にこの歌をライヴでやれる、そういう意味ではいいご供養になると思いまして。今日はこの一曲を。私の大好きな大滝さんのこの一曲であります。みなさんもきっとお好きだと思いますがこの一曲を」と話している。

・ガール・シンガー、ガール・グループ特集
来週は3月1日のオンエアなので、ひさしぶりにひなまつり「ガール・シンガー、ガール・グループ特集」。ここのところ買ったシングルなどいろいろあるそうだ。

・孤独のグルメ
足立区の超常連のリスナーから「達郎さんは孤独のグルメはご存知ですか? 達郎さんは一人での外食は平気なほうですか?」という質問。
一人で行くのは馴染みの店しか行かないそうだ。「飛び込みはなかなかですね、行って正解ならいいですけれど、不正解だと、やっぱり、ね、この年になると一食一食が大事に、あと一生で何回食事ができるかという、そういうアレでございますから。気持ちよくわかります。でも一人で食事するのが好きな人いるんですよね。とくに女性。一人飯」と達郎さん。

・HOT SHOT
横浜市のリスナーから「HOT SHOT」のリクエスト。ライヴを再開してから一回しかやってないそうだ。'80年代にたくさんやっているので、今日はぐっと遡って。1980年5月3日に「RIDE ON TIME」が発売されたときの最初の中野サンプラザ公演。ここから中野サンプラザがホームグラウンドになった。「昔のほうが演奏の長さといい、くどさといい、昔のほうが圧倒的に長くて、くどかったので、もうくどさの極地です。若さゆえ」と達郎さん。青山純さんドラム、伊藤広規さんベース、難波弘之さんキーボードで、達郎さんのギターと椎名和夫さんのギターという5人編成。カセットからリマスターしたそうだが、カセットでもリマスターすれば十分に聴けるとか。



・ライヴ特集の選曲について
札幌市の超常連のリスナーからライヴ特集の選曲について「毎回の選曲の基準は? ステージでこれはうまくいったといった公演を直感で選ぶんですか?」という質問。
自分でうまくいったとかこれはダメだなとかいう判断は全然当てにならないそうだ。後で冷静になって聴いてみると、思ったよりよかったとか、すごくよかったと思ったのが、妙に雑駁だったりするのでなかなか芸事は難しい。「先日、文楽を観に行きまして、とある太夫さんが仰ってたんですけれども。やっぱりはじめた頃は自分の語ってる声と、実際にお客さんが聴く声と、あまりに違ってて、それが物凄くショックだったという、そういうようなお話がパンフに書いてありましたけれども。誰でも自分の録音された声を最初に聴くてガクッと落ち込むんですよね。それをだんだんギャップを埋めてゆくというのが芸事の作業だと(笑)、噺家さんも歌手もですね、みんな同じようなことを申しておりますが。声の商売というのはそういうギャップをどれだけ埋めるかというアレですけれども」と達郎さん。

・REBORN
福岡県のリスナーからのリクエストで「REBORN」。「REBORN」も2年連続で続けてやったが昨年のほうがまとまりがいいそうだ。2019年8月10日の中野サンプラザ公演から。

■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
2020年03月01日は、「ひなまつりガール・グループ、ガール・シンガー特集」
http://www.tatsuro.co.jp
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Sunday Song Book #1427

2020年02月16日 | Sunday Song Book

2020年02月16日プレイリスト「リクエスト特集」
1. HERON / 山下達郎 '98
2. ONE MAN PARADE / JAMES TAYLOR "ONE MAN DOG" '72
3. RUNAWAY '67 / DEL SHANNON "HOME & AWAY" '67
4. I'VE GOT TO SEES YOU TONIGHT / TIMMY THOMAS '74
5. NEW WORLD COMING / MAMA CASS ELLIOT '70
6. I NEED LOVE / THE PERSUADERS '76
7. ROOTS OF LOVE / QUIET ELEGANCEE '76
8. COME SATURDAY MORNING / THE SANDPIPERS '70
9. BLUE VALENTINE'S DAY / 山下達郎 "宅録DEMO" '9?
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■内容の一部を抜粋
・近況
一昨日がバレンタインズ・デイで達郎さんのオフィスやレコード会社の若い女性がどっと来て、番組を収録しているスタジオがチョコレートの山になってるとか。
「今日は割と全国的に雨がちだという予報でございますが。寒くなったと思ったらまた暖かくなって、でも寒暖差が激しいという。10度近くある日もありますし、それでまたコロナ・ウイルスなんていうものが流行り出しておりまして。突然のものなのでなかなか対応がですね、取り切れないという感じで、各方面の方々、みなさんがんばっていらっしゃいますので、特に医療関係の方々のご努力に期待するしかないんですけれど。話を聞くとまず検査システムがあともうちょっとでできるという。でもワクチンは時間かかりそうですね。何ヶ月も流行が、前のSARSとおんなじですが、我々はそういう意味では消極的防衛といいましょうか(笑)、そういうことしか今のところはできませんけれども。マスク、手洗い、うがい、基本的な、インフルエンザとおんなじような感じで、基本的な予防対策しなければならないと思います。みなさまくれぐれもお気をつけください。マスクの買い占めとか、そういうようなことも流布されておりますけれど、みんなで助け合ってですね、やっていきたいと、いつものことですけれど。でも政治屋のみなさんもコネクティングルームがどうたらとかそんな時間があったらですね、与野党一致でそうした健康対策、みなさん真面目にですね、積極的に(笑)、やれないのかなぁという、そういうことをテレビを見ながら思う今日この頃でございますが。あんまりそうした政治向きな話しませんので、プログラムの性格上、あんまりそういう政治向きの話はしませんけれど。そんなことを思いますけれど」と達郎さん。

・リクエスト特集
スコット・ウォーカー特集を3週間に渡って放送したが大変好評だったとか。特に達郎さんと同世代のスコット・ウォーカー命の方々からたくさんお便りが届いているそうだ。全然時3週間でも間に合わないので、何週間かしたらウォーカー・ブラザーズとスコット・ウォーカーへのリクエストがたくさん届いてるので、そういうものでもう一週やってみようかなと思ってるとか。新春放談からスコット・ウォーカー特集まで結構力入れてやったので、今週は一息ついて「リクエスト特集」。

・HERON
このちょっと寒い季節には「HERON」にリクエストがたくさん来るのだとか。

・ONE MAN PARADE
ジェームス・テイラーの1972年のアルバム『ONE MAN DOG』は名盤。その1曲目に入ってる「ONE MAN PARADE」。

・RUNAWAY '67
デル・シャノンが1967年にイギリスで作ったアルバム『HOME & AWAY』はアンドリュー・オールダムのプロデュース。その中からシングル・カットされた「RUNAWAY '67」(邦題は「悲しき街角'67」)はヒットはしなかったものの、日本ではラジオ・プレイが盛んにされた。

・ひとり暮らし  
リスナーから「達郎さんは何歳からひとり暮らしをはじめましたか?」という質問。
26歳からで、ちょっと都心に近い都内だったので楽しいひとり暮らしだったとか。

・I'VE GOT TO SEES YOU TONIGHT
ティミー・トーマスは南部のオルガニスト、シンガー・ソングライター。1974年の全米ソウル・チャート31位の「I'VE GOT TO SEES YOU TONIGHT」。

・寒いのは苦手ですか?
リスナーから「達郎さんは寒いのは苦手ですか?」という質問。
「あの寒いのあんまり得意じゃないですけれど(笑)、でも季節は寒いほうが好きです。暑いのほうは疲れます。年取ってくると益々そうです(笑)。寒いのは着ればアレですけれど、暑いと、ね。ぶつぶつ言っております(笑)」と達郎さん。

・NEW WORLD COMING
ママ・キャス・エリオットのシングル・オンリーの曲にリクエストがあった。1970年、全米42位のバリー・マンとシンシア・ワイルの作品「NEW WORLD COMING」。

・ロバート・ラウシェンバーグ
32歳のリスナーから「CDの帯はどのように保存されておりますか?、レコード屋さんに入るとまず見る棚は?、達郎さんが過去、レコードやCDを買って付いてたおまけで印象に残っているのは何ですか?」という質問。
「私は全部取っております(笑)。アナログの帯も全部取っております」と達郎さん。まずレコード屋で見る棚はR&Bで、おまけというものではないが、トーキング・ヘッズの1983年のアルバム『SPEAKING IN TONGUES』のアルバム・ジャケットはロバート・ラウシェンバーグがデザインしたプラスティックのケースで、達郎さんはロバート・ラウシェンバーグを家に飾ってる人間なので、『SPEAKING IN TONGUES』を5枚購入したそうだ。人に挙げたりしたそうだが、今でも2枚残ってるという。そのうちに価値が出るかもしれないので、もったいなくて封を切ってないとか。

・I NEED LOVE
パースエイダーズは東海岸の黒人4人組のヴォーカル・グループ。4枚目のアルバム『IT'S ALL ABOUT LOVE』からのシングル・カットで、1977年全米ソウル・チャート54位の「I NEED LOVE」。

・山下達郎ライブ特集
来週はまた恐怖の聴取率週間なので「山下達郎ライヴ特集」。曲が長いのばかりなりそうなのであまりかからないとか。

・山下達郎 SPECIAL ACOUSTIC LIVE 2020
「今年はわたし山下達郎、ホール・ツアーはお休みで、レコーディングにそろそろ入ろうかというアレですけれど。月に一回スペシャル・アコースティック・ライヴというですね、二日ずつやっていきますが。その第一弾、今月2月29日(土)と3月1日(日)に高円寺のJIROKICHI。わたしがシュガー・ベイブの時代に毎月出ていたところですけれど。ここで三人ライヴ、アコースティック・ライヴ行います、まずは。このアコースティック・ライヴ、チケットの受付、本日この番組終了後の15時からはじまります。本日の15時から18日火曜日の23時59分まで受け付けております。2月29日(土)、3月1日(日)、各々19時開演。東京は高円寺のライヴハウスJIROKICHI。45年経ちますけれど同じ場所で営業続けている数少ないライヴハウスです、東京の」と達郎さん。今回だけチケットはお一人様一公演一席種一枚までの申し込み。申し込み方法など詳しくは山下達郎オフィシャル・サイトにて。
https://www.tatsuro.co.jp/live/

・ROOTS OF LOVE
クワイエット・エレガンスはサザン・ソウルの女性ヴォーカル・グループ。実力派として知られている。1977年のシングルで「ROOTS OF LOVE」。

・COME SATURDAY MORNING
サンドパイパーズ、1970年春のヒット・ソングで全米17位の「COME SATURDAY MORNING」。アレンジはニック・デ・カロ。ライザ・ミネリが主演した映画『くちづけ』の主題歌。

・BLUE VALENTINE'S DAY
バレンタインズ・デイなので大滝詠一さんの「BLUE VALENTINE'S DAY」をかけようと思っていたそうだが、リマスターして持ってきたデータを今調べたら入ってなかったとか。なので今日は達郎さんがピアノで弾き語りしたヴァージョンの「BLUE VALENTINE'S DAY」。'90年代に自宅で録音したものだが、今聴くと歌いだしが大滝さんにちょっと似てるとじぶんで思うのだとか。

■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
2020年02月23日は、「山下達郎ライブ特集」
http://www.tatsuro.co.jp
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Sunday Song Book #1426

2020年02月09日 | Sunday Song Book

2020年02月09日プレイリスト「スコット・ウォーカー特集 PART 3」
1. THE PLAGUE / SCOTT WALKER '67
2. NO REGRETS / THE WALKER BROTHERS '76
3. NIGHT FLIGHTS / THE WALKER BROTHERS '78
4. TRACK THREE / SCOTT WALKER "CLIMATE OF HUNTER" '84
5. MAN FROM RENO / SCOTT WALKER "TOXIC AFFAIR" '93
6. FARMER IN THE CITY / SCOTT WALKER "TILT" '95
7. I THREW IT ALL AWAY / SCOTT WALKER "TO HAVE AND TO HOLD" '96
8. RUN / SCOTT WALKER "THE CHILDHOOD OF A LEADER" '16
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■内容の一部を抜粋
・近況
番組は前倒しで収録しているという。

・スコット・ウォーカー特集 PART 3
先週、先々週に引き続き「スコット・ウォーカー特集」。 そのPART 3。だんだんダークになってきて達郎さんの手に負えなくなってきたとか。1970年代中期のウォーカー・ブラザーズ再結成から、長い隠遁を経て'80年代、'90年代までつながってゆく過程、最後まで届かない感じだが、大体のそうしたアヴァンギャルドなシーンでの活動は抑えられてる感じ。今日のスコット・ウォーカーのカルト的な評価はヨーロッパの、イギリスを中心としたサブ・カルチャー系のシンパシーがほとんど。でも達郎さんはどちらかというとミドル・オブ・ザ・ロード系なので、'60年代のウォーカー・ブラザーズ史におけるポップ・ヒットのインパクトがなければスコット・ウォーカーは語れない。なのでアヴァンギャルドな作品でもなるべき聴きやすいものを選曲したとのこと。'90年代から2000年代のスコット・ウォーカーのファンの選曲とは若干違うのは理解してほしいそうだ。

ザ・ウォーカー・ブラザーズとしてイギリスに渡り爆発的と言っていいブレイクをし、イケメンでスタイルもよく、なんといったって歌が唯一無二といっていい声質なので、熱狂的な、特に女性ファンを獲得した。そのことで自分の中での創造性とのギャップを生み、ひじょうに悩んだというのがスコット・ウォーカーの人生。1970年に入る頃からアイドル的な活動にだんだん嫌気が差してきて、もっとヨーロッパ的なものを取り入れたい、あとは自分で作品を作りたいという意欲が出てきた。そういう萌芽が実は'60年代終わりから見えていて、セカンド・アルバム『SCOTT 2』に入ってた「JACKIE」もジャック・ブレルの曲。この曲のシングルのB面に入っていたのが、スコット・ウォーカー作詞作曲の「THE PLAGUE」。

・THE PLAGUE
スコット・ウォーカーの1967年のシングルのカップリングで「THE PLAGUE」。ディストーションのギターとかドラムはスコット・ウォーカーが細かく要求したというエピソードがある。ちなみに「THE PLAGUE」は'80年代にマーク・アーモンドがカヴァーしている。そうしたところでカルトな人気がある。

当時のスコット・ウォーカーはヨーロッパ文明に耽溺していた。今回の特集をするので達郎さんはスコット・ウォーカーのインタビューを読んだそうだが、ロシア文化にかなり造詣が深いということがわかったという。1969年のソロ・アルバム4枚目『SCOTT 4』には「THE OLD MAN'S BACK AGAIN」という曲があり、スターリンのことを歌っている。この中に名前が出てくるのがアンドレイ・ヴォズネセンスキーというロシアの詩人。加藤登紀子さんが歌った「百万本のパラ」を作った人。いわゆるロシアのスターリン時代から、スターリン批判になってフルシチョフの時代に雪解けの時代と言われたときに出てきた詩人。そうした時代のロシアの詩人にスコット・ウォーカーは耽溺していた。達郎さんはヴォズネセンスキーの詩集を持っていて、押し入れから出してきて久しぶりに読んだそうだが、スコット・ウォーカーの詞がこういうところから来てるのか、なるほどなと思ったという。そういうものなのでウォーカー・ブラザーズのポップ・ワールドとは相容れないから、どんどんそういう分野にハマっていき、1970年代の初期のアルバムの曲は、アメリカのソングライターの曲をやらされて嫌だという感じになり、売り上げが落ちてきたので、昔のメンバーと一緒にウォーカー・ブラザーズを再結成する。1976年の話。

・NO REGRETS
ウォーカー・ブラザーズ再結成後のシングル「NO REGRETS」は全英7位のヒットになる。同タイトルのアルバム『NO REGRETS』も出ることになる。アルバムはチャートインしなかったが、同じ1976年に『LINES』というアルバムが出て、シングルも発売されたがチャートインせず。今から聴くとイギリス録音だがアメリカン・サウンドのアルバムになっている。

・NIGHT FLIGHTS
1978年に再結成ウォーカー・ブラザーズの3枚目のアルバム『NIGHT FLIGHTS』が出る。プロデュースはスコット・ウォーカーなので選曲も彼の意見が大幅に出てると思われる。このアルバムが後の'80年代、'90年代のアヴァンギャルドなスコット・ウォーカーの萌芽。この中からシングル・カットされた「NIGHT FLIGHTS」。1993年にデヴィット・ボウイがカヴァーしている。デヴィッド・ボウイはスコット・ウォーカーの信望者として知られている。

スーパースターの自分の中のイメージ・ギャップとの戦い。日本で近似なのは沢田研二さんと思われる。ウォーカー・ブラザーズは結局また分解して、この後スコット・ウォーカーは長い隠遁生活に入る。

・山下達郎 SPECIAL ACOUSTIC LIVE 2020
「今年はみなさまご承知のようにホール・ツアーはお休みしましてレコーディングがはじまりますけれども。でも体調管理のためにいつもやっとりますがアコースティック・ライヴ、三人ライヴでございますが。難波弘之、伊藤広規、山下達郎の三人ライヴ。これは毎月二本ずつやっていきたいと思ってます」と達郎さん。
まずは今月の末、2月29日(土)と3月1日(日)に高円寺 LIVE MUSIC JIROKICHIからスタート。今から45年前にシュガー・ベイブの時代にお世話になったJIROKICHI。まだ同じ場所で現存している。ライヴ・チケットの受付開始日が決定した。来週2月16日(日)の午後3時から18日(火)の午後11時59分まで。2月29日(土)、3月1日(日)、どちらも午後7時開演。今回だけチケットはお一人様一公演一席種一枚までの申し込み。申し込み方法など詳しくは山下達郎オフィシャル・サイトにて。
https://www.tatsuro.co.jp/live/

・TRACK THREE
1984年に約10年ぶりのソロ・アルバム『CLIMATE OF HUNTER』が発表される。ダークな世界観でこの中から比較的わかりやすいもので「TRACK THREE」。

'80年代に入る頃からスコット・ウォーカーの再評価があり、スコット・ウォーカーのコンピレーションが出てきていて、その流れの中でぽつぽつと仕事をしていたようだが、1992年にウォーカー・ブラザーズ、スコット・ウォーカーのコンピレーションCDがイギリスで出た。これが全英4位というヒットになる。そういう意味では、いわゆる再評価なんだけど、ビーチボーイズの1974年の『ENDLESS SUMMER』とよく似た感じ。

・MAN FROM RENO
1993年にイザベル・アジャーニ主演のフランス映画『TOXIC AFFAIR』(邦題『可愛いだけじゃダメかしら』)のサウンドトラックのために歌を要請されて、スコット・ウォーカーが作詞した曲がサウンドトラックに収録されることになった。「MAN FROM RENO」。今回の特集のために『可愛いだけじゃダメかしら』を達郎さんは観たという。日本語字幕のDVDは出ておらずVHSを購入したそうだ。

・FARMER IN THE CITY
1995年に前作から11年ぶりのアルバム『TILT』が出る。この中からいちばん有名でわかりやすい曲「FARMER IN THE CITY」。イタリアの映画監督パゾリーニに捧げた作品で6分ちょっとある。

この後、2006年にアルバム『THE DRIFT』が出るが、今回の特集では時間がなくてそこまで辿り着けず、'90年代半ばで終了。アヴァンギャルドな作品でもそれ一辺倒ではないオリジナルがある。

・I THREW IT ALL AWAY
1996年にニック・ケイヴが音楽を担当した映画『TO HAVE AND TO HOLD』で、ニック・ケイヴの要請でボブ・ディランの「I THREW IT ALL AWAY」をカヴァーしている。オリジナルはボブ・ディランのアルバム『NASHVILLE SKYLINE』収録曲。歌うことに関してはそれほどの頑なさはないということがわかるトラック。たぶんこの時代になると自分のアヴァンギャルドな評価が確定したのでリラックスしたものでもいいという許容度が増したという感じもする。それでもスコット・ウォーカー自身の作品はすごくアヴァンギャルドで、1999年にレオス・カラックスの映画『ポーラX』のサントラなど、割と精力的にサウンドトラックに参加している。2006年には最後のオリジナル・アルバム『THE DRIFT』というアヴァンギャルドな作品がある。今回の特集ではここまで届かなかった。

・RUN
2016年の映画『THE CHILDHOOD OF A LEADER』(邦題『シークレット・オブ・モンスター』)の中からとても短いがきれいな「RUN」というインストゥルメンタル曲。達郎さんが最近買ったCDの中ではいちばんストリングスの音がよかったそうだ。

■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
2020年02月16日は、「リクエスト特集」
http://www.tatsuro.co.jp
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Sunday Song Book #1425

2020年02月02日 | Sunday Song Book

2020年02月02日プレイリスト「スコット・ウォーカー特集 PART 2」
1. IN MY ROOM / THE WALKER BROTHERS '66
2. HOLD ON(LIVE) / THE WALKER BROTHERS "IN JAPAN" '68
3. MATHILDE / SCOTT WALKER "SCOTT" '67
4. JACKIE / SCOTT WALKER '67
5. JOANNA / SCOTT WALKER '68
6. IT'S RAINING TODAY / SCOTT WALKER "SCOTT 3" '69
7. JOE / SCOTT WALKER "'TIL THE BAND COMES IN" '70
8. THAT NIGHT / SCOTT WALKER "MOVIEGOER" '72
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■内容の一部を抜粋
・近況
達郎さんは明後日2月4日が誕生日で67歳になるそうだ。「なんか(笑)、どんどん(笑)、年を取っていくという感じでございますが。でも、まぁ、身体の調子は取り立ててどこも悪いところございませんですので、今年もはりきってまいりたいと思います」と達郎さん。

・スコット・ウォーカー特集 PART 2
先週に引き続いて「スコット・ウォーカー特集」 PART 2。今週はアイドル的な人気に疑問を持ちソロに転身する歴史。'60年代の終わりから'70年代にかけてのスコット・ウォーカーのソロ・ワークを中心に。

・IN MY ROOM
ザ・ウォーカー・ブラザーズは1965年にイギリスでブレイクして1967年までの2年半で絶頂期を迎える。ビートルズよりもファン・クラブの数が多くなったという大変な人気を博した。そんな中で発売された1966年のセカンド・アルバム『PORTRAIT』の1曲めに入ってるのが「IN MY ROOM」(邦題は「孤独の太陽」)。日本でシングル・カットされて日本で大ヒットした。もともとはスペインのシンガーでハイメ・モリーが1964年に出したものに、英語詞を付けて、アメリカの黒人シンガーのバーデル・スミスがシングル発売したものの後追い。ウォーカー・ブラザーズのものがいちばん有名。

スコット・ウォーカーはバリトン・ヴォイスの朗々とした歌い方だが、ルーツはロックンロールなので、それが'60年代にアピールした。もともとウォーカー・ブラザーズはジョン・ウォーカーとスコット・ウォーカーのふたりでデュオに近いかたちで展開していたが、それはライチャス・ブラザーズにひじょうに近いかたち。そういうところが現れるのはライヴだがライヴ・ソースはほとんど残っていない。1966年頃になるとスコット・ウォーカーはアイドル活動に嫌気が差してきて、いろいろとおかしな行動が多くなって、仲違いがはじまる。一度解散するが日本公演の契約だけが残っていたので、1968年にそのために暫定的に再結成して日本公演を武道館で行った。ビートルズに続いて武道館公演を果たした外タレになるそうだ。このときの模様が『IN JAPAN』というタイトルで、日本だけで発売された。長いことCDにはなってなかったが2007年にマスター・テープからリマスタリングされて、当時発売されたアナログ盤に入ってない曲も含めて、大阪フェスティバルホールのライヴが出た。完全版ではないが、これを聴くとウォーカー・ブラザーズのライヴの様子が少しわかってくる。ヒット曲の他にやってるのは、例えばスコット・ウォーカーの趣味で、ジャック・ブレルとかあるけれど、中心はR&B。

・HOLD ON(LIVE)
『IN JAPAN』からサム&デイヴのカヴァーで「HOLD ON」。オープニングの1曲め。1968年1月4日のフェスティバルホール公演。

ウォーカー・ブラザーズは1967年に解散。スコット・ウォーカーはソロになる。もともとL.A.時代からヨーロッパの文学や映画に耽溺していたが、とりわけフランスのシンガー・ソングライターのジャック・ブレルにハマっていたというインタビューが残っている。その中でL.A.時代に付き合っていたドイツ人の女の子(プレーボーイ・クラブでバニー・ガールをしていた)がフランスの音楽が好きで、スコット・ウォーカーにジャック・ブレルを教えた。あるときストーンズのプロデューサー、アンドリュー・オールドハムと話してたら、ジャック・ブレルの話題になり、アンドリューがどうにかしようとしていた、ジャック・ブレルが英語に翻訳した、ジャック・ブレル自身のデモ・テープを持っていたので、スコット・ウォーカーがジャック・ブレルのレコーディングをはじめることになったと語っている。ロックンロールとティン・パン・アレイ・ミュージックとビート・ジェネレーション、ヨーロッパのヌーヴェルバーグが渾然一体となって、スコット・ウォーカーのこの先の音楽がはじまる。

・MATHILDE
1967年のスコット・ウォーカーのファースト・ソロ・アルバム『SCOTT』の1曲めに入ってるのがジャック・ブレルの「MATHILDE」。アメリカの作曲家コンビのドグ・ポーマスとモート・シューマンのモート・シューマンが訳詞している。

このファースト・アルバム『SCOTT』からウォーカー・ブラザーズとは全く違う活動がはじまる。カヴァーからオリジナルに向かっていくことになるが、その当時のスコット・ウォーカーの人気は絶大でアルバム『SCOTT』は全英3位。セカンド・アルバム『SCOTT 2』は全英NO.1になる。サード・アルバム『SCOTT 3』は全英7位。ロックンロールのベーシックがあるので、それ以前のミドル・オブ・ザ・ロードのシンガーとは違うテイストがあった。

・JACKIE
セカンド・アルバム『SCOTT 2』に入ってた「JACKIE」もジャック・ブレルの曲で、1967年全英22位。過激な内容だったのでBBCでは放送禁止になったが、それにも関わらずチャートインして、アルバムは全英NO.1になった。

・JOANNA
この時代のスコット・ウォーカーはウォーカー・ブラザーズの余勢をかって絶頂期の人気だったためBBCでテレビ・ショーを持つ。このころはスターが必ずテレビ・ショーを持っていた。日本で有名なのはアンディー・ウイリアムス・ショーとかトム・ジョーンズ・ショーなど。その頃からそうしたものに対する抵抗がスコット・ウォーカーの中に出てきた。アメリカン・スタンダードとジャック・ブレルが相容れぬことからそれは当然のことだった。それでもレコード会社はヒット曲が欲しくて1968年にトニー・ハッチとジャッキー・トレントの作品「JOANNA」を取り上げ全米7位になった。この曲は昔のスコット・ウォーカーのイメージで、ソロ・アルバムの志向とはだんだん乖離していくことになる。ただ後にスコット・ウォーカーはインタビューで「JOANNA」の歌詞のかなりの部分を書いたと発言している。スコット・ウォーカーの中に作詞作曲したい部分と、レコード会社やマネージメントに従わざるを得ない部分があった。

・山下達郎 SPECIAL ACOUSTIC LIVE 2020
「今年はみなさまご承知のようにホール・ツアーはお休みしますけれども、体調管理のために月にいっぺんスペシャル・アコースティック・ライヴというですね、いわゆる三人ライヴでございます。おなじみでございますが。難波弘之さんと伊藤広規さんと私の三人で三人ライヴをやります」と達郎さん。
まずは今月の末、2月29日(土)と3月1日(日)に高円寺 LIVE MUSIC JIROKICHIからスタート。今から45年前にシュガー・ベイブの時代にお世話になったJIROKICHI。まだ同じ場所で現存している。ライヴ・チケットの受付開始日が決定した。2月16日(日)の午後3時から18日(火)の午後11時59分まで。2月29日(土)、3月1日(日)、どちらも午後7時開演。今回だけチケットはお一人様一公演一席種一枚までの申し込み。申し込み方法など詳しくは山下達郎オフィシャル・サイトにて。
https://www.tatsuro.co.jp/live/

・IT'S RAINING TODAY
ソロ・アルバムを出していく中でだんだん自分の作詞作曲のパートが多くなっていく。1969年の3枚目のアルバム『SCOTT 3』の頃から明確にポップ・シンガーとしての立場が嫌だと言ってマネージャーと揉めはじめる。それでマネージメントが離れていくことによってプロモーションが弱くなり売上が減っていく。それが'90年代になるとそうした反逆の姿勢で生まれた作品がカルトな評価を受けていくことになる。『SCOTT 3』は全13曲中ジャック・ブレルが3曲で残りの10曲はスコット・ウォーカーの作詞作曲。『SCOTT 3』の1曲め「IT'S RAINING TODAY」。

ソロ・アルバム4枚め『SCOTT 4』はついにアルバムがチャート・インしなかった。その次のテレビー・ショーをアルバム化した『SINGS SONGS FROM HIS TV SERIES』については全く語らない。その次に出た『TIL THE BAND COMES IN』はオリジナル・ソングがアルバムのA面で、B面はポピュラー・ミュージックのカヴァー・ヴァージョン。

・JOE
1970年の『TIL THE BAND COMES IN』から自作の「JOE」。

・THAT NIGHT
1972年のアルバム『MOVIEGOER』は映画音楽の作品。スコット・ウォーカーは消し去りたいアルバムだと語っているので未だにCD化されていない。この中から達郎さんの好きな「THAT NIGHT」。この曲はアメリカ映画『THE FOX』(邦題は『女狐』)のテーマ・ソング。

その後のアルバム『ANY DAY NOW』(1973年)、『STRETCH』(1973年)、『WE HAD IT ALL』(1974年)についてスコット・ウォーカーは自分でロスト・イヤーズと呼んでる。その後は活動停止して隠遁してしまう。

■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
2020年02月09日は、「スコット・ウォーカー特集 PART 3」
http://www.tatsuro.co.jp
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